問 以下の問いに答えなさい
『火傷をしたときの正しい処置を答えなさい』
姫路瑞希の答え
『急いで水で冷やす』
教師のコメント
正解です。さすがですね、姫路さん。
流水で冷やせない部分の場合は、患部に清潔なタオルをかけてから水をかけましょう。低温火傷や、明らかに広範囲または重度の場合は、患部を清潔なタオルで覆ってすぐに病院へ行きましょう。
土屋康太の答え
『手切れ金を払う』
岡崎大悟の答え
『奥さんに土下座する』
教師のコメント
それは大人の火遊びです。
ーー大悟視点ーー
「「‥‥‥俺達は‥‥‥無力だ‥‥‥」」
入場ゲートの前で、俺と雄二はそう弱々しく呟き、互いに肩を抱き寄せていた。
結局、俺は優子と一緒に如月ハイランドに行くことで話が決まってしまった。これは仕方なかったんだ! 勿論行きたいワケでは無かったのだが、もし頑なに拒否しようものなら、今頃俺は亀甲縛りからの股間潰しが待ってたかも知れない! あの殺伐とした場所から逃れる為の苦肉の策だったんだよぉ! 決して怖くてビビったワケじゃねぇんだからなっ!
そしてさぁ行こうかという所で、やけに嬉しそうな霧島と、俺と同じく死んだ魚の目をした雄二と出会した。どうやら霧島と優子とで一緒に行く約束をしていたらしく、どうやら雄二も俺と似たような境遇らしかったのだ。あぁ神よ。あなた様は俺達の事が随分とお嫌いなようだ。なんて俺達は不幸なんだろうか、そしてーー
((あの
そう俺達は固く誓ったのだった。
「‥‥‥やっとついた」
「へぇ、思ったよりも楽しそうな所じゃない」
嬉しそうにアミューズメントパークを見ている優子と霧島。
‥‥‥ううむ。そんな姿を見ていると、少しは付き合った甲斐があるのかも知れないな。全く、強がってはいるが所詮はまだ子供だなぁ。
「よし、じゃあ優子」
「それじゃ、翔子」
「‥‥‥うん」
「そうね、早速ーー」
「「帰ろう」」
スタスタスタ‥‥‥ミシッ
「どこに行くのかしら? 大悟」
優子に手首を掴まれた。それも握り潰さんとする位のパワーで。
「はっはっは、優子。俺の手首関節はそっちの方には曲がらないからな?」
「大丈夫♪ バラバラになった骨はアタシが一つ残らず拾ってあげるから♪ だって大悟の髪の毛から指先の爪まで全部アタシのものだもん♪」
ヤバい。笑顔でなんて恐ろしい発言をしやがるんだこの女は。このままでは俺は今後の人生を隻手で過ごすことになってしまう。あと俺の関節をへし折ることは確定なんですねド畜生め。あれ? 指先が冷たくなってきたぞ?
一方で雄二は霧島に同じように肘を極められていた。
「‥‥‥雄二。往生際が悪い」
「次逃げようとしたら顎骨だからね、大悟?」
「わ、分かった! だから手を離してくれ優子! ああっ! 段々と手首の間隔があっ!?」
「ぐあっ! せめて関節技を解いてから歩いてくれ! 本当に肘が逆方向を向いてしまう!」
そして二人の可哀想な男達は、それぞれの片腕を人質に取られながら入場ゲートへと連行されていった。
すると、引きずられている俺に雄二がこっそりと耳打ちしてきた。
(‥‥‥おい、大悟。話がある)
(ん? なんだ雄二。俺は今手首から下がもぎ取られるかどうかの瀬戸際なんだが)
(まぁ聞け。ここは俺と協力しようじゃねぇか。このままだと俺達は二人仲良く人生の墓場へとまっしぐらだ。お前もそれは何とか阻止したいだろう?)
(当たり前だ! 俺は二次元を愛する男! 三次元なんぞに人生を狂わされてたまるか!)
(ああ、理由はさておき、俺も同意件だ。だから俺達二人が手を組んで、このウェディング企画なんてモンをどうにか乗り切るんだ。それ以外に助かる道はない)
(‥‥‥そうだな。これも俺達の自由と操を守る為だ、その提案乗ったぜ)
(よし、協定成立だな。俺達は必ず生き残って帰るぞ!)
