目が覚めたらオビ=ワンになっていたがアナキンがどこかおかしい件について(白目) 作:トロロ将軍
パドメの護衛について数日が経った。俺達はナブーの湖畔に建つ建物でアナキンの帰りを待っている。しかしこの建物はパドメの別荘なのだろうか?
「アニーは何時戻るのかしら?」
テーブルを挟んだ向かいで紅茶を飲みながらパドメが呟くのが聞こえた。この数日何とか話題を絶やさないよう努力をしていたが、35歳の俺と24歳のパドメでは共通の話題などアナキンの話しかない。しかし昨日パドメに「アニーのことをよく見ているのね」と言われたので「
そんなことがあった為少々気まずい空気が流れているが、そんな空気を救ったのが王宮からのアナキン到着の報だった。
パドメは喜んでアナキンを迎え入れる準備を始め、俺は当初の予定通りカミーノへ向かう準備を始める。アナキンに引き継ぎをしなければならないので出発は明日になるだろう。
それから数時間後にアナキンはやってきた。酷く憔悴した表情で・・・。
恐らく母親の救出に失敗してしまったのだろう。アナキンにとって母親は心の支えだった。しかしなんと声を掛けていいかがわからない。俺も日本人としての親にはもう会うことが出来ないが死別したわけではない。母親の死を目の当たりにしたアナキンに俺は無力だった。パドメが話しかけているがアナキンは無理した笑顔で痛々しく対応している。
その日の夜。
俺はアナキンと話す為アナキンの部屋の前までやってきた。何と言って元気づければいいかはまだわからないが師匠として憔悴する弟子は放ってはおけなかった。
「アナキン、私だ。入るぞ」
少し待ってアナキンから「どうぞ」と言われた私が部屋に入ると、アナキンはベッドに座った状態でこちらを見ている。部屋は間接照明しかついておらず薄暗い。
「夜遅くにすまない。もしかして寝ていたか?」
「いえ、眠ろうとしてもなかなか寝付けませんでした」
アナキンはそう言ってほほ笑むが無理をしているのがわかる。俺はベッドの傍にあった椅子に腰かけるとアナキンに向き合う。
「・・・
不意にアナキンがぽつりと呟くようにタトゥイーンでの出来事を話し始めたのを俺は黙って聞いていた。
「ジェダイになれば全てを守れると思ってた。力を持てば母を奴隷から解放できると思ってた!」
感情が高ぶったアナキンが叫ぶ。その声には悲しみと絶望が籠っていた。
「アナキン。人はどんなに力を持とうが全てを救うことなどできないんだ」
アナキンがこちらを見る。俺はゆっくりと言葉を続けた。
「アナキン。人はその手が届く範囲でしか何かを守ることが出来ないんだ。お前だけじゃない。私も、マスター・ウィンドウも、あのマスター・ヨーダだって不可能なんだ」
「じゃあジェダイになんてなるんじゃなかった!ジェダイにならなければ母を守れたかもしれない!」
「それは違うぞアナキン。お前がジェダイにならなければタスケンの被害はもっと増えていただろう。確かにお前は母親を救えなかったかもしれない。だがその他の大勢の人々の命を救ったんだ。それは誇りに思うべきだ」
「僕が救いたかったのは母だ!その他の人なんて!」
そういうとアナキンは俯いて沈黙する。彼女は優しい子だ、その他に人々の命がどうでもいいなどとても言えなかったのだろう。
「わかってるんです。でも母の死を受け入れられないんです」
そう言ったアナキンの頬を涙が濡らす。どんなに選ばれし者と言われていても彼女はまだ19歳の女の子なのだ。どうしようもない怒りをどう処理していいのか、受け入れられない現実をどう受け入れればいいのか処理が上手くできないのだろう。
「近しい者の死を受け入れるには時間が掛かると聞く。私は親の顔を知らないからこれ以上お前に何かを言うことはできないが、お前なら大丈夫だよ」
そう言ってアナキンの頭を撫でる。落ち込むアナキンを慰めるなんて何年ぶりだろうか・・・。
「・・・
アナキンが頭を撫でていた俺の手を掴みこちらを見る。瞳に溜る涙が彼女の悲しみを現している。
「
そう言ってアナキンは俺に顔を近づける。とっさの事で反応できなかった俺は彼女の唇を受け入れてしまった。
キスをされている!?
状況を把握した俺はすぐにアナキンを離す。
「私たちは師弟だぞ!?それに掟を忘れたか?」
「
俺は彼女の辛そうな表情を見て言葉に詰まる。俺の弟子になって10年の付き合いだ。正直言って彼女のこんな悲しい表情は見たくない。だからこそ元気づける為にアナキンに会いに来たのだ。しかしこの行為は行き過ぎだ。
「アナキン・・・」
「
アナキンは俺からのキスを望んでいるのかそのまま目を瞑る。しかしアナキンは俺の弟子だ。その思いが俺を止める。しかし・・・。
「
アナキンの救いを求める小さな呟きが俺を動かす。
薄暗い部屋にできた2つの影が重なり、ナブーの夜は更けていくのだった。