以下の問いに答えなさい
『団体が政策に影響を与えようと、政治家に働きかける事をなんというでしょう』
姫路瑞希の答え
『ロビー活動』
教師のコメント
正解です。さすがですね、姫路さん。
議員が外部の人間と面会できる控室『ロビー』で活動していた事から、そう呼ばれています。
岡崎大悟の答え
『マリンフォード頂上戦争』
教師のコメント
団体→白ひげ海賊団 政策→エース処刑 政治家→海軍or世界政府と解釈したのでしょうか? 個人的にはこの回答は嫌いではありません。
ちなみに先生はアラバスタ編が一番好きです。
島田美波の答え
『合コン?』
教師のコメント
王様だーれだ?
―――大悟視点
『いたわっ! 主犯格五人組よ』
『長谷川先生! 向こうの五人をやります!』
部屋を出ると、真っ先に待ち構えていたであろう女子部隊に道を阻まれる。長谷川を連れていることから対戦科目は数学か。
俺では無理だなと思っていると、横にいる雄二が野性味溢れる顔と口調で言葉を返した。
「俺に任せろ! あんな雑魚共一瞬で叩きのめしてやる!
「「「「任せた!」」」」
先行してきた女子二人に対し雄二が召喚獣を展開して迎え撃つ。
が、所詮はただの雑兵。真面目に勉強し、補充試験で点数を上げた雄二には相手にすらならない。
『Fクラスの分際で!』
「ほざけ! 勉強してから出直しやがれっ!」
『『きゃぁああ―――っ!』』
あえなく拳一発でダブル撃沈。
見たところ、相手はEクラスの生徒だな。一学期最初の方ならまだしも、これまで試召戦争の経験も録にないヤツらが勝てるほど、今の俺達は甘くない! 侮るんじゃねぇよ!
「雑魚に構ってる暇はねぇ! 先を急ぐぞ!」
「「「「おうっ!」」」」
「待ちなさい! 坂本君!」
女子グループを率いる長谷川が迫ろうとする。が、召喚獣の動きが厳かだ!
「大悟! 頼む!」
「おうっ! 唸れ俺の黄金の右ぃぃいいっ!」
俺はその一瞬の隙をついて肉薄。素早く召喚獣に拳を叩き込む。
驚く長谷川をよそに、不意をつかれた召喚獣は抵抗も出来ずフッ飛んでいった。
「それじゃあな長谷川さんよ!」
「くっ、岡崎君! 行かせません!」
「長谷川先生。残念ながらあなたの相手は兄貴達じゃなく、僕らです」
そのまま俺達と長谷川の間に、須川率いるクラスメイト達が割って入った。
「吉井、坂本、兄貴! ここは任せて先に行け!
『『『
「頼むよ須川君! ヴァルハラで会おう!」
「任せろ! それより、きちんと鉄人を倒しておけよ! そうじゃないとここを片付けた後で覗きに行けないからな!」
「わかってるよ!」
須川の言葉に明久が力強く頷く。普段のコイツらからは考えられないほど真剣かつ凄まじい闘志を感じる。実際、まだこちらは一人も戦死者を出していない。
俺はそんなヤツらを鼓舞するように叫んだ。
「いいか野郎共! 何があろうと死ぬんじゃねぇぞ! 生き残った暁には、ダイゴブックス特製のエロ同人誌をフルカラーバージョンかつ無料でくれてやるぞっ!! 勿論、希望があれば受け付ける!!」
『『『うぉっしゃぁぁああーーー!!』』』
「更に!! 今回功績を上げたヤツには特賞として、うちの妹の連絡先を教えてやろうじゃねぇかぁぁああ!!」
『『『兄貴は最高だぁぁああああーーー!!!』』』
――――――
「……………?」
「どうしたんだ? 天」
「いや、なんかどこからか邪な気配を感じたような……?」
――――――
長谷川の対応を須川達に任せ、俺達は目的地に向かって進軍する。
『翔子たん! 翔子たん! はぁはぁはぁああっ!』
『島田のぺったんこぉぉーーーっ!』
『姫路さん結婚しましょおーっ!』
『優子さん! 僕を踏んでくださぁぁああいっ!』
ふっ……欲望に忠実なヤツらめ。その意気で頑張ってくれよ。
「凄い士気じゃな。これならば三階の制圧は問題無さそうじゃ」
