バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 英語

問 以下の問いに答えなさい。
『goodおよびbadの比較級と最上級をそれぞれ書きなさい』


姫路瑞希の答え
『good - better - best
bad - worse - worst』

教師のコメント
その通りです。


吉井明久の答え
『good - gooder - goodest』

教師のコメント
まともな間違え方で先生驚いています。
goodやbadの比較級と最上級は語尾に-erや-estをつけるだけではダメです。覚えておきましょう。


土屋康太の答え
『bad - butter - bust』

教師のコメント
『悪い』『乳製品』『おっぱい』


岡崎大悟の答え
『good - マジでgood - 最高にgood
bad - 酷くbad - 最低でbad』

教師のコメント
英語の問題に日本語で答えるとは斬新ですね。



第十問 対Bクラス ~作戦~

―――side大悟

 

 

「‥‥‥」

 

 

俺達はBクラスからの使者と名乗る生徒に、協定を結ぶ為の空き教室へと案内されている。俺とムッツリーニは代表である雄二の護衛だ。

今現在、Fクラスの戦況は芳しくない。前線部隊の奴らは戦争開始から僅かな時間で何人も補習室送りになっている。流石にBクラスというだけあって点数の差が圧倒的。Dクラス時よりも苦戦を強いられていて、いくら姫路や島田が頑張ってくれてるとは言えども多勢に無勢。やがては点数を失い戦死するのも時間の問題だ。だからこの協定は今の俺達にとっては好都合といえる。

だが‥‥‥なんかどうにも怪しいな。協定を結ぶなら別にFクラスの教室でもいいだろうに。何故わざわざ空き教室なんだ?

 

(‥‥‥大悟、ちょっといいか)

 

すると、Bクラスの使者に気付かれないような声のトーンで雄二に話しかけられた。

 

(なんだ?)

(頼みがある。タイミングを見計らって、Fクラスの教室まで残ってほしい)

(‥‥‥お前も怪しいと思うか)

(ああ。相手の代表はあの根本恭二だ。念には念を入れた方がいい)

(‥‥‥分かった)

 

俺は小さく頷いた。そして俺は使者の生徒に声をかける。

 

「‥‥‥なぁ、アンタちょっといいか?」

「あ? なんだ?」

「これを開いてみろ」

「‥‥‥?」

 

俺は上着の胸ポケットから一枚の紙を取り出してそいつに渡す。若干怪しみながらも、そいつは折り畳まれた紙を開いて中を見る。

その中身は、さっき明久に見せた物と同じ、全裸の船越先生のエロイラストだ。

 

 

「ギャァァアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

Bクラスの使者は見た途端に叫び声をあげ、そのまま近くの男子トイレへと駆け込んでしまった。顔が青ざめていたから恐らく吐き気に襲われたのだろう。けどこれで戻るタイミングは出来た。

 

「よし、じゃあ俺は戻る。後は任せたぜ」

「おう、けど大悟。お前こんなのよく描けたな‥‥‥」

「‥‥‥流石にキツい」

「ああ‥‥‥俺も描いてる途中で何度か吐きかけたよ‥‥‥今思うとなんでこんなもん描いたんだろうな‥‥‥」

 

 

そう言って俺はFクラスに向かった。もうあんなの二度と描かない、無理。

 

 

 

ーーー

 

 

 

ガラガラッ

 

 

「だ、誰だ!?」

 

教室に戻り、扉を開けるとそこには数人の生徒達がいた。知らない顔だから多分Bクラスだろう。

そしてその連中は、俺達の卓袱台や筆記用具を酷く荒らしまくっていた。穴だらけになった卓袱台や折られたシャーペンなどが足元に転がっている。

 

「ほほう‥‥‥成る程な。協定を結ぶってのは建前で、本当は俺達を教室から遠ざける事が狙いか。そしてその間に俺達の教室を荒らして、補給試験もまともに受けられなくする。実に根本らしい陰湿なやり方だな」

