バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 歴史

以下の問いに答えなさい。
『応仁の乱が起こったのは西暦(  )年である』


岡崎大悟の答え
『1467』

教師のコメント
正解です。


坂本雄二の答え
『1467』

教師のコメント
坂本君も少しずつ勉学への意欲が出てきているようで何よりです。


吉井明久の答え
『1467』

教師のコメント
失礼ながら、君が答えられるとは思いもしませんでした。




第二十八問 馬鹿の底力を見せてやろう

 

 

ーー大悟視点ーー

 

 

 

「―――っつうワケなんだ」

「……そんな……酷い事が……」

 

 話終えると、霧島は明らかに驚愕と恐怖で動揺した素振りを見せた。

 表情こそいつもと変わらず仏頂面気味だが、声は震え、目頭には若干の涙を溢し、こちらからでも分かるくらい皮膚に鳥肌を立たていた。俺の話がよっぽど衝撃で、……あまりにも残酷な内容に怯えてるんだろう。

 

「大丈夫か、霧島」

「……ううん。岡崎、木下……教えてくれてありがとう」

「あぁ、だが霧島。一つだけ頼みがある。このことは決して他言無用で頼みたい」

「これは姉上の名誉の為でもあるのじゃ……! だから、霧島よ―――」

「分かってる……絶対誰にも言わない。優子は私の大切な親友だから。今まで通り、大事な関係でいるつもり」

「そうか……それが聞けたならいい。すまねぇな、霧島」

 

「岡崎が謝る必要はない……聞かせてほしいと言ったのは、私だから」

 

 

 

 

 話を済ませ、彼女を帰らせる。多分あいつなら今日のことを永遠に胸中にとどめておいてくれるだろう。

 すると、姫路や優子達を家まで送っていた明久達が戻ってきた。

 

 

「おう、帰ったか明久、雄二」

「ただいま大悟、秀吉。あれ? ムッツリーニは?」

「ムッツリーニならゴミを捨てに行って貰っておるぞ。もうすぐ戻ってくるのではないかの?」

「‥‥‥‥‥今戻った(ガラガラガラ)」

「よし、全員集まったか。ならちょっと俺たちに付き合ってもらおうか」

 

雄二がそう俺達に告げる。

 

「なんだ、まだなんかあるのかよ? 早く帰っておジャ魔女ど〇みの再放送が見たいんだが」

「どうせ録画してるんだからいいだろうが。それよりもこっちの方が重要だ」

 

ほほう? 随分とデカく言ってくれるじゃねえかこの野郎。

 

「それで、一体何の用なのじゃ?」

「ああ、ちょっととある人物を呼び出していてな」

「? ある人物って?」

「ババァだ」

 

ババァってことは、学園長か。雄二の表情を見る限り、何か理由があるのは明白だが。

 

「学園長がわざわざここに来るの?」

「俺が呼び出した。さっき廊下で会った時に『話を聞かせろ』ってな」

 

話か‥‥‥という事はさっきの俺と雄二の会話が深く関係しているのだろう。いや、それを差し引いても、今回ばかりのことは見逃すわけにはいかない。営業妨害ならまだしも、下手すりゃあ警察沙汰の騒ぎまで起きてんだからな。こうなるのは至極当然といえよう。

 

「あのババァには事情を説明させないと気が済まん」

「そうか。ならああのババァには洗いざらい吐いてもらわねぇとな」

「へぇ、あのババァに原因がーーえぇぇっ!? あ、あのババァ! 僕らに何か隠してたのか!」

 

明久がそういきり立っていると、

 

「‥‥‥やれやれ。わざわざ来てやったのに、随分とご挨拶だねぇ、ガキどもが」

「出たな諸悪の根源め!」

「おやおや、いつの間にかアタシが黒幕扱いされてないかい? それに大分人数が多いようだね?」

 

