問 以下の問いに答えなさい
『物事は繰り返されるものである』を、ことわざで何と言うでしょう?
姫路瑞希の答え
『二度あることは三度ある』
教師のコメント
正解です。さすがですね、姫路さん。
『ある事三度』「一災起これば二災』という言葉もあります。良くない事が続く時などによく使われる言葉です。
同じ過ちを起こさないよう、一度目の教訓を生かして対処しましょう。
木下秀吉の答え
『輪廻転生』
教師のコメント
来世もFクラスですか?
岡崎大悟の答え
『異世界転生』
教師のコメント
確かに最近のアニメじゃ多いですけど‥‥‥
ーー大悟視点ーー
「いいかお前ら、タイミングは女子共が脱衣所に集まっている時だ! そこに突入次第、火傷の痕がある尻を見つけ出せ!」
「「「「了解!」」」」
改めて目的を確認し、廊下を走る俺、雄二、明久、秀吉、同志の五人。幸いにも男女ともに入浴時間であった為、人通りは皆無だ。
「そんで、女子風呂っていうのはどこにあるんだ?」
「‥‥‥‥‥この階段を降りてすぐに宴会用の客間がある。そこを抜けてしばらく廊下を進めば突き当りに女子風呂」
「なるほど。それじゃあ外からの覗きは無理ってことだね」
「そういうことだ。時間が無い。一気に突っ込むぞ」
雄二の宣言に俺たちは五人で頷き、丁度目の前に見えた下へと続く階段を降り始める。
そしてあっという間に階段を下り切り、女子風呂へと続く道がある客間へ一気に駆ける。
「君たち、止まりなさい!」
すると、前方から何者かの制する声が聞こえてきた。その声の主を見てみると、そこには見慣れた男性教師が一人立っていた。
「チッ‥‥‥教師か。てことはもう俺たちの件が向こうに広まってるってことかよ」
「あれは‥‥‥化学の布施先生!」
「やれやれ‥‥‥更衣室にカメラが設置されていたと聞いて警戒してみたら、まさか本当に覗き犯がやってくるとは思いませんでした」
明久の言う通り、アレは俺たちFクラスの化学担当教師の布施だ。チッ‥‥‥厄介だな。女子だけならまだしも、教師陣まで敵に回っているということは、俺たちにとって不利以外の何者でもないからだ。おそらくこのまま捕まったら鉄人に引き渡されて教育的指導という名の鉄拳制裁を受けることになるだろう。だったらーー
「雄二! こうなりゃあ!」
「ああ! 全員でアイツをぶちのめして進むぞ!」
「待ちなさい坂本君! 私は一応教師ですよ!?」
「んなもん関係ねぇ! 心配すんな! 痛くねぇようにすぐ済ますからよ!」
「岡崎君!? 全然安心ができないのですが!?」
「というワケで明久! 先陣をきれ!」
「了解! 一撃でケリをつける!」
「吉井君も了解じゃないでしょう!?」
狼狽える布施先生。だが悪いな。これは俺たちの濡れ衣の返上と自由を勝ち取る為の戦いだ! そのためなら例え相手が教師だろうと力づくで突破するのみ!
あといっつもよくわからん記号やら計算式ばっかテストに出しやがって! 全然解けねぇんだよ! だからついでにその溜まりに溜まった鬱憤と怒りをここでぶつけてやるぜ!!
「というワケで布施! くたばれぇぇええっ!!」
「この前の補修の恨みをくらえぇっ!」
「お主ら、思いっきり私心で行動しておらんか!?」
秀吉が何か言っているが気にしない。くらえ! かつて雄二をはじめ何人もの不良達を再起不能にしてきた必殺の一撃、『恋のラブリー☆顔面砕き』をぉぉおおおっ!!