 

「オイ!コイツ、例の男だ! あの岡崎大悟!」

「なんでだ!? コイツは協定の為に井村が連れて行ったんじゃないのかよ!?」

「話がちげぇじゃねえか! アイツ何やってんだよ!」

 

狼狽えるBクラス生徒達。残念だったな、井村は今絶賛ゲロってる最中だ。

 

「チッ! だったら、ここで岡崎大悟を仕留めるぞ!」

「そうだな! 幸いこっちには人数がいる! 袋叩きにしてやれ!」

 

 

『試獣召喚《サモン》っ!!!』

 

 

Bクラス生徒達の足元に幾何学模様が出現。そこから現れた召喚獣は皆強そうな武器を携え、俺を逃がさないよう取り囲む。

そして科目は‥‥‥世界史か。

 

「コイツを倒せば、あとは厄介なのは姫路瑞希だけだ! 必ず補習室送りにするぞ!」

『了解!』

 

「‥‥‥はっ、面白ぇ。試獣召喚《サモン》っ!!」

 

 

 

 

 

Fクラス 岡崎大悟      501点

 

 世界史 VS

 

Bクラス 芳野孝之      195点

     &

     加賀谷寛      179点

     &

     田中玲       207点

     &

     井川健吾      210点

     &

     鈴木二郎      180点

     &

     小野明       199点

 

 

 

 

 

召喚獣の頭上に、それぞれの点数が表示される。

 

「はぁあ!? 501点だとぉ!?」

「あんなの担当教師レベルじゃねえか!」

「どうしてこんな奴がFクラスにいるんだ!?」

「馬鹿め! Fクラスだと侮ったな! 俺に世界史で挑んだのが貴様らの運の尽きなのだよ!」

「クソッ! キモオタのくせして!」

 

キモオタとか言うな! まあいい。今回俺は500点以上を取ったから腕輪も装備してる。まだ初めてだからどんな能力かは分からんけど、使ってみれば分かること!

 

 

「いくぞ雑魚共! 精々俺を楽しませられるような戦いをしてみせろよな!!」

 

 

そして、戦いは始まった。

 

 

「能力‥‥‥発動っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

     

    

Fクラス 岡崎大悟      40点

 

 世界史 VS

 

Bクラス 芳野孝之      DEAD

     &

     加賀谷寛      DEAD

     &

     田中玲       DEAD

     &

     井川健吾      DEAD

     &

     鈴木二郎      DEAD

     &

     小野明       DEAD

 

 

ものの数分で、決着はついた。

 

「0点になった戦死者は補習ぅぅぅーー!!!」

「クソォー!! 勝てるわけねぇだろぉーー!!」

「化け物にも程があるぅーー!!」

「あんなのアリかよぉーー!!」

「「「イヤだぁぁぁぁーー!!」」」

 

Bクラスの生徒達は戦死になったことで、鉄人に連れていかれた。ひとまず戦いが終わり、俺はその場に座り込む。

 

「だぁぁ‥‥‥まさか俺の腕輪にあんな特殊能力があったとは‥‥‥だが、その代わりに大幅に点数が減っちまってるな‥‥‥しかもフィードバックまで付くとは‥‥‥」

 

俺の腕輪の能力、確かにこれはかなり強いが代償が大きい。現に今の俺は大幅な点数ダウンととてつもない疲労感に襲われている。これも明久の様なフィードバック機能の一種なのだろうか。だがどちらにしてもこの能力は諸刃の剣だ。一戦に一回きりしか使えないと考えた方がいい。

 

「そうだ! 俺のお宝物達はっ!?」

 

俺は急いで飛び上がり、自分の持ち物の様子を確認する。卓袱台は使い物にならないほどこわされているが、幸運にも鞄の中身の物は全て無事だった。

 

