バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 国語

第三問 問 以下の意味を持つことわざを答えなさい。

『(1)得意なことでも失敗してしまうこと』
『(2)悪いことがあった上に更に悪いことが起きる喩え』





姫路瑞希の答え

『(1)弘法も筆の誤り』
『(2)泣きっ面に蜂』

教師のコメント

正解です。他にも(1)なら『河童の川流れ』や『猿も木から落ちる』、(2)なら『踏んだり蹴ったり』なら『弱り目に祟り目』などがありますね。



土屋康太の答え

『(1)弘法の川流れ』

教師のコメント

シュールな光景ですね。



吉井明久の答え

『(2)泣きっ面蹴ったり』

教師のコメント

君は鬼ですか



岡崎大悟の答え

『(2)踏んだ泣きっ面蹴ったり』

教師のコメント

更に鬼がいたとは



第三問 男はエロが大好きだ

――――――side明久

 

 

 

突如雄二の口から告げられた、Aクラスへの宣戦布告。それを聞いたFクラスの皆がしーん‥と静まり返る。

 

 

 

何とか姫路さんをもっと環境のいい教室で過ごさせてあげたいと雄二を説得してきたはいいものの、今のFクラスにとってはAクラスに勝利するなんてのは現実味に乏しい。

自分から戦争を仕掛けようと言ったのにも関わらず、本当にそんな事が出来るのだろうかと不安が募っていく。

 

 

 

『勝てる訳が無い』

『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』

『姫路さんがいれば何も要らない』

 

 

そんな悲鳴があちこちから上がる。確かに誰から見てもAクラスとFクラスとの戦力差は一目瞭然、格闘技の世界チャンピオンに初心者が挑むくらい無謀といえる。

 

この文月学園のテストには、一時間という制限時間内であれば幾らでも問題を解くことが出来るというルールがあり、個人の能力次第でどこまでも成績を伸ばせる。

そして、この学園が生み出した『試験召喚システム』。テストの点数に応じた強さを持つ『召喚獣』を呼び出し、教師の立ち会いのもとに行われるクラス単位の戦争‥それが試召戦争だ。

 

そして、戦争の勝敗の鍵を握るのが召喚獣の強さ‥つまりテストの点数だ。Aクラスは天才や秀才といったエリートが集まったクラス。対してこっちは馬鹿の集まり。力の差は歴然だ。

 

 

 

「そんなことは無い。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」

 

 

 

こんな絶望的な状況なのに、雄二はそう高らかに宣言した。

 

 

 

 

『何を馬鹿なことを』

『出来るわけないだろう』

『何の根拠があってそんなことを』

 

 

 

 

否定的な意見が教室中に響き渡る。だが雄二の表情は変わらない。

 

 

「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝つことの出来る要素が揃っているからな!それを今から説明してやる」

 

 

雄二の自信に溢れる言葉にクラスの皆が更にざわついた。得意の不適な笑みを浮かべ、壇上から皆を見下ろす。

 

 

「おい康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い」   

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥!!(ブンブン)」

 

「は、はわっ」

 

 

必死になって顔と手を左右に振り否定のポーズを取る康太と呼ばれた男子生徒。

姫路さんがスカートの裾を押さえて遠ざかると、アイツは顔についた畳の跡を隠しながら壇上へと歩き出した。

流石だ。まさか恥も外聞も捨ててあんな低い姿勢から覗き込むなんて。手鏡を使うくらいしか思い付かない僕とは格が違う。

 

 

「土屋康太。コイツがあの有名な、寡黙なる性職者(ムッツリーニ)だ」

「‥‥‥‥!!(ブンブン)」

 

 

 

土屋康太という名前はそこまで有名じゃないが、ムッツリーニという名前は別だ。男子からは畏怖と畏敬を、女子からは軽蔑を以て挙げられる。同学年の生徒で、彼を知らない人はいないだろう。

 

 

 

 

『ムッツリーニだと‥‥?』

『馬鹿な、奴がそうだというのか‥‥?』

『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ‥‥』

『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ‥‥』

 

 

 

「???」

 

 

 

姫路さんは分かっていないのか、頭に疑問詞を浮かべているみたいだけど。

 

 

 

「そして、そんなムッツリーニと双璧を成すあの男もここにいる。おい、大悟」

 

 

「‥‥‥」

 

 