「「死ねぇぇえええ!!」」
「ひぃぃいいっ! さ、
すると、布施の喚び声と共に、突如現れた存在に攻撃を阻まれた。
「あれは‥‥‥試験召喚獣!」
「マジかよ‥‥‥教師も持ってたのか‥‥‥」
布施の前にいたのは、普段俺たちが戦争で使役しているのと同じ試験召喚獣だった。布施が化学を担当科目にしているのが反映されているのか、白い白衣にフラスコのような武器を持っている。
だが、注目すべき点はそこではない。先ほど俺と明久の攻撃を防いだのがあの召喚獣に間違いない。ということは、俺たち生徒の召喚獣とは違い、物体に触れる事が出来る。
つまり布施‥‥‥いや、教師陣の召喚獣は《観察処分者》である明久と同じく物理干渉能力が備わっているということなのだ。
「くっ‥‥‥明久と同じ能力持ちか‥‥‥面倒だな」
「ふぅ、間に合いましたか‥‥‥。まぁ、吉井君が観察処分者に認定されるまでは雑用を自分たちでやっていましたからね。物に触れる方が都合が良いのですよ。こういった若者の暴走を止めなければいけない場合もありますし」
確かに、召喚獣は例え明久レベルのバカが喚び出してもその力は生身の人間の何倍もの力がある。そりゃあ教師からしたら雑用を手伝わせるにはもってこいな存在だよな。
「けど、卑怯じゃないですか! 自分たちが作ったテストで召喚獣を喚び出したら強いに決まってますよね!?」
「そうだ! そんなのチーターだ! ティーチャーのチーターでチーチャーだ!」
何言ってんだ俺。
「いや、正式な勝負という訳ではないので卑怯も何もないですし、それ以前に自分たちが一方的に暴力を振るおうとしたことを棚に上げていませんか‥‥‥?」
「そうやっていつも詭弁で僕らを騙そうとするなんて、大人はなんて卑怯なんだ!」
「それに、教師も他の学年の先生が作ったテストを受けているのですよ?」
「「え? そうなの?」」
話によると、学園長の方針曰く『教える側にもそれに相応しい学力が必要だ』ということで生徒と同じように教師にもテストを受ける義務があるらしい。あのババァ、傲慢で無礼な癖にそういうところはしっかりしてんだな。
「さて、それでは大人しくしてもらえますか?」
「チッ‥‥‥どうする雄二?」
「‥‥‥‥‥女子の入浴時間終了まで、もうすぐ」
「こうなりゃあ徹底抗戦だ! 布施を召喚獣ごと叩き潰すぞ!」
そうか。確かに布施の召喚獣は脅威だが、当の本人を潰しちまえば問題はないし、ルールにも『召喚者に危害を加えてはいけない』なんてもんはないからな。
まあ多分後で死ぬほど制裁をくらうだろうが、そんなことを考えている暇はない!
「分かったぜ雄二! ここは任せたぞ!」
「うん! 行こう大悟!」
「待てやコラ。一応聞いておくが、お前たちの化学の点数はなんだ?」
先を急ごうとする俺たちを止める雄二。ふっ‥‥‥さては俺たちが酷い点数を取ったんじゃないかと危惧しているな? 全く、舐められたもんだぜ。
ええっと、最後に受けた化学のテストは‥‥‥
「あと一点で二桁だったと思う」
「もうちょっとで片手分の点数が取れたぜ」
「先に行ってろ生ゴミと粗大ゴミ」
何故だっ!? 今までの俺の自己最高点数だというのに! リトマス紙が青くなるってことは分かったんだぞ!
「雄二、教師相手に一人では辛かろう。ワシも手伝おう」
「いや、ここは俺一人で何とかする。目的は一人でも多く女子風呂に辿り着くことだからな。お前も先に行け」
「じゃが、雄二ーー」
「心配すんな。すぐに追いついてみせるさ。
そう言って、雄二が召喚を開始する。すると床に紋様が浮かび上がり、召喚者の姿をデフォルメした召喚獣が現れた。
「むぅ‥‥‥雄二がそういうのであれば従おう。大悟、明久、ムッツリーニ。先を急ごうぞ!」
「うん。ここは雄二に任せて先にーーって、ムッツリーニがもういない!?」
見ると、既に同志は先に走り出していた。流石の行動力だ。
「俺たちも後に続くぞ!」
「うん!」
「了解じゃ!」
同志を追いかけて俺たちも走り始める。
「こ、こら! 三人とも待ちなさい!」
「布施セン。悪いがそいつらは追わせねぇ。しばらく俺と遊んでもらうぞ」
そんな雄二のやりとりを背中で聞きながら、俺たちは更に先に進む。よし、もうすぐ行けば大広間だ。
と、思っていると、
「そこで止まれ」
その行く手には更に別の刺客が立ち塞がっていた。あれは確か‥‥‥保健体育の大島!