「あっぶねぇー、もし傷でも付いてたら発狂ものだったぜ。ごめんよめるたん! そして俺の宝達! 危険な目に合わせてしまったね! でも大丈夫! 絶対に俺が必ず君達を守るから!」

 

俺がホッとしていると、秀吉達が教室に戻ってきた。

 

「大悟! 今の鉄人に連れていかれた人達は‥‥‥」

「ああ、Bクラスの奴らだ。多分根本の指示で来たんだろう」

「てことは、大悟。一人でBクラス生徒を複数人相手にしてたの!?」

「運よく向こうが得意科目を選んでくれたからな。ただこっちも深手を負っちまった。また補給試験を受けねぇとな‥‥‥」

「さ、流石大悟‥‥‥」

「しかし、まさかこうくるとはのう‥‥‥」

 

秀吉がFクラスの惨状を見て言葉を漏らす。

 

「すまん、俺が来たときには既にこの状態だった」

「いや、大悟のせいじゃないよ。けど酷いね。これじゃ補給がままならない」

「うむ。地味じゃが、点数に影響の出る嫌がらせじゃな」

 

俺がそうだな、と返すと、雄二達が教室に戻ってきた。

俺は雄二にあった事を全て説明すると、「やっぱりそうだったか」と納得した。

 

「だが、修復に時間はかかるが、作戦に大きな支障はない。ひとまず大悟は使えそうな卓袱台で消費した科目の回復試験を受けてくれ。」

「分かった」

「雄二、なんで大悟を一人にしたの? 大悟は社会科目以外じゃ負け確実なのに」

「Bクラスは文系が主力だからな。だからここにもその担当教師を連れてくるだろうと踏んで、文系が得意な大悟に任せたんだ」

「え? 大悟って文系科目全部出来るの?」

 

明久の問にああ、と頷く。といっても現国は小論文とか読解とかだけだ。古典も社会科目並にに出来るわけじゃない。精々Bクラスレベルだからな。

 

「なら、その間雄二達は何処に行ってたの?」

「協定を結びたいという申し出があってな。調印の為に少し教室を空にしていたんだ。」

 

どうやら本当に協定を結んだらしい。話によるとその内容は二つ。

 

 

・四時までに決着がつかない場合は、戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越し。

・その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止する。

 

 

「でも、体力勝負に持ち込んだ方がウチとしては有利なんじゃないの?」

「姫路以外は、な」

「あ、そっか」

 

姫路はウチの主戦力だが、俺達と違って体がそれほど強くない。点数的にも体力的にも連戦はさせられないのだろう。

 

「あいつ等を教室に押し込んだら今日の戦闘は終了になるだろう。そうすると、作戦の本番は明日ということになる」

「だから協定を受けたのか。姫路が万全の状態で勝負出来るように」

「そういうことだ。この協定は俺達にとってかなり都合が良い」

 

そう言う雄二。だが妙だ。何故わざわざ俺らに対等な条件の協定を提案したんだ?Bクラスの実力なら姫路の対策さえすれば真っ正面から叩き潰せるだろうに。

あの根本が俺達の事を考えての協定? そんな善意、アレにあるとは思えない。

 

「明久。取り敢えず儂らは前線に戻るぞい」

「分かった。雄二、あとよろしく」

「おう。シャープや消しゴムの手配をしておこう」

「俺にはめるたんの限定シャープペンシルを頼むぞ」

「自分で買えキモオタ」

 

そして、明久達は戦場へと戻っていった。俺も適当な卓袱台を探して消費した世界史の試験を受け直す。

まだ戦いは始まったばかりだ。それにようやく疲労感も少し良くなった。休戦時間まで油断禁物、気合いを入れ直すとしよう。

Bクラスめ‥‥‥俺のめるたんに手ぇ出そうとした罪は、しっかりと償ってもらう。

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁ‥‥‥‥‥っ!!」

 

 

 

 

回復試験中、何かを殴るような音と明久の悲鳴が聞こえたがスルーした。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「‥‥‥ここはどこ?」