「聞こえないのか、大悟」

 

 

「‥‥‥」

 

 

「おいキモオタ」

 

 

「なんだと雄二ゴラァ!!」

 

 

卓袱台に読んでいたであろう漫画を置き、雄二に視線を向ける大悟と呼ばれたその男子生徒。

その怒りの表情はまるで鬼のような怖さと威圧感を放つ。

身長はあの雄二よりも高く、鉄人に負けない位のマッチョ体型をしている。髪型は一昔前の不良みたいなヘアスタイル‥‥所謂リーゼントであり、その見た目は完全にドラマや漫画で見る不良学校の番長にしか見えない。

 

 

「岡崎‥アンタ学校で何読んでるのよ‥」

 

 

大悟が読んでた漫画の表紙を見て呆れ顔をする島田さん。そこには小学生位の魔法使いの様な格好をした可愛い女の子のイラストが描かれていたのだが、相変わらずだなぁ‥。

 

 

 

「テメェ雄二‥俺の優雅なめるたんタイムを邪魔するとはいい度胸じゃねえか」

「何がめるたんタイムだ。ただ漫画読んでただけニヤけてただけじゃねえか。いいから前へ出てこい」

 

 

大悟はチッと舌を鳴らしながら壇上へと歩いてくる。

 

 

「さて、もう皆はコイツの存在を知っているだろう。コイツこそ、お前達が尊敬する『兄貴』こと岡崎大悟だ」

 

 

雄二の言葉にクラスの皆が一気にざわめきだす。

 

 

『嘘だろ!?あの伝説の男がFクラスにーー』

『二次元愛において右に出るものはいないとされるーー』

『あの文月最大のイベント。男女コスプレコンテストの主催者ーー』

『神の右手と無限の妄想力を持つーー』

 

 

『『『『あの兄貴だというのか!!?』』』』

 

 

「おい、だから俺を兄貴と読んでいいのは幼女と妹属性のある女子中学生だけだっつってんだろ!」

 

 

兄貴。本来なら兄弟間で使われるべき言葉だが、この岡崎大悟という人間には、最上級の尊敬と畏敬を込めて使われる言葉だ。

ムッツリーニが三次元のエキスパートなら、この岡崎大悟は二次元のエキスパート。

自分の二次元愛を隠さず、欲望に忠実に従い生きる存在。その行動は正気の沙汰ではなく、急に校内放送でアニメソングを流したり、教室のど真ん中で急に「全く、小学生は最高だぜ!」とか言っちゃう位には頭のネジが外れた人間だ。

そんな彼の二次元に対して猪突猛進な行動力に加え、元来の性格である人当たりの良さと性欲を満たしてくれる作品の数々は僕達男子にとって敬うべきものとなり、いつしか大悟は『兄貴』と呼ばれる様になった。

 

本人自体は「俺は二次元の良さを広めたいだけだ。好きなものを好きと言って何が悪い」って言ってるけど、それにも限度とか節度があると思う。

 

 

「さて、この岡崎大悟という男、噂は知っているだろうがその実力を見たことはないという奴も多いだろう。それにお前達の事だ。ただ戦えといってもモチベーションは上がらないだろう。そこでこの男の出番だ」

 

 

すると、雄二は大悟にまだ比較的使えそうな一本のチョークを渡した。大悟は最初何の事だと思っていたようだが、直ぐに雄二の考えに気づいたらしい。

 

 

「景気づけに一発頼む」

「フン、良いだろう。」

 

 

大悟はそれを受け取り、慣れた手つきで黒板に何かを描き始めた。

 

 

「さて、お前達も薄々気づいてはいると思うが、コイツは厳つい見た目に相反して引くほどのキモオタだ」

「雄二、テメェ殴るぞ?あと俺はキモオタじゃなくてただ二次元を愛してるだけだ」

「同じだろうが。だがコイツは俺達には無いものを持っている、それがコイツの真骨頂でもあるんだ」

 

 

「コイツは『無限の妄想力』と『神の右手』を持つ男だ。イラスト、同人誌、小説、果てはアニメ映像まで。どんなシチュエーションだろうが人間だろうがその右手で全て表現する事が出来る。しかもそれらは時に三次元を凌駕し、プロ顔負けの腕前を誇っているときた。その実力は俺が保障しよう。それにコイツは少年院帰りの男だ。いざというときの腕っぷしもある」