「皆の気持ちが一つになってるからね」
三階に配置されている教師を含む相手側の戦力は、こっちの戦力であるE・Fクラスの男子によって苦戦している。だが当然だ。なにせこの時点で二クラス分の人数を投入しているんだからな。
秀吉の言う通り、後は時間の問題だろう。
「だが、問題はここからだぜ」
「……………援軍が来なければ、ここまで」
「そうだな。Dクラスだけで戦っているのか、Cクラスが参戦しているのか」
「……………躊躇っている時間はない」
「うん。行こう皆!」
正直なところ、Cクラスが来ていなければ俺達は詰みだ。だが、俺は信じるぞ! ダイゴブックスとムッツリ商会は、全ての男共の性欲を刺激し、そこに秘められた本能を突き動かせる力があるってことをな!
二階へ続く階段を勢いよく駆け降りる。そして踊り場を曲がって見えた先には、
『俺達の覗きの邪魔はさせない!
『先生、覚悟してもらいます!』
『き、君達まで参加していようとは……!』
化学教師 布施文博 663点
化学 VS
Cクラス 黒崎トオル 144点
&
野口一心 132点
「Cクラス! 来てくれたんだね!」
望んでいた援軍の姿を見て、明久が歓喜の声を上げる。
「ムッツリーニと兄貴が見せてくれた浴衣の写真とイラスト……あれほど胸を熱くするものがあっただろうか……、俺は心底! あの浴衣の中を見たいと思った!」
なんて嬉しいことを言ってくれるのだろうか。読者が喜んでくれたのなら製作者として冥利に尽きるってもんだぜ。
「黒崎……俺はお前の姿が輝いて見えるぞ!」
「兄貴。俺……いや俺達は! 兄貴とムッツリーニを心から尊敬している!! だからこそ……こんなところでそう簡単に死なせはしない!」
黒崎の魂のこもった叫びに、俺と同志は真剣に頷く。
コイツらは自分の身を呈してまで戦ってくれているんだ。なら俺達に出来るのは、コイツらの覚悟と託された期待に全身全霊を持って応えることだ。人間として……同じ男としてな!
ありがとう! 礼としてお前らにはダイゴブックス特製ドスケベイラストの枕カバーをプレゼントするからな!
「Cクラス、Dクラスの野郎共、協力に感謝するっ! 二回は―――俺達の背中はお前らに任せるぞ!」
「俺達も、お前らに夢を預ける! Cクラス、Dクラス男子。アイツらに道を作るんだ! 栄光の、ウイニングロードを!!」
『『『おおーーーっ!』』』
地鳴りするような怒号と共に彼らは再び敵である布施へと向き直った。
そんな勇敢な戦友達を背にし、俺達は更に前へと進む。
「あのさ、こういうのって凄く嬉しいよね」
途中、明久がそんなことを口に漏らす。
「そうじゃの。仲間が増えていく喜びとでも言うべきじゃろうか」
「昨日の敵は今日の友ってか。まさしく少年向け漫画の主人公気分だな。こりゃ」
「その分仲間だった女子が敵だがな」
「そこは気にしない方向で」
「心配するな。仲間だったヤツが闇堕ちして敵になるなんて事態はそうそう珍しくない。そしてそういう時こそ、主人公は真の力を発揮する!」
挙げるなら桜ルートの衛宮士郎とかが良い例だな。セイバーオルタとイリヤたんまじすこ。
「だが、それもこの先の状況次第だ」
「後はA、Bクラスが協力してくれているかどうかじゃが……」
「……………久保に、あの写真は効かない」
「そんな!? まさか久保君は、あの写真やイラストよりももっと凄いものを!?」
「「「「……………」」」」
「え? なんで急に皆押し黙っちゃったの? 僕何かおかしなこと言った?」
それは知らぬが仏ってヤツだ。
そうこうしているうちに、一階に続く階段に辿り着き、そのまま一階へと近づく。
すると、微かに下から声が聞こえてきた。
『……護してくれっ……』
『……メだ! ……倒的過ぎる……!』
なんだ……? さっきとはまるで声色が違うぞ。まさか……!?