「あ、気がつきましたか?」

「ようやく目ぇ覚めたか。ここは教室だ」

「姫路さん‥‥‥大悟‥‥‥」

「心配しましたよ? 吉井君ってば、まるで誰かに散々殴られた後に頭から廊下に叩きつれられたような怪我をして倒れているんですから」 

「さっき島田が滅茶苦茶不機嫌そうに帰ってきたんだが‥‥‥お前、アイツにリンチでもされたのか?」

 

回復試験を一通り終えてのんびりしていると、鬼のような顔をした島田と共に、ボロボロで死にかけの明久がクラスメートに担がれて帰ってきた。

おそらく明久が島田に対して何かやらかしたのだろう。あと島田の明久の呼び方が『アキ』に変わってたな。

 

「ちょっと色々あってね。それより試召戦争はどうなったの?」

 

畳から身体を起こしてそう明久は言う。

 

「今は協定通り休戦中じゃ。続きは明日になる」

「戦況は?」

「一応計画通り教室前に攻め込んだ。もっとも、こちらの被害も少なくはないがな」

 

雄二がこちらの被害を書いたメモを読み上げる。予想してたとはいえ、Fクラスの大半の戦力をぶつけ、廊下での戦いは圧勝に見えても、全体的にはあまり芳しくない結果といえる。やはりBクラスの壁は厚いな。一筋縄じゃいかなそうだ。 

 

「ハプニングはあったけど、今のところ順調ってわけだね」

「まぁな」

 

すると、教室に戻ってきたムッツリーニが雄二の側に来た。

 

「‥‥‥‥‥(トントン)」

「お、ムッツリーニか。何か変わったことはあったか?」

「‥‥‥‥‥Cクラスの様子が気になる」

「ん? Cクラスだと?」

 

今日のムッツリーニは情報係として戦いには参加せず、相手の動きを逃さずチェックし、Bクラスを含めた他の周囲を警戒していた。

 

「‥‥‥‥‥恐らく、試召戦争の用意をしていると思われる」

「まさか、漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな」

「戦いに勝った方にすぐさま仕掛けようって腹か。確かに戦争直後で弱ってる状態なら簡単に勝てるだろうからな」

「雄二、どうするの?」

 

時計を見ると時刻はまだ四時半、そこまで遅い時間じゃない。

 

「Cクラスと協定でも結ぶか。Dクラスを使って攻め込ませるぞ、とか言って脅しておけば俺達に攻め込む気も無くなるだろ」

「それに、向こうも僕らが勝つとは思ってもないだろうしね」

「よし。それじゃ今から行ってくるか。大悟、お前も来い」

「なんで俺まで?」

「脅すわけじゃないが、お前のその厳つい見た目なら黙ってるだけでも威圧感があるからな。一緒にいてもらった方が、事が有利に運ぶ確率が上がる」

「しゃあねぇな。分かったよ」

 

俺はそう言って立ち上がる。うん、もう疲労感は完全に無くなったようだ。

 

「秀吉は念の為ここに残ってくれ」

「ん? なんじゃ? 儂は行かなくて良いのか?」

「お前の顔を見せると、万が一の場合にやろうとしている作戦に支障があるんでな」

「よく分からんが、雄二がそう言うのであれば従おう」

 

ん? 秀吉の顔がCクラスとどう関係があるんだ? 

 

「じゃ、行こうか。早くしないとCクラスの人達も帰っちゃうだろうしね」

 

こうして、秀吉を除いた俺、雄二、明久、ムッツリーニというメンバーでCクラスへと向かった。姫路は少し疲れているみたいだったので秀吉と一緒に残らせる事にした。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

―――side明久

 

 

「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」

 

教室の扉を開くなり、雄二がそこにいる全員に告げる。

Cクラスの教室にはまだかなりの人数が残っていた。ムッツリーニの情報通り漁夫の利を狙って試召戦争の準備をしているのだろう。

 

