バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト

問 以下の問いに答えなさい。
入学時、どんな抱負を抱いたかを答えなさい。


姫路瑞希の答え
『当時は体が弱かったので、健康で元気にみんなと学園生活を送りたいと思いました』

教師のコメント
良い答えです。さすがですね、姫路さん。
入学時から病気がちでしたが、最近はとても明るく健康そうで何よりです。内気な感じもありましたが、今は友達とも元気に交流しているようで、内面的にも成長が見られます。
これからもよい学園生活を送ってください。


岡崎大悟の答え
『自分は恋愛学園モノの主人公として一大ハーレムを築き、その対象である幼馴染みや小生意気な後輩、ちょっとツンデレな先輩、そしてヤンデレ属性マックスの生徒会長同級生に囲まれ、ドタバタながらもちょっぴり甘酸っぱい青春を過ごす。そして全員が俺を奪い合いやがては大人の階段を登るというエロゲ的展開になると思いました』

吉井明久の答え
『自分は特別な人間でいつか才能が認められる事件が起きると信じてました』

教師のコメント
目を覚ましましょう。





第四十一問 女子風呂へ突撃せよ! 第二夜目

 

 ―――side大悟

 

 作戦開始直前。俺は相棒である秀吉と顔を見合わせ話し合っていた。

 

「……なぁ大悟よ。本当にこれを着なくてはダメなのか?」

「当たり前だろ相棒! お前がこれを着るのと着ないのでは俺達のモチベーションに大きな差が生じるんだぜ? それにサイズはお前にバッチシ合わせてあるから問題ねェさ!」

「……………同志を信じろ(コクコク)」

「いや、性別という大きな違いがあろうが……ご丁寧にカツラと模擬刀まで用意しおって、これじゃ走りづらいじゃろう」

「大丈夫だって安心しろよ~。あ、あとこれパッドな」

「むぅ、仕方ないの―――ってちょっと待てい!! パッドじゃと!? それだけは嫌じゃ!!」

「そこをなんとか! 頼むよ相棒!!」

「ええい! ワシは男じゃ! こんなの恥ずかし―――って、ムッツリーニも揃って頭を下げるでない!! とにかく嫌じゃーっ!!」

 

 その後数分にも渡る説得(土下座)の結果、渋々承諾してくれた。流石は俺の相棒。なんだかんだ言ってやってくれるのがコイツの良いところだ。後でまた飯でも奢ってやろう。

 よし、これで準備は整った。さぁ、出撃だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西村先生。流石に今日は彼らも現れないのでは? 昨日あれほど指導をしたことですし」

「布施先生。彼らを侮ってはいけません。彼らは生粋のバカです。あの程度で懲りるようであれば今頃は模範的な生徒になっているはずですから」

「そうでしょうか? いくらなんでも、そこまでバカでは―――ん? あ、アレは!?」

「むっ、やはり現れたかあのバカ共は―――ぬぅ?」

 

 

 ――ドドドドドドド!!!

 

『走れ~! 高速の~! 帝○華撃団~!! 唸れ~! 情熱の~! 帝国華○団~!!』

 

「行くぞォ! 我等帝国歌劇団・F組の力を見せてやれぇぇええ!!」

「な、何故にこうなったのじゃ……ええい! もうヤケクソじゃ! 真宮寺さ○ら、参ります!!」

 

『私達、正義のために戦います!』

『例えそれが、命を懸ける戦いであっても!』

『私達は、一歩も引きません!』

 

『『『それが、帝○華撃団なのです!!!』』』

 

 

「に、西村先生! 大変です! 変態……というかそれ以上の珍妙な格好をした者達が編隊を組んでやって来ました!」

「まさか、懲りるどころか数を増やしてくるとは。それにあのおかしな格好は岡崎の入れ知恵か。これだからあの連中は……!」

「な、なんていうか、色んな意味で吹っ切れたように見えますね! 正直関わりたくありませんが……」

「布施先生、警備部隊全員に連絡を! 一人とて通してはいけません! 私は定位置につきます!」

「は、はいっ!」

 

 

 

 

 ―――side明久

 

「吉井! 帝○華劇団が布施と接触したぞ!」

「オーケー須川君。皆、帝国○撃団が先生を足止めしている間に一気に駆け抜けるよ! 全員遅れないようにね!」

 

 告げて、僕は一気に階段を駆け下りた。そのまま勢いを殺さずに廊下を走る。背中からは皆がついてくる気配が感じ取れた。

 ていうか、大悟の用意したアレってホントに要るのかな? しかもサク○大戦って今の若い人はあんまり知らないと思うけど。でも秀吉の巫女服姿が見れたのは良い活力源になったよ!