((
そして、俺と雄二は静かに頷く。
今ここに、男達の命運を分けた死のデートが始まるのだった。
ーーー
「いらっしゃいマセ! 如月ハイランドにようこソ!」
入場ゲートでそう告げるスタッフらしき男。その少し訛りの混じった口調と顔つきから、日本人では無いことが伺える。中国系の人だろうか?
「本日はプレオープンなのですが、チケットはお持ちですカ?」
「‥‥‥はい」
「これでいいですか?」
「はい、拝見しマー‥‥‥」
すると、霧島と優子が差し出したチケットを見たそいつの表情が固まった。
「あの、どうかしました?」
「‥‥‥そのチケット、使えないの‥‥‥?」
「あ、イエイエ、そんなコトはないデスよ? デスが、ちょっとお待ちくだサーイ」
係員はそう言って後ろを向き、携帯電話で電話を始めた。
「ーー私だ。例の二人組を発見した。すぐにウェディングシフトの準備を始めろ。確実に仕留める」
『了解』
「「待てやコラ、なんだ今の不穏な話は」」
コイツまさか、例の如月グループの息がかかった人間か?
「‥‥‥ウェディングシフト?」
「うん? 何ですかそれ?」
「気にしないでくだサーイ。コッチの話デース」
取り繕ったように元の雰囲気に戻る係員。気づかれないとでも思ったのだろうが残念だったな。もう俺達にはバレバレだ。
「おい、アンタさっき流暢な日本語で喋っていなかったか?」
「オーウ。ニホンゴむつかしくてワカりまセーン」
殴りたいなぁこの顔。
「ちなみに、そのウェディングシフトとやらは必要ないぞ。入場さえさせてくれたらあとは放っておいてくれていい」
「こっちもだ。俺達は純粋に遊園地を楽しませて貰うとしよう」
その隠すという気持ちが一切見られない清々しいネーミングから何をしようとしてるのがすぐに分かったからな、ならんなモンに参加する必要は全く無い!
「そんなコト言わず二、お世話させてくだサーイ。トッテモ豪華なおもてナシさせていただきマース」
「要らん」
「不要だ」
「そこをナントカお願いしマース」
「断る」
「ダメだ」
「この通りデース」
「しつけぇ」
「却下だ」
「断ればアナタ方のお母様に当パークのイメージキャラクターとして可愛いコスプレをして貰いマース」
「「やめろぉぉおおっ!!!?」」」
なんて身の毛もよだつような狂言を発しやがるんだこの似非外国人は! 雄二の母親は分からんが、うちの母親は何でも面白そうだと思ったら簡単に首を縦に振っちまうような人なんだぞ!? 間違いなく引き受けちまうに決まってんじゃねえか! てかそれ以前に実の母親が『みーんなー! 如月グランドパークにようこそー!』ってキャピキャピしてる姿とか見たくねぇ!!
「なんて恐ろしい脅迫をしやがるんだ、この似非外国人め‥‥‥!」
「俺達が一体何したって言うんだよ‥‥‥!」
結局、俺達はヤツの条件を呑むしか選択肢は残されていなかった。
「それでは、マズ最初に記念写真を撮りますヨ?」
「記念写真?」
「ハイ。サイコーにお似合いのあなた方の愛のメモリーを残しマース」
「愛のメモリーだぁ? 笑わせるな。俺は未来永劫めるたんを始めとした二次元の女の子しか愛さないと決めてあだだだだだだだだーーっ!!」
「大悟と、愛のメモリー‥‥‥(カァァァァ)」
「‥‥‥‥‥雄二と、お似合い‥‥‥(ポッ)」
似非外国人の言葉に仄かに頬を赤らめる霧島と俺の指を明後日の方向に曲げながら顔を紅潮させる優子。
頼む。作家にとって人差し指はなくてはならないものだから乱暴にしたららめぇぇええ!