そう言って俺や秀吉を睨む学園長(ババァ)。まぁ、学園長からしたら俺達は全くの部外者だからな。快く受け入れる訳はないわな。

 

「いいや、これは俺達だけで済む問題じゃ無くなった。なら大悟たちにも聞く権利は十分にある。それにアンタも、そろそろ本当のことを話す頃合いじゃないか?」

「悪いが、内容は全部雄二から聞かせて貰ったっす。だから下手な誤魔化しは通用しねぇっすよ」

 

雄二と俺がそう問いかけると、ババァは少し感心したかのように頷いた。

 

「ふむ‥‥‥。やれやれ。賢しい奴だとは思っていたけど、まさかそこまで探られていたとは思わなかったよ」

「最初に取引を持ち掛けられた時からおかしいとは思っていたんだ。あの話だったら、何も俺達に頼む必要はない」

「それこそ、学年主席の霧島や高城さんあたりにでも頼むのが最善の方法だからな」

「そういえばそうだよね。優勝者に後から事情を話して譲ってもらうとかの手段も取れたはずだし」

「そう考えると、雄二達を擁立するのは、明らかに不効率じゃな」

「‥‥‥‥‥(コクコク)」

 

そして話によると、俺達の当初の目的であった設備改修の件をババァは渋ったらしい。でもそれは敢えてそんな態度を取り、明久達に召喚大会への参加を促すための演技に過ぎなかったと。まあ、いくら人の心を持たないクソババァでも肩書は学園長だからな。教育方針云々以前に生徒の健康状態を無下にするなど出来ないだろう。

また、雄二は大会での科目選択権を譲れという提案を出していたのだが、学園長はそれをすんなりと承諾した。つまりその条件を呑まなくてはならないほど、明久達に大会に出てもらい、優勝を勝ち取ってもらう必要がババァにはあるということだ。

 

「他にも学園祭の喫茶店ごときで営業妨害が出たり、対戦相手に情報を流す密告者がいたりと色々あったが、それよりも決定的だったのは、俺たちの邪魔をしてくる連中が姫路たちを連れ出したのが決定的だった。ただの嫌がらせにしては質が悪すぎる」

 

確かに、あれはマジでやり過ぎていると思った。同志が盗聴器を仕掛けていたからよかったものの、もしあのままだったら前にやったエロゲの胸糞集団強姦レ〇プシーン並の大惨事になっていたかも知れない。ちなみにそのエロゲはクリア後ぶっ壊して家の裏で燃やして捨てた。

しかもアイツら、優子や島田に暴力を振るったことも許せんが、愛しの葉月ちゃんを怖がらせやがった。だから取り敢えず雄二と二人で全員血反吐吐かせてから病院送りレベルに叩きのめしておいたぜ。幼女を泣かせる奴は誰だろうと死ね!

 

「そうかい。向こうはそこまで手段を選ばなかったか‥‥‥済まなかったね」

 

と、生徒である俺達に頭を下げるババァ。まさかそんな事をするとは思わなかったが、意外と責任感が強いのか?

 

「さて、こちらのタネ明かしはこれで終わりだ。今度はそっちの番だ」

「はぁ‥‥‥。アタシの無能を晒すような話だから、できればふせておきたかったんだけどね‥‥‥」

 

だから誰にも公言するな。という前置きをして、ババァは真相を明かし始めた。

 

「アタシの目的は如月ハイランドのペアチケットなんかじゃない。もう一つの賞品の方なのさ」

「‥‥‥やっぱりか」

「ペアチケットじゃない!? どういうことですか!?」

 

俺と雄二が予想していた通り、ババァが回収したがっていたのは『白金の腕輪』だった。分かっていた事なので俺と雄二は特に驚きはしなかったが、明久達には相当のことだったのか、目を丸くしている。

