以下の問いに答えなさい。
『バルト三国と呼ばれる国名を全て挙げなさい』
姫路瑞希の答え
『リトアニア エストニア ラトビア』
教師のコメント
そのとおりです。
岡崎大悟の答え
『リトアニア ラトビア エストニア』
教師のコメント
正解です。その調子で他の教科も頑張ってくれると助かります。
土屋康太の答え
『アジア ヨーロッパ 浦安』
教師のコメント
土屋君にとっての国の定義が気になります。
吉井明久の答え
『香川 徳島 愛媛 高知』
教師のコメント
正解不正解の前に、数が合っていないことに違和感を覚えましょう。
ーー明久視点ーー
「アキ、木下、ちょっといい?」
帰りのHRも終わって放課後。特に予定も無いので秀吉と一緒に帰ろうとしたところ、美波に呼び止められた。
「ん、何か用?」
「なんじゃ、島田よ?」
「用って言うか、相談なんだけど」
「相談? 僕たちで良ければ聞かせてもらうけど」
「うん。多分、アキと木下が言うのが一番だと思うんだけどーーその、やっぱり坂本と岡崎をなんとか学園祭に引っ張り出せないかな?」
どうやら美波は、Fクラスの成功には雄二の先導と大悟の統率力が必要だと判断したようだ。
「う~ん、それは難しいなぁ‥‥‥。さっきも言ったけど、雄二は興味の無い事には徹底的に無関心だからね」
「済まぬが大悟も同じじゃ。あやつをやる気にさせるのはかなり至難の技じゃぞ?」
多分雄二の方はクラスの出し物が何に決まったかさえ知らないだろうし、大悟はどっか行ったきり帰ってこないし、どこに行ったんだろう?
ーーー
ダダダダダダッ!!
「俺は無実だぁぁぁあああーーー!!!」
「畜生ぉおー! なんでこんなことになるんだぁー!!」
ダダダダダダッ!!
「雄二‥‥‥逃がさない」
「大悟ー? どうして逃げるのかな? カナァ?」
ーーー
‥‥‥ん? 今なにか聞こえたような。気のせいかな?
「でも、二人が頼めばきっと動いてくれるよね?」
美波の何かを期待したような眼差し。
「え? 別に僕らが頼んだからって、二人の返事が変わらないと思うけど」
「ううん、そんなことない。木下と岡崎は付き合いが長いみたいだしーー」
「そりゃ確かに、僕らはよくつるんではいるけど、だからと言って別に」
「ーーアキと坂本は、愛し合っているんでしょう?」
「もう僕お婿にいけないっ!」
一体美波は僕と雄二をどういった目で見ているのだろうか。
「誰が雄二なんかと! だったら僕は断然秀吉の方がいいよ!」
「‥‥‥あ、明久? そ、その、お主の気持ちは嬉しいのじゃが、そんなことを言われても、儂らには色々と障害があると思うのじゃ。その、ホラ。歳の差とか‥‥‥」
隣にいる秀吉が顔を赤らめてたじろぐ。あれ? なんだか妙な雰囲気になってない?
「ひ、秀吉! 違うんだ! もの凄い誤解だよ! さっきのはただの言葉のアヤで! それと、僕らの間にある障害は決して歳の差じゃないと思う!」
ど、どうしよう! 秀吉ならいいかも、って思えてきた!
「それじゃ、坂本と岡崎は動いてくれないってこと?」
「え? あ、うん。そういうことになるかな」
「なんとかできないの? このままじゃ喫茶店が失敗に終わるような‥‥‥」
目を伏せ、沈んだ面持ちになる彼女。確かに、どうにか雄二と大悟を引っ張り出したいとは僕も考えている。
この喫茶店が成功したら、Fクラスの設備を良い物に換えられる。そうしたら姫路さんの身体の負担も少しは減るだろうし。
「じゃが島田よ? どうしてそこまで喫茶店を成功させたいのじゃ?」
秀吉がそう彼女に尋ねる。確かに、美波はそこまで設備に対して不満があったわけでもないのに随分と熱心だ。何か事情があるのかな?
