バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 

問 以下の問いに答えなさい。
『家計の消費支出の中で、食費が占める割合をなんと呼ぶでしょう』


姫路瑞希の答え
『エンゲル係数』

教師のコメント
正解です。さすがですね。姫路さん。
一般に、エンゲル係数が高いほど生活水準は低いとされています。


岡崎大悟の答え
『食費割合』

教師のコメント
なんとなくそれっぽい言葉にしたのでしょうが、間違いです。


吉井明久の答え
『今週は塩と水だけです!』

教師のコメント
食費の内訳は聞いていません。



第十四問 対Aクラス戦 ~前編~

―――side明久

 

交渉を終え、約束の十時前になり、いよいよ待ちに待ったAクラス戦がやって来た。

戦いの舞台は勿論Aクラス。置いてあったシステムデスクや高級ソファー等は場所を確保するために移動させてある。そして巨大スクリーンには、それぞれの出場生徒の名前が表示されていた。

僕達Fクラスからは、僕、雄二、姫路さん、美波、大悟、秀吉、ムッツリーニの七人が代表として戦う。

そして、他にも試合を見届けるためにAクラスとFクラスの生徒全員が教室内に集まっており、それぞれ敵クラスに敵意のこもった視線を向けていた。

まさしく一触即発。僕も思わず緊張してしまう。

 

「おーおー。いい雰囲気になってきたじゃねえか」

 

大悟が笑いながらそう言う。けど少し気になる点が一つだけあった。

 

「‥‥‥大悟。いつまで君はそんなもの食べてるつもりなんだい?」

「あ? しょうがねぇだろ。食い物粗末にするわけにもいかねぇし、もう! なんでシークレットが出ねぇんだよ!」

 

そう言って大悟は持っていたものを口に運ぶ。

さっきからコイツはずっとAクラスから持ち帰ってきたウエハースチョコを食べていた。クラスの皆にも分けてたし‥‥‥どれだけ持ち帰ってきたんだろうか。

 

「お前も食うか?」

「うん、ありがとう」

 

大悟からウエハースを一つもらい、口に入れた。あ、結構美味しいな。

 

「お前ら、いよいよだ。気合い入ってんだろうな?」

「うん。大丈夫だよ」

「当然だ。俺を誰だと思ってーーーあ! シークレットやっと出たぁぁああ!! ひやっほぉぉおおおーーめるたんきゃぁわいいぃぃぃいい!!!」

「‥‥‥大丈夫そうだな」

 

そして約束の十時になり、遂に開戦となった。

 

「では、両者共準備は良いですか?」

 

今日の立会人はここ数日の戦争で何度もお世話になっている、Aクラス担任かつ学年主任の高橋先生だ。知的な眼鏡とタイトスカートから伸びる脚がとても綺麗だ。

 

(‥‥‥なぁ明久。高橋先生のキャラってさ。表ではああやってびしっとデキる女を決めてても、裏では結構チェリー狩りとかしてるのがセオリーなんだぜ。『さあ、貴方には私が直々に特別講義をしてあ・げ・る』みたいにな)

 

早口で何を言ってるんだこのキモオタは。

 

「ああ」

「‥‥‥問題ない」

 

雄二と霧島さんが向き合う。ついに始まるんだ。

 

「それでは一人目の方、どうぞ」

「分かりました。僕から行きます」

 

向こうからは栗本雷太君。

 

「それじゃあ、行ってくるね」

「頼んだぞ、島田」

 

対するこちらは美波。最初だからここで勝ってスタートダッシュを決めたいところだけど‥‥‥どうかな。

 

「科目は何にしますか?」

「数学でお願いします」

 

美波の唯一といって言い得意科目が選択された。最初の選択権は僕達だから雄二は敢えて美波を先鋒に置いたんだろう。

 

「早くして欲しいわね。どうせ勝負にならないんだから」

 

後ろで秀吉の姉、木下優子さんがそう挑発するような言葉を発した。まぁ、向こうからしたら当たり前の考えだからそう思うのも無理はないよね。

 

「ふん! Fクラスだからって舐めないでよね!」

 

そう言い返す美波。

 

「では、召喚を開始してください」

「分かりました。試獣召喚《サモン》!」

「試獣召喚《サモン》!」

 