そしてババァ曰く、この白金の腕輪は二つあり、一つは点数を分配して召喚獣を二体召喚するものと、教師の代わりに立会人となって召喚用のフィールドを展開できるもの。こっちは使用者の点数に応じて召喚可能範囲が変わるらしい。そしてその科目はランダムで選択されるとか。

 

そしてババァはその腕輪を明久達に勝ち取ってもらいたかったらしい。

『回収』ではなく『勝ち取る』ということを選んだのは、理由もなしに回収なんてしたら、新技術の存在自体を疑われる可能性がある。ましてやスポンサーが大勢いる前でそんな真似は出来ないのだろう。

 

「でも、なんでその『白金の腕輪』を手に入れるのが僕らじゃないとダメなんですか?」

「‥‥‥欠陥があったからさ」

「「やっぱりか」」

 

苦々しく顔をしかめるババァ。

ババァは霧島や高城さんなどの高得点者ではなく、底辺の明久達に依頼した。それは白金の腕輪は高得点者ではなく明久達レベルにしか使えない。それもただの馬鹿ではなく、優勝の可能性がある特別な馬鹿に限定されるということ。

 

「じゃあ、その腕輪の欠陥っつうのは明久と雄二なら大丈夫ってことですかい?」

「そうさ、その二人なら暴走が起こらずに済む。だから他の生徒には頼めなかったのさ」

「なるほどな。だから得点の高い翔子や姫路を使えないわけだ」

「あぁ‥‥‥そういうことじゃったのか‥‥‥」

「‥‥‥‥‥納得」

「え? 皆分かったの? まだ話が見えないんだけど‥‥‥」

 

雄二が苦笑いをし、相棒と同志はそれを察したような表情になる。だが肝心の明久はよくわかっていないようだ。

 

「アンタらみたいな『優勝の可能性を持つ低得点者』ってのが一番都合が良かったってわけさ」

「うーん‥‥‥。取り敢えず褒められているってことでいいのかな?」

「「「「いや、お前(お主)らはバカだと言われているんだ(おるのじゃ)」」」」

「なんだとババァ!」

 

いや、説明がないとわからん時点でバカだろうが。

 

「片方の召喚フィールド作製用はある程度まで耐えられるんだけどねぇ‥‥‥。もう片方の同時召喚用は、現状のままだと平均点程度で暴走する可能性がある。だからそっちは吉井専用にと」

「ねえ皆、これは褒められていると取っていいんだよね?」

「「いや、馬鹿にされてるぞ」」

「それも凄い勢いでの」

「‥‥‥‥‥(コクッ)」

「なんだとババァ!」

「「いい加減自分で気づけ!」」

 

つまり腕輪は、片方は高得点で暴走し、もう片方に至っては平均点程度でも暴走する為、それ以下の点数しか持っていない存在ーーバカにしか扱えないということになるのだ。

 

「じゃあやっぱり、一連の妨害の黒幕は内部の人間によるものか」

「そうなると、俺たちの邪魔をしてくるのは学園長の失脚を狙っている立場の人間ーー他校の経営者とその内通者といったところだな」

「雄二、大悟、そうやって僕を会話から置き去りにするのはやめてほしいな?」

 

また明久は話についてこれてないようだが、雄二が簡単に説明したことでようやく理解を示した。

 

「じゃあ、やっぱり黒幕は‥‥‥竹原の野郎か?」

「おや、岡崎がそこまで辿り着くとは意外だね。ご名答。この一連の手引きは、恐らく教頭の竹原によるものさね。しかしなんで岡崎がそこまで知っているんだい?」

「別に気づいてたわけじゃないっす。偶然高城さんからそんな話を聞いただけっすよ。最近の竹原の行動はどうにも怪しいってな。そっからは雄二が考えたんすよ」

「? 大悟、高城って誰?」

「知り合いの一個上の先輩だ。ま、別に知らなくてもいい」

 

明久と高城さんを合わせたら色々面倒くさい事になりそうだからな。なんせ同類だから。

 

