『皆さんこんにちは! 今回は二回目なのにも関わらずどこかへ行ってしまったおバカな兄の代理としてあたし、岡崎天が問題を出したいと思います! 皆さん頑張って答えて下さいねっ!』
第2問
次の単語の意味を( )内に答えよ。
『死亡フラグ』
土屋康太の答え
『死亡シーンの悲劇性を際立てたり、敵や悪役を撃破するシーンの爽快感を増幅するため、その前準備として行われる描写、演出のこと』
岡崎天のコメント
正解です! さすがはムッツリーニさん。大悟兄と双璧を成すだけありますねぇ。
吉井明久の答え
『坂本雄二の霧島さんに対する言動』
岡崎天のコメント
うーん……意味合い的には間違ってはないの………かなぁ?
坂本雄二のコメント
内容がそもそも間違ってんだよこの馬鹿野郎!!!
坂本雄二の答え
『吉井明久の人生』
吉井明久のコメント
そっちも人の事言えないだろうがこのクズ野郎!!!
岡崎天のコメント
仲がいいですね二人とも。
―――大悟視点。
“われわれが怖れなければならないただひとつのことは、恐怖そのものである。”
―――byフランクリン・ルーズヴェルト
「大悟、秀吉。これはどういうことかしら?」
優子が腕を組み、ニコニコと笑顔を浮かべて正座する俺と秀吉に尋ねる。
俺達は今すぐここから全速力で逃げ出したい気持ちをグッと堪え、極力相手の目を見ないようにしながら小声で答える。
「……………皆でプールで遊んでいます」
「……………右に同じじゃ」
神様―――どうか俺達の平穏を返してください。
「そう。なら三つほど質問をしましょう」
「「……………はい」」
「まず秀吉。そのフザけた格好は何かしら?」
「…………店員に勧められたのが女物だと知らず、仕方なく着ておるだけなのじゃ」
「そう。それじゃあ二つ目。アンタ、今日は演劇部の練習だって言って出掛けたわよね?」
「…………姉上に嘘をついていたのじゃ」
問答を繰り返していると、徐々に優子の表情が綻び始める。
傍から見れば怒っているようには見えないだろう。でも俺と相棒には分かる。あれは全くの真逆。嵐の前の静けさだ。もしどちらかが少しでも地雷源に触れようものなら、一気に俺達の命を奪いにかかるだろう。そうなってしまえば俺達に残される道はDead or Dieだ。
「………それじゃあ最後に大悟」
「はい」
「………どうして他のオンナがこんなにいて、なおかつアタシに声をかけなかったのかしら? それなりの理由があるのでしょう?」
「……………」
脳ミソををフル回転させる。
相手は暴走一歩手前のヤンデレ。間違った答えを言って下手に刺激してしまえば間違いなく二人とも死ぬ。それじゃあ一体どんな返答をすれば生き残れるのか、考えてみることとしよう。
~~岡崎大悟の妄想タイム~~
・考えその1『大人しく非を認める』
「ごめんなさい。俺達が悪かったです」
「心の底から反省しておるのじゃ」
「本当に?」
「「はい」」
「じゃあ二人とも。辞世の句を詠みなさい」
駄目だ。謝ったぐらいで許してくれるような甘いヤツじゃない。却下。
・考えその2『なんとかごまかす』
「いやー、実は携帯が調子悪くて繋がらなかったんだよ。なぁ秀吉?」
「そ、そうじゃ。じゃから姉上に連絡が出来ずにいたのじゃ」
「秀吉。アンタ携帯持ってないハズよね?」
「……………」
「いや、だからそれは俺の携帯が」
「なら今から電話をかけてみましょうか?」
これも駄目。バレたら更に状況が悪化する。
・考えその3『他のヤツらになすりつける』
「実は、明久と雄二が悪いんだ」
「そうなの」
「だから俺と秀吉は無実で」
「責任転嫁なんて最低ね。ならその腐った性根を叩き直してあげるわ」
物理的に叩き直されること確実だろう。
~~妄想タイム、終了~~
チクショウ! どれを選んでも俺と秀吉がバッドエンドになってしまうじゃないか!