「‥‥‥‥‥大島先生」
同志が苦々しく呻く。それもそのはず、大島は保健体育担当ということで、同志にとっては師匠的存在だからだ。
だが、こっちの同志は全点数のステータスを保健体育に全振りしている男だ。その実力は向こうも分かっているだろう。そう簡単にやられはしない筈だ。
「ムッツリーニ」
「‥‥‥‥‥(コクリ)」
明久に真剣な表情で返し、大島の前に歩み出た同志。
「‥‥‥‥‥大島先生」
「なんだ」
「‥‥‥‥‥これは覗きじゃない」
「それなら何だと言うんだ?」
同志の言葉に話を聞く態度を見せる大島。ほう、話し合いに持ち込むつもりか。さて、同志の説得力がどこまで通用するか‥‥‥‥‥
「‥‥‥‥‥これはーー」
「‥‥‥‥‥」
「ーー保健体育の実習」
「
話し合い決裂。実に口惜しく残念だ。
「‥‥‥‥‥
同志が不満そうに召喚獣を喚び出す。多分あれで説得できると思ってたんだろうな。
「仕方がない。大悟、明久。ここはムッツリーニに任せて先を急ぐのじゃ!」
「そうだね! それじゃあむムッツリーニ! 先生を片づけたらまた会おう!」
「お前の力を信じて背中を預けるぜ! 同志!」
同志にそう言い残し、俺たちは先を急ぐ。
「片付ける、か‥‥‥。いいかお前たち。教師をーー舐めるなよ」
体育教師 大島武 663点
保健体育 VS
Fクラス 土屋康太 424点
「‥‥‥マジかよ」
走りながら、後ろで表示された大島の点数を見て言葉を漏らす。
まさか、あの保健体育の貴公子こと同志を大きく上回る点数を持っているとは‥‥‥伊達に教師はやってないってことか。
「あんな点数が取れるなんて‥‥‥」
「さすがは人にものを教える立場の人間じゃ。一筋縄ではいかぬのう」
隣の二人も大島の点数を見て思わずそう呟く。こうなってくると、おそらくこの先にも何人かの教師が待ち構えていることだろう。だが、だからといってこのまま引き下がるわけにはいかない。
すると、目の前に通過地点である大広間の扉が見えた。
「ついた! あそこを突破すれば女子風呂にたどり着くよ!」
「よっしゃあ! もうすぐで目的達成だ! 野郎ども、ふんどし締め直せよ!」
「「おうっ!!」」
力強く頷き、目の前の扉をぶち破らんぐらいの勢いで強引に開き、中へと突入する。そこは床が高級そうな絨毯で敷き詰められ、上には小洒落たシャンデリアがあり、奥には小さなステージが見える。そして大人数で使う用の部屋と言うだけあり、天井高や奥行きが上の階で一番広い食堂の倍はありそうな感じだ。
本来なら宴会用にテーブルや椅子が沢山置いてあるんだろうが、この部屋は今回は使わないのか、今はもぬけの殻状態になってるようだ。
まあいい。俺たちの目的はこの先だ。こんなとことっととーー
「待って! そこの三人っ!」
すると、三度俺たちの道‥‥‥女子風呂へと繋がる廊下の扉の前に立ち塞がる存在を視認した。先ほどの布施や大島に比べると声質が全然高く、トーンも高い。まさか‥‥‥この声は!