「‥‥‥本人には、誰にも言わないで欲しいって言われたんだけど、事情が事情だし‥‥‥。けど、一応秘密の話だからね?」
「う、うん。わかった」
美波の真剣な表情に少し気圧される。
「実は、瑞希なんだけど」
「姫路さん? 姫路さんがどうかしたの?」
「‥‥‥あの子、転校するかもしれないの」
‥‥‥ほぇ? 姫路さんが転校? そんな馬鹿な。
折角同じクラスになっていよいよこれからって時に転校しちゃうなんて。まだ楽しい思い出も作ってないし、膝枕も耳掃除もしてもらってない。だいたい、彼女が転校しちゃったらこのクラスはどうなる?
もし、唯一の清涼剤である彼女がいなくなったらーー
『お主ら、こんなことはやめるのじゃ!』
『げへへっ! これからは俺達が可愛がってやるぜぇ!』
『やめろ! その汚い手で僕の秀吉に触るなぁ!』
『お前だけに良い思いはさせねぇぜぇ!』
『や、やめろぉおおーー!!』
「む。マズい。明久が処理落ちしかけとるぞ」
「このバカ! 不測の事態に弱いんだから!」
「明久、目を覚ますのじゃ!」
‥‥‥あれ? 誰かが僕の肩を揺すっているな。ああ、秀吉か。今日も可愛いなぁ。
「秀吉‥‥‥、モヒカンになった僕でも、好きでいてくれるかい‥‥‥?」
「‥‥‥どういう処理をしたら、瑞希の転校からこういう反応が得られるのかしら」
「ある意味、稀有な才能かもしれんのう」
‥‥‥はっ!? いけない、ちょっとトんでた!
「美波! 姫路さんが転校って、どういうことさ!」
気を取り直して、微妙な目付きで僕を見る美波に詰め寄る。
「どうもこうも、そのままの意味。このままだと瑞希は転校しちゃうかもしれないの」
「このままだと‥‥‥?」
「島田よ。その姫路の転校と、さっきの話が全然繋がらんのじゃが」
「そうでもないのよ。瑞希の転校の理由が『Fクラスの環境』なんだから」
「ってコトは、転校は両親の仕事の都合とかじゃなくてーー」
「そうね。純粋に設備の問題ってことになるわ」
そう言われて、僕は思わず納得してしまった。
姫路さんにとってこのクラスの設備はとてもと言っていいほど相応しくない。ござにミカン箱という設備の上に、周りの人間はバカだらけ。本人に非がないのにこんな環境では、普通の両親なら誰もが転校させようと考えるはずだ。
「それに瑞希は、身体も弱いから‥‥‥」
「そうだよね。それが一番マズいよね‥‥‥」
美波の言う通り、この劣悪な環境では姫路さんの健康に害を及ぼす可能性がある。このままではいずれ体調を崩すのも時間の問題だ。
「なるほどのう。じゃから喫茶店を成功させ、設備を向上させたいのじゃな」
「うん。瑞希も頑張って『召喚大会で優勝して両親にFクラスを見直してもらおう』とか考えているみたいなんだけど、やっぱり設備をどうにかしないと」
確かに、姫路さんの頑張りは無駄とは言わないけど、問題は姫路さんの健康状態だ。それを何とかしない限り、両親の気持ちは揺るがないだろう。
「‥‥‥アキはその‥‥‥瑞希が転校したりとか、嫌だよね‥‥‥?」
「もちろん嫌に決まってるさ! 姫路さんに限らず、それが美波や秀吉であっても!」
「そっか‥‥‥。うん、アンタはそうだよね!」
美波が嬉しそうに頷く。
ちなみに、雄二や大悟だったらどうでもいいというのは秘密だ。
「そういうことなら、なんとしても雄二を焚き付けてやるさ!」
「そうじゃな。ワシもクラスメートの転校と聞いては黙っておれん。これなら大悟も協力してくれるじゃろう」
「それじゃ、まずは二人に連絡を取らないとね」
ポケットから携帯電話を取り出し、雄二の番号を呼び出す。まだ鞄はあるから学校内のどこかにいるはずだ。
『ーーもしもし』
「あ。雄二。ちょっと話がーー」
『明久か。丁度良かった。悪いが俺の鞄を後で届けにーーげっ! 翔子!』
「え? 雄二。今何をしてるの?」
『くそっ! 見つかっちまった! とにかく、鞄を頼んだぞ!』
「雄二!? もしもし! もしもーし!」
すると、プツリと通話が途切れてしまった。どうしたというのだろうか?