 

「よ、吉井君、待ちなさい!」

 

 脇を抜ける時、布施先生の慌てた声が聞こえてきた。だけど待てと言われて待つバカはいない。当然のように走り去る。向こうも慌てて追いかけてきたけど、ある程度走ると、悔しそうに足を止めた。

 

「あれ? 諦めたのかな? まだ追ってくると思ったんだけど」

「諦めたってよりは《干渉》を嫌ったんじゃないか?」

 

 隣を走る須川君がよく分からないことを言っている。《干渉》ってなんのことだろう?

 

「よし。○国華撃団が布施を取り囲んだ。俺達はこのまま進もう」

「あ、うん。そうだね」

 

 振り向くと、布施先生を囲む真宮寺さ○ら(の格好をした秀吉)と大○一郎(の格好をした大悟)率いる部隊が戦いを有利に進めている様子が見えた。もはや首級をあげるのも時間の問題だろう。

 ていうか、よく大悟あんな衣装をバレずに持ってきたものだ。覗き騒動が無かったら何に使うつもりだったんだろうか?

 

「吉井、いけそうだな」

「そうだね。このままなら無事に辿り着けそうだ――」

 

 

「そこまでです、薄汚い豚ども!」

 

「「!?」」

 

 

 突然の甲高い罵倒。何事かと思い見てみると、その先にはあり得ない光景が広がっていた。

 

「この先は男子禁制の場所! 大人しく豚小屋に引き返しなさい!」

「し、清水さん! あと、その他女子多数!?」

 

 広い廊下に展開していたのは、清水さん率いる女子多数による召喚獣部隊だった。

 

「吉井。数も質も、圧倒的にこちらが不利だ……!」

「クッ! 清水さんお願いだ! そこをどいて!」

「ダメです! そうやってお姉さまのペッタンコを堪能しようだなんて、汚らわしい。神が許しても私が許しません!」

「違う! 僕の目的は美波のペッタンコじゃない!」

「嘘です! お姉さまのペッタンコに目が眩んだ豚野郎は、私が成敗します!」

「信じてくれ! ペッタンコは所詮ペッタンコなんだ! 今の僕には美波の地平線のようなペッタンコなんかよりも大事なことが右肘がねじ切れるように痛いぃぃっ!」

 

「黙って聞いてれば、人のことペッタンコって何度も何度も……!」

「またオシオキが必要みたいですね……?」

 

 そこには僕の右腕を極めようとする美波と、恐ろしささえ感じる程の笑顔をした姫路さんだった。

 

「み、美波、姫路さん。今は入浴時間じゃ……?」

「忘れたの? ウチと瑞希はFクラスだから後半組なのよ。―――もっとも、前半組のAクラスからも参加している人がいるみたいだけどね」

 

 美波が廊下の奥を指し示す。目をやると、そこにはこっちに手を振っている女子の姿があった。

 

「やっほー、吉井君。何を見に来たのかな? ボクを覗きに来てくれたのなら嬉しいんだけど♪」

「工藤さん!? そんな! どうしてここにいるの!?」

 

 脅迫犯であるはずの工藤さんが「……浮気は許さない」こんなところにいるなんて「翔子待て! 落ち着ぎゃぁぁあああっ!」計算外だ。これだと彼女が「ダーリン~? 秀吉~? 次は無いって言ったわよね?」犯人かどうかを「は、優子!? なんでここにおごぉぉおおおっ!」確認することが「待つのじゃ姉上! ワシの足首はそっちの方向には曲がらあぎゃぁぁあああっ!」できない!

 

「あ。さてはボクからこれを取り戻そうとしてるのかな?」

 

 例の録音機を取り出してニコニコと笑う工藤さん。やっぱり彼女が犯人か……?

 

「……………チャンスは一度きり」

 

 踏み切ろうとする僕をいつの間にかやって来たムッツリーニが諫める。確かに、先ずは話を聞いて確信を得ることにしよう。

 

「工藤さん。質問なんだけど、どうしてキミは録音機なんて物を持っているの?」

「勿論、先生の授業を聞いて後から復習するためだよ」

「何ぃ!? 嘘だ! みるくたそは勉強が苦手っていう設定がありぎゃぁぁあああっ! 目がァ! 眼球が焼けるように痛ぇぇええ!!」

 

 大悟のバカはほっといて、これはウソだろう。そもそも録音機なんて代物。普通の人なら売ってる場所すら知らないはず。それにこれは偏見かもしれないけど、彼女はそんなに真面目に勉強をしているようには見えない。

 これはもう、彼女を犯人と確定してもいいんじゃないだろうか……?