「岡崎君、吉井君、木下君! 勝手な真似はそこまでだよっ!」
「くっ、やはりまだ刺客がおったか‥‥‥!」
「大悟、あれは‥‥‥!」
「クッ‥‥‥! 落合の姐御‥‥‥!」
俺たちの前で立ち塞がるのは、二学年の社会科目担当の女教師、落合夏音先生だった。
そして何気に、俺と姫路の一年時の担任の先生であったりもする。
「落合の姐御! そこを退いてくれ! 俺たちには時間がねぇんだ!」
「岡崎君、いい加減にその姐御って呼び方はやめて先生って言いなさい! それから君たちが何をしていたかも知ってるからね! ここを通すわけにはいかないよ!」
そう言ってその小柄な体で扉に陣取る姐御。
彼女は文月学園の教師陣の中で最も最年少であり、まだ教師という経験が浅いにも関わらず、その分かりやすい授業内容と本人の朗らかで優しい性格は学年問わず定評があり、それに加えて姫路や優子、秀吉に匹敵するくらいの愛くるしい童顔とスタイルを持っているため、男子からは絶大な人気を誇るとともに、ダイゴブックスが行った『第一回コスプレイヤー王決定戦』では審査員(俺、明久、同志)特別賞を受賞。『彼女にしたいランキング』では何故か教師なのにランクインを果たした猛者だ。
ちなみに何度か俺と同志で『靴を舐めるのでもう一回コスプレしてください』って土下座したけど未だに断られ続けてる。
「それに‥‥‥女の子の裸を覗こうだなんて‥‥‥、岡崎君たちも年頃の男の子だからわからなくはないけど、それは犯罪なんだからねっ! 見られた女の子たちの気持ちも考えないと駄目だよっ!」
「そんなのは分かってる! だが姐御! 俺たちは別に女子の裸が見たくてこんなことしてるワケじゃねぇんだ!」
「えっ? じゃあ、何のためにやってるの?」
キョトンとした表情で姐御が動きを止めた。
そうだ、俺たちの目的はあくまでも真犯人探し。そしてその犯人がたまたま女子で尻に火傷の痕がある人だったというだけなのだ。それに俺はさっきも言ったが三次元の女の裸なんぞ眼中にない(但し葉月ちゃんをはじめとした女子小学生から中学生上がりたては例外)。だからここは真実を隠しつつ、姐御に納得してもらえるように言葉を選ぼう。
「いいか姐御。俺たちはーー」
「うん」
一呼吸置き、告げた。
「ただ‥‥‥女子生徒のケツを確認しに行くだけなんだ!!」
「駄目に決まってるでしょ!?」
僅か一秒足らずで説得終了。馬鹿な、完璧な発言だったはずなのに。
「大悟よ‥‥‥それでは更に誤解を招いてしまうぞい‥‥‥」
「え? 俺なんか変なこと言ったか?」
「むしろあれがまともな返しだと思ってたのかい、大悟?」
そう言って二人に揃ってため息をつかれる。おい、なんだそのバカを見るような目は、実に解せない。
「そ‥‥‥そんなの、不埒だよっ! 破廉恥だよっ!! よりにもよって年頃の女の子たちの‥‥‥その‥‥‥お尻を見ようだなんて、絶対許さないからね!」
顔を紅潮させ、アワアワしながら姐御が叫ぶ。あの程度で破廉恥とかって取り乱すとか、どんだけウブなんだあの人は。
だが、これで話し合いの余地は無くなった。ならば残された手段は一つだ。
「‥‥‥姐御、本当に退かないんだな?」
「当然だよ! 生徒を守るのが教師の役目だからね、何があっても退くつもりはないよ」
「そうか‥‥‥ならーー」
「アンタを倒して、力づくでも通らせて貰うぞ!