「やった! 男子の声が聞こえるよ! これで一階の制圧もうまく―――」
「いや、違う! 様子がおかしいぞ……!」
「やっぱり、予想していたことがおきているか!」
急いで一階に向かい、階下の様子を見渡す。
するとそこにいたのは、俺達にとってルナティック。すなわち高難易度な存在である二人の女子の姿だった。
「……………雄二。悪戯はそこまで」
「明久君。ここは通しませんよ」
「翔子かっ!」
「姫路さん……っ!」
その二人、霧島と姫路によって仲間達が次々と蹂躙されていく。
Aクラス 霧島翔子 4762点
&
Fクラス 姫路瑞希 4422点
VS
Bクラス 加西真一 1692点
くっ……、分かってはいたがなんつう強さだ! 流石は学年最強コンビ。ハンパじゃねぇな……!
「Aクラスがおらんようじゃな……」
秀吉の言う通り、現在ここにいるのは根元率いるBクラスのみ。俺達が一番加勢を期待していたAクラスの男子はどこにも見当たらない。それに気づいたのか、雄二も悔しげな顔をする。やっぱり、久保を動かすのは無理だったというのか……。
「……雄二。お仕置き」
「くっ! 根元バリアーっ!」
「さ、坂本っ! 折角の協力者にその扱いはあんまりじゃないか!?」
Aクラス 霧島翔子 4762点
総合科目 VS
Bクラス 根元恭二 1931点
Bクラス代表の根元でさえ一撃で葬るとは……。恐ろしく速い攻撃。俺でなきゃ見逃しちゃうね。
と、そんな事を思っていると、姫路が召喚獣を従えて明久に、霧島が雄二に歩み寄っていった。すると、その様子を見ていたBクラスの連中が怖じ気づいたのか、ちらほら弱音を吐き出し始める。
「明久君。大人しく降参してください」
『もうこれ以上は無理だ……。姫路に霧島に高橋先生なんて、勝てるわけがない』
『だいたい、姫路と霧島が入っていないのなら覗く価値がないじゃないか』
ちゃっかりハブられた優子さん。まぁアイツ姫路や霧島みたいにナイスボディなワケじゃないからね、しょうがないね。
おっと、今寒気感じた。やっべ殺されるわー。
「諦めちゃダメだっ! 例え二人が入っていなくとも……、女子が入っているんだよ! それだけでも覗く価値は充分にあるっ!」
明久がそう皆を鼓舞する。
すると、その様子を見た秀吉が少し驚いたような表情で明久に訊いた。
「明久。なぜここまで圧倒的に不利な状況でありながら諦めようとしないのじゃ? そこまでして写真を取り戻しても、お主の評判は変わらんじゃろう?」
更に言えば明久は《観察処分者》だ。痛みのフィードバックがある。このまま続ければヤツが受ける苦痛は想像を絶するレベルになるだろう。
だがそれでもなお明久は諦めようとはしていない。その証拠に、明久の目はまだ死んでいなかった。
「――違うんだ秀吉。そうじゃないんだよ」
「そうじゃ、ない?」
どうやら明久には、本来とは別の目的が出来たようだ。
「確かに最初は写真を取り戻して、真犯人を捕まえて、覗きの疑いを晴らすつもりだった。……でも、こうして仲間が増えて、その仲間達を失いながらも前に進んで、初めて僕は気がついたんだ」
「明久。お主、何を言って―――」
すると、明久はいつにもなく真剣な表情で叫んだ。
「―――正直に言おう。たとえ許されない行為であろうとも、自分の気持ちは偽れない。僕は今―――純粋に欲望の為に女子風呂を覗きたいっ!」
「お主はどこまでバカなのじゃ!?」
「……く、くくっ。がはははは!! なるほど、それがお前の本心か!」
秀吉が明久に叫ぶ。ヤツのあまりのバカさ加減に突っ込まずにいられなかったのだろう。
ああそうだ。確かにアイツはバカだ。まさか目的を達成するための過程がそのまま目的そのものになっちまうとはな! しかもそれが冗談や洒落の類いじゃなく純粋に心の底からそう思ってるときたもんだ! なんて欲望に忠実な野郎だ! これが笑わずにいられるか!