 

「それより、吉井君達の目的は? もしかして、脱衣所の盗み撮りとか?」

「くっ……!」

「じゃ、一つイイコトを教えてあげるよ」

 

 彼女を捕らえるかどうかの決断に迷っていると、工藤さんが僕に近付いて一言。

 

 

「まだ脱衣所には見つかっていないカメラが一台残っているよ?」

 

 

 衝撃のカミングアウトに、僕は息を呑んだ。後ろでは雄二と大悟と秀吉の悲鳴が聞こえたが今はスルーした。

 

「……っ! 工藤さん、キミは!?」

「ボクが仕掛けたわけじゃないけど、偶然見つけちゃってね」

 

 偶然見つけた? そんなの嘘に決まっている! くそっ! 僕らの状況を知りながらからかって遊ぶなんて、どこまで悪趣味なんだ!

 

「さて、おしゃべりはここまで。そろそろ始めようか、ムッツリーニ君?」

 

 言うだけ言うと、工藤さんは僕から離れてムッツリーニの正面に立った。

 

「……………分かっている」

 

 ムッツリーニの声は苦々しい。工藤さんは強敵だし、勝ったとしてもその後には保健体育の大島先生がいるのだから無理もない。

 

「気にするな吉井! 女子の召喚獣なんかじゃ俺たちは止められない!」

「あっ! 待つんだ須川君! その先には―――」

 

 

「教育的指導っ!」

 

「ふぐぅっ!」

 

 

 目的地へ向かおうとした須川君に、突如として放たれた拳。

 そう。その主こそ僕らにとっての最大の難関である、担任の鉄人だった。

 

「やはり来たな。生粋の馬鹿共め」

『て、鉄人だと!?』

『ヤツを生身で突破しないといけないのか!?』

『バカを言うな! アイツは兄貴以上の強さなんだぞ! そんなの無理に決まっているだろ!?』

 

 僕らFクラス男子にはヤツの鬼のような強さが見に染みる程理解できる。だからこそ、皆はその姿に動揺していた。

 

「吉井。やはりキサマは危険人物だったな。今日は特に念入りに指導してやろう」

 

 ゆらり、と鉄人が歩を進めてくる。周囲は大勢の女子生徒。これはもう万事休すというヤツだろう……。

 僕はこの場で部隊の全滅を覚悟していた。

 

 ところが、

 

 

「「いいや、まだ終わっちゃいねぇ!」」

「っ!?」

 

 

 廊下中に響き渡るドスの効いた声。

 見ると、先程まで木下さんと霧島さんにボコられていたはずの大悟と雄二が颯爽と僕らの前に出たのだった。

 

「雄二! 大悟!」

「おいおいてめェら、諦めるのが早すぎだろ。根性を見せろよ根性を」

「悪いが鉄人。今ここで明久を失うワケにはいかない。ここからは俺達が相手だ」

 

 言いながら、コスプレ衣装を脱ぎ捨てポキポキと首と拳を鳴らす大悟と、その場で軽くシャドーボクシングをしてみせる雄二。

 そう、アイツらは―――召喚獣を用いるのではなく、本当の"実力"、すなわち喧嘩で鉄人を倒そうとしているのだ。

 

「ほう……坂本に岡崎か。お前らの腕はよく知っている。良いだろう……ならば吉井の前にお前ら二人まとめて徹底的に指導してやろう」

 

 そしてそれを見てもなお全く動揺することなく、鉄人は自分の拳を握って構えを取った。

 ダメだ、無謀すぎる。そう思った僕は必死に訴えた。

 

「無理だよ二人ともっ! 相手はあの鉄人なんだよ! いくら雄二も大悟も喧嘩慣れしてるって言っても―――」

「んなこと言われなくても分かってる。それよりも明久。てめェは人の心配してる余裕があんのか?」

「えっ?」

「大悟の言う通りだ。明久、さっきも言ったが、お前をそう易々と失うワケにはいかない。なら俺達がやるべきことなんざ一つしかねぇ。それは……この場から無傷でお前を逃がし、安全にお前が辿り着ける道を作ることだ!!」

 