「私だけど、何か用かしら?」

 

そう言って僕らの前に出てきたのは、黒髪のベリーショートの女子生徒。確か小山さんだったかな? バレー部で結構活躍している人だったと思う。

すると、隣にいた大悟が僕でも分かるぐらい嫌そうな顔をしていた。

 

「げっ‥‥‥代表って、コイツかよ‥‥‥」

「なっ! アンタ‥‥‥岡崎‥‥‥!」

 

小山さんも大悟を見るなり顔を歪めた。

 

「えっ? 大悟、知ってるの?」

「あぁ、一応な。だがまさかCクラス代表があの時のヒステリー女だったとはな」

「なっ!? 誰がヒステリー女よ! アンタみたいなキモいオタクに言われたくないわ!」

 

いきなり互いを罵倒してバチバチと火花を散らす大悟と小山さん。大悟の事をオタクって呼んでたから多分そこまで知らない間柄ではないんだろうけど、明らかに仲は良くない。何か二人の間に因縁でもあるのだろうか?

 

「よせ、大悟。俺達は喧嘩しに来たんじゃない。Fクラス代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」

「クラス間交渉? ふぅん‥‥‥」

 

雄二の言葉を聞いてなんだかいやらしい笑みを浮かべている小山さん。あまり女子の悪口は言いたくないけど、小山さんは優しく穏やかな性格とはかけ離れているようだ。

 

「ああ。不可侵条約を結びたい」

「不可侵条約ねぇ‥‥‥。どうしようかしらね、根本クン?」

 

 

え? 根本?

 

 

「当然却下。だって、必要ないだろ?」

 

 

そう言って小山さんの奥から取り巻きを連れて現れたのは、短く刈り揃えられた黒髪にどこか陰湿さの感じる目つきの男。

僕達の敵であるBクラス代表の根本恭二だった。

 

「なっ!? 根本君! Bクラスの君がどうしてこんなところに!」

「酷いじゃないかFクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」

「な、何を言ってーー」

「先に協定破ったのはソッチだからな? これはお互い様、だよな!」

 

根本君が告げると同時に取り巻きが動き出す。そしてその背後には先ほどまで戦場にいた、数学の長谷川先生の姿が隠されていた。

 

「待ってくれ! 僕達は協定違反なんてしていない! これはCクラスとFクラスのーー」

「無駄だ明久! 根本は条文の『試召戦争に関する一切の行為』を盾にしらを切るに決まってる!」

「ま、そゆこと♪」

「へ理屈だ!」

「へ理屈も立派な理屈の内ってな」

 

マズい。僕らじゃBクラス相手で勝負になるわけないし、頼みの綱の姫路さんも今は教室だ。いや、姫路さんがいたとしても彼女は点数を消費している。きっと根本君はそれを知っていてわざと長谷川先生を呼んだのだろう。

汚いやり方だけど、効果的だ。

 

 

(‥‥‥おい、明久、雄二)

 

 

すると、僕と雄二にだけ聞こえる様に大悟が耳打ちしてきた。

 

(ここは俺に任せろ。確実にこの場から全員を逃がしてやる)

(えっ? でも、大悟は数学が出来ないじゃないか!)

(馬鹿、正攻法のわけないだろ。こっちには秘密兵器がある。もう使うつもりはなかったが、向こうがそういうやり方ならこっちも手段は選んでられねえ)

(‥‥‥本当に出来るのか、大悟?)

