問 以下の問いに答えなさい。
『相手を従わせるため肉体的、精神的に痛めつけることを何というでしょう』
霧島翔子&木下優子の答え
『石抱き 鞭打ち 火炙り 海老責め 釣責め 磔 四肢切断 串刺し 天井吊るし等に代表される拷問』
教師のコメント
正解です。ですがまさかあなた方がここまで詳しいとは驚きでした。
現代では国際法上、拷問等禁止条約によって拷問は禁止されています。分かっていると思いますが、人権を尊重し、くれぐれも類する行為のないよう、学校生活を送ってください。
坂本雄二の答え
『悪かった翔子ーーっ!』
岡崎大悟の答え
『許してくれ優子ーーっ!』
教師のコメント
深くは尋ねません。
第三十二問 現実のヤンデレはおっかない
「明久」
「ちょっといいか?」
「ん? なに、雄二、大悟」
「そういえば、例のチケットはどうした?」
「例のチケットって、如月ハイランドのプレミアムチケットのこと?」
「ああ。確か今週末がプレオープンの予定日だっただろ? 姫路を誘って行ってみたりはしないのか?」
「それか島田あたりにでも声をかけてみるのはどうよ?」
「な、何を言っているのさ二人とも! 美波が僕なんかと一緒になりたいなんて思ってるわけがないし、あのチケットを使って入場したら、如月グループの力で一緒に行った人との結婚を強要されちゃうんでしょ? そんなことになったら姫路さんと美波が可哀想じゃないか」
「そりゃあ、向こうもそんなジンクスが出来りゃあ儲けもんだからな。色んな策を講じてやって来たカップルを結ばせるだろうな」
「うんうん。そうだよね」
「だが、案外姫路も島田も満更じゃないと思うぞ」
「‥‥‥ほぇ? どういうことさ、雄二」
「いいじゃないか。勇気を出して誘ってみたら。意外とすんなりOKをもらえるかもしれないぞ」
「男は度胸、何でも試してみることが大事だぜ?」
「あ、あはは。またまた二人ってば、冗談ばっかり~。僕なんかが姫路さんや美波と結婚なんてあるわけないじゃないか」
「おいおい、やる前から諦めてどうすーー」
「それにもし僕が仮に美波と結婚したら、葉月ちゃんは僕の義理妹になるよ?」
「明久。時には諦めも肝心だ」
「ふむ。まぁ、お前がそういうならそれはそれで構わないが。けどそれなら、チケットはどうしたんだ?」
「丁度身近に結婚を考えている人たちがいたからね。その人にあげたよ」
「ん? そんなやつが知り合いにいたのか?」
「そんな奴がいるなら都合がいいな。そのままうまく結婚になれば、如月グループも喜ぶだろうしな」
「これで俺たちの安全も保証されたし、一石二鳥だな」
「そうだね。うまくいけば全員が幸せだもんね」
「その連中、うまくいきそうなのか?」
「うん。あとは時間ときっかけの問題だと思うんだ」
「そうか。うまくといいな」
「全くだぜ、アッハッハ」
「大丈夫。きっとうまくいくよ」
ーーー
ーー大悟視点ーー
『朝だよお兄ちゃん! 朝だよお兄ちゃん! 朝だよお兄ちゃん! 朝だーー』
「‥‥‥ん、ふぁ~あ」
部屋のカーテンの隙間から差し込む陽の光と、一日の始まりを告げるめるたん目覚まし時計の声で俺は目を覚ます。うむ、やはり朝一番で彼女のボイスを聞くのは実に気持ちがいい。
「確か今日は休みだよな‥‥‥けど起きるか」
と言い、俺は目覚まし時計を止めてベッドから起き上がる。俺の視界に映るのは部屋中にびっしりと貼ってある
「おはよう、
‥‥‥そして、笑顔で俺の布団に潜り込んでいる優子。
「ん? あ、ああ。おはよう」
すると、優子はすくっと立ち上がって部屋のカーテンを開く。陽光がさらに強く部屋の中に差し込んできた。
「今日は良い天気みたいね?」
「そうみてぇだな」
目をこすり、大きな欠伸をしながら、俺はまじまじと彼女の姿を見る。
今日は学校が休みというのもあってか、いつもの制服姿じゃない。上は白のインナーにグレーのシャツワンピースで、下は紺色のショートデニムを履いている。そして両耳にはエメラルドの宝石を模ったようなイヤリングをしていて、いつものずぼらさからは想像もつかないほどお洒落な格好だ。
俺は三次元のファッションなんかに全く興味はないが、そんな俺でも思わず今の優子は魅力的に見えてしまう。
「大悟‥‥‥、その、どうかな?」
「あ? まぁ、似合ってんじゃねぇか?」
「ホント? 嬉しいな♪」
嬉しそうに微笑む優子。多分秀吉にでもコーディネートしてもらったのだろうな。流石演技派な相棒だ。素材の活かし方を分かってる。
「改めて、おはよう。優子」
「うん、おはよう大悟」
布団を押しのけて、俺はゆっくりと上体を起こす。そういや、なんでコイツが俺の部屋にいるんだ? 部屋には頑丈な鍵をかけておいたはずだし、優子と会うなんて予定もない。
つまり、特にこれといって優子とは約束はしていないという事になるな。てことは‥‥‥
「優子。そこにある俺の携帯電話を取ってくれないか?」
「はい。でも何に使うの?」
「ちょっとな」
優子から携帯電話を受け取り、あるところに電話をかける。
そう、今の優子がここにいるのはーー
「もしもし、ポリスメン?」
住居侵入だ。
ーーー
ダダダダダダダダダダ! ガチャッ!