しかし、そんな明久の信念を良しとしない者がいた。
「そ、そこまでして私よりも、美波ちゃんのお風呂を覗きたいんですね……! もう許しません!」
怒りに身を任せ、姫路が召喚獣に突撃指示を出す。
対する明久も、それに負けないほどの闘志を湧かせながら召喚獣を喚び出し、応戦の態勢に入らせた。
「覗きは、いけないことなんですからねーーっ!!」
「世間のルールなんて関係ない! 僕は、僕の気持ちに正直に生きるんだぁぁあーーっ!!」
『よく言った、吉井明久君っ!』
どこかで聞いたことのある声が、廊下に響き渡る。
それにより気勢を削がれたのか、姫路は召喚獣の動きを止めた。
「だ、誰ですかっ!」
「待たせたね、吉井君。君の正直な気持ちは確かにこの僕が聞き届けた」
「久保君っ! 来てくれたんだねっ!」
「到着が遅れてしまってすまない。踏ん切りがつかず、準備をしながらもずっと迷っていたんだが……さっきの君の言葉を聞いて決心がついたよ」
姫路よりも先にその声の主、久保利光を見つけ歓喜する明久。ヤツがここに現れたということは、それによって巻き起こるイベントは一つしかない。
そしてどこからともなく現れるAクラスの男達。
「Aクラス男子総勢二十四名。今より、吉井明久に力を貸そう! 全員、彼を援護するんだっ!」
『『『おおおーーーっ!!!』』』
久保の号令により、一斉に沸き立つAクラスの野郎共。
そしてこの瞬間をもって、文月学園二学年の全男子が参戦したことになる。
「久保。随分とカッコいい登場の仕方すんじゃねぇか。ええ?」
「ああ。そして岡崎君。僕は君に礼を言わなくてはならない。君があの時僕に言ってくれた言葉……胸に深く刺さったよ」
―――――回想始まり
「間違いじゃ……ないだって……?」
「ああ。何も間違ってなどいない。俺達はな久保。他の連中からはおかしなやつらだとか頭のおかしい馬鹿の集まりとかって散々言われ続けてきた。そりゃあそうだろうよ。今までの行いを鑑みてもおおよそ他人から評価され、褒め称えられるようなことなんてしてない。むしろああすれば良かったなとか、もっとこうすれば失敗しなかったとかって後悔ばかりな日々だったよ。今回のこの覗きも、多くのヤツらからバッシングをくらうだろうな」
「……それなら、どうして」
「だがな。俺達からしてみればそんなもん大した問題じゃねえ。周りが言いたいなら勝手に言わせておけばいい。そんなもんに耳を貸してやる必要も意味もない。俺はな久保……人間にとって一番大事なのは、決して揺るぐことのない"信念"を持つことだと思ってる」
「信……念……?」
「ああ。確かに覗きは犯罪だ。だがそんなもんは百も承知。むしろんなもんどうだっていい。俺達はなにがあろうと覗きを成功させる……例えどんな壁が立ちはだかろうと、気持ちの悪い変態と見下されようと構わない! 自分に嘘をついて本当に大事なもんを失うくらいなら、喜んで俺達はそのレッテルを受け止めてやるよ。それこそが俺達五人……俺。雄二。相棒。同志。そして明久が誓いあった汚れなき信念だ! そしてそれは決して、間違いなんかじゃねぇんだよ!」