仕方ない。次は大悟にかけてみるとするか。
『ーーもしもし?』
「あ、大悟? 一体どこにいるーー」
『済まねぇ、理由は後で話す。その前に頼みがあるんだ。俺の荷物をーーなっ! 優子!?』
「だ、大悟? どうしたの?」
『待て優子! それは人に向けていいものじゃない! 明久、悪い! また後でかけ直す!』
「大悟!? ちょっと待ってよ! 大悟ー!」
大悟も同じように、一方的に電話を切ってしまった。携帯電話からはプー、プー、という無機質な音しか返ってこない。
「二人はなんて言ってた?」
「えっと、雄二は『見つかっちまった』とか『鞄を頼む』とか言ってて、大悟は『それは人に向けていいものじゃない』とか言ってた」
「‥‥‥なにそれ?」
美波が『使えないわね』といった目で睨んでくる。酷い扱いだ。
「大方、二人は霧島翔子と姉上から逃げ回っているのじゃろう。あやつらはああ見えて異性には滅法弱いからの」
秀吉が腕を組んでうんうんと頷いている。
むぅ。なんで逃げ回る必要があるんだ。相手が霧島さんや木下さんだったら、逃げ回るどころか追い回すのが普通の男の反応なのに。雄二と大悟のくせに贅沢な!
「そうすると、坂本と岡崎は連絡を取るのが難しいわね」
「‥‥‥いや、これはチャンスだ」
「え? どういうこと?」
「雄二と大悟を引っ張り出すには丁度いい状況なんだよ。うん。ちょっと二人とも協力してくれるかな?」
「それは構わぬが‥‥‥二人の居場所はわかっておるのか?」
「大丈夫。相手の考えが読めるのは、なにも雄二だけじゃないから」
「なにか考えがあるみたいね」
「まぁね」
ニヤリと笑って、僕は二人を連れて教室を後にした。
ーーー
「やぁ雄二、大悟。奇遇だね」
部屋の物陰で大きな身体を小さくしている雄二と大悟に話しかける。
「‥‥‥お前は一度奇遇という単語を国語辞典で調べてこい」
「それと、どういう偶然があれば女子更衣室で鉢合わせするのか教えてくれ」
そう。雄二の言う通り、ここは体育館にある女子更衣室。二人のことだから素直に女子禁制の男子トイレや更衣室に行くとは思えない。むしろ裏をかいて男子禁制の場所に逃げてると思ったけど‥‥‥まさかここまで簡単に見つかるとは。
まあ、あの霧島さんと木下さんなら女子禁制の場所にも容赦なく突入しそうな気もするけどね。
「やだな。ただの偶然だよ」
「嘘をつけ。こんな場所で偶然会うワケがないだろう」
「そうだ。お前はもっとちゃんとした嘘のつきかたというのをだな」
ガチャッ
突然音を立てて扉が開かれると、その向こうには体操着姿の女子生徒の姿があった。
「えーっと‥‥‥アンタ達、Fクラスの問題児トリオ? ここ、女子更衣室なんだけど?」
「やぁ、確か小山優香さんだったね。奇遇じゃないか」
「Cクラス代表か。奇遇だな」
「ああ、小山か。奇遇じゃねえか」
「あ、うん。そうね」
あっはっは、と爽やかに笑ってみせる。うんうん、これは偶然だなぁ。
「先生! 覗きです! 変態と変態とキモオタです!」
「逃げるぞ明久! 大悟!」
「御意っ!」
「了解っ!」
更衣室の小さな窓から表に飛び出す。やっぱり誤魔化すのは無理だったか!
『吉井と坂本に岡崎だと!? またアイツらかっ!』
「マズい! 鉄人の声だ!」
「んだと!? やべぇな、捕まれば夜までワンツーマン補習コースまっしぐらだぞ!」
「とにかく走れ!」
大悟の言う通り、捕まったら最後だ。上靴なのを気にせずに僕らは外を突っ走る。
「見つけたぞ! 三人とも逃がすか!」
後方から野太い声が聞こえてくる。くそっ! もう追いついてきたか!