「天ぁぁぁぁああああああ!!!」
「わっ! ビックリした! 朝からどうしたの、大悟兄」
一階のリビングへ駆け込むと、妹である天が驚いた顔でこっちを見ている。ちなみに俺の家は中華料理屋を営んでおり、店と住むところが同じ建物だったりする。その為リビングの向こうはそのまま店の厨房に繋がっているのだ。
「あ、朝ごはんならもう出来てるからお腹すいたら食べてね?」
「お? そっか、済まないなーーってんなこたぁどうでもいい!! どうして優子が俺の部屋にいやがるんだ! おかげで俺は警察のオッサンにいたずら電話だと勘違いされて長々と説教されたじゃねぇか!」
「‥‥‥え? 優子姉が‥‥‥?」
天が首を傾げて困ったような顔をする。
まるで何のことだか分からないといった態度だ。何だ、まさかこれは優子の単独犯なのか? 母さんは昨日から地元の友達と飲みに行くって言ってたからまだ帰っちゃこねぇし、てっきりこのバカが優子に言われて協力してやがるのかと思ったが、俺の早とちりだったのか? もしそうだとしたら少し申し訳なかったな。いくらコイツがウザくて迷惑しかかけないクソ野郎でも、何の根拠もなしに疑うのは流石に悪くーー
「ああ、知らねぇならいいんだ。急に怒鳴って悪い。てことはあの野郎が勝手に入ってーー」
「なーんだ。優子姉もピュアだなぁ。せっかくアタシが色々手を回して、大悟兄の部屋の鍵のスペアまであげたのになー。どうせならそこで一発ヤッちゃえばいいのーーにゃぁぁぁああ!!? 大悟兄!? らめぇぇえええ!! 頭蓋骨が割れるぅぅうううう!!!」
「やっぱりテメェが絡んでんじゃねぇか!」
前言撤回。やっぱりコイツはクソ野郎だ。少しでも悪いと思った俺の気持ちを返せ。
「大悟! あんまりアタシの義妹をイジメちゃダメよ!」
「優子、止めるんじゃねぇ。俺はこのバカをたった一人の兄として躾け直さなきゃいけねぇんだ」
後ろから現れた優子が、天にアイアンクローをかます俺の右腕を掴んで止めようとする。てか勝手に義妹とか呼ぶな。
「‥‥‥アタシの言うことが聞けないなら、これを今すぐ叩き割るわよ?」
そう言って優子が取り出したのは可愛い中学生くらいの二次元の女の子がエロい表情で下着姿のままリコーダーを吹いてるパッケージが‥‥‥って! あれはまさか!?
「待つんだ優子!! それだけは勘弁してくれ!! そんなことをされたら俺の命に関わる!!」
どうしてよりにもよってあれが優子の手に渡ったんだ!? あれはエロゲ界隈でもそのクオリティーの高さと豪華声優陣による完璧な妹ボイス、そして細部にまで作り込まれたストーリー性からロリコン製造機として名を馳せ、俺だけではなく同志や明久、雄二さえも唸らせた神作『~ 俺の妹が死んで変態中学生に生まれ変わった件について ~』じゃないかぁっ!!
「大体、それは俺が鍵をかけて厳重に金庫にしまっておいたはずだぞ!? どうやって開けやがった!?」
「あ、優子姉。それって確か金庫の暗証番号、めるたんの誕生日でしょ? よくわかったね?」
「当然よ。ダーリンの事なら何でも知ってるもの♪」
なんだろう、今非常に涙が止まらない。俺には安息の地というものはないのだろうか。
「わ、わかった。天は解放しようじゃねぇか」
優子の言葉に従い、手を放す。だが彼女たちを守る為だ、仕方ない。
「いい子ね大悟。それじゃあーー」
取り返した暁には今度は電子ロックつきの金庫にでも閉まってーー
「これはアタシがへし折るだけで許してあげるね♪」
「よし優子。落ち着くんだ、それは許された時の対応じゃあない気がする」
「じゃあ、大悟にお仕置きしてからへし折る」
「更に悪化してるんだなぁ」
「じゃあ、やっぱりへし折っても許さない♪」
「返すっていう選択肢は!?」
コイツとは中学からの付き合いだが、どうしてこうなっちまったんだとたまに思う。
「やっぱり、大悟兄と優子姉はベストカップルだね」
「お前はこれをどう見たらそういう風に見えるんだ?」
「そうよね、もう夫婦だものね」
「そんなワケねぇだろうがーー待て、エスカ〇ボルグはやめてくれ」
どうしてコイツは何かあるたびに俺を撲殺しようとするんだろうか。ホント、ヤンデレは二次元限定でいいや。三次元だとおっかないだけだ。
「‥‥‥そういや、なんで優子は俺の家に来たんだ?」
「え? だって約束したじゃない。忘れたなんて言わせないわよ?」
「はい?」
すると、優子は懐から小さな紙きれを取り出す。見るとそれは何かのチケットのようだが‥‥‥?