 

 

そう、この男。岡崎大悟は二次元を描く天才であると同時にかつて問題を起こして少年院に服役していたという過去を持つ。

 

前に秀吉から聞いた事があるが、大悟は昔から二次元オタクだったのは変わらないが、中学時代は喧嘩の強さから広くその名を轟かせていたらしい。僕も名前だけは聞いた事があり、大悟に喧嘩を吹っ掛けた相手はほぼ病院送り。その時のトラウマから不良を辞めて改心する程の強さだったみたい。

しかも中学時代の全盛期だった頃の雄二すら圧倒し、他校の生徒からは『悪鬼を捩じ伏せた男』『閻魔大王』という異名までついたとか。

正直最初知り合った頃は確かに見た目から怖かったし、何で秀吉は大悟とこんなに仲良く出来るのかなとも思ったけど、いざ話してみると大悟は全然不良なんかじゃなく、気の良い性格で友達思いの優しい奴だった。今でもどうして大悟が少年院に入る事になってしまったのかと疑問に思う。

秀吉はその理由を知っているみたいだけど『済まぬ。これは儂等だけの秘密なのじゃ。』と言って中々教えてくれない。

 

 

『坂本、でも喧嘩や同人誌なんかじゃ幾ら兄貴でもAクラスには勝てないだろ』

 

クラスメートの一人が至極当然な質問をする。

 

 

「そうだ。だが、別に大悟の力はAクラスの為の物じゃない。俺達Fクラスの為の物だ。大悟、まだか?」

「おう、完成だ。中々の出来栄えになったぜ」

「よし、これならいける」

 

 

黒板を見た雄二がニヤリと笑い、皆に向き直る。

 

 

「野郎共!刮目しろ!!試験召喚戦争で功績を挙げた者にはーーーこの報酬を約束するぞ!!!」

「テメェ等目に焼き付けやがれ!これが俺の一作だ!!」

 

 

雄二と大悟はそう叫んで黒板に視線を向けさせる。そして、僕を含めFクラス全員の目に飛び込んできたのはーー

 

 

 

 

 

 

 

二人の女の子が水着で絡み合っている台詞付のエロイラストだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウオオオオオォォォオオオオオオオーーーーーーー!!!!』

 

 

 

興奮が最高潮に達した男共(僕も含めた)の歓喜の雄叫び。

 

 

 

 

『きゃああああぁぁぁぁああーーーー!!!!?』

 

 

 

女子達の甲高い悲鳴。

 

 

 

『‥‥‥‥‥!!!!(ブッシャアアアア)』

 

 

噴水のごとき溢れるムッツリーニの鼻血。

 

 

 

「これが兄貴こと岡崎大悟の力だ!だがこれはあくまで肩慣らし程度‥こんなもんじゃ終わらねえ!もし戦争で戦果を挙げた者‥‥勇者には岡崎大悟の本気のエロ同人誌をカラーで贈呈するぞ!!それでどうだ、皆!?」

 

 

『兄貴ィィィィイイイイイイイーーーー!!!!!』

 

 

『何だよありゃあ‥あれが兄貴の凄さなのか!?』

『俺、今なら胸を張って言えるぞ!Fクラスで良かった!』

『エロいぞ!いや‥もうあれはエロなんていう単語で表せるものじゃねえ!』

『俺!兄貴に一生ついていきます!』

 

 

「畜生!なんでこんなむさ苦しい男共に兄貴なんて呼ばれなきゃならねえんだよっ!!助けてめるたぁぁん‥‥」

 

 

皆がさっきまでのテンションが嘘だったかの様に上がっている。当然だ。あんな最高なイラストを見て大人しくなんて出来る訳も無い。それほどまでに大悟によって生み出されたイラストは純粋にエロかった。

一人は後ろから女の子の胸を生で揉みしだき、もう一人がそれに興奮しつつよがっているというイラストなのだが、その艶かしい体つきに豊満な胸、麗しいながらも幼さを残した妖艶な表情。いい感じにはだけた水着。そしてそんな二人の感情を完璧に表現した台詞。ボロボロの黒板に描かれた尊き光景は二次元なのに完全に僕達思春期高校生の心を鷲掴みにした。

 

黒板にチョークで描いてこの破壊力だ。もしちゃんとした紙にカラーで描いたものなら、大悟のクオリティと合わせてとんでもないものが出来るのは想像に難くない。取り敢えず、これは僕がしっかり写真に収めておかないと!