「お待たせしました。カメラです」
「オヤ、アナタが持ってきてクレたのデスか。わざわざありがとうございマース」
すると、もう一人のスタッフらしき人物がカメラを持ってやってきた。やけに帽子を深く被っているな。‥‥‥というかさっきの声、やけに聞き覚えがあるんだが。俺の悪友の全米ナンバーワンレベルのバカとの呼び声もある吉井明久の声にそっくりだ。
隣を見ると、雄二も怪しむような目でそいつを見ている。よし、まさかとは思うが、確かめてみよう。
「そういや雄二。俺さ、昨日仕事用のパソコンが壊れちまってさー。だからしばらくは同人活動は休業になっちまうんだよ」
「そうなのか? でもお前、明久と取引してたんじゃなかったか?」
「ああ。だがこんな状況じゃあーー取引は中止だな」
「えぇっ!? 大悟! それはあんまりだーーーあっ」
あっさり正体看破。さぁ、狩りを始めようか。
「‥‥‥いよう明久。テメェ、面白いことしてるじゃねえか‥‥‥」
「アタシ、メリー。今、アナタの目の前にイルノォ‥‥‥‥‥」
「人違いですっ!」
ダッ!
「「逃がすかコラ! 待ちやがれ明久ァ!!」」
俺と雄二は逃げた馬鹿を追いかけようとする。すると俺達の目の前を似非外国人が遮った。
「邪魔をするな! 俺達はあのバカを捕まえてボコって海に沈めるという役目があるんだ!」
「大悟の言う通りだ! だからそこを退けこの似非外国人!」
「違いマース。彼はココのスタッフのエリザベート・ハナコ・ロドリゲス・武司(三十五歳)、通称スティーヴでース。吉井ナントカさんではゴザイマセーン」
「黙れ! 人種性別年齢氏名全てに堂々と嘘をつくな! しかもどう考えてもその名前でスティーヴはないだろう! あと名前もハナコなのか武司なのかどっちだよ!」
「それに俺達は一度も吉井なんて苗字は口にしていないぞ! やっぱりテメェ如月グループの差し金だろう!」
コイツに絡まれてしまい、結局明久を見失ってしまった。あんのクソ野郎、やっぱり俺達をハメるつもりでこんな真似しやがるんだな‥‥‥! 人の人生をなんだと思っていやがる! 日頃の仕返しにしても限度ってものがあるだろうが!
「待てよ‥‥‥てことは、明久以外にも協力者がいやがるな!?」
「ああ、それも遊園地のスタッフとなれば、明久達だけで計画したとは思えない。恐らくあのババァも関わってるだろうよ。明久には借りがあるから断れなかったんだろうな。クソッ、どいつもこいつも人の不幸を何だと思ってやがる‥‥‥」
さて、こうなってくると俺達が助かる難易度は大幅に跳ね上がってくる。明久一人ならまだしも、秀吉や同志、姫路や島田といった奴らが協力しているとなると、俺たちの素性や性格を分かっている分、簡単には突破できないような多くの罠が施されていることは明白だ。某弾幕シューティングゲームもビックリの無理ゲーだよコンチクショウ。
(‥‥‥大悟、やるぞ)
(やっぱり雄二もそう思うか)
(ああ、こうなってくると俺たちの力じゃ実力不足だ。ならこうすることが最善の近道だろ? それに幸運にもここは人の密集場所だ。どうにでもなる)
(そうだな。RPGでも敵わないと分かったら即座にこうするもんな。よし、乗った)
雄二が隣で周りには殆ど分からない程度に小さく頷く。
霧島と優子は二人で仲良く会話していて、俺たちの方を見ていない。よしよし、いいぞ‥‥‥。俺と雄二は静かにその瞬間を待つ。
「それデハ、写真の準備をしますノデ、少しお待ちくだサーイ」
そして、似非外国人の意識が手元のカメラにいったーーーここだぁっ!!
「「散開っ!!」」
その瞬間、俺と雄二は一斉に出口に向かって走り出そうと足を踏み込みーー
ダッ(俺と雄二が走り出す音)
スッ(高速で優子と霧島が前に立ち塞がる音)
ガシッ(俺は顎を、雄二は顔面をわしづかみにされる音)
ミシミシミシ(骨が軋む音)
「「ぎゃぁああああああああっ!!?」」
ーーあっさりと阻止されてしまった。勝てないので敵前逃亡しちゃえ作戦、失敗だ。
「大悟? どこに行こうとしてたのカナ? 次逃げたら顎骨って言ったわよね?」
「‥‥‥悪いことをした雄二には、お仕置き」
「あががががっ!! ごげんなざいごげんなざぁぁぁい!!」
「ぐぁああああっ! 俺の頭蓋骨がぁああっ!」
優子の人間離れした握力によって顎骨が軋む音が聞こえてくる。
「では、写真を撮りマース。はい。チーズ」
近くでフラッシュが焚かれ、カシャッっというシャッター音が二回聞こえた。
その間にも俺は優子にそのまま顎を砕かれようとしている。ああ、治療代ってどんぐらいかかるんだろうか?