そして、二人の足元に見慣れた幾何学的な魔方陣が出現し、それぞれの召喚獣が呼び出された。

けど、向こうの召喚獣は明らかに島田さんのより強そうな見た目をしてる。

 

「数学に関しては、ウチはBクラス並の学力があるんだから!」

 

そう自信満々に言う美波。そう、彼女はドイツ育ちだから古典や日本史といった文系科目が出来ないかわりに、数学ならFクラスで姫路さんに次ぐ実力の持ち主。

だから、彼女の言葉に嘘偽りはない。けどーーー

 

 

 

 

 

 

Fクラス 島田美波  182点    

 

  数学 VS

 

Aクラス 栗本雷太  377点

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

美波の召喚獣は、あっさりと相手の召喚獣に真っ二つにされた。

そりゃそうだよね。美波はBクラスレベルでも、相手はAクラスレベルなんだから。

 

「一回戦、勝者はAクラスです」

 

「「「うおぉおーーーっ!!」」」

 

高橋先生が淡々と告げると同時に、壁一面の大きなディスプレイに結果が表示された。それを見てAクラスの皆が勝利の声を上げた。

 

「‥‥‥まあ、なんとなくだろうなとは思ってた」

 

隣で大悟が静かにそう告げた。僕もそう思う。

 

「‥‥‥ごめん、負けちゃった」

 

そしてしょんぼりしながら自分達の場所へと戻ってくる美波。確かに最初に相手に勝利を与えてしまったのはこちらとしては痛い結果だけどまだ負けたわけじゃないし、ここは僕が彼女に労いの言葉をかけてあげよう。

 

「仕方ないよ。Bクラス並じゃ、Aクラスに勝てないことも分からないくらいの程度しか頭がぁぁああ!! 死ぬ!! 死ぬぅぅうう!!」

 

な、なんでだ! どうして僕は美波に頭を握り潰されそうになってるんだ!? 励まそうとしただけなのにぃぃいいい!!!?

 

「み、見え‥‥‥見えそうで‥‥‥(パシャパシャ)」

「ほぉ‥‥‥右手の握力だけで一般男子を持ち上げるとは‥‥‥大したものですねぇ」

「ム、ムッツリーニ! 大悟! 二人とも普通に見てないで美波を止めてぇぇえええ!!僕の頭蓋骨がミシミシってなってるからぁぁあああ!!!」

 

 

 

ーーー

 

 

 

「では、二回戦を始めます」

 

やっと美波から解放された所で、高橋先生がそう宣言した。うう‥‥‥まだ美波の手の感触が残ってる。

 

「私が行きます。科目は現代国語でいきます」

 

向こうからは森兵恵さん。対するこちらは、

 

「儂の出番じゃな」

 

Fクラスの美少女こと、木下秀吉だ。

 

「それでは、始めて下さい」

「あ、高橋先生。ちょっといいですか?」

 

二回戦が始まる、という所で突然木下さんが待ったをかけた。

 

「ねぇ秀吉。一つ聞いても良いかしら?」

「なんじゃ? 姉上」

「Cクラスの小山さんって知ってる?」

 

ん? なんかマズいことが起きている気がする。だって隣にいる大悟が『あ、やべっ』て顔してるし。

 

「はて、誰じゃ?」

「じゃーいいや。その代わり、ちょっとこっちに来てくれる?」

「うん? 儂を廊下に連れ出してどうするんじゃ姉上?」

 

木下さんはニコニコと笑顔を崩さぬまま、秀吉を廊下まで連れ出してしまう。小山さんって確か、秀吉が木下さんのフリをして罵倒しまくった相手だったような‥‥‥。

 

 

 

 

『姉上、勝負はーーどうして儂の腕を掴む?』

『アンタ、Cクラスで何してくれたのかしら? どうしてアタシがCクラスの人達を豚呼ばわりしていることになっているのかなぁ?』

『はっはっは。それはじゃな、大悟の考えた台詞をもとに姉上の本性を儂なりに推測してーーあ、姉上っ! ちがっ‥‥‥! その関節はそっちには曲がらなっ‥‥‥!』

『戦争に犠牲はつきものなんだから仕方ないよね?』

 

 

 

 

 

 

ガラガラガラ

 

戻ってきた木下さん。けど何故か頬には誰かの返り血らしきものが付着していた。

 

「秀吉は急用ができたから帰るってさっ。代わりの人を出してくれる?」

「い、いや‥‥‥。ウチの不戦敗で良い‥‥‥」

 

