バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 英語

次の言葉を正しい英語に直しなさい。
『ハートフル ラブストーリー』


姫路瑞希の答え
『heartful love story』

教師のコメント
正解です。映画や本の謳い文句によく見かける単語ですが、たまにheartの部分を間違える人がいます。身近にある英語なのですが、意外とわかり難いようですね。
ちなみに日本語に訳すと『愛に満ちた恋物語』となります。是非そのような青春を皆で過ごしてもらいたいと思います。


島田美波の答え
『hurt full rough story』

教師のコメント
・hurt……怪我
・full……一杯の
・rough……荒っぽい
・story……物語

意図的に間違えたのではないかと思うほど綺麗に間違えていますね。
そのようなハートフルラブストーリーを演じるのは貴女だけだと思います。


霧島翔子の答え
『hurt full rough story』

教師のコメント
まさかもう一人いるとは。


木下優子の答え
『hurt full rough story』

教師のコメント
段々これが正解なんじゃないかと錯覚してきました。



修羅場と第二次Dクラス戦編
第五十四問 正義、執行


―――大悟視点。

 

 二週間の停学期間が明け、俺は久しぶりに制服姿で外に出た。

 

「ねみぃ………」

 

 大きな欠伸をしながら、俺は二週間ぶりの通学路を歩く。 

 強化合宿から帰って以降ずっと引きこもりよろしく部屋から出ないかつ昼夜逆転の生活を送っていたためか、朝だというのに眠気がヤヴァイ。どれくらいかっていうともう今からでもこの場で寝そべったらすぐに眠れるレベル。

 

「よし。今日は授業をサボって寝よう。どのみちこんな状態じゃ頭に入らん」

 

 ま、じゃなくても理数系はちんぷんかんぷんなんだがな。はっはっは。

 

「おっ。大悟ではないか」

「む?」

 

 不意に後ろから小走りで来る足音が聞こえる。

 

「久しぶりじゃのぅ。大悟よ」

「秀吉か。二週間ぶりだな。ふわぁ~………」

 

 その正体はFクラスの美少女アイドルにして唯一無二の俺の相棒。木下秀吉だった。

 

「どうしたのじゃ? やけに眠そうじゃの?」

「まぁな。謹慎期間はずっと徹夜だったからな。体内時計が狂ってやがるのさ」

「徹夜? 一体何をしておったのじゃ?」

「エロゲとかギャルゲとか同人ゲーとか」

「要は全部ゲームではないか………相変わらずじゃのう」

 

 秀吉が呆れたようにそう俺に言った。

 けど仕方がない。学校からは罰として二週間はどこにも行かず家にいろという謹慎命令を受けていたのだ。しかも山ほどの課題を出されるという二重苦。こんなのストレスが溜まらない訳がなかろう。

 だから俺は最初の三日間くらいで死ぬ思いで課題を全て終わらせ(内容は別)、後はひたすらテレビか にかじりついていた。精神的に消耗していた俺にとって、二次元の女の子がキャッキャウフフしてたりあんなことやこんなことをしている姿は癒しであり、明日を生き抜く為の動力源なのだから。

 

「はぁ……今すぐ家に戻ってまた二次元の世界に浸りたい気分だぜ」

「そんなことをいうでない。ワシは久しぶりにお主に会えて嬉しく思っておるのじゃぞ?」

「え? そうなん?」

 

 そういえば、今日の秀吉はいつもより笑顔を浮かべているような気がする。

 

「うむ。いくら謹慎とはいえ、親友に会えない期間が長続きするのは不満じゃったからの。こうしてまたお主との日常が戻ってきたのは喜ばしいことじゃ」

 

 えっ……なにこの子めっちゃいい子やん。惚れそう。

 

「俺に会えて嬉しいだと? 随分と物好きだなお前は。そんな節穴な目をしてると将来婿探しで苦労するぞ?」

「いや、そう意味で言ったのではないのじゃが………。それに男のワシに婿探しという言葉はおかしいじゃろう」

 

 俺が笑い飛ばすと、秀吉はどこか納得がいかないとでも言うように口をとがらせた。

 