「竹原は近隣の私立高にも出入りしていたなんて話も聞くからね。まず間違いはないさね」

「それじゃ、僕らの邪魔をしてきた常夏コンビとか、例のチンピラとかは」

「教頭の差し金だろうな。協力している理由はわからんが」

「ふん、テメェの欲の為に自分の学校の生徒をダシに使おうとするたぁ気に入らねぇな。教師の風上にもおけねぇ」

 

俺の言葉に周りがふむふむと頷く。すると明久が言った。

 

 

「コレってーーかなりまずい話じゃない?」

「うむ、下手をすれば学園の存続に関わる事態じゃからの」

 

 

明久や秀吉の言う通り、最早姫路の転校がどうたらとか言ってる余裕はない。それどころか、この文月の生徒全員が危機的状況にあるのだから。

 

「あ、なら優勝者に事情を話して渡してもらったらーー」

「それは無理だ。決勝戦の相手を見てみろ」

 

雄二がズボンのポケットから小さな冊子を取り出す。書き込まれているトーナメント表を見てみると、

 

「‥‥‥常夏コンビか」

 

よりにもよってコイツらか。これじゃあ事情を話して回収するという方法は出来ないな。

 

「やつらは教頭側の人間だ。嬉々として観客の前で暴走を起こすだろう」

 

つまり、明久達に残された道はただ一つーー自力での優勝だ。

 

「悪いが、アンタらにはなんとしてでも優勝してもらうしかないんだよ」

「‥‥‥予想はしていたが、まさかこんなことになっているとはな」

 

だが、俺にとっては事情などどうでもいい。どっちみち俺達の目的は優勝だ。それに関しての逃げ道が塞がれただけの事に過ぎない。だから今更そこにどれだけの問題が抱えられていようがどうでもいい。

それよりもまず‥‥‥無関係の奴まで自分の身勝手な理想の為に巻き込んで、女を傷つけても構わないとする竹原の畜生なやり方がいただけねぇ。本来ならヤツを呼び出して一発くらわしてやりたいところだが、それは出来ない。

だから俺達はーー与えられた土俵で勝負するだけだ。ま、俺は試合には出ねぇけどな。

 

 

「‥‥‥だが、俺達のやることは変わらねぇ。どっちみち優勝出来なきゃあ今までの行動も全部水の泡なんだ。それに、相手があの常夏コンビなら遠慮は不要だしな! こうなりゃとことんやってやらぁ! そうだろ、お前ら!」

「ああ、せっかくここまで来たんだ! 絶対に優勝してみせる!」

「おうよ! 調子に乗ってるあの三年共に、下剋上といこうじゃねぇか!」

「うむ! Fクラスここにありというのを、知らしめてやろうぞ!」

「‥‥‥‥‥俺達は最強(グッ)」

 

 

そして、俺達は全員で肩を組みあう。俺を含めた全員の目は‥‥‥本気(マジ)だ。

 

 

「野郎共! 改めて言うぞ! 俺達の目標はただ一つ、大会での優勝だ!! そしてそれはもう目の前まで迫ってる!! 馬鹿の底力ってやつを、見せてやろうじゃあねぇか!!」

 

「「「「おおっ!!!!」」」」

 

 

雄二の力強い叫びにそれ以上の声量で返事をする俺達。はは、これが文化祭ってやつか! 最初はどうでもいいって思ってたが、中々に楽しませてくれるぜっ!!

