おじいちゃん指揮官による母港運営記   作:喜多見 健

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決して色褪せない

 第一艦隊は混乱の只中にある。突如セイレーンから話しかけられ、おじいちゃんの姿が消えたのだから。そしてそれと同時に敵の大艦隊が現れた。

 

 ウォースパイトは努めて冷静を装いながらおじいちゃんに代わって艦隊の指揮を取る。幸いにも敵の練度はさほど高くはないが物量が多すぎる。

 

 砲身が焼け付くほど砲撃をしているが数が減る気配はない。

 

「おじいちゃんを探す前に目の前の敵を片付けるわよ!」

 

 イラストリアスとレキシントンの艦載機も空狭しと飛び回り、雷撃や爆撃を行う。前衛の3人は波しぶきを切り裂きながら敵をかく乱し、特に綾波が誘い出した敵を愛宕が仕留め、オイゲンが援護をするおじいちゃん仕込みの連携は効果的なようだ。

 

 まだまだ敵艦の数は減らない。

 

 

――  ――  ――

 

 

「思い出したよ」

 

 鏡面海域の空を飛びながらおじいちゃんは力なくつぶやく。

 

「思い出した……。■■■は……あいつは……生きてるはずはないんだ……」

 

 おじいちゃんの返答に満足したのか、セイレーンは穏やかにおじいちゃんの操る烈風を見上げている。

 

 一体セイレーンはどうしてこの光景を思い出させたかったのだろうか。そして、なぜおじいちゃんを殺さないのだろう。

 

「……以前、会わせてくれると言ったね?」

 

「えぇ。私たちについてくれば、貴方が愛した姿のお嫁さんに会わせてあげるわ」

 

 その言葉におじいちゃんは小さく息を吸い込む。

 

「断る。あいつは『死んだ』んだ」

 

「そう……」

 

 セイレーンはこころなしか残念そうに言う。一体何を考えているのだろうか。

 

「じゃあ、貴方たちの手で決着をつけることね」

 

 意味深にセイレーンは言う。おじいちゃんが操る烈風のレーダーに輝点が1つ増え、次いで6つの新たな輝点が現れた。

 

「指揮官!!」

 

 聞きなれたウォースパイトの声がおじいちゃんの鼓膜を揺らす。

 

 ウォースパイトは目の前の存在を――新しく増えた輝点の正体を見つめ、驚いたように目を見開く。そこには確かに、人間の女性がいた。

 

 艦隊一同もセイレーンともKAN-SENともことなる存在に、視線を固定しながらも動揺は隠せないようだ。とりわけ綾波ははた目から見てわかるほどに恐怖している。

 

「指揮官……報告です……奥様が……」

 

 綾波が震えた声で言うと、おじいちゃんは大きくため息を吐いた。

 

「決着をつけよう。私が命じたら、『あれ』を打て」

 

 いつもからは考えられない――今まで聞いたこともないような冷たい声色でおじいちゃんは言う。

 

「馬鹿なこと言わないで!? あなたのお嫁さんなんでしょ!?」

 

「……姿かたちは同じでも、妻はもう死んだんだよ。あれは幻影だ。そうでなくてはならない」

 

 おじいちゃんは烈風の機体をくるりとひるがえして海面に向かう。おじいちゃんも口ではそんなことを言いながら「妻」の姿を目に焼き付けようとしているのだろうか。

 

「……ああ、決めた」

妻を……

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