「……!」
「久保。お前にだってある筈だ。そんな誰に何を言われても決して折れない、そんな強く固い信念がよ。ならその気持ちに……嘘なんてつくんじゃねえ。素直に従えばいいんだ。それは不潔でも間違いでもなんでもない。自信を持つこと、それが自分にとっても……そして明久にとっても大切なことなんだからな」
「……………」
「それを踏まえてもう一度聞くぞ。俺達に協力してくれないか? 明久だって、それを強く望んでいる。お前の事を……ずっと待ってるんだよ」
「………しかし」
「……テメェ! 何を躊躇ってやがる!! お前は吉井明久という人間を守ると誓ったんじゃないのか!? アイツが苦しみ、困っているのなら迷わず手を差し伸べるんじゃないのか!? お前はかつてそう俺に教えてくれたんじゃないのか!? それとも全部……虚言だったのかよ!? お前の明久に対する想いはその程度しかない上っ面なモンか! あぁ!?」
「…っ!? 違う!! 僕は本当に吉井君の力になりたいと思ってる!! その気持ちは決して……軽薄でも嘘偽りでもない!!」
「そうか! なら―――」
「―――その気持ち……口じゃなく行動で示してみろ! お前ならそれが出来る筈だ! そうだろう!! 久保利光!!」
――――――回想終了
「君は僕に教えてくれた。自分の信念に従うことは決して間違いなんかじゃないと。それが分かった今はとても晴れ晴れとした気分だ。本当にありがとう。岡崎君」
「いいってことよ」
そう言って、お互いに握手を交わす。
その時の久保は、まるで心につっかえていたものが取り払われたかのような清々しい表情をしていた。それを見て、今のコイツにもうあの時の迷いはないと断言出来る。
すると、明久が再び久保に言った。
「ありがとう久保君! 君たちの勇気に心から感謝するよ!」
「いや、感謝するのは僕の方さ。君の言った通り、自分の気持ちに嘘はつけない。世間に許されなくても、好きなものは好きなんだ……!」
明久が一瞬震えたのは気のせいだろう。
「久保君。お仕置きの邪魔をしないで下さい!」
「
すかさず久保は自分の召喚獣を喚び出し、突撃してくる姫路の召喚獣を止める。
「僕は吉井君を守ると誓ったんだ。君の思い通りにはさせない!」
久保の宣言と同時にAクラスの男達が一斉に召喚。姫路と霧島の召喚獣を取り囲んだ。さすがにあの二人でも苦戦は免れないだろう。
「今だっ! 明久、秀吉、ムッツリーニ、大悟! 階段へ向かって走れっ!」
「「「「わかった!」」」」
援軍に驚く霧島を突破し、雄二が高橋女史の前に躍り出る。
しかし、そんな光景を目の当たりにしてもなお、彼女は一切の動揺を見せなかった。
「まさかAクラスまで協力するとは思いませんでしたが、問題はありません。ここは誰であろうと通しませんから―――
冷静に高橋女史は自分の召喚獣を喚び出す。それにより先日の出来事が俺の脳裏をよぎった。
恐らく向こうも俺が再び生身で向かってくることを想定に入れているだろう。だが、今日は違う!
