バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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強化合宿の日誌

この強化合宿全体についてのまとめを書きなさい。


姫路瑞希の答え
『他のクラスの人と勉強することで良い刺激が得られました。伸び悩んでいた科目についての学習方法や使い易い参考書についても教えて貰うことができたので、今後は更に頑張っていきたいと思います。夜はいつものように騒ぎがありましたが、これはこれで私達の学校らしいと思います。ある人達からは内緒で素敵な写真とイラストも貰えて大満足です!』

教師のコメント
姫路さんは全体的にそつなくこなしている様子だったので伸び悩んでいる科目があったということには驚きました。本来なら先生が気づくべきなので申し訳ないです。ですが、無事に解決できそうなので何よりです。やはり姫路さんにはAクラスで学習する方が良い影響がありそうですね。次回の振り分け試験では是非とも頑張ってください。それと、バカ騒ぎについては悪影響を受けないようにしてください。


島田美波の答え
『三日目の夜のことが忘れられない。ウチはどうしたらいいんだろう。こんなことは誰にも相談できないし、アイツとはあれ以来話ができてないし……。瑞希の気持ちを知ってるのに、これって裏切りになっちゃうのかな……? けど、ウチのは去年からの気持ちだから、こっちの方が先で……。ああもう! どうしていいのかわかんない!』

教師のコメント
一体何があったのでしょうか? 友達にも相談できないというのは尋常ではありませんね。良かったら先生に話してみて下さい。一応あなた方よりも長く生きているので少しは力になれるはずです。ただ、気持ちを書いてあるということは恋愛の話でしょうか?
それなら先生から言えることは一つです。自分が後から思い出して後悔することのないように行動するのが一番です。色々と悩んで大人になるのが学生の仕事ですよ。


吉井明久の答え
『あまりに多くのトラブルがあって驚いた。初日はいきなり意識を失って宿泊所に運ばれたので記憶がない。その後は覗き犯の疑いをかけられて、自分に対する周りの見る目について悩まされた。勉強についても、女子風呂を覗く為に頑張ろうと思ったけれど今のやり方でいいか不安が残るし、色々と考えさせられる強化合宿になったと思う』

教師のコメント
そうですか。


岡崎大悟&木下秀吉の答え
『とうとう死ぬかと思った』

教師のコメント
涙で濡れていることには触れないでおきます。




第四十七問 学力強化合宿最終戦 ~前哨~

――明久視点――

 

「ふぁ……あふ……」

 

 自分でもだらしないと思うほど大きな欠伸が出る。

 眠い。とにかく眠い。死ぬほど眠い。今が貴重な朝食の時間でなければブッチぎって寝ているところだ。

 

「流石に眠いぞこら……」

 

 隣では雄二も同じように目を擦っていた。

 眠いのも当然。昨晩は美波にメールの件で暗殺されかけたり鉄人に朝まで教育について(拳で)語られたのだから。これで三日連続だし、眠くないわけがない。

 だが、それよりも僕は気になる事が一つある。

 

「ふぁ……それにしても、二人はどこに行っちゃったんだろうね?」

 

 そう、僕達の主力メンバーである大悟と秀吉が行方不明なのだ。そのため現在僕らは残りの三人で朝食を摂っている。

 

「さぁな……少なくともあの時、俺が翔子に襲われてた時には影も形も無かったからな……」

「大悟はともかく、秀吉までいなくなるなんて珍しいね。ムッツリーニは何か知ってる?」

「……………さ、さぁ?(フルフル)」

 

 僕の質問に対し首を横に振って答えるムッツリーニ。ん? なんか今気まずそうに視線を逸らされた気がするんだけど、気のせいかな?

 でも、昨晩コイツは僕らにおきた出来事をこっそりカメラに収めようとしていたから、その前の二人の行動や行方も知っていると思ってたんだけどどうやらわからないようだ。とにかく無事だといいんだけど。

 

「俺たちと同じように木下姉に二人揃って拷問を受けてたりしてな」

 

 冗談混じりに雄二が言う。

 

「あはは、流石の木下さんでもそこまではしないでしょ。それに大悟はともかく、秀吉はその理由がないじゃないか」

 

「いや、木下姉は周りが見えなくなるぐらい大悟に陶酔してるからな。『秀吉の癖にアタシの大悟に馴れ馴れしく……』とか平気で言いそうじゃないか?」

「あ、確かにその可能性はあるね!」

 

 工藤さんの小型録音機の件でも、僕に対して殺意を剥き出しにしてたからね。大いにあり得る。

 

