最新話です。
めんどいところはカットしました。
ごめんなさい。
どうぞ!
シモンたちからの事情聴取を終えた一行は楽園の塔へと向かっていた。
あまりにもかけ離れていたエルザの人格にシモンを除いた彼らは当惑していた。
無理もない。
ジェラールからは自分たちを裏切った、と聞かされていたのだ。
それでもシモンだけはジェラールを怪しんでいたようで、エルザと彼らの認識の齟齬をいち早く理解しショウたちのケアに努めた。
楽園の塔組はジェラールの裏の顔を知り、困惑したものの彼に話をつけに行かんと船は進む。
妖精の尻尾の面々は、明かされたエルザの過去の話を聞き怒り心頭になったがツバキに宥められ楽園の塔へ行くことを決意。
こうしてエルザを取り戻しに来たということは何か企んでいるに違いないとエルザは踏んだからである。
ナツは波に揺られ酔い潰れながら。
ルーシィは鍵の手入れをしながら。
グレイはジュビアに絡まれながら。
エルザは遠くの方を見つめながら。
シモンは座禅を組み瞑想しながら。
ショウはカードの面を憂いながら。
ウォーリーはたばこを吸いながら。
男たちはこの後に起こる激戦を予期しているのか、まるで決戦前の精神統一の如く。
静かに船は進む。
そんな中、楽園の塔組唯一の女性・紅一点のミリアーナは。
「げんきさいきょー!」
「さいきょー!」
「さいきょー。ほーれ、よしよし」
「「「みゃあ……( ^ω^)」」
ツバキとハッピーとじゃれていた。
動物好きなツバキは猫のハッピーだけでなく、猫を愛するあまり自分も猫みたいに行動するミリアーナも愛でていた。
それぞれの顎の下を両手で撫でながら他の者たちとは異なり、全力で和んでいた。
その撫で方は最&強らしい。
「な、なにをやっとるんだぁぁぁっっ!!!」
スパーンとツバキの頭に振り下ろされるハリセン。
持ち主は勿論エルザである。
換装で取り出したのか。
「痛っ。何をするエルザ」
「こちらのセリフだ!お前はこんなときに何を!ミリアーナと、その、いかがわしいことをしおって!ミリアーナ、貴様もだ!」
「えー。だってエルちゃん、ツバキ君すごい撫で方上手いんだよ~。気持ちよくなるのも仕方ないって~」
「ツバキオイラもオイラも!……エルザ、もしかして羨ましいの?」
「なっ、そ、そんなわけなかろう!そんなわけ……」
瞬間エルザの頭に繰り広げられる妄想。
「えるざ」と書かれた首輪を下げ、際どい衣装に身を包め猫のコスプレをした己の体にツバキが触れる。
頭、顎の下、おなか、脇、尻尾。
様々なところを触れられ、撫でられ、愛でられ。
そこからさらに過激なところへ手が伸びようとしたところへ遂にエルザが限界を迎える。
「#$%&'&$=)~*ーーッッ!!!」
「でぇきてぇるぅ」
「大丈夫か?」
真っ赤な顔をして倒れたエルザ。
巻き舌風にからかうハッピー。
すっかり緊張感が途切れた一同は、先程と比べ幾分かリラックスした雰囲気で船を進める。
ナツはまだ死んでいるが。
そんな年相応で初々しい少女のような反応のエルザを見てシモンたちは苦笑いしながら、彼らとエルザが出会えたことを喜んでいた。
そして楽園の塔に着き、ツバキの膝の上で目を覚ましたエルザはまた気絶するのであった。
禍々しい塔。
そんな印象を覚える。
誰も寄せ付けない、入り込んだら最後、生きては帰さない。
労働者たちの無念か、黒魔術団体の狂気か。
ここに蔓延る空気は確かに淀んでいた。
そして岸に船をつけるも、違和感を感じる。
見張りも防犯カメラらしきものも何一つないのだ。
着岸した時点での襲撃を確保していたが何も起こらない。
「どういうことだ。ジェラールは俺たちが裏切ったことも、ここに既にいることも分かっているはずだ」