「いいや、悪いがここは通らせてもらうぜ! 行くぞ―――
雄二の掛け声と共に、ヤツが召喚大会で手にいれた白金の腕輪が起動し新たな試験召喚フィールドが展開される。
そして今現在は、既に高橋女史が総合科目フィールドを展開中だ。つまり―――
「干渉ですか……! やってくれましたね坂本君……!」
―――科目の異なるフィールドが重ねられた為、双方の効果が打ち消される。これにより全ての召喚獣は科目に関係なく消え去った。これが昨日雄二が説明した《干渉》という現象だ。
「行けーーっ!! 明久ぁーーっ!!」
「任せとけっ!」
「よし、行くぞ野郎共!! 最終決戦の地まで全速☆前進☆DA!!」
『『『おおおーーーっ!!!』』』
俺。明久。秀吉。ムッツリーニの四人が先行し、一気に高橋女史の脇を駆け抜ける。
それに続いて他の男子達も走り出すが、そう簡単には問屋が卸さないようだ。
「く………! 吉井君達四人は逃がしましたが、貴方達まで通しはしません!」
既に高橋女史は召喚獣を喚び直していた。
後ろから雄二のうめき声が聞こえる。どうやら抜けられたのは俺達のみで、援軍達は足止めされてしまったようだ。ならしょうがねぇ、ここから先は俺達だけで切り抜ける!
「ムッツリーニ。ここは打ち合わせ通り大島先生を宜しく」
「……………了解」
地下に繋がる階段を駆け降り、女史風呂へと繋がる最後のルートへとたどり着いた。あとはこの先にある大宴会場を抜けるだけだ。
しかし、階段を振り切ったその先では、二つの影が俺達の道を阻むように立っていた。
「もしかしたら来ないんじゃないかと思ったよ。ムッツリーニ君」
「く、工藤さんまで……」
保健体育の大島。そして俺の嫁の一人、柿崎みる―――ではなく、ムッツリーニの自称ライバルこと工藤愛子だ。
ここの廊下はあまり敷居がないから教師だけだと思っていたが、まさか工藤までいるとは思わなかった。間違いなく同志を警戒してのことだろう。
「仕方ない。ムッツリーニ、援護するよ」
流石の同志でも工藤と大島を二人で相手するには荷が重いと判断したのか、明久が前に出る。
「……………いや、計画に変更はない。ここは引き受ける」
「でも!」
「いいよ。ムッツリーニ君に免じて、残りの三人は通してあげる」
「え?」
工藤の思いがけない台詞に、明久が間の抜けた声を漏らす。
一体何故だ? 保健体育の点数なら同志はともかく、俺ら三人なんぞ簡単に倒すことが出来る筈だ。そうすれば後方で控えているであろう戦力を無理して使うこともないだろうに。
……だが、相手からわざわざ道を作ってくれるのならありがたい限りだ。何を企んでいるのかは知らないが、ここは工藤の言葉に甘えさせてもらうとしよう。
「行け。三人とも」
「………信じていいんだな。同志」
「……………当然だ」
尋ねる俺に小粋な笑みを返す同志。フッ……いい目をしやがって。
「………死ぬなよ、ムッツリーニ!」
「お前の覚悟は、決して無駄にはしねぇからな!」
「ワシらの背中は、お主に預けるぞい!」
「……………!(コクリ)」
力強く頷く同志。ヤツは本気だ。自分の力を信じている。自分の力が目の前の二人に負けることは絶対にないと確信している。アイツはやるときはやるヤツだからな。なら何も心配はいらねぇだろうよ!
そう自分に言い聞かせ、俺達は更に先を目指し走り出した。
―――明久視点。
後ろで召喚獣が展開された気配がする。ムッツリーニが戦闘を始めたみたいだ。
「あともう少しでゴールだ! 気張っていけよてめェら!」
「うんっ!」
「承知じゃ!」
大悟の激励の鼓舞に、僕と秀吉が元気よく返す。
コイツの言う通り、ここまで来たからには負けるわけにはいかない。今も僕らの後ろでは雄二やムッツリーニを始め多くの仲間達が戦っている。人のことを気にするより、僕らは僕らに化せられた使命を果たすべきだ。
「着いたぞい! 大宴会場じゃ!」
秀吉が先を指差す。
そこには一日目の時に見た、高級そうな観音式の扉がある。よし、あそこを越えたらいよいよ女子風呂だ!
「ふん! しゃらくせぇ!!」
バァン!