力強く言い放ち、俺は召喚獣を喚び出す。すると俺の足元に魔法陣が浮かび上がり、俺そっくりの召喚獣が現れた。Aクラス戦の時と同じく、和装束に巨大な金棒、右腕には金の腕輪装備状態だ。
「大悟よ、流石に相手はあの落合教諭じゃ。雄二と同じようにはいかぬ。じゃからワシも助太刀させて貰うぞ」
「いや、ここは俺一人で何とかするぜ。だからお前は明久とーー」
「
俺が言い終わる前に、秀吉は自らの召喚獣を喚び出してしまった。これでもう逃げ出すことは不可能になった。
「なっ! 秀吉、お前‥‥‥」
「大悟よ、雄二が言っていたじゃろう? 目的は一人でも多く女子風呂へとたどり着くことじゃと。ならばこうすることが一番の最善の策じゃ。それにお主とワシが組めば、どんな敵にも負けはせん!」
「秀吉‥‥‥‥‥はっ! 随分と言うようになったじゃねぇかよ! ならせいぜい足引っ張んねぇよう気をつけろよな、相棒!」
「勿論じゃ、相棒! 明久、ここはワシらに任せて先を急ぐのじゃ!」
そして、俺と明久は改めて姐御に向き直る。秀吉の発言は多少フラグっぽいけど、流石に雄二みたいなことはないよな。
「分かった。じゃあね二人共! 先にゴール地点で待っているから!」
そう言い残して、明久は先に扉へと再び走り始める
「あっ! 待ちなさい吉井くーーきゃっ!」
「悪いな姐御。そいつは追わせねえぞ!」
止めようとした姐御を、召喚獣に金棒をぶん投げさせることで動きを防ぐ。その隙に明久は扉を開け、先へと急いでいった。
「さ、諦めて俺たちの相手をしてもらおうか、姐御!」
「済まぬがこれも友の汚名を晴らすためじゃ。覚悟してもらうぞい!」
召喚獣に戦闘の構えを取らせる。姉御は社会科目全般の担当だから勝負科目は日本史、世界史、地理、現代社会のいずれかだ。召喚獣を用いるのはAクラス戦以来で少しブランクがあるが、そんなのは戦っていれば自然と思い出せる。
それに前回のテストはそこそこ自信があるし、そう簡単には負けないはずだ!
「むぅ‥‥‥‥‥あんまり暴力的な解決は嫌だけど、これも教師の役目! こっちだって負けないよ!
戦う覚悟を決めたらしく、姐御も同じように召喚獣を展開する。
「あれが、姐御の召喚獣か‥‥‥」
その姿は、紅と白で彩られた着物に同色の羽織を身に纏い、髪は簪のようなもので綺麗に整えられていて、腰には武器であろう日本刀が提げられている。
俺や秀吉の召喚獣同様『和』がモチーフのようだ。
「まるで花魁のようじゃのう‥‥‥随分と華やかな出で立ちじゃ」
「そうだな。だがんなこたぁ関係ねぇ。相手がどんな奴だろうと、真正面からぶちのめすだけだ! 行くぞっ!」
俺の召喚獣が金棒を振り上げ、敵に目掛けて走り出す。それに続く秀吉の召喚獣。
流石に明久や同志ほどのスピードは出せないが、こっちにはその欠点を補えるだけのパワーと奥の手である『龍化』がある。見たところ姐御の召喚獣はそれほど攻撃力にステータスを振っているわけではなさそうなので、上手くいけばごり押しでどうにかなる可能性がある! そこに加えての俺の得意科目であり、秀吉がサポートについてくれてる。いくら担当教師の姐御でも、こっちの勝算は十分にあるぞ‥‥‥!
「‥‥‥岡崎君、木下君。一つだけ教えてあげるねーー」
姐御はゆっくりと俺たちの召喚獣を見下ろして、自分の召喚獣に命令した。すると、スッと敵が腰の刀の鞘に手をかけ、抜刀の構えを見せる。相手の間合いや力量が不明な以上、まずは一発目を防ぎつつ敵の攻撃の威力と速度、射程距離を見極めてからその隙にカウンターを叩き込んでやる!
その為、俺は振り上げた金棒を戻し、目の前で構え直して防御態勢を取る。さあ来やがれ、どんな攻撃だろうと受け止めてーー
「ーー教師っていうのは、君たちが思っているほど甘い存在じゃないんだよ?」
ーー刹那、姐御の召喚獣が姿を消した。
「‥‥‥あ?」
呆気に取られていると、再び敵の姿が見えた。だが相手は元の場所ではなく、何故か俺の召喚獣の射程距離外にいた。
「なんだ‥‥‥何が起きーー」
ズバズバズバァァアアン!
その瞬間ーー俺の召喚獣は全身を派手に切り刻まれ、血飛沫をまき散らしながらその場に倒れた。
「なにぃぃいいっ!?」
あまりの出来事に、俺は思わず声を上げて驚愕する。馬鹿な‥‥‥いつの間にか攻撃を食らっていただとぉ!?