にこやかに笑いかけながらハンカチで返り血を拭う木下さん。さすがの雄二も何も言えないみたいだ。

 

「そうですか。それではAクラスの二勝目、と」

 

 

 

 

Aクラス 森兵恵  WIN

 

生命活動 VS

 

Fクラス 木下秀吉 DEAD

 

 

 

 

いやいや、まだ生きてますよ‥‥‥多分。

 

「‥‥‥さらば秀吉。せめて安らかに眠ってくれ‥‥‥」

『悲しみの~、向こうへと~、辿り~つけるな~ら~♪』

 

隣では、大悟が凄く哀愁漂う表情をしながら手を合わせ、合掌のポーズを取っていた。やめてよ。その曲流すと余計不安になるじゃないか。

 

「では、次の方どうぞ」

「私が出ます。科目は物理でお願いします」

 

Aクラスからは佐藤美穂さん。Fクラスからは、

 

「よし。頼んだぞ、明久」

「え!? 僕!?」

 

どうしよう! クラスを代表して勝負なんて! ここで僕が負けたら後がないのに!

 

「大丈夫だ。俺はお前を信じている」

 

自信たっぷりの雄二の言葉。

 

「明久。テメェの強さは俺が一番良く知ってる。だから自分を信じて行ってこい」

 

大悟も僕に激励の言葉をかけてくれる。

そうか。雄二も大悟も‥‥‥つまり、そういう事だろ?

 

「ふぅ‥‥‥やれやれ、僕に本気を出せってこと?」

「ああ。もう隠さなくてもいいだろう。この場にいる全員に、お前の本気を見せてやれ」

「能ある鷹は爪を隠す‥‥‥それがお前だろ? 明久」

 

『おい、吉井って実は凄いヤツなのか?』

『いや、そんな話は聞いたことないが』

『いつものジョークだろ?』

 

味方であるはずのFクラスの皆の声。

ま、仕方ないか。今までの僕を見ていたら普通そう思うよね。でも、

 

「吉井君、でしたか? あなた、まさか‥‥‥」

 

対戦相手の佐藤さんが僕を見て何かに気付いたかのように戦く。へぇ、良い観察眼をしているなぁ。

 

「あれ、気付いた? ご名答。今までの僕は全然本気なんて出しちゃあいない」

 

戦闘の為に袖をまくり、手首を振る。軽い準備体操だ。

 

「それじゃ、あなたは‥‥‥!」

「そうさ。君の想像通りだよ。今まで隠してきたけれど、実は僕ーーー」

 

 

 

 

 

 

「ーーー左利きなんだ」

 

 

 

 

 

Aクラス 佐藤美穂  389点

 

  物理 VS

 

Fクラス 吉井明久  62点

 

 

 

「勝者、Aクラス佐藤美穂!」

 

おかしい。本気を出したのに負けるなんて。

 

「このバカ! テストの点数に利き腕は関係ないでしょうが!」

「み、美波! フィードバックで痛んでるのに、更に殴るのは勘弁して!」

 

やっぱり六倍以上の点数を相手に慣れだけで勝てるわけないよね。

 

「よし。勝負はここからだ」

「そうだな。まさに背水の陣。だが主人公はピンチの時にこそ真価を発揮する!」

「ちょっと待った雄二、大悟! 貴様等僕を全然信頼してなかったでしょう!」

 

 

 

「「信頼? 何ソレ? 食えんの?」」

 

 

 

本気を出した左手で殴りたい。

 

 

 

ーーー

 

 

―――side大悟

 

 

「では、四人目の方どうぞ」

「‥‥‥‥‥(スック)」

 

ムッツリーニが立ち上がった。ここで科目選択権が始めて活きてくる。

何故なら我が同志、ムッツリーニは総合科目の点数のうち、実に80%を保健体育で獲得する野郎。社会科目で勝負する俺と同じようなもので、単発勝負に関してならAクラスと互角以上の実力の持ち主だ。 

 

「じゃ、ボクが行こうかな」

 

Aクラスからは色の薄い髪をショートカットにした、ボーイッシュな女の子が出てきた。誰だ? 見たことねぇ。

 

「一年の終わりに転入してきた工藤愛子です。よろしくね」

 