大悟がその扉を思い切り蹴破ると同時に、室内へと飛び込む。
そこには先日同様、テーブルや椅子などが撤去されただだっ広い空間が広がっている。
そして視線の先には、さっきの工藤さんと大島先生同様、先の扉を守る様に仁王立ちする人影がいた。
「待ってたわよ、大悟」
「やっぱり来たんだね。岡崎君。吉井君。木下君」
「落合先生………!」
「優子………!」
雄二の予想通り、そこには社会科担当の落合先生と秀吉のお姉さん兼大悟の彼女(仮)こと木下さんがいた。
しかも二人だけではなく、その後ろには数多くの女子が並んでいた。おそらく伏兵として落合先生が連れてきているのだろう。
「一日目と違って、かなり人数が多いようじゃのう」
「ああ。こりゃ骨が折れそうだな」
「まさかあの高橋先生を突破してくるなんて思わなかったけど……その猛進もこれまでだよ。ここから先は誰も行かせないからっ!」
「大悟……。そこまでして他の雌の裸を見ようなんて……かなりキツめのオシオキがご所望かしら?」
年上とは思えないほど可愛い表情でキリッと睨み付けてくる落合先生と、逆にニコニコと黒く淀んだ瞳で笑みを浮かべる木下さん。
特に木下さんは、大悟が自分以外の女子の裸を見ることが相当許せないようで、その証拠に目が全く笑っていない。霧島さんとは違う種類での恐怖を感じる。
「大悟、秀吉。今回ばかりは僕も残るよ。さすがに状況が厳しすぎる」
おそらく勝負科目は歴史。となるとこのメンバーに対して僕はかなり劣る。でも、だからといって大悟と秀吉の二人で勝てる相手じゃ―――
「必要ねぇよ」
「うむ。右に同じじゃ」
「え?」
さっきのムッツリーニの時と同じく、間抜けな声が出た。
思わず耳を疑う。そんな馬鹿な! いくら大悟の社会科目が先生並とはいえ、一度完全にやられているじゃないか! しかも今夜は戦力だって大幅に違うのに二人で戦うなんて!
「言っただろう明久。お前はこっち側の陣営の
「それにワシらは、あの人に借りがあるのでな。それを今ここで返したいのじゃ」
でも、二人の表情は真剣だった。ムッツリーニ同様、負けることなど全く考えていない。本気で落合先生達を倒そうとしている。
「いけるんだね、大悟。秀吉?」
「愚問だな明久………俺達を誰だと思ってやがる?」
「大悟の言う通りじゃ。じゃから明久は先へ進め。お主の背中は、何があろうと守り抜いてみせよう」
そう言って二人は口角を上に歪めた。
普段はどうしようもないキモオタと、逆に僕が守ってあげたくなるくらいの美少女なのに、今はまるで別人のように凛々しく、そして大きく見える。
そうか、なら僕も覚悟を決めなきゃ!
「分かったよ! ここは任せた! 代わりに僕は鉄人を倒す!」
「ちょっと待って! さっきもいったけど、ここから先は―――」
「別にいいですよ落合先生。吉井君。特別に貴方だけは通してあげるわ」
木下さんがそう言って落合先生を制する。
彼女は多分、僕に突破されたとしても、女子風呂の前には最大の壁である鉄人が控えている。彼の力なら僕程度、簡単に沈めることが出来るだろうから特に問題ないとでも思っているんだろう。
ちょっと悔しいけど、今はそんなことどうでもいい!