でも正直に『優子を呼んだら面倒臭くなりそうだった』とも言えないし………俺は一体どうすればいいんだろうか。
隣では秀吉が『無理じゃ………もうおしまいじゃ………』とボソボソ呟いてやがるし。諦めんなよお前。
「ダーリン? 怒らないから正直に言いなさい?」
「……………お慈悲はありますでしょうか?」
「あのね、アタシもそこまで鬼じゃないから。本当の事を言ってくれればそれでいいのよ」
優子が諭すように俺にそう言う。
仕方ない。どうせこのまま沈黙を続けていても話は一向に進まないのだ。それに万が一ではあるが、正直な気持ちを話せれば優子も温情で許してくれるかも知れない。横を見ると秀吉も同じことを考えているのか、コクリと頷く。
よし、なら腹を括って男を見せるとしよう。
顔をあげて優子の目を見て、大きく息を吸って告げた。
「「お前(姉上)を呼んだら厄介だと思った(のじゃ)」」
「秀吉? ダーリン? 歯を食い縛りなさい」
”恐怖と勇気がどんなに近くに共存しているかは、敵に向って突進する者がいちばんよく知っているであろう。“
―――byモルゲンシュテルン
―――明久視点。
「あはは、優子は相変わらずだね~」
木下さんの手によって大悟と秀吉がプールサイドに頭から叩きつけられているのを見て工藤さんがそう言う。
大丈夫かな? 二人とも血だらけになって動かなくなっちゃってるけど。
「それじゃ、僕も着替えてくるね。優子、行こー!」
「あ、愛子。ちょっと待ってて。今行くわ」
両手の二人をポイッと放り投げた木下さんを連れて、工藤さんは更衣室へと向かっていく。
すると、その途中で振り向いて、
「おっと、覗くならバレないようにね♪」
「!?」
「ちょ、ちょっと愛子! アンタなに言って―――」
「いいからいいから♪ それじゃあね、吉井君♪」
と魅力的な台詞を残していった。
こ、これはつまり本人公認の覗き! 女の子にあんなことを言われたら、男として、行かないわけには―――
「明久君? 余計な動きを見せたら大変なことになりますよ?」
「生きて家に帰りたくないの? アキ」
「………雄二。今動いたら捻り潰すから」
なんだ? この強烈な殺気は。これじゃあ迂闊に身動きが取れない………! こうなったら、ムッツリーニのカメラに期待を―――
「……………(チーン)」
視線の先では、僕らの最後の希望であったムッツリーニが、輸血チューブに繋がれて白くなっていたのだった。クソォッ!!
――――――
「ところで、どうしてプールを借りることが出来たんですか?」
工藤さんと木下さんも加わり、皆で楽しく遊んでいる(大悟と秀吉もかろうじて甦った)と、突然姫路さんがそう僕に尋ねてきた。
そっか、まだ事情を話していなかったっけ。
「まぁ、ちょっとイロイロあってね。プールの掃除を引き受ける代わりに一日貸切にして貰ったんだよ」
「いい感じにはしょったなお前」
黙れ大悟。
「え? お掃除ですか? このプール全部を?」
「うん。でも、一人でやるわけじゃないよ。僕と雄二と大悟とムッツリーニと秀吉の五人でやるんだ」
もっとも、この楽しい時間の代償なら、その程度はなんの苦にもならない。
「プール掃除? それならウチも手伝おっか?」
「私もお手伝いします。遊ぶだけじゃ悪いですし」
「ありがとう。でも、掃除は僕らだけで充分だよ。道具も五人分しか借りていないし」
その気持ちだけ受け取って、丁寧にお断りさせてもらう。
「そうですか………」
「う~ん。道具がないなら仕方ないわね」
「あ、そうでしたっ。それならいいものがあります」
いいもの? 一体なんだろうか。そして姫路さんが更衣室へとトタトタと走り出していく。
しばらく待っていると、両手で大きなバスケットを抱えて戻ってきた。何を持ってき―――
「ちょっと失敗しちゃって、人数分用意できなかったんですけど―――」
「「「「「!!?」」」」」
その瞬間、僕ら五人は本能的に何かを感じ取った。これは、もしや………?