「あ、それって確か如月ハイランドのプレミアムチケットだ! でもこれって倍率が高くて中々手に入れられないやつだよね?」
「‥‥‥なぁ優子。一応聞くが、これどうやって手に入れたんだ?」
「それがね、優しい人がどうぞってくれたの」
「へー、ラッキーだね優子姉! ‥‥‥って大悟兄? どこに電話してるの?」
「いや、ちょっとゴミ野郎に用事がな」
人間の屑があの野郎。
恐らくアイツは俺の携帯電話番号を着信拒否にしているだろうから、敢えて家電からかける。
数秒の呼び出しの後、吞気な声が電話口から聞こえた。
『はいもしもし? どちら様でしょう』
「アタシメリー、今アナタの家に向かってるのぉ‥‥‥‥‥‥‥‥シネ」
『え!? 今度は何!? 僕がなにかした!? 頼むからやめーー(ブツッ)』
少しだけ気分が晴れた。
「大悟、行こう?」
俺の手をスッと優子が握る。よっぽど行きたいんだろう。
「だが断る」
「えー、せっかく優子姉が用意してくれたんだから行ってきなよー」
「嫌だね」
「むー、どうしてそんなに嫌がるのさー?」
何も知らないくせにお気楽なことをいう天。
これが普通の遊園地ならここまで拒否はしない。だがこれは背後に如月グループが関わっている危険なものだ。そんなもんに優子と参加したら、有無を言わさず結婚の段階まで持ち込まれるのは確実だし、もし如月グループのジンクスである『どんな手段を使ってでも結婚させる』という事実を優子が知れば、俺に逃げ場はなくなってしまう。
「‥‥‥アタシは大悟と一緒じゃなきゃ、イヤだから」
優子がジィッと俺の目を見ながらそう言う。俺はこの優子の全てを見え透いているかのような視線が苦手だ。
コイツがこうやって俺に直接的に好意を示してくるようになってからやや時は過ぎたが、後から秀吉に聞いたら、どうやら俺が少年院にぶち込まれる前から好意は持っていたらしい。さすがヤンデレ、恐ろしいくらいの思い込みの強さだ。
けれど、俺は二次元を愛する男であり、三次元の女なんかと一緒になる気など無い。それにコイツだって俺なんかよりももっと良い男と付き合えるはずだ。だからここはビシッと言ってやろう。
「優子」
「右腕要らない?」
「ごめんなさい」
瞳の色が淀み、エスカリボル〇を突き付けられたので反射的に土下座した。どうしてだ、まだ名前しか言ってないし、そんなんじゃねぇのに。
「だ、だが優子、まずは俺の話を」
「‥‥‥そう、ならしょうがないわねーー」
俺の言葉を遮り、優子はトートバッグから何かの本を取り出し、テーブルに置いた。
『世界の拷問・処刑 100連発』
『子供でも分かる監禁方法 完全版』
『初心者でも簡単♪ マインドコントロール』
『女性向け催眠術 ~ 彼を一生アナタのものに ~』
「選んで♪」
「すまん。話の流れが全く分からん」
「だって、あの時言ったじゃない。大悟はもうアタシのものだって。だから言うことを聞かない悪い子にはお仕置きが必要だもん♪」
いや、これ全部お仕置きってレベルには見えないんだが?
「アタシはこの『リアルイモムシ潰し』とか面白そうだなぁ~」
「天、お兄ちゃんが今命の危機に瀕しているのにそんな吞気に構えないでくれ」
あとなにその妙に股間に寒気が走る名前。
「大悟。早く選んでくれるかな? 内容によっては結構な道具とか用意しなくちゃいけないから」
「あっ、でもこっちの『イリエワニのペンチ』とか『簡易版ファラリスの雄牛』も興味ある! 大悟兄はどれがいい?」
「うぐぅ‥‥‥っ!」
クソッタレ! どっちを選んでも俺の人生がバッドエンドまっしぐらじゃねぇか! あとさっきから拷問のタイトルが恐ろしすぎる! あとファラリスの雄牛は拷問じゃなくて処刑道具だからな!
だが、この程度のことで屈するほど、俺は弱い奴ではない! なんとかしてこの状況から脱出してーー
ドスッ!
「逃げたら殺すから」
「よし、遊園地に行こう。準備するから待っていてくれ」
うん、意地張るの辞めよう。だって命は一つしかないんだから。
さて、予告した通り、今回から本編の3・5巻に当たるストーリーの、如月ハイランドパーク編です。
行けば必ず結婚させられるという地獄の場所へと赴くことになった大悟の運命やいかに?
あ、勿論雄二と翔子も登場させます、いわゆるダブルデートってやつですかね?
それではまた次回。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