「原因は間違いなくあのメールだろうがな。ま、御愁傷様だな」

「何他人事みたいに言ってるのさ。そもそもメールを打ったのは雄二じゃないか」

「ん? そうだったか? けど明久もノリノリだったじゃねえか」

「いや~、正直大悟が木下さんにボコられてるのを見てると面白いんだよね」

「分かるぞ明久。アイツの苦痛に悶える顔は実に愉快だからな」

 

「「あははははは!」」

 

 僕と雄二が二人揃って笑う。

 ま、あのキモオタは生命力がゴキブリ並だから多分大丈夫だよね! でも後で秀吉には謝っておかないといけな

 

 

 

 ポンッ

 

 

 

 ん? なんだ。僕と雄二の肩に手が置かれたぞ。

 なんだかとてもデカい手で随分掴む力が強いな。誰だろう? そう思って僕達は後ろを振り返ると―――

 

 

 

 

「I'll be back」

 

 

 

 

 

 全身ボロボロで満面の笑みを浮かべた大悟が立っていた。

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 ――秀吉視点――

 

 

 姉上に極められた関節の痛みが少しずつ引いてきた頃。

 

「さて、早速今夜の決戦に向けての準備を始めるぞ(ヒリヒリ)」

「うん、そうだね(ヒリヒリ)」

 

 大悟にブン殴られ、頬を赤く腫らした雄二と明久がそう言う。

 事情が事情とはいえ流石にやり過ぎではないかの? 手加減はしたみたいじゃが、二人とも顔がアンパ○マンみたいになっておるではないか。

 

「ムッツリーニ、大悟。例のブツはどうだ」

「……………準備万端」

「俺の方も完璧だ」

 

 そう言い、ムッツリーニと大悟が制服の懐から何かを取り出した。おそらく昨日のワシや姫路の写真が現像し終わったのじゃな。

 大悟の方は……それを元にしたイラストじゃろうか? 相変わらず仕事が早いのう。

 

「どれ、ワシらにもその写真を見せてくれんかの?」

「……………(スッ)」

「ほらよ」

 

 手にしておる写真とイラストをワシらに手渡してくる。ワシと明久はお互いの間にその二つを置いた。

 

「うーん、でもいくら大悟とムッツリーニの協同作品だとしても、たかが写真とイラストで皆をやる気にさせられるかふおぉぉおっ!」

「ほぅ。これはまた……」

 

 ムッツリーニが見せた写真は、予想の通り昨夜撮影した姫路とワシの浴衣姿じゃった。そして大悟の方はそれを二次元の女の子風に雰囲気やポーズをアレンジしたもの。

 う、ううむ、こうして改めて見ておると本当にムッツリーニの撮影技術は凄いのう……。大悟も大悟で相変わらず細部までよく描き込まれておるし、流石としか言いようがないわい。

 しかし、作戦とはいえこれでまた学年中の男子から益々ワシが女として見られると思うと、なんだか複雑な気分じゃ……。

 

「僕、生きていて良かった……」

「今すぐのご契約で特別に台詞付きカラーイラストになるぞ?」

「二ダース買った。あと出来れば秀吉の方の表情と台詞を更に色っぽく出来ないかい?」

「追加料金を払うのなら良いだろう」

 

 いや、ワシは全く良くないのじゃが……。

 

「…………そしてこれが二枚目(スッ)」

 

 ムッツリーニが写真を捲る。

 すると今度は浴衣姿の霧島とハーフパンツ姿の島田のツーショットが出てきた。

 

「す、凄いっ! これも凄いよムッツリーニ! 今僕は君を心から尊敬している!」

「確かに凄いのう……。しかしなぜ霧島と島田が共に写っておるのじゃ?」

「ああそっか。秀吉はいなかったから知らないんだったね。実はその間に美波と霧島さんが部屋に来たんだよ」

「なるほど、そうじゃったのか」

 

 島田は分からぬが、おそらく霧島は姉上と似たような動機じゃろうな。

 

「して、三枚目は?」

「あ、うん。三枚目は―――」

 

 更に写真を捲る。すると、そこに写っておったのは―――セーラー服姿の明久。

 

「……………綺麗に撮れたので印刷してみた」

「放して秀吉! このバカの頭をカチ割ってやるんだ!」

「落ち着くのじゃ明久! よく撮れておるではないか!」

 

 暴れだす明久を羽交い締めにして止める。しかし、何故明久はセーラー服なんぞ着ておったのじゃろうか。

 

「同志、後でそれを参考資料として一部貰おう。報酬は女体化アキちゃんのイラストで」

「……………契約成立(ガシッ)」

「待って!! イラストとはいえ勝手に僕を性転換させないでよ! 仮にどうしてもやるんだったら僕よりも秀吉の方が断然可愛いじゃないか!」

「明久!? なぜそこでワシを引き合いに出すのじゃ! そしてお主らも『確かに……』といった表情をしてワシを見るでない!」

 

 全くこやつらは……ワシはずっと男じゃと言うておるのに……!