「明久! 大悟!」
隣を走る雄二の声。その視線は、前方の新校舎二階にある開け放たれた窓に向いていた。なるほど、あそこから逃げ込もうってワケか。
「「オーケー!」」
雄二からの合図を受け、走りながら上着を脱ぐ。そしてその間に雄二と大悟が僕より先行する。
「そっちは行き止まりだ! 観念して指導を受けろ!」
どんどん近づいてくる鉄人の声、はっきりいって怖い。この前大悟の家でやった○鬼のような感覚がする。
「よし、準備万端だ!」
「行け、明久!」
「あいよっ!」
雄二と大悟が手を組んで作った踏み台に両足を乗せ、その瞬間に二人が勢いよく腕をはねあげたので、僕はなんなく開いている二階の窓に飛び付くことが出来た。
校舎の中に入った僕は脱いでおいた制服を窓から垂らす。
「あらよっと!」
今度は雄二が壁を蹴って跳び、空中で僕の制服を掴んで、そのまま一本釣りの要領で持ち上げた。
「くっ! このバカども! こういう時だけ無駄に運動神経を発揮するとは!」
舌打ちでもしそうな鉄人の雰囲気をよそに、僕と雄二は窓から身体を出して手を伸ばす。
「どりゃあっ!」
最後に大悟が思い切り壁を蹴って飛び上がり、そのまま僕と雄二の手を掴んで引き上げた。制服は少し破けたけど、僕らは無事に校舎内に侵入することができた。
『吉井! 坂本! 岡崎! 明日は逃がさんぞ!』
「はっ、流石の鉄人も二階までは来れなかったか。助かったぜ」
「はぁ‥‥‥。また要らない悪評が増えていく‥‥‥」
脱いだ制服を着直しながら、思わず溜め息が出てくる。やれやれだよ。
「それはこっちの台詞だ。いらねぇ手間かけさせやがって」
「大悟の言う通りだ。お前が来なければこんなことにはならなかったのに」
二人とも、自分に非はないとでも言わんばかりの態度だ。
「なんだよ。そもそも雄二と大悟が女子更衣室なんかに隠れていたのが悪いんじゃないか」
「し、仕方ないだろ! 相手はあの翔子だぞ! 普通の場所なんかで逃げ切れるか!」
「そうだ! 明久は他人事だからそんなことが言えんだよ!」
そう言う二人。雄二はともかく、大悟がここまで動揺するのは珍しいな。
「ところで、どうしてそんなに霧島さんと木下さんから逃げてるの?」
「‥‥‥ちょっと、家に呼ばれていてな」
「‥‥‥俺もだ」
雄二が苦々しい表情を浮かべる。それのどこが嫌なんだろう?
「僕から見れば両方羨ましいけど? 霧島さんと木下さんの部屋でしょ? 入ってみたいけどな~」
「‥‥‥明久。お前はそれを本気で言ってるのか?」
「え? どうして?」
だってあの霧島さんと木下さんの部屋だよ? ああ見えて、実は可愛いものが大好きでぬいぐるみでいっぱいだとか?
「‥‥‥‥‥家族に紹介したいそうだ」
「‥‥‥‥‥タキシードの採寸をしたいと言われた。断ったら『浮気?』ってエス○リボルグを突き立てられた」
「‥‥‥まだ付き合ってるわけじゃないんだよね?」
彼女達は若干思いが強すぎるのかもしれないな。特に木下さんはそんな物騒なものを持ってきてるあたり、相当なものなんだろう。
でも木下さんはどうやってエスカ○ボルグなんて手に入れたんだろうか?
「それにな‥‥‥明久。お前はあの後俺達に何があったと思う?」
「あの後?」
大悟の言葉に僕は首を傾げる。
あの後って言うと‥‥‥Aクラス戦の時かな? 確かあの時は霧島さんと木下さんが雄二達を無理矢理どこかに連れ去ったんだっけ。そういえばどこに行ったんだろう?
「あの後、俺と大悟は映画館に連れてかれたんだ」
「映画館? なんだ、普通にデートじゃないか、それのどこがーー」
「いや、俺達は逃げ出そうとしたんだ。そしたら電気ショックを喰らってな。目が覚めたら‥‥‥繋がれた牛が殺されるシーンだった」
「‥‥‥は?」
なにその映画。違う意味で怖いんだけど。
「隙を見て逃げ出そうとしたら、また電気ショックを喰らって二人とも仲良く気を失い‥‥‥目が覚めたらまた牛が」
しかも二回見たんだ。
「また逃げようとしたらまた気を失って‥‥‥永遠に牛を殺すシーンで目覚め続けるんじゃないかと脅迫観念に襲われて‥‥‥逃げられなくなった‥‥‥!」
「なるほど‥‥‥じゃあ、永遠に映画の最初は観れないんだね‥‥‥」
何だろう。雄二達にちょっとだけ同情心が湧いてきた。でも、残念ながらこっちの用件にそんな事情は関係ない!