怪しむシモン。
他の面々も辺りを警戒する。
「!何だ?」
地面に口のようなものが生えた。
次の瞬間、辺り一面にそのくちのようなものが生え茂った。
悍ましい光景に鳥肌を立てる一同のもとに、それらの口が一斉に開いた。
「ようこそ皆さん、楽園の塔へ」
「俺の名はジェラール。互いの駒は揃った。」
「そろそろ始めようじゃないか」
『楽園ゲームを!』
一つ一つの口が喋り始め、異口同音で締めくくる。
ジェラールは落ち着いた、されど自信に溢れた口調で放送を続ける。
そして話される楽園ゲームのルール。
妖精の尻尾とシモンたちvs暗殺ギルド髑髏会特別遊撃部隊「
エルザを生贄にゼレフ復活の儀を行い楽園への扉を開けばジェラールの勝利。
それを阻止し三人の戦士、そしてジェラールを倒せばツバキたちの勝利。
バトルロワイヤルの開始と相成ったが、ここで凶報が一つ知らされる。
評議会は衛星魔法陣による究極魔法、エーテリオンでこの塔を消滅させる気なのだとか。
残り時間は不明。
しかしエーテリオンが落ちるとき=我々全員の死だということ。
そしてゲームスタートの合図がなされる。
最上階へ一気に向かうナツ。
その後を追うグレイとシモン。
そのグレイを追うジュビアと、放っておけないと追走するルーシィ。
残ったツバキ、エルザはジェラールのもとへ。
足手まといになるやもと思ったウォーリーとミリアーナとはここで全員の帰還を信じ、船を守りながら待つことに。
ショウもエルザについていこうとするも、エルザに説得され残ることに。
ツバキも付いているのであれば大丈夫だろう、と納得しエルザの言葉を受け止めた。
そして各戦局はというと。
scene1:ナツ・グレイvs梟
「ホーホホウ」
「あんのクソ炎…!」
梟に撃墜され、丸のみにされたナツとグレイ、そして後方からケガをしたため見守るシモン。
グレイが氷刃・七連舞でナツを吐き出させ、そこへ火竜の鉄拳でとどめを刺す。
「なに鳥に食われてんだこの野郎。ドラゴンじゃなくて鳥に食われる蜥蜴か何かかてめえは?」
「仕方ねーだろ、ロケットに捕まって酔っちまったんだから。お前がいなくても自力で這い出てこれたんだよ!」
見事倒すも喧嘩を始めるナツとグレイ。
scene2:ルーシィ・ジュビアvsヴィダルダス・タカ
「キャハハハ!さてどうするよ金髪ーぅ?」
「地獄地獄地獄!最低で最高な地獄を見せてやるよ!」
「ちょ、ちょっとジュビア!?」
ヴィダルダス・タカと操られたジュビアに相対するはルーシィ。
ジュビアが展開した水のなかで呼び出したアクエリアスで巻き返し、
「なんてところから出してんだてめえは。次はトイレにでも出す気か?」
「ご、ごめんなさい」
アクエリアスにどつかれながらも見事勝利。
scene3:エルザvs斑鳩
「(こいつ、強い……!)」
エルザの対戦相手は三羽烏最後の1人斑鳩。
彼女の剣技は見事なものだった。
たとえその剣が暗殺したものたちの血で塗れていたとしても。
様々な鎧は剣を持つエルザは剣に自信を持っている。
近距離中距離遠距離。
様々なスタイルに合わせて戦闘方法を柔軟に変えるエルザはどんな敵にも対応できる。
ツバキがトイレに行ってから現れた斑鳩とエルザはそのまま剣で双方から斬り合っていた。
が、斑鳩が圧倒していた。
暗殺ギルドとして数多くの仕事をこなしてきた彼女は知っているのだ。
どこを斬れば人は壊れるか。
どこを斬れば人は痛むのか。
どこを斬れば人は死ぬのか。
人体の急所を全くの躊躇なく傷つけられるかそうでないかの差が、この戦闘に出ているのだ。
天輪の鎧、
炎帝の鎧、
煉獄の鎧。
いずれもエルザが信を置く鎧たちだが、斑鳩はその悉くを斬り伏せた。
「(何かないか、有効な鎧は…!)」