 

「よくやったぞムッツリーニ、大悟。まさかここまで上等な品々に仕上げてくるとはな」

「これで増援も期待できるというわけじゃな」

 

 あまり女子に興味を示さぬ雄二でさても目が輝いておるのじゃ。普通の男子なら興奮は間違いないじゃろう。

 すると、明久がなにやら微妙な面持ちになった。

 

「……これ、他の皆にも見せないとダメかな?」

 

 こやつ、まさか内緒で写真とイラストをくすねようとしておらんか?

 

「明久。俺達の目的を忘れるな。大局を見誤る人間に成功はないぞ」

 

 雄二が妙に厳しい目をして明久に告げた。

 

「う……ごめん。確かに間違えていた。この二つは目的の為の手段だし、そんな未練は断ち切る。後でイラストは同人誌にしてもらって写真はムッツリーニに一グロスほど焼き増ししてもらうだけで我慢するよ」

「同人誌はともかく一グロスは多すぎだろ」

「未練タラタラじゃな」

「ほっといて欲しいな?」

「同人誌にするなら印刷代も上乗せだな」

 

 やはり下心があったようじゃのう。  

 

「よし、それじゃ早速―――」

 

 雄二がどこからかペンを取り出し、写真とイラストの後ろに荒々しく何かを書き殴る。

 

 

『これを全男子に回すこと。女子及び教師に見つからないよう注意! 尚、パクったヤツは今後ダイゴブックスの使用を禁止し、かつ坂本雄二の名の下に私刑を執行する』

 

 

 なるほど、これなら窃盗される心配もないのじゃな。

 

「おい須川。この二つを男子に順番に回してくれ」

 

 近くで食事をしておった須川に写真とイラストを渡す。須川は疑問符を浮かべながらも受け取って、

 

「ふぉおおおおおお――――――っ!!」

 

 覚醒していた。

 

「あ、わり。俺ちょっとトイレに行ってくるわ」

 

 大悟はそう言うと席を立って部屋を出て行った。

 

「ところで雄二。僕の写真はきちんと抜いておいた?」

「安心しろ。あんなものを流したら士気がガタ落ちだからな。キッチリ抜いておいた」

「そっか。それは良かったよ」

 

 明久が安心したような顔を浮かべる。

 するとふと、ワシはムッツリーニの手にあるもう一枚の写真に目がいった。

 

「うん? ムッツリーニ。お主、他にも写真を持っておったのか?」

「……………(コクリ)」

「どれどれ、何が写っておるのじゃ?」

「あ、僕にも見せてよ」

 

 ムッツリーニから写真を拝借しそれを見る。明久も横から覗き込んできた。

 そこに写っておったのは―――セーラー服姿の明久(WITHパンチラ)。

 

「……………思わず撮ってしまった」

「放して秀吉! コイツの脳髄を引きずり出してやるんだ!」

「見ておらん! ワシは何も見ておらんから落ち着くのじゃ!」

 

 ワシらが姉上に拷問と折檻を受けておる間に、明久も明久で大変だったようじゃの……。

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 ――大悟視点――

 

「ふぃ~。すっきりするぜ」

 

 放尿による爽快感が全身に伝わる。

 俺は今合宿所のトイレで用を足している真っ最中だった。

 

「昨日は優子から逃げるのに夢中だったからな。かなり溜まってるようだな。あぁ~たまらねぇぜ」

 

 人間の一番の身体的快楽はもしや放尿なんじゃないだろうか? と思っていると、

 

「おや、ここで会うなんて奇遇だね。岡崎君」

 

 後ろから俺に向かっての声が聞こえる。誰だ?