「さて雄二、大悟。そんなキミ達に朗報ですっ」
「そうか。嫌な報せだったら殺すぞ」
「恋のマジカル☆ボコ殴りも合わせるからな」
「‥‥‥‥‥」
本気っぽい雄二と大悟の台詞に一瞬言葉を失う。
けどとりあえず、僕は携帯電話を取り出し、美波の番号を呼び出して雄二に渡す。
「こ、こちらの携帯電話をどうぞ」
「まったく、何の真似だ?」
雄二は訝しみながらも携帯電話を受け取り、耳に当てた。
『もしもし? 坂本?』
「島田か。一体何の真似だ?」
『ちょっと待って。今替わるから』
「替わる? 誰とーーおい。もしもし?」
『‥‥‥雄二。今どこ』
「人違いです」
プツッ。
「コロス」
凄い判断力だ。咄嗟に『人違いです』なんて切り返せる人間はそうはいない。
そして片言の日本語が異様に怖い。
「まぁまぁ。じゃあ次は大悟ね」
僕は雄二から携帯電話を受け取り、再び美波の番号にかけた。
「はい、大悟」
「‥‥‥何だってんだよ」
大悟も同じように怪しい視線を向けながらも受け取り、耳に当てた。
『あ、もしもし、岡崎?』
「何だ島田。用があるなら早くしてくれ」
『待って。ある人が用事があるみたいなの。今替わるから』
「ある人? 誰だーーもしもし?」
『大悟? どうして逃げ』
「間に合ってます」
プツッ
「‥‥‥‥‥恋の」
マズい! このままじゃ僕はボコボコに殴られる!
「ちょっと落ち着いてよ。お願いを聞いてくれたら悪いようにはしないからさ」
「お願いだと? よし、撃って燃やして裂いて壊して絞めて縛って吊るした後でゆっくりと聞いてやろう」
「まて大悟。明久、どうせ学園祭の喫茶店の事なんだろ?」
こういう時、雄二が本当に神童だったと認識させられる。頭の回転がとても速いから。
「やれやれ。こんな回りくどいことをしなくても、お前が『大好きな姫路さんの為に頑張りたいんだ! 協力してください!』とでも言えば、面倒だが引き受けてやるというのに」
「あぁ、そういうことか。まーた姫路絡みか。ホントお前は姫路のこと好きだよな」
「なっ!? 何を言ってるのさ二人とも! べ、別に、そんなことは一言も‥‥‥!」
「あー、はいはい。話は分かった。仕方ないから協力してやるよ」
「ったく。しゃあねぇな。不本意だが、ダチの頼みってんならこっちも引き受けざるを得ねぇな」
一瞬にして二人の表情が楽しげなものになる。どうしてコイツはいつもいつも‥‥‥!
「まぁとにかく、引き受けてくれてありがとう」
「気にするな。それより、島田と翔子は親しかったのか?」
「そういや、島田と優子に付き合いがあるなんて聞いたこともねぇしな」
と、探るような雄二と大悟の目つき。Aクラスの霧島さんと木下さんがFクラスの美波と一緒にいたことが気になるらしい。
「う~ん。聞いても怒らない?」
「バーカ。どうせ引き受けたんだ。今更怒ってどうすんだ」
「そうだぜ。それにそんな程度でいちいち腹立てるほど俺達は小せぇヤツじゃねぇよ。」
それもそうか。確かに引き受けてくれたことだし、もうネタをバラしてもいっか。
「それじゃ、教えてあげよう。実は電話の向こうにいたのは、霧島さんと木下さんの声真似をした秀吉で」
「明久、言い残すことはあるか?」
「目を瞑って歯を食い縛れ」
嘘つき。
いやー、エスカ○ボルグって今の時代なら分かる人にしか分からないネタですよねー。
それではまた。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
-
入れろ、絶対に
-
別に入れなくてもいいよ