そのま少しの間を置いて、似非男が写真を持ってきた。
「ーーはい、出来マシタよ」
「‥‥‥ありがとう」
「どんな感じかしら?」
二人は嬉しそうに写真を受け取り、同時に俺たちを解放した。あ、顎が痛い‥‥‥。
「大悟、見て。アタシたちの思い出よ♪」
「‥‥‥おい、なんだこれ」
顎をさする俺に、優子がそれを見せてきた。写っているのは瞳から光が消えた優子と苦痛に悶える俺の後頭部。そしてその二人を囲うようなハートマークに可愛らしい書体で『私達、幸せになります』と書かれていた。
隣を見ると、雄二も苦い顔をしている。そっちの写真も覗いてみたら、似たような感じだった。
「サービスで加工も入れておきまシタ」
「そうか。俺から言えることは明らかに写真の内容と周りのデザインが嚙み合っていないんだが」
「どう見てもこの二人に幸せは訪れそうにないしな」
「ちなみに、コレをパークの写真館に飾っても良いデスか?」
「お前は馬鹿か!? こんなもん飾ったらここのテーマパークのイメージダウン確定だぞ!?」
見に来る客は間違いなくドン引きだろう。
「大悟、ひょっとして恥ずかしいの? 可愛い♪」
「お前はこの写真のどこに恥ずかしがる要素があると思ったんだ?」
はぁ、来たばかりだってのにもう気疲れがどっと出たわ。と思っていると、
『あぁっ! 写真撮影してる! ねぇねぇ、アタシら皆も撮ってもらおーよ!』
『おぉ、それは名案だな! てことでおい、そこの係員。俺達も写ってやんよ』
さっきの似非野郎のもとに、やけにチャラい感じの二人組カップルがやって来た。
「すいまセン。こちらは特別企画でスので、一般のお客様は‥‥‥」
『あぁっ!? いいじゃねーか! オレたちゃオキャクサマだぞコルァ!』
『キャー、リュータ、かっこいーっ!』
『そーだよ! そりゃあ差別じゃねーのか、あぁ!?』
『ほら、拓郎の言う通り、早く写真撮んなさいよ! オキャクサマは神様なんでしょ!?』
次々に似非野郎を威嚇するチンピラカップル共。ったく、随分と自分勝手な奴らだな。まるでクレーマーみてぇだぜ。
ま、あの似非野郎も運がなかったとしか言いようがないな。そんじゃ、あのチンピラ共が係員の注意を引いているうちに離れるとするか。
『あぁ! グダグダ抜かしてねぇでさっさと撮れっつってんだよ! 痛い目にあいてぇのか!?』
「ひぃいっ!?」
すると、そのうちの一人が痺れを切らしたのか、似非野郎の胸倉を勢い良くつかみ上げてそう脅した。それによって他の一般客たちがビビったような態度を見せる。中には怯えている子供までいた。
全く、ああいう奴らは下手に相手をすると執拗に絡んでくるから面倒なんだよな。だが流石にこんな所で暴力沙汰はマズいよな、いくらムカつく奴とはいえどもこんな理不尽な理由で殴られるのは流石に可哀想だ。
「優子、雄二、霧島。ちょっと待ってろ」
「大悟?」
俺は三人にそう言って、そのチンピラのもとにゆっくりと歩み寄る。やれやれ、穏便に終わるといいんだがな‥‥‥
『ムカつく野郎だなぁ! テメェホントに』
「まぁまぁ、その辺にしときましょうよ」
俺はそう告げ、二人の間に割って入った。
『あ? なにお前? お前には関係ねぇだろ? 退けよ』
当然そのチンピラは俺に視線を向ける。金髪で耳にピアスをつけた典型的なヤンキー崩れみたいな野郎だった。急に邪魔されたのが気に入らないのか、似非野郎から手を放して、下から俺を睨みつける。
「そう怒らないで。憤慨する理由も分かりますけど、ここは穏やかにいきましょうよ? せっかくの遊園地ですし、何より暴力はいけませんよ」
そうやんわりとそいつに注意する。ってコイツ煙草くせぇな。
『あぁ!? なんだそりゃあ!? 偉そうにしやがって! 俺を舐めてんのか!』
『なにコイツ、マジキモイんですけどー』
「別に舐めてはいませんよ。ただそんな荒っぽい真似をされると遊園地側に迷惑がかかりますし、何より楽しみで来ている他の客の雰囲気が悪くなるんです。その程度、考えなくても分かるでしょう?」
『んだとテメェ! 俺が馬鹿だって言いてぇのかよ! いい加減にしねぇとテメェもぶっとばすぞ!』
するととうとうそいつは俺の胸倉を掴んで自分に引き寄せてきた。俺の方は身長は高いので前屈みになる感じだ。
やっぱりこうなったか。だがこういう時こそ感情的になるのはダメだ。こちらあくまでも下手な態度を保ち続けるのが基本だからな。
「だから落ち着いてください。子供も見ています。そんな感情的にならないでーー」
『うるせえ!』
ドゴッ!