 

 

「ちょ!ちょっと岡崎!アンタ何とんでもないもの描いてるのよ!?早く消しなさい!」

「そうですよ!そんなの‥‥は、破廉恥ですっ!!えっちなのは駄目ですっ!!」

 

 

女子二人が大悟に対して猛抗議する。確かに女性からみたらかなりキツイよね。

 

 

「心配するな。島田と姫路にもちゃんと用意はしてある」

 

 

雄二がそう言うと、大悟は二人のいる席へ歩いていく。そして一人ずつにコソコソと話を始めた。

 

 

「(島田、なら明久のエロイラストでどうだろうか?勿論これは報酬だからタダだし、シチュエーションも二人の要望があれば聞こう。)」

「(えっ!?本当!?じゃ、じゃあ‥ウチはそれでも‥いい、かな)」

 

 

「(姫路はどうだ?)」

「(えっと、あのっ!本当に何でもいいんですか!?吉井君の『ピーー』や『バキューン』や私との『ズギュギュギュギューーン』でも大丈夫なんですか!?)」

「(お、おう‥‥)」

 

 

そして、話を終えて大悟は壇上へ戻ってきた。何を話したんだろうか。

 

 

「ねえ大悟。姫路さん達と何を話したの?」

「‥‥明久。お前‥これから色々苦労すると思うけど、気を強く持てよ」

「え?それってどういうーー」

「さ。ムッツリーニが出血多量で死なねえうちにこれは消しておこう」

「ちょっと待って!?さっきの何!?凄い気になるから教えてよ!」

 

 

僕の言葉を無視して、大悟は皆がイラストを写真に撮ったのを確認して消した。

 

 

「次に姫路だが、これはわざわざ説明する必要も無いだろう」

「え?わ、私ですかっ?」

「ああ。うちの主戦力だ。期待しているぞ。」

 

 

確かに、今の戦力的に姫路さんほど頼りになる人はいないだろう。

 

 

『そうだ。俺達には姫路さんがいるんだった』

『彼女ならAクラスにも引けを取らない』

『兄貴。姫路さんと俺のイチャラブ成人向け同人誌をーー』

 

 

誰だ。大悟に姫路さんのエロ同人誌を依頼している奴は。僕も後でお願いしよう。

 

 

「木下秀吉だっている」

「む?儂か」

 

 

『おお‥‥!』

『ああ。アイツ確か演劇部のホープで木下優子の双子の弟‥‥』

『兄貴。木下秀吉のエロイラストはあるか?』

 

 

ちょっと待て。秀吉のエロイラストだと!?是非僕にもその話を詳しく聞かせて欲しいっ!

 

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

 

『確かになんだかやってくれそうな奴だ』

『坂本って、小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか?』

『それじゃあ、坂本の実力は姫路さんと同じくらいかも知れないってことか!』

『つまり、実力がAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』

 

 

いけそうだ。やれそうだという雰囲気が段々と出てきた。そう、クラスの士気は確実に上がっていきーー

 

 

「それに、吉井明久だっている」

 

 

 

 

‥‥‥シンーーー

 

 

 

そして一気に下がった。

畜生っ!僕の名前はオチ扱いか! というかどうして僕の名前を挙げる必要があるんだよ!?

 

 

『誰だよ、吉井明久って』

『聞いたことないぞ』

 

「ほら!折角上がりかけてた士気が一気に急降下してるじゃないか!僕は雄二や大悟や姫路さんと違って普通の人間なんだから、普通の扱いをーーーって、なんで僕を睨むの?士気が下がったのは僕のせいじゃないでしょう!」

 

 

「何いってんだ明久。お前にもちゃんとした肩書きがあるだろ」

「えっ?」

 

 

「ああ‥あれか。確かにあるわな」

「じゃがあれは、あまり人前で誇れるようなものではないじゃろ」

「‥‥‥不名誉に等しい」

 

 

 

「知らないようなら教えてやる。コイツの肩書きは‥‥『観察処分者だ』」

 

 

 

 

あ、言っちゃった。

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。

中々思うようには物語が進まないものですね。ですが長く楽しめるという利点もありますね。

それではまた次回

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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