「大悟! 秀吉! 絶対に負けるなよ!」
「お前に言われるまでもねぇ!」
「お主こそ、しくじるでないぞ!」
二人を残し、僕は女子達が開けてくれた道を突っ走る。そしてそのまま向かい側の扉を開け、
―――――大悟視点。
「いやー、聞いたかよ秀吉。あの野郎、負けるなだってさ」
「うむ。エールのつもりで明久は言ったのじゃろう。じゃが、ワシらにとっては笑い話じゃな」
俺と秀吉はそう言って笑い合う。
全く、毎度毎度そうだが、アイツは俺達よりも自分の心配をしとけってんだよ。
「へぇ………随分と余裕綽々じゃない。アンタ達……!」
「岡崎君。木下君。私と二人の実力の差は一日目で分かってる筈だよ? なのにまだやるつもりでいるの?」
「落合先生。ここはアタシ達生徒に任せてくれませんか? あのバカ二人は一度完膚なきまでに倒して痛い目を見させないと分からないようなので」
「そうなの? わかった。なら私も召喚はするけど援護に回るね。その代わり暴力は駄目だよ?」
「大丈夫ですよ。
「そ、そう? ならいいんだけど……(今は?)」
すると、優子を筆頭に女子達がぞろぞろと一斉に並びやがった。
「………さて、そんじゃ俺達も始めるとするか。力貸せよ、相棒?」
「勿論じゃ。相棒」
「っ! そうやってアタシ以外の女と仲良くするなんて……! 許さない……! 二人まとめて本気で叩きのめしてやるわ!
『『『
「姉上!? ワシは男なのじゃが!!?」
Aクラス 木下優子 399点
日本史 &
森兵恵 290点
&
横田奈々 310点
&
花岡麗 286点
&
奥井美咲 300点
&
社会科教師 落合夏音 689点
召喚フィールドが展開され、一斉に向こうの召喚獣が現れた。
それに対し、俺と秀吉も同じく召喚獣を喚び出す為の呪文を唱える。
「「
そして現れた俺と秀吉の分身。
「皆! 一斉にかかるわよ!」
『『『『了解!』』』』
優子の号令により、一気にそれぞれを武器を構えて相手が突貫してくる。狙いは当然俺の召喚獣だ。
前にも話したが、召喚獣の根底は人間と同じなため、急所を狙われればダメージもそれに比例する。頭が吹き飛ばされたり、心臓を貫かれたりなんかしたら即死だ。
「………本気、か。なら―――」
そして、敵の召喚獣達が、俺の召喚獣を串刺しにする―――
「っ! 待って木下さん! 今岡崎君の召喚獣に近づいちゃ―――」
「―――こっちも遠慮なくそうさせて貰うぞ!! "変身"!!」
―――その刹那。俺の召喚獣が獣のごとく吠えた。
『ヴゥゥゥゥゥロロロロロォォォォォ!!!!』
「っ!? しまっ―――」
姉御の言葉により、優子はすぐさま自分がしてしまった過ちに気づいたようだが、時すでに遅し。
発した咆哮は巨大な衝撃波となり、向かってきた全ての召喚獣を吹き飛ばす。
そして、俺の召喚獣はその姿を再び変貌させた。
「叩きのめすだと? はっ! おもしれェ……!!」
碧色に輝く鱗。
天井を覆い尽くす程の長身な体躯。
総てを喰らい、破壊し尽くさんとするほどの凶暴さと、総てを平伏せさせてしまう程の神々しさを兼ね備えた牙、爪、角、眼、髭。
「さあ、本番はこれからだ……お前ら全員、
Fクラス 岡崎大悟 884点
日本史 &
木下秀吉 170点
『ヴォロロロロロォォォオオオオオ!!!!』
そんな俺の声に同調するかのように、龍と化した俺の召喚獣が吠えた。
さぁ、長かった戦いもこれが最後だ! 今度こそ―――勝つ!!!
さて、前回から大分ストーリーが空きましたが、二回目の変身です!
いやぁ、やっぱりドラゴンって格好いいですよね。特に龍なんて全男子が好きなんじゃないかってくらいその姿には魅力が詰まっていると思うんです。
最近で言うならやっぱりワンピースのカイドウじゃないでしょうか? あの圧倒的強者ぶりがたまりません!
さて、次回は大悟&秀吉VS優子&落合&女子連合軍です! 派手にやりたいと思ってるので今からワクワクします。
感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
-
入れろ、絶対に
-
別に入れなくてもいいよ