「―――実は、今朝作ったワッフルが四つ」
「第一回!」(雄二の声)
「最速王者決定戦!」(僕の声)
「チキチキ! 男だらけのっ!」(大悟の声)
「「「ガチンコ水泳対決ーーっ!!!」」」(僕と雄二と大悟の声)
「「イェーーッ!!」」(秀吉とムッツリーニの合いの手)
姫路さんの台詞を聞き終える前にタイトルコールが入る。
突然の事態についていけず、女子は全員目を丸くしていた。
「明久、ルールの説明を頼む!」
「オッケー! ルールはとっても簡単で、ここのプールを降伏して、最初にゴールした人の勝ちという、誰にでも分かる普通の水泳勝負です!」
ただし姫路さんの特製殺人ワッフルは四つで、僕らは五人。つまり生き残ることができるのはたった一人。つまり、二位以下は全員待ち受ける困難は同じということになる。
「バカなお兄ちゃんたち、突然どうしたんですか? 急に水泳勝負だなんて、葉月ビックリですっ」
「いいかい葉月ちゃん? 男にはね、大切なものを賭けて戦わなきゃいけない時っていうものがあるんだ」
「ふぇ~。つまり、プライドを賭けた勝負ってやつですねっ」
いいえ。命を賭けた勝負です。
「葉月ちゃん………いいや、マイエンジェル。俺の活躍、是非応援してくれないかい?」
「はいっ。葉月、一生懸命応援しますねっ! 大悟お兄様っ!」
そう言って大悟の手を握る葉月ちゃん。そして再び興奮で発狂する大悟。
なんて健気でピュアな子なんだろうか。あんな欲にまみれたキモオタに対しても屈託のない笑顔と態度で接せるなんてよっぽどのことじゃない限り不可能だというのに。
「……………」
「………優子。さすがに小学生相手にそれはダメ」
「はっ!? ご、ごめんね代表。つい体が勝手に動いちゃって………」
向こうから霧島さんと木下さんのそんな会話が聞こえる。あの手に持ってるエスカリボルグで一体何をするつもりだったのだろうか。
「へぇ~、面白そうだね。それじゃ、ボクが判定をしてあげるよ」
「頼んだよくど―――みるくたそ」
「その呼び方まだ続いてたんだね」
そう言って工藤さんがスタート兼ゴール地点に立つ。
僕らは闘志を燃やしながらスタート地点に向かった。右隣には雄二、左隣には大悟がつく。
「そういえば、あの五人の中で誰が一番速いのかしらね」
「勿論大悟に決まってるわ。なにせ筋肉と鍛え方が違うもの」
「確かに、運動神経と体力なら岡崎君が一番に見えますもんね」
「………雄二も運動能力なら負けてない」
「そうね。それに動きの速さならアキや土屋も引けを取らないし」
そんな暢気な言葉が女子達の間で繰り広げられる。でも僕らにとってはそんなことよりも、無事に明日を迎えられるかどうかの方が重要なのだ。
「大悟お兄様ー! ファイトですーっ!!」
「うぉぉぉおおおおおおおっ!!! 女子小学生の声援こそ我が力の源なりぃぃいいっ!!」
横で訳のわからないことを叫んでるロリコンは放っておこう。
「はーい! 行くよー! 位置について―――」
工藤さんのコールが響く。
ムッツリーニは出血で弱っているから大丈夫。秀吉にも、体力で負けることはないだろう。
「よーい―――」
ということは、僕の敵となるのは―――
「―――スタートっ!」
「「「くたばれぇぇっ!!」」」
合図と共に、僕ら三人は一斉に攻撃を仕掛けていた。
「おのれ雄二! 大悟! 卑怯な真似を!」
「てめェらも同じこと考えていやがったか! この腐れ外道共が!」
「その言葉、そのまま返してやる!」
体勢を立て直し、間髪いれずに雄二と大悟に掴みかかる。が、
「馬鹿が! 俺に腕力で………勝てると思うなァ!!」
「うぐっ………!」
「なんだとぉ………っ!」
大悟によって二人同時に押さえつけられようとしていた。女の人のウエストなんて比じゃないくらいの太い豪腕が僕を襲う。
な、なんて馬鹿力だ………! 全然動く気配がない!
「葉月ちゃんの前で不様な姿を晒せるものかぁ………! せめてもの情けだ。二人纏めて葬ってやろう!」
「はっ、やるじゃねぇか大悟………!」
「僕だってこんなところで負けるものかぁ………っ!」
この一戦に僕の生死が懸かっているんだ! 例え相手が百戦錬磨の元喧嘩師だとしても、おめおめと諦める訳にはいかないっ!