 そう僕を激励し、再び鉄人と向かい合う二人。

 その背中からは、いつもの悪友とキモオタの面影はなく、僕を命がけで逃がすという"男"の覚悟と、かつての"悪鬼羅刹""閻魔大王"が大きく現れていたのだった。

 

「さぁ、行くぞ鉄人!! 武器の貯蔵は十分か! 帝国華○団・F組隊長、岡崎大悟が相手だ!!」

「喧嘩は単純な腕力だけじゃ勝てないってことを教えてやる! 野郎共、ここは俺と大悟に任せて、明久の撤退を援護しろ!」

 

『『『おうっ!!』』』

 

「雄二、大悟……。それに、皆も……」

 

 二人の男気に押されたのか、全員が奮い立ち、僕に笑顔を向けてくれていた。僕は、僕は……!

 

『吉井! お前は召喚獣で女子を押しのけて走れ! 向こうの召喚獣は俺たちが意地でも抑える!』

『坂本と兄貴の覚悟を、フイには決してするんじゃねぇぞ!』

『この場の全員で血路を開く! お前は振り向かずに駆け抜けろ!』

『ここが男の見せ所ってやつだな!』

『『『我等、帝国○撃団は不滅だ!!!』』』

 

 そして、遂に大悟&雄二と鉄人による最強の闘いが始まり、他の仲間たちも次々と死地へと赴いていく。

 そんな姿を見せられて、いつまでもウジウジ迷っているワケにはいかない!

 

「……わかったよ。ここは皆に任せる! そして僕は必ず生き延びて……目的を果たす! 行くぞ、試獣召喚(サモン)っ!」

 

 お馴染みの召喚獣が現れたのを確認して、僕は退路を塞ぐ女子の人垣に突っ込んだ。

 

「アキっ! 逃がすもんですか! 試獣召喚(サモン)!」

「明久君! オシオキはまだ終わっていませんよ! 試獣召喚(サモン)!」

 

 目の前に姫路さんと美波の召喚獣が現れる。くっ! こんなときに!

 

『そうはいくか! 試獣召喚(サモン)!』

『吉井の邪魔はさせねぇ! 試獣召喚(サモン)!』

「邪魔よアンタ達!」

「どいてくださいっ!」

 

 二人の仲間が命がけで姫路さん達を足止めしてくれた。

 

「悪いが霧島! 木下姉! 兄貴達の喧嘩につまらない横槍は入れさせねぇぞ! 試獣召喚(サモン)!」

「あ、姉上よ……ワシとてこのままでは終わらぬのじゃ! 試獣召喚(サモン)!」

「……なら、力ずくで通してもらう。……試獣召喚(サモン)

「秀吉。そんなふざけた格好といい、そこまでお姉ちゃんの言うことが聞けないんなら……徹底的に叩き潰してあげるわ! 試獣召喚(サモン)!」

 

 後ろでは秀吉達率いる帝○華撃団が霧島さんと木下さんを止めているのが分かった。

 

 

「皆……ごめん。必ず僕は生き延びて、いつか理想郷(アガルタ)に辿り着くことを誓うから……」

 

 

 あまりに無力な自分に腹が立った。悔しくて噛み締めた唇が痛かった。涙を堪えて走る自分が惨めだった。

 だから、強くなりたいと思った。

 

「……くそっ!!」

 

 誰もいなくなった部屋に戻って、膝を抱いて座る。もしかすると誰かが生き延びて戻ってくるかもしれない。そんな淡い希望を抱きながら、僕は――

 

 

 

 ピーンポーンパーンポーン……。

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

《―――放送連絡です。えー、Fクラス吉井明久君。至急臨時指導室に来なさい》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ま、普通そうなるよね。面割れてんだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……、全くこの馬鹿共が。随分と手を焼かせおって……」

 

「……………(チーン)」←気絶してる大悟

「……………(チーン)」←気を失った雄二

「……………(ピクピクピク)」←優子の折檻を受けまくったことにより再起不能になりかけてる秀吉

「……………(ボタボタボタボタ)」←戦いの最中に工藤の誘惑行動により出血多量のムッツリーニ

 

 

 

 こうして、強化合宿二日目の夜。

 僕らの作戦はこちら側の満身創痍により、惨敗となった。

 

 

 




はい。というわけで二日目の夜です。
正直少ないかなーとも思ったんですけど、あんまり詰め込みすぎても今後のネタ切れに繋がる可能性があるので今回はここまでにしました。
あ、あと暇なら大悟が優子に折檻された回数でも数えてみるのをオススメします。それではまた次回。

感想、意見などありましたらお待ちしています。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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