「君との婚約を破棄させてもらう!」
「私は主人公《ヒロイン》と出会って、初めて本当の愛を知ったんだ!」
「そ、そんな・・・」
翌朝。
「キャー! ひ、人が死んでる!!!」
主人公《ヒロイン》が無残な死体で発見された。あちこちに多数の傷があり、直接の死因となった大きな傷はないものの、出血多量で死んだのは明らかだった。
容疑者には全員がアリバイがあった。犯人は誰か?

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「君との婚約を破棄させてもらう!」
「私は主人公《ヒロイン》と出会って、初めて本当の愛を知ったんだ!」
「そ、そんな・・・」
翌朝。
「キャー! ひ、人が死んでる!!!」
主人公《ヒロイン》が無残な死体で発見された。あちこちに多数の傷があり、直接の死因となった大きな傷はないものの、出血多量で死んだのは明らかだった。
容疑者には全員がアリバイがあった。犯人は誰か?


婚約破棄殺人事件 - 君との婚約を破棄させてもらう!(4)

 貴族が通う学院。その卒業パーティ。

 

「君との婚約を破棄させてもらう!」

「君にあれこれ言われるのはうんざりだ。」

「私は主人公《ヒロイン》と出会って、初めて本当の愛を知ったんだ!」

「そ、そんな・・・」

 

 ざわ、ざわ、ざわ・・・

 

 突然、王子が幼いころからの婚約者、公爵(悪役)令嬢との婚約破棄を言い出した。

 あきれたものもいたが、とりあえずその場は収まり、卒業パーティは終了した。

 多くのものは、卒業後、そのまま領地に戻った。婚約者の公爵(悪役)令嬢も、悲しみのあまり、また家族に相談するために領地に戻った。

 何人かは学院の寮に残った。 平民出身で、戻る領地のない主人公《ヒロイン》も寮に残った。

 

 

 翌朝。

 

「キャー! ひ、人が死んでる!!!」

 

 女子寮で主人公(ヒロイン)が無残な死体で発見された。あちこちに多数の傷があり、直接の死因となった大きな傷はないものの、出血多量で死んだのは明らかだった。

 

 国王「貴族の御子息を預かる学院で、殺人、しかも息子(王子)の想い人となれば一大事だ。

 ワルキューレ卿、調査してくれ。この勅許(許可証)を与える。どんな高位の貴族にでも聞いて、存分に調べてくれ。」

 

「承りました。全力を尽くします。」

 

 ----

 

 まず、犯行の現場である、女子寮の周辺を調査した。季節柄、あたりは雪に覆われ、昨晩出入りしたような新しい足跡はない。犯人は女子寮にいた人物の内部犯行ではないか?

 

 

「A嬢、あなたは昨晩、どこにいましたか?」

 

「私は、この部屋にB嬢とずっと一緒にいたわ。学院の思い出を話し込んでいたの。いつの間にか一緒に寝ちゃってたけど。」

 

 

「B嬢、あなたは昨晩、どこにいましたか?」

 

「私は、友達のA嬢の部屋に行って、学院の思い出や、これからの領地の話とかをしていたわ。気が付いたら、A嬢の部屋でそのまま寝ちゃってたわ。恥ずかしい。」

 

(略)

 

「K嬢、あなたは昨晩、どこにいましたか?」

 

「わたしは、ちょっと嫌なことがあって、ずっと自分の部屋に籠(こも)っていたわ。部屋の外には出ていないわ。もし出歩いていたら、隣のJ嬢が気づくはずよ。」

 

 

「J嬢、先ほどはどうも。隣のK嬢が部屋から出たか、わかりますか?」

 

「いいえ、出てないと思うわ。ドアを開けたら音がするはずだもの。何も聞いてないわ。」

 

 

 女子寮に残っていた容疑者には、全員がアリバイがあった。外部の人間の出入りはない。犯人は誰か?

 

 

(シンキングタイム)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかりました。全員にアリバイ(不在証明)があるようですね。この中に犯人はいません。

 これは、足跡を残さぬような、隣国の凄腕の殺し屋の仕業でしょう。動機は、将来の王妃を殺して、我が国の混乱を狙ったもの。おそらくそうでしょう。」

 

 

「しかし、もう一つの真実があります。それは・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「A嬢、あなたは主人公《ヒロイン》に婚約者のH騎士を奪われ、婚約破棄され、主人公《ヒロイン》に恨みを持っていますね。」

 

「・・・・」

 

「B嬢、あなたは主人公《ヒロイン》に婚約者のI子爵を奪われ、婚約破棄され、主人公《ヒロイン》に恨みを持っていますね。」

 

「・・・・」

 

(略)

 

「K嬢、あなたは主人公《ヒロイン》に婚約者の外務卿の息子であるR卿を奪われ、婚約破棄され、主人公《ヒロイン》に恨みを持っていますね。」

 

「・・・・」

 

「ここにいる全員が、主人公《ヒロイン》に恨みがある。あなた方は、全員が共謀してアリバイを作り、全員が主人公《ヒロイン》に恨みを晴らしましたね。

 だから11も傷がある。F嬢、あなたは力がないでしょう。あなたがつけた傷では、相手は死にませんよ。」

 

「・・・・」

 

「結構。何も答えずとも結構。 あの主人公《ヒロイン》の所業を知れば、恨みに思うのも無理からぬこと。

 私としても、あのような|売女(ばいた)と、それに騙されるような王子が将来の王と王妃とあっては、この国の将来が不安だ。

 国王には、隣国の殺し屋が犯人だと報告します。いいですね?」

 

「・・・・」

 

 ----

 

「陛下。犯人がわかりました。隣国の殺し屋が、将来の王妃を殺害して、我が国の混乱を狙ったものと思われます。学園の警備を厳重にすることを進言します。」

「そうか。ご苦労だった。」

 

 ----

 

 公爵(悪役)令嬢「え、私がざまぁするんじゃないの?」




 婚約破棄の舞台となる、パーティー会場。事件が起これば、古典的推理モノである、閉ざされた館の典型に思えた。そこから犯行の動機を考えると、こういう形になった。
 トリックの元ネタは、古典的名作のアレ。なんか列車のやつ。

 登場人物の名前考えるのがめんどくさいお。もうA嬢とかエヌ氏でよくね?


追加後書き
「なぜ(4)? 間の番号は?」
「掌編(3-800字)だったので投稿できないお」


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