 

「ははっ、随分と頼もしい奴らじゃないか。その調子で頑張っておくれよ」

 

俺達の様子を見て口角を歪ませて笑みを浮かべるババァ。ふん、アンタに言われなくともそのつもりだっての。

ちなみに、腕輪の暴走に関してだが、明久専用のやつは総合科目で平均点にいかなければ起こらず、一つ二つの科目が高得点だとしても問題はないらしい。

 

「それじゃ、アタシは学園長室に戻るとするかね。アンタ達、明日は頼んだよ」

「「「「「はーい」」」」」

 

そして、ババァは静かに空き教室を出ていった。

 

 

「んじゃ、俺達も帰るとするか。家でやることもあるしーー明日も早いしな」

「‥‥‥‥‥(コクリ)」

「おうよ、そんじゃ秀吉。ゲン担ぎにラーメンでも食ってこうぜ? 今日は二郎系な?」

「またか。ホントにお主はラーメンが好きじゃのう。まぁ、空腹じゃし、別に構わぬがの」

「あ、大悟。ちょっといい?」

「ん? なんだ明久?」

 

 

 

 

「一つ‥‥‥頼みがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、波乱万丈の学園祭初日は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー明久視点ーー

 

 

「アキ、おはよ~」

「おはようございます、吉井君」

「あ、二人とも。おはよう」

 

学園祭二日目の朝。姫路さんと美波が揃って登校してきた。そんな二人に対して、慎重に言葉を選んで話しかける。

 

「あ~、その‥‥‥昨夜はぐっすり眠れた?」

「え? はい。ぐっすりでしたけど」

「そう。それじゃ‥‥‥朝ごはんはきちんと食べてきた?」

「はい。きちんと食べてきました」

「えっと、それじゃ変な夢とかはーー」

「ーーふふっ。吉井君、気を遣い過ぎですよ?」

 

あぅ。バレた。けど、暴行未遂なんて怖い目に遭ったんだ。ショックを受けてないかを心配しない方がおかしいと思う。

現に昨日雄二と姫路さん達を送っていった時も、妙に木下さんの様子が変だったしね。

 

「大丈夫です。大変でしたけど、不思議なくらい落ち着いていますから」

「そうなの?」

「はい。それに‥‥‥もしまたああいうことがあったら、きっとまた吉井君が助けてくれますから」

 

そう言って、無理のない自然な笑みを浮かべる姫路さん。

 

「アキというよりは坂本と岡崎と土屋かもしれないけどね」

 

美波も全然気にしている様子はない。どうやらこの二人、僕が思っているよりも芯が強いみたいだ。

すると、秀吉とムッツリーニが一緒に登校してきた。二人が言うには特に怪しい人物はいなかったらしい。念の為二人には姫路さん達を迎えに行って貰っていたのだ。借り物のスタンガンを持たせて。

 

「二人共、ありがとう」

「これくらいは当然じゃ。特にワシは昨日役に立てなかったしのぅ‥‥‥」

「いや、それは縛られていたんだし、仕方ないんじゃないの?」

 

むしろ同情してしまうくらいだ。

 

「ふぁあ~、お、お前ら早えな」

 

今度は大きな欠伸をしながら大悟が登校してきた。随分と眠そうな表情をしている。

 

「おはよ。随分と眠そうじゃない、岡崎?」

「ああ、昨日はちょっと野暮用があってな、徹夜だったんだ」

「徹夜ですか‥‥‥? もしかして、またエッチなゲームでもやっていたんですか?」

 

姫路さんがまさかの質問を投げかける。もう大悟がそういうことをしててもあまり驚かなくなっているんだろうか。

 

「ははは、生憎違う。実は明久と雄二に頼みごとをされてな」

「「頼み事?」」

「うん。実は、昨日雄二と一緒に大悟から勉強を教わっていたんだよ」

 

そう、僕と雄二は昨日学園長との話を終えた後、大悟に勉強を教えて欲しいと二人でお願いをしていたのだ。

理由は簡単。決勝戦の対戦科目が日本史であったからだ。悔しいことに僕は雄二に比べて点数は低い。更に相手は三年生だ。だからこのままじゃマズいと思い、学校一の実力を持つ大悟に協力を頼んだのだ。

 

