秘書艦の仕事は様々だ。書類の整理、事務作業、スケジュールの把握、メールや電話の対応その他諸々……。
ただし4人の秘書艦全員で取り組むほどの量ではないため、秘書艦の中でも仕事の分担を行っている。秘書艦長の名をもつウォースパイトがおじいちゃんのスケジュール管理とメール、電話などの「外交」を担当しているため、書類整理や事務作業がほかの3人の主なものである。
ただいまおじいちゃんは巡回という名の休憩中で、母校をその足で歩いて回ってはKAN-SENたちと交流したり、明石の店を冷かしているのだろう。
はかない印象の黒髪の女性、アリゾナと、全身にツギハギ模様のある真っ白いふわふわとした髪の毛のテラーが今日は事務作業担当のようだ。テラーは事務作業がまだ苦手なようで、アリゾナの指示を仰ぎながらゆっくりと、でも確実に書類を仕上げている。
アリゾナはテラーの質問に嫌な顔一つせずに丁寧に教えている。彼女は教え方が巧い。
テラーが初めて事務書類を仕上げると、アリゾナはテラーの髪をやさしく撫でてやる。テラーもまんざらでもないようで、目を細めてされるがままになっていた。
「アリゾナさんは……私が怖くないですか……?」
「怖くなんてないわ」
髪をなで続けたまま、アリゾナは答える。アリゾナの顔にも笑みが浮かんでいる。
いつも以上に平和な空気が部屋中にあふれるが、そんな平穏もあっという間に破られる。壊れんばかりの勢いでドアが開かれ、姿を現したのはおじいちゃんの艦隊の中でもぶっちぎりでやべーやつの一角、アークロイヤルであった。
「妹の尊い顔が見れる気がしたぞ!」
部屋に「飛び込んだ」アークロイヤルの姿にテラーとアリゾナは互いに抱き合っておびえている。アリゾナのそのしぐさはどこか嗜虐心を掻き立てられると考える諸兄もいるはずだ。
あわやアークロイヤルの毒牙にかかる! アークロイヤルの手がテラーに触れる寸前にアークロイヤルの背後から手が伸び、そのまま後ろ襟をつかんで背負い投げのように床にたたきつけた。もちろん顔面から落ちた。
アリゾナとテラーが何事かとみれば、飛龍がまるでヒーローのようなタイミングで悪漢を制圧していた。
「なぜだあぁぁぁ! 私はただ妹の尊い顔が見たかっただけなのにいいいい!!」
顔面から落ちたのに鼻血一つ落とさずにアークロイヤルは叫ぶ。飛龍はアークロイヤルの右足をつかむとそのままずるずると引きずり、どこかへ去っていった。大方ベルファストにでも渡すのだろう。
「あの人、ロイヤルの……」
「テラーより怖い人、です」
テラーの言葉にアリゾナはくすっと笑い、テラーもまた笑みを浮かべた。
おじいちゃんの人物像とか過去を詳しく知りたいですか?
-
知りたい
-
知りたくない