『ねぇお姉ちゃん。水泳なのに、どうしてお兄ちゃんたちはプールの中に入らないですか?』
『見ちゃダメよ葉月。バカがうつっちゃうからね?』
遠くから何か失礼なやり取りが聞こえた気がする。
「三人とも。取っ組み合いもいいけど、向こうはもう折り返しだよ?」
「「「え?」」」
審判の工藤さんからそんな情報を聞かされ、思わず手を止めて先を見る。
するとまさにその通りで、秀吉とムッツリーニは折り返し地点を越えてこちらに戻ってきていたのだ。
「マズい! このままじゃ負けちゃう!」
「嘘だろオイ! いつの間にアイツらあんなに泳いでやがったんだ!」
「そうはいくかっ! 俺はムッツリーニを止める! 明久と大悟は秀吉をやれ!」
「了解!」
「任せろ!」
雄二はムッツリーニのレーンに、僕と大悟は秀吉のレーンに飛び込む。
そして急いで秀吉のいる半ばまで泳いだ。
「相棒! すまんがちょっと大人しくしてくれ!」
「秀吉! ここは通さない!」
「な、なんじゃ大悟に明久!? お主らは隣じゃろう!?」
脇を抜けようとする秀吉だったが、あっさりと大悟に片腕で止められてそのまま抱えられていた。
「大悟、放すのじゃ!」
「おい秀吉! 頼むから暴れんじゃねぇよ! 明久! 手伝え!」
「オッケー!」
秀吉が大悟の腕の中から逃げ出そうと必死にもがく。くうっ! 水の中だからうまく捕らえられない………
! とにかくどこでもいいから掴まなきゃ―――
ズルッ
「へ?」
―――と、突然掴んでいたものから抵抗がなくなった。
「………? なんだこれ?」
落ち着いて手に持っているものを見る。それはライトグリーン色のなにかで………
「ア、アキっ!」
「明久君っ! なにをしているんですかっ!?」
美波と姫路さんが僕の手元を見て血相を変えている。大悟も何事かと思ったのか秀吉を解放した。
その時、僕はようやくそれが何なのかが分かった。
「え!? ひょっとしてコレって、秀吉の………!?」
「おい、まさかとは思うが、てことは………!?」
二人揃って秀吉の方を見る。すると―――
「な、なんじゃ………?」
秀吉は、上半身の水着がはだけて胸が露出していたのだった。
「「「ホゴブファッ!?」」」
それを理解した瞬間、僕、大悟、ムッツリーニの三人の鼻から赤い噴水が舞った。
そしてどんどん朱に染まる水面。
「明久君!? 土屋君!? 岡崎君!?」
「き、木下っ! 早く胸を隠してっ!」
「な、なぜじゃ!? ワシは男なのに………!」
「うおっ! 大丈夫かお前ら! この出血量はマジでヤバくないか!?」
「「「……………か、感無量………っ!(ブクブクブク)」」」
「ああっ! 三人がゆっくりと沈んでいっちゃってますっ!」
「ひ~で~よ~し~? アンタはまたそうやって大悟を誑かしてーーーっ!!!」
「ま、待つのじゃ姉上!? これは完全に不可抗力………!!(ガボゴボゴボ)」
「………愛子。救急車の手配、頼める?」
「はーい。やっぱりFクラスの皆は面白いねぇ」
「バカなお兄ちゃんたち、いつも楽しそうで羨ましいですっ」
「お姉さま、愛しています………」
その後、次に僕らが目覚めたのは病院のベッドの上だった。
――――――週明け。
「………吉井、坂本、岡崎。ちょっと聞きたいことがある」
「断る」
「黙秘します」
「同じく」
朝、僕ら三人は鉄人に呼び出され、事情聴取を受けていた。
しかし僕らは拒否の構えを取り、質問に答える態度を見せていない。
「………どうして―――」
一度言葉を区切り、大きく息を吸う鉄人。
「―――どうして掃除を命じたはずなのにプールが血で汚れてるんだ!? 鉄拳をくれてやるから詳しい話を聞かせろ!」
「説教なんて冗談じゃねぇ! むしろ死人を出さなかったことを褒めてもらいたいくらいだ!」
「そうですよ! 本当に危ないところだったんですからね!」
「アンタは大切な生徒があのまま失われてもいいっていうのか!? そんな薄情ものだとは思わなかったぜ!!」
「黙れ! お前らの日本語はさっぱりわからん! 拳で語り合った方が早い!」
「ええい、この暴力教師め! 逃げるぞ明久! 大悟!」
「了解っ!」
「おうっ!」
「待て貴様ら! 今度は反省文とプールの掃除では済まさんぞっっ!!」
そのまま僕らは、朝から鉄人に追いかけ回される羽目になった。
ありがとうございました。これにて番外編のプール編は終了となります。最初は五話くらいで書いていこうかなと思っていたのですが、そうなると進みのテンポが悪くなってしまうのと、内容がダラダラしてしまう可能性があったので、急遽縮小することに決めました。そして本来はプール編は強化合宿前の話なのですが、本小説ではその後のストーリーになっておりますのでご了承下さい。
今回の登場人物
明久←秀吉のあられもない姿を見てしまい撃沈。
雄二←今回あんまり被害なし。
大悟←珍しく二次元orロリ以外で鼻血を出す。意外と男の娘も許容範囲なのかもしれない。
秀吉←おそらく今回一番の被害者。
ムッツリーニ←満足して逝った。
姫路&島田←秀吉に改めてライバル心を燃やす。
霧島←そんなに出番がなかった。
優子←容赦なく大悟と秀吉をボコすヤンデレちゃん。ちなみに水着は水色のハイネックタイプ。
工藤←ボクみるくたそじゃないからね!?
葉月←Fクラスはやっぱり楽しそう。
清水←そういやいたわ。
次回から小説4巻のストーリーとなります。
感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