「そっか、確か決勝戦の科目は日本史だったものね」

「それなら、岡崎君に教わるってことも納得できますね」

「ま、と言っても一晩しかなかったから、テストに出やすい場所をピックアップしてそれの知識を叩き込んだだけだがな」

 

そう謙遜する大悟。けど意外にも大悟の教え方は分かりやすく、暗記教科というのもあるけど、内容がスラスラと頭に入っていき、さっきのテストもいつもより全然解くことが出来た。

雄二も同様だったみたいで、テスト中もいつもより表情に陰りがないように見えたのだ。

 

 

「お、今日は無事だったか二人とも」

 

 

すると、奥から雄二が頭を掻きながら出てきた。

 

「あれ? 坂本ももう来てたの?」

「吉井君も坂本君も早いですね~」

「朝一番でテストを受けていたからね。ふわぁ‥‥‥という事で、少し寝かせてもらえるかな? 昨夜は徹夜だったから眠くて」

 

眠気で欠伸が出る。全然寝てないから当然だけど。

 

「もう、そんなので決勝戦は大丈夫なの?」

「大丈夫だ。俺も明久も大悟の鞭撻のおかげで点数はかなり稼げたからな。それよりもこの状態じゃ集中力が持たねぇ。だから俺も少し休ませて貰う」

「そうだったんですか。それならゆっくり休んでください」

「そうじゃな。喫茶店の方はワシらに任せるといい」

「俺も休みたい‥‥‥て言いたいところだが、お前らを休ませるのが先決だわな」

「‥‥‥‥‥(コクコク)」

「仕方ないわね。起きられそうになかったら起こしてあげるけど?」

「ありがとう。それじゃあ、一番喫茶店が混み合う十一時くらいに起こしてもらえる?」

 

流石にその時くらいは手伝わないとね。

 

「んじゃ、その時は俺も一緒に起こしてくれ。屋上で寝ているから。ほわぁ‥‥‥」

「それなら僕も屋上にいるからよろしくね」

 

屋上なら後夜祭用の放送機器が設置されてるだけだし、誰にも邪魔されずに眠れるな。天気もいいし、絶好の昼寝場所だ。

そして少しふらつく頭を押さえながら立ち上がり、屋上へと向かっていった。

 

 

 

 

(なあ姫路、島田。あの二人が屋上に行って、本当に寝るだけだと思うか? わざわざ屋上を選んだ理由はなんだろうなぁ?)

(えぇっ!? それってじゃあ、寝るっていうのは噓で、アキは人気のないところで坂本と‥‥‥)

(‥‥‥やっぱり、吉井君の方が受けなんでしょうか‥‥‥?)

 

 

 

 

去り際に聞こえた会話は忘れることにしよう。そしてあの大悟(キモオタ)は後でシバイておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

「さてと、行こうか雄二」

 

仮眠を終え、そこから少しの間喫茶店の方を手伝い、そしていよいよ試合の時間となった。

 

「そうだな。島田、俺たちは抜けるが大丈夫か?」

「大丈夫じゃなくても行かないと駄目でしょうが。決勝戦なんだからね?」

「後で私達も応援に行きますね」

「ここまで来たんじゃ。抜かるでないぞ?」

「‥‥‥‥‥優勝」

 

秀吉とムッツリーニがそう言って僕と雄二に拳を突き出す。ちなみに大悟は先に試合会場に行っているらしい。何でも自分の目で最初から最後まで僕らの戦いを見届けたいらしいのだ。全く、キモオタの癖にそういうところは情に厚い奴だ。

 

「分かってる。試召戦争の時みたいなヘマはしないよ。それじゃ、行ってくる」

「やれやれ。耳が痛いな」

 

 

 

僕らはその突き出されたてに軽く拳を当てて、決戦の地に向かって歩き出した。

 

 

 

 




少し間が開いてしまいましたが、ようやくモチベーションを取り戻し、登校することができました!
少ないながらもこんな作品を見てくれている読者の為にも頑張ります!

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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