「そんな‥‥‥あの大悟がこんな一瞬の内に‥‥‥‥!?」
社会教師 落合夏音 885点
世界史 VS
Fクラス 岡崎大悟 672点 → 461点
&
木下秀吉 95点
遅れて召喚獣の強さを示す点数が表示される。向こうの点数は明らかに俺たちを大幅に上回っていた。
「オイオイ‥‥‥そんなのアリかよ‥‥‥」
「あんな点数‥‥‥見たことがないぞい‥‥‥」
マズイ。これは完全に想定外だ。いくら担当科目とは言え、まさか姐御がこれほどまでに社会科目が得意だったとは思ってもいなかった。というか800点越えって‥‥‥もうさっきの大島の点数が可愛く見えてしまう。考えるのも馬鹿らしい。
「教師だもの。これぐらい出来ないと、生徒の子たちに示しがつかないでしょっ!」
そして、再び刀を構えて向かってくる姐御の召喚獣。その速さは驚くべきことに同志に匹敵するほどだ。パワー重視の俺の召喚獣じゃああの斬撃は防ぎきれないだろう。
「チッ‥‥‥そういうことならこっちも出し惜しみはしねぇ!」
なので、俺は奥の手を使うことを決意した。本来なら使う予定は無かったが、このまま何もせずに負けるぐらいなら、多少の反動くらいなんてことはない!
「いくぞ! 変しーー」
「させないよっ!!」
すると、姐御の召喚獣が物凄い速さで俺の召喚獣の懐に入り込む。
そのまま刀を振り上げて、召喚獣の腕輪が装着されている方の腕を肩から一刀両断してしまう。
「っ!? しまった!」
「君の能力は知ってるよ! だからそう簡単には使わせないっ!」
腕を切り落とされたことで、腕輪の能力は封じられてしまう。しかもその影響で金棒を支えきれなくなり、右腕と共に吹っ飛ばされてしまうというアクシデントまで発生した。
こうなってしまったら、最早こっちに攻撃手段は残されていない。つまりーー詰みである。
「‥‥‥‥‥相棒、すまねぇ」
「大悟!」
「ごめんね岡崎君! けどこれで‥‥‥とどめっ!!」
そして、がら空きになった俺の召喚獣の胸元に、
グサッ‥‥‥!
銀色の刃が、深く突き刺さった。
Fクラス 岡崎大悟 DEAD
ーーー
ーー明久視点ーー
大悟と秀吉に背中を預け、僕はようやく女子風呂の前まで辿り着いた。だがそこには‥‥‥
「吉井、どうして俺がお前の召喚許可を取り消さないかわかるか?」
最後の関門であろう存在ーー鉄人こと西村先生が待ち構えていたのだった。
「そ、そんな‥‥‥! 生身で召喚獣と張り合うなんて‥‥‥!」
「いやはや。お前が観察処分者で良かった。召喚獣を殴るだけならばーー体罰にはならんからなぁっ!」
「ええっ!? 今まで一度も体罰なんか気にしたことなんてーー」
「歯ぁ食い縛れぇっ!」
「ごぶぁっ!?」
瞬間、一息で拳が五度叩き込まれる。な、なんてデタラメな攻撃だろう‥‥‥。生身で召喚獣をボコボコにするだけでもおかしいのに、痛みのフィードバックだけで胃液が込み上げてきた‥‥‥。
「まぁ、男らしく正面から堂々と現れた気概に免じて、停学は勘弁してやろう。心優しい西村先生が相手で良かったな」
バキバキと関節を鳴らしながら召喚獣に迫る鉄人。
良くない。全然良くない。心優しい先生ならこの時点で許してくれるはずです。
「なに。俺も鬼ではない。きっちり指導を終えたら解放してやる。ーーそっちの四人もな」
「へ?」
鉄人の視線を追うと、その先には捕縛された雄二・秀吉・大悟・ムッツリーニの四人がいた。嘘だろ‥‥‥あの大悟が負けたっていうのか!?
「さて、まずは英語で反省文でも書いてもらおうか。文法や単語を間違えていたら何度でもやり直しだ! 終わった者から部屋のシャワーを浴びて寝ても良し!」
こうして、強化合宿の一日目は廊下で正座しながら英語の反省文を書かされるという醜態を晒して終わった。
これにて一日目、終了です。今回でオリジナル教師の落合先生が登場しました。ちなみに本人のモチーフはバンドリの松原花音ちゃん。召喚獣はワンピースの小紫です。
それではまた次回。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