そんな罵声と共に、左頬に鈍い衝撃が走る。そのチンピラに殴られたせいだ。
そしていきなりの攻撃だった為、俺は態勢を崩してしまい大きく尻餅をついてしまった。
「「っ!?」」
『おいテメェ‥‥‥あんま調子に乗ってんじゃねえぞ。関係ねぇ癖にしゃしゃり出やがって、何様なんだよオラァ!』
「‥‥‥‥‥」
『ほら、やり返してみろよ。そんな偉そうな態度とんならよぉ、喧嘩の腕にも自信があるんだよなぁ?』
『ほらほら、あんまり怖がらせちゃ可哀想だよ~、拓郎?』
俺の態度から自分たちの方が立場が上だと判断したのか、明らかな挑発態度をとるカップル。だがここで冷静さを欠くわけにはいかない。てか実際そんなに痛くねぇしな。
『なんだ、やり返せねぇのか? あんだけ言っといて何も出来ねぇのかよ腰抜け!』
「‥‥‥‥‥」
『チッ。んだよ、つまんねーやつだな。カスはカスらしく大人しくしとけってんだよ、ペッ!』
『拓郎~こんなキモい男ほっといて早くいこ~』
最後にそのチンピラは唾を吐いて、俺の前から消えていった。
ふぅ、ようやく終わったか。全く大人しくしているというのも案外疲れるもんなんだな。少年院でそういう我慢強さも鍛えられたが、ここで役立ったというべきだな。
「はは、大悟。酷くやられたな」
「‥‥‥岡崎、大丈夫?」
二人がそう言って俺の元まで近づいてくる。霧島と違い、雄二は特に俺の心配はしていないようだ。
俺はゆっくりと立ち上がり、持ってきたちり紙で唾を拭き取る。
「ああ、問題はねぇ。だが如月ハイランドも運が悪ぃな。せっかくの宣伝のイベントなのにあんな馬鹿共に見舞われちまうとはな‥‥‥‥‥っておい、優子。どこ行くんだよ?」
突然優子が血相を変えて歩き出したので、その肩を掴んで引き止める。
「‥‥‥だってアイツら! 大悟の事を悪く言ったし、殴ったりもしたから許せない‥‥‥!」
「落ち着け。いいか優子? ああいう連中に馬鹿正直に相手する必要なんかねぇんだよ。適当にこっちが下手な対応してりゃあ勝手に消えるんだからな。面倒事はそうするに限る」
「でも‥‥‥!」
「お前もそんな程度でいちいち怒ってたらキリがねぇぞ? 俺にとっちゃたかが暴言吐かれてへなちょこパンチ食らって唾を吐きかけられただけだ。そこまで怒るほどの事じゃない。俺たちがやることはあんなチンピラの事なんざ忘れて遊園地を楽しむんだよ。わかったか?」
「‥‥‥大悟がそこまで言うんなら」
それにコイツだと、勢い余ってあのチンピラ共を撲殺しかねないし。流石に友人を猟奇殺人犯にするわけにはいかないからな。
そして気持ちを切り替えて、俺たちは園内を探索することにした。
少しだけ本編と展開を変えてみましたが、いかがだったでしょうか? 正直オリジナル展開を考えてるのが楽しくなっている自分がいます。
それではまた次回
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