 振り返ると、そこにはAクラスの学年次席。明久大好き真面目系クール眼鏡こと久保利光がいた。

 

「よう久保。お前も小便か?」 

「少し催してしまったのでね。済まないが隣失礼するよ」

「おう」

 

 そう言って久保は俺の左の小便器の前に立ち、用を足し始めた。

 

「「……………」」

 

 無言の時間が続く。うーむ、気まずい。久保はお得意様ではあるが別段仲がいいというわけでもないからな、今みたいな二人だけの空間はなんともいえない気まずさがある。

 

「……岡崎君。一つ質問をしてもいいかい?」

 

 やべー、早く終わらないかと思っていると、向こうから声をかけてきた。

 

「なんだ? また明久との絡み本が欲しいとかか?」

「残念だが違う。いや勿論それは後々お願いしようとは思っているんだが」

 

 そうか。それはいつもご贔屓どうも。

 

「ならなんだ? やけに真剣な顔をしてるが……」

「……今日も君達は、覗きをしに行くのかい?」

 

 久保から放たれた言葉に、俺は一瞬驚く。まさかコイツ、教師に言われて俺達の動向を探ろうとしているのか?

 

「安心してくれ。別に僕は先生方に告げ口をしようとは思っていない。これは個人的に気になることさ」

「なんだそうか。なら良かった。答えは勿論イエス、今日も行くつもりだ。まだ俺達の目的は果たされていないからな」

「そうなのか……」

 

 静かな声でポソリと、久保は俺の言葉に返事をした。うーむ、コイツをどうにか出来れば俺達の戦力はかなり増大する。

 明久でも説得は不可能だったが……やるだけやってみるか。

 

「なぁ久保よ。俺達に協力してくれないか? この戦いにはお前やAクラスの男子の力が必要なんだ」

「……済まないが断る。僕は今回の君達に手を貸すつもりは一切ない」

「どうしてもか?」

「ああ」

 

 久保が静かに頷く。

 話を聞くと、俺達がやっていることはれっきとした犯罪行為であり、入浴中の女子の身体を見ようとする真似自体が不潔。その為、自分はそんな社会に不適合ともいえる真似は人として決してするわけにはいかないとのこと。

 これと全く同じことを明久にも言ったらしい。なるほど、だから明久は説得に失敗したと言ってたのか。これは思った以上に真面目なヤツのようだ。

 

 俺はしばらくの沈黙の後、言った。

 

「……確かに、世間一般的に見れば俺達のやってることは常識として逸脱してるかもな」

 

「そうだろう。だから―――」

 

「でもな久保。一つだけお前の言葉に異を唱えさせて貰う。俺、いや俺達は―――」

 

 

 

「―――ただの一つも、間違えてなどいない」

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 

 

 ――明久視点――

 

 

 カチッ カチッ

 

 

 時計の針の音が妙に大きく聞こえる。昨日まではそんなこと気がつきもしなかったのに、今になってその音が気になり始めた。

 

「明久。今更ジタバタするな。補充のテストも全て受けたし、写真も回した。やるべきことは全てやったのだから、あとは何も考えずに戦うだけだ」

「だが明久の気持ちも分かるぜ。なんせあと数時間後には全てが終わってるんだからな。泣いても笑ってもよ……」

 

 部屋の隅で目を瞑っていた雄二と虚空に向かってシャドーボクシングをしていた大悟が僕の様子に気がついて声をかけてくれた。こういう時はコイツらの神経の太さが頼もしい。

 

「D・E・Fクラスは昨日に続いて全員参加のようじゃ。あとはA・B・Cクラスが協力してくれるかどうか、じゃな」

 

 今日は点数補充の為のテストで殆ど根回しに行けなかったから、写真とイラストを回した結果がどうなっているのかわからない。結果は作戦開始後に始めてわかることになる。

 

「……………今日こそ借りを返す」

「俺もだ。二次元(嫁達)を守る者として、三次元なんぞにやられっぱなしじゃ終われねぇ」

 

 闘志を燃やすムッツリーニと大悟。今夜の二人は一味違う。

 

「作戦開始も近い。最後の打ち合わせを始めるぞ」

「「「「わかった(のじゃ)」」」」

 

 瞑っていた目を開け、雄二が僕の前にやってきた。それに続いて残りの三人も集まってくる。

 

「俺達がいるのは三階だから、三階、二階、一階、女子風呂前の四ヶ所を突破しないと目的地には辿り着けない」

 

 しかも僕達の部屋は女子風呂から一番離れた場所にある。従ってルートとしては一番長く、かつショートカットも不可能だ。

 

「三階の敵はE・Fクラスの仲間が抑えてくれる。二階の敵はDクラスが抑えてくれる手筈になっているが……」

「戦力的に、Dクラスだけでは少々厳しいじゃろうな」

 

 教師側も各クラスの生徒の強さに応じて戦力を配置している。Cクラス抜きでの二階突破は厳しいだろう。

 