次なる一手を模索するも、その間に降り注ぐ刃の嵐。
焦って鎧を展開しても上から切り伏せられるのは目に見えている。
それでもエルザの限界は近づいていた。
最早ここまでかと一瞬諦めたその瞬間、脳裏にチラつく記憶。
妖精の尻尾の仲間たちとの楽しい記憶。
ボロボロでギルドに入り、他人を寄せ付けなかった自分をとてもよくしてくれた。
ナツ、ルーシィ、グレイ、ミラ、カナ、エルフマン、ロキ、マスター。
他にも多くの魔導士が自分に仲良くしてくれた。
弱い自分と弱い心を守るために纏った鎧。
それは人と人との心が届く隙間を鎧で堰き止めていただけだった。
彼らとの出会いが、
彼らとの過ごした時間が、
エルザに人と人との距離はこんなにも近く温かいのだと教えてくれたのだ。
そして
「何泣いてんだ?」
涙を流す自分に傘を差してくれた愛しい人。
「何があったかは聞かんけどさ。ここ俺のお気に入りの場所なんだよ。ここにいる間は笑っていようぜ?」
深入りせずにただ自分を受け入れてくれた愛しい人。
「過去に何かあったのは分かるよ。忘れろなんて無責任なことは言わないさ。」
「でもきっとこれから楽しいことが必ずやってくる。そのときに上手く笑えないと勿体ないぞ?ほれ、ツバキさんと練習してみよう」
道を示し、一緒に歩こうと手を伸ばしてくれた愛しい人。
妖精の尻尾の仲間が、ツバキがエルザを奮い立たせ、決意の装束へと身を包む。
魔力など一切帯びていないその装束は、守りを捨てただ攻撃力に傾いたもの。
自分が守られてきたものを、今度は守るために力を振るう一心。
勇気をもらい、立ち上がり、この装束に着替えたエルザにもう怖いものはなし。
「ここまでどす!覚悟ォォ!」
「私の全てを強さに変えて討つ!」
果たして軍配はエルザの方に上がる。
膝をつくも、剣を支えに倒れないエルザ。
疲弊し切った彼女のもとへ響く足跡。
「ハァハァ……。全く待ちくたびれたぞ」
「いやすまん。腹が絶好調で」
「お前という奴は……」
頭に手をやり呆れ返るエルザ。
その口元は苦笑で歪んでいた。
改めてツバキが好きだということを思ったエルザ。
「迷惑料だ。頭を撫でろ」
「はい?どうしたエルザ?トイレ入ってる間轟音が聞こえたけど、やっぱり何か」
「撫でろ」
「はい」
言われるがままにその緋色の髪を撫でるツバキ。
船でここにくるときにミリアーナにしていたのを思い出し、急にしてもらいたくなったのだ。
柔らかく良い匂いがするその髪を撫でているツバキにとっては溜まったもんではないが、エルザが嬉しそうなので黙っている。
満足いくまでに続けてもらい、その後深呼吸し意識を切り替えるエルザ。
「ふぅ…。待っていろジェラール。今決着をつけに行くぞ」
「ねぇ今のどういう意味があったんだ?お望みなら全然まだやるけど」
「……後で頼む」
残るはジェラールただ1人。
魔法評議会は着々とエーテリオン発射の準備を進めていた。
「いよいよですねジークレイン様」
「あぁ。ようやく俺の理想が実現する」
ジークレインは震える。
それでも彼の顔は嘆きの表情は一切なかった。
2人はこれから起こる展開にほくそ笑む。
しかしウルティアはその笑みの質がジークレインとは異なった。
「(ごめんなさいね、ジェラール。これも私の目的のため。それにツバキがいたらもう何をやっても無駄なことですし。彼の魔法には誰も敵わない)」
「時のアーク」と呼ばれる
物質の時を操る超魔法。
その彼女が畏怖するツバキの魔法。
ジェラールの理想はどうなるのか。
ツバキの魔法の正体は何なのか。
エーテリオン発射まであと15分。
UAがいつの間にか10000を突破し、お気に入りも増えました!
嬉しいです!
感想もお待ちしてますね!