ほう、俺と同じ転校生か。身体の凹凸も少なくてぱっと見美少年みてぇだな。

 

「教科は何にしますか?」

「‥‥‥‥‥保健体育」

 

同志にとって唯一の武器である保健体育が選択される。

 

「土屋君だっけ? 随分と保健体育が得意なんだってね?」

 

なんだ? 転校生だからなのかムッツリーニのことをあまりよく知らない態度を見せる。それに随分と余裕に見えるな。

 

「でも、ボクだってかなり得意なんだよ? ‥‥‥それもキミと違って、実技で、ね♪」

「‥‥‥‥‥実技。っ、っ、っ‥‥‥‥‥!?(ブシャァァアッ!!)

「ムッツリィーニーッ!?」

「同志ぃぃいいー!?」

 

な、なんてヤツだ! 妄想力なら俺に負けず劣らずのムッツリーニにそんな意味深な発言をするなんて! そんなもんに同志が冷静でいられるわけがないだろう! はっ!? まさかこれがヤツの狙いなのか! おのれ! 可愛い顔して、なんて出来る女よ‥‥‥っ! 

 

「よくもムッツリーニに! なんて酷いことをするんだ! 卑怯だぞ!」

「あはは♪ なら君が選手交代する? でも勉強苦手そうだね。保健体育でよかったら、ボクが教えてあげるよ。それももちろん、実技で、ね♪」

「ブハァッ!?」

「明久ァァ!!」

 

くっ! ムッツリーニに続いて明久まで彼女の毒牙に‥‥‥っ!

 

「フッ。工藤さんだったね? 僕は望むところーー」

「アキには永遠にそんな機会なんて来ないから、保健体育の勉強なんて要らないのよ!」

「そうです! 永遠に必要ありません!」

「‥‥‥‥‥」

 

姫路、島田。お前らは善意で言ってるかも知れねぇけど、明久が死ぬほど哀しそうな顔をして泣いてるのに気づいてやれ。

そう思っていると、突然工藤が俺の方を向いた。

 

「君が噂の兄貴って呼ばれてる岡崎大悟君だね? なんでも二次元が凄く大好きなんだって。けど、ボクは三次元にも少し興味を持った方がいいと思うんだ‥‥‥だから、一緒に保健体育の勉強をしない? もちろん、実技で、ね♪」

「何だと‥‥‥?」

 

からかうように工藤が俺にそう言う。ほほぅ‥‥‥二次元を愛する俺にそんな真似をするとは面白い。しかもコイツ、よく見てみると『彼女』にそっくりじゃあないか。これはまたとない好機!!

そう思い、俺は工藤のもとへ歩み寄った。

 

「いいだろう。工藤愛子といったな。お前のそのご厚意に最大限の感謝の意を評そうじゃねえか。オイ! あれ持ってこいや!」

「はい! 兄貴!」

 

俺はそうFクラスに指示を出す。ざわざわとなるAクラスのヤツら。そしてクラスメートの一人が俺のもとまで走ってくる。その腕の中には俺の鞄が抱き抱えられていた。

 

「兄貴、どうぞ」

「ご苦労」

 

そう言って俺は鞄を受け取る。そして中身をガサゴソと漁る。えーと、あ、あったあった。

 

「工藤……いいや、工藤さん。俺からのお願い、聞いて頂けますでしょうか?」

「うん? なにかな? 保健体育のことだったらなんでもーー」

 

 

 

 

 

 

バサッ! ←(体操着&ブルマ)

「このお召し物にお着替え願えますでしょうかお嬢さん。きっと貴女のその美しさが更に輝くことでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

俺はそう言って、工藤の前で土下座した。

 

『いやお前は何をしてるんだっ!?』

 

少しの間を置いて、四方八方から聞こえるツッコミ。

流石の工藤も俺の行動に予想の範疇を超えていたのか、反応がない。

 

「え、えぇっと‥‥‥岡崎君? これは‥‥‥何かなぁ?」

「おっと。私としたことがつい説明の程を省いてしまったようだ。申し訳ない。こちらはエロゲ界隈で知らぬ者なしと言われる程の名作中の名作『青色スプラッシュサマー』に登場するメインヒロイン、柿崎みるくちゃんのコスチュームにございます。工藤愛子さん。貴女を一目見て私は思った! 貴女様のその容姿! 凹凸の少ない健康的な身体! 幼なじみ属性! ボクっ娘! そのすべてがみるくちゃんと完全に一致しているのです! 後はこのみるくちゃんのメインコスチュームを着ていただくことで、現実世界でみるくちゃんと邂逅するという私の長年の悲願が叶うのです!」