「でも、ここまで来たらやるしかないよ」

「勿論そのつもりだ。それで、二階を突破すると―――」

「……………高橋先生」

「アイツか………」

「そうだ。学年主任の高橋女史が率いる一階教師陣だ。恐らくここには翔子や姫路、工藤愛子。そしてもし大悟が暴れた時のことを想定して木下姉もいるだろう」

「「っ……!!」」

 

 木下さんの名前が出た瞬間、大悟と秀吉がビクッとはねあがる。どうやら相当過敏になっているようだ。

 今朝も二人はまるで全ての間接を極められ完膚無きまで殴られた挙げ句壁に顔面から叩きつけられたような姿をしていたし、一体木下さんに何をされたんだろうか。

 

「とすると、これじゃ鉄人の下まで行くのはかなり難関になるね」

「いや、お前ら四人を通す一瞬の隙は俺が作る。だが、高橋女史や翔子達をそのまま足止めするのは不可能だと思ってくれ」

「じゃが、足止めできねば……」

「ああ。お前らは前後を挟まれて終わりだ。作戦は失敗。俺は翔子に残りの人生を奪われ、明久は変態として生きていくことになり、大悟は木下姉にNice boatされる未来になる」

「作戦が失敗しても現状と対して変わらん気がするのじゃが……?」

 

 なんてことを言うんだ。しかも大悟に至っては殺されてるし。

 

「とにかく、高橋女史は根性でなんとかするしかない。A・Bクラスが協力してくれたら勝機は充分にあるんだが」

「えー、そうか? 根本あたりとか状況次第で女子側に寝返りそうな気がすんだけど」

 

 どうしよう。否定が出来ない。

 

「いや、Aクラスはともかく、Bクラスは大丈夫じゃろ。いくら根本といえどもそこは思春期の男子。きちんとヤツを含めた全員にあの写真が効くはずじゃ」

「あははっ。でも秀吉の言い方だとAクラスの男子代表格は女の子に興味がないみたいだよ?」

 

 

「「「「……………」」」」

 

 

 え? 何で皆気まずそうに目を逸らすの?

 

「そこまで行ったらあとはお前たちの仕事だ。わかっているな?」

「……………大島先生を倒す」

「俺と秀吉は姉御だ」

「そして僕は鉄人、だね?」

 

 

 正直、今までの戦いでもこれほど厳しいものはなかった。今回はあまりにも不確定要素が多すぎる。でも、

 

 

「……………大丈夫。きっとうまくいく」

 

 

「うん」

「当然だな」

「じゃな」

「今更何をいうか」

 

 僕らはクスリと笑みを浮かべる。

 僕は思う。このメンバーなら何でも出来る気がする。不可能を可能にすることが出来る。それは他の誰でもない、僕ら五人でないと絶対に成立しない。

 

 坂本雄二という悪友(バカ)がいて、

 木下秀吉という美少女(バカ)がいて、

 土屋康太というムッツリスケベ(バカ)がいて、

 岡崎大悟というキモオタ(バカ)がいて、

 最後に、僕……吉井明久という大バカがいる。

 

 こんなどうしようもない五人だからこそなんだ。だからこそ、今なら胸を張って言えることがある。

 

 

 僕ら五人は―――絶対に負けない。

 

 

 ――ピピッ

 

 

 どこかで電子音が聞こえた。八時を告げる時報。戦闘開始の法螺貝だ。

 僕らは円陣を組み、雄二が最後の激励を飛ばす。

 

「……よし、てめぇら、気合いは入っているか!」

 

「「「「おうっ!」」」」

 

「女子も教師も、AクラスもFクラスも関係ねぇ! 男の底力、とくと見せてやろうじゃねぇか!」

 

「「「「おうっ!」」」」

 

「これがラストチャンスだ! 俺達五人から始まったこの騒ぎ、勝利で幕を閉じる以外の結果はあり得ねぇ! そして俺達ならそれが出来る! いいか! 俺達は―――最強だっ!!

 

「「「「当然だっ!!」」」」

 

 

「強化合宿第四夜・最終決戦、出陣()るぞっ!!」

 

 

「「「「よっしゃぁ―――っ!!」」」」

 

 

 

 

 強化合宿四日目二〇〇〇時。

 今、覗きを巡る最後の勝負が始まろうとしていた。

 

 

 




いよいよ強化合宿編も大詰めになりました。

龍化した大悟の召喚獣を早く戦わせたいので次は早めに投稿がんばルビィ。

それではまた次回。感想、評価もお待ちしています。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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