 

やけに自信満々の表情で頷く大悟。けれどこんな状況で、コイツは冗談や空威張りをするような男ではないことを知っている。何をするつもりかは知らないけど、今は大悟を信じてみよう。

 

(‥‥‥分かった。お前に任せるぞ)

(僕も、頼んだよ。大悟)

(ああ。見てな、コイツらに岡崎大悟という人間の真骨頂を見せてやる)

 

そして、僕は再び目の前に意識を向け直した。

 

「よし! このまま坂本を討ち取れ!」

 

目の前で根本君がそう指示し、一斉に取り巻き達が動き出した。

 

 

「長谷川先生! Bクラス芳野が召喚をーー」

「ちょっと待ったぁぁあああ!!!」

 

 

大悟が急に声を上げて芳野さんの宣言をカットした。それにより全員の視線が大悟に集中する。

 

 

「お前らに俺からのプレゼントだ! ありがたく受け取りやがれぇぇええええええ!!!!」 

 

バサァッ! バサバサバサ‥‥‥

 

 

大悟は制服の懐から紙束を取り出したかと思うと、それをいきなり空中に向かってぶちまけた。よく見るとそれは白紙じゃなくてイラストが描かれていた。

 

「‥‥‥っ!? 大悟! まさかあれ!」

 

僕はその時、それが一体何なのかを理解した。

 

「な、なんだこりゃあ‥‥‥紙?」

「こんなモンがなんだってんだよ?」

「? なんか描いてあるな‥‥?」

 

ピラッ

 

 

ーーそう、それらは昼間に僕が見せられた、船越先生そっくりの熟女の全裸イラスト(M字開脚)だったのだ。

 

 

 

 

 

『『『ギャアァァァァアアアアアアアアア!!!!!!』』』

 

 

 

 

 

その瞬間、クラス関係なくそこら中から悲鳴が響き渡った。

 

「ギャアァァァァアア気持ち悪ぃぃぃいいい!!!!」

「目がぁぁ!! 目が腐るぅぅぅうううう!!!」

「いやぁぁ!! やめてぇぇぇえ! こっちに見せないでぇぇええ!!!」

「ママァーー!! 怖いよぉぉぉおおお!!」

 

瞬く間にパニックに陥る生徒達。何が起きたのか分かっていない長谷川先生。当然根本君も取り巻き達も一気にダウン寸前まで追い込まれる。どうやらこれが大悟の策みたいだ。

 

「お、お前ら!? 一体何を見てーーぎゃぁあああーっ!」

「も、もう無理‥‥‥おろろろろろろ」

「助けてくれぇ! それが駄目なら殺してくれぇぇぇ!!」

 

最早吐き出す者まで現れ、収拾のつかないカオスともいえるべき状況。一度見た僕でさえもキツいのに、恐らく彼らは当分船越先生が夢に出てきて激しくうなされることであろう。

 

「よし! 今のうちに逃げるぞ!」

「ま、待ておかざーーぎゃぁあああーっ!」

 

そして、僕達はなんとかCクラスから脱出することが出来た。背後からはちょっと酸っぱい匂いがしたけど。

 

 

ーーー

 

 

Fクラスに戻ってきた僕達は、秀吉達にCクラスであったことを話し、その場に残る全員と今後について考えていた。

 

「さて、こうなった以上、Cクラスも敵だ。同盟戦がない以上は連戦という形になるだろうが、正直Bクラス戦の直後にCクラス戦はキツい」

 

向こうもそれが狙いなのだから、僕らが勝ったとしたら間違いなく息つく暇を与えずに攻め込んでくるだろう。

 

「それならどうしようか? このままじゃ勝ってもCクラスの餌食だよ?」

「そうじゃな。こちらに姫路がいるとはいえ、勝てる見込みは限りなく低いじゃろうな‥‥‥」

 

僕らが頭を悩ましていると、雄二が野性味たっぷりの活き活きとした顔で告げる。

 

「心配するな。向こうがそう来るなら、こっちにだって考えがある」

「考え?」

「ああ。明日の朝に実行する。さっき大悟がやってくれたように、目には目を、だ」

 

この日はそれで解散となり、続きは翌日へと持ち越しになった。

ちなみに大悟は猥褻なイラストをばらまいたことで長谷川先生によって通報された後に補習室送りになった。

 

 

 

 

 




今回あんまりボケが少ない気がする‥‥‥

次回あたりでBクラス戦終わるかな?

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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