「え‥‥‥エロ、エロゲ!? ぼ、ボボっボクが!?」

 

おっと、つい早口になってしまったぜ。だが俺のこの思いは伝わった筈だ。その証拠として声色だけでも明らかに動揺している工藤の様子が分かる。まさか自分がエロゲのキャラクターと瓜二つとは夢にも思わなかったのだろうな。そのウブな感じもみるくたんそのものじゃあないか!! あともう少しで堕とせる! ここで畳み掛けるぞ!

 

「お、岡崎君。流石にそれは出来ないかな~、なんて」

「お願いします!」

「い、いや‥‥‥だからそれは」

「なら靴を舐めます!!」

「だから‥‥‥」

「靴を舐めますっ!!」

「でも」

「靴を綺麗に舐めますからぁぁああっ!!!」

「大悟、それ以上はやめとけ。工藤がもうオーバーヒート寸前だ」

 

雄二がそう言って俺を止めようとする。

 

「止めるな雄二! これは俺の長年抱いた夢が叶うかどうかの瀬戸際なんだ! 邪魔をしないでくれ!」

「だからって初対面の女にいきなり『コスプレして下さい』なんて言うヤツがあるか。しかも体操着とブルマって、難易度が高すぎるだろ」

 

何をいうか。体操着とブルマのコンビ。これはコスプレ界隈においてベタ中のベタだぞ。体操着を制するものはコスプレを制するといっても過言ではないんだ。

 

「大体、お前は二次元派だろ。どうしてそこまでコスプレなんかに入れ込むんだ?」

「なん‥‥‥だと? 雄二‥‥‥お前には分からないのか」

 

俺はバッと立ち上がり、声を大にして言い放った。

 

 

 

「ギャルゲー世界を現実で味わう! それは我々人類にとっての夢だということを!!!」

 

 

 

『‥‥‥‥‥』

 

それによって静まり返る教室内。だが俺の演説は止まらない。

 

「あんなに原作と瓜二つな女性に出会ったら、その作品のシチュエーションを期待するのは我々二次元派の人間にとって当然のこと! あのシーンは!? あの名言は!? 画面の奥でしか感じることのなかった感動が今まさに手の届く場所にいるんだぞ! つまりそれは! 絶対に叶うことのないと思われていたあのイチャイチャラブシーンや甘酸っぱい青春劇ですらも! 現実のものとなって味わえるということなのだぁぁあああ!!!」

 

『な、何だってぇぇええ!!!?』

 

Fクラスのヤツらが一斉に叫んだ。

 

『ということは、俺達も漫画みたいな青春が送れるってことなのか!?』

『そうか! ギャルゲーにはそこまで夢と希望が詰まっているんだな!』

『流石兄貴だ! そんなところに気づいていたなんて!』

『こうしちゃいられねえ! 俺達も兄貴に続くんだ!!』

『『『おうっ!!』』』

 

すると、一斉に俺のもとまでダッシュで駆け寄ってくる二年Fクラスの生徒達。その目は全員、キラキラと輝きを発していた。

フッ‥‥‥お前ら、俺はそう来るって信じてたぜ。

 

「よっしゃあ野郎共!! 俺についてこい!! 今こそ俺達の夢に向かって全力で駆け抜けるんだ!!」

『『『おう! 兄貴!!』』』

 

 

 

「お願いします! このコスチュームを身に纏い、本物のみるくたんになってくだぶべらぁっ!!」

 

 

 

再び土下座しようとした瞬間、俺の台詞は突如顔面にめり込んだ拳と共に遮られ、そのまま同時に視界もプツリと途切れてしまった。

唯一最後に目の前に見えたのは、秀吉を連れ出したときと同じ笑顔をした優子だった。

 

 

 

「‥‥‥さ? 三回戦の続き、始めよっか? アンタ達、早く戻ってくれると嬉しいな?」

『‥‥‥すいませんでした!!』

 

 

 

 

 




いやー、沢山の人に見て貰って、お気に入り道路や評価までしていただけて嬉しい限りです。

やっぱり皆バカテス好きなんだなって思います。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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