「………そうか。ま、そう考えるのもありか」

 

 家でのんびりと趣味に過ごすのもいいが、秀吉の言う通り友達とバカ騒ぎするっていうのも大切なことだよな。それに気づかせてくれるとは………さすがは俺の相棒だ。

 

「ま、またよろしくな。相棒」

「勿論じゃ。相棒」

 

 二人で拳を突き合わせる。最早俺達にとって恒例の行為だ。

 そしてそのまま二人で他愛のない雑談をしながら歩いていると、

 

 

 

『ほら、とっとと金出せよ!! お小遣いあんだろ!?』

『詫び賃だよ、詫び賃!!』

 

 

 

 どこからかそんな怒声が耳に響いてきた。

 

「なんだぁ? うるせぇなぁ」

「だ、大悟。アレ………」

 

 秀吉が指差した方向に視線を向ける。

 その先には、俺達と同じ高校生らしき二人組の後ろ姿が見えた。どうやらさっきの声の発生源のようだ。

 

『ぶつかってきたのはそっちだろーが! アァン!?』

『はやくしねーと、本気で殴んぞオイ!!』

 

 そう声を荒げ、物騒な言葉を惜しげもなく発する。道行く通行人達もその光景をチラチラ見たり巻き込まれないよう早足になったりしている。

 なんだ、誰かと揉めてんのか? それとも喧嘩かなんかで打ち負かした相手への追い討ちか? まぁどっちにしろ俺には関係ないが。

 

「ほれ、行くぞ秀吉」

「え? しかし大悟よ………」

「なんだ、止めなくてもいいのかってか? いいんだよ。わざわざ人様の喧嘩におせっかいで首突っ込む必要なんてねぇからな。やりたきゃ勝手にやらしとけって話だ」

「いや、そうではなくてじゃな。相手が………」

「大体な、ありゃ見た感じ高校生同士の喧嘩だ。なら尚更止めるまでもねぇのよ。ほとぼりが冷めりゃあ勝手に終わってるもんなんだ。そんなもんに一々付き合ってたらキリがない。それも………」

「じゃから、相手をよく見てみよ!」

 

 秀吉があまりにも強く言うため、仕方なくそっちの方をよく見てみる。ったく、何をそんなに慌ててやがるんだ。別に喧嘩なんて俺と一緒につるんでたんだから見慣れてるだろうに―――

 

 

 

 

 

『ひ、ひぃ………っ! こ、怖いよぉ………』(女子小学生)

『お、お母さぁん………ふぇぇ』(女子幼稚園児)

 

 

 

 

 

 ―――一瞬で頭に血が昇った。

 

「秀吉。ちょっとコレ持ってろ」

「む?」

 

 秀吉に鞄を預け、俺はそいつらの下へと向かう。全く、俺の前であんな可愛い可愛いロリ達にあんな態度を取るなんてなぁ。これは俺が正しい方向へと二人を導いてやらなくてはいけないな。

 そして、俺は背後からそいつらの肩を優しく叩く。

 

 PON 

 

『あ、誰だ―――ぶげぼぉおおっ!!?』

『ん? なん―――げぶぅぅうっ!!?』

 

幼ジョ、泣カセるヤツ、死ネ

 

 

 さぁ、正義を執行しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、すっきりした」

 

 無事にロリ達に群がるゴミを片付け、一息つくと、秀吉がやれやれと肩を竦めながら来た。

 

「相変わらず容赦がないのう。お主は」

「当たり前だ。世界の宝であるロリを怖がらせるようなクソ野郎共には情けなど要らんからな」

 

 後は適当にそこら辺に捨てておけばいいだろう。きっと誰かが拾ってくれるさ。鼻とか折れてるけど多分大丈夫でしょ。

 

「………さて、麗しきお嬢さん方。お怪我はありませんか?」

「「…………………」」

 

 ロリ達の方を見てみると、口をポカンと開けて固まっている表情のロリ達がいた。

 うんうん。そんな顔も実に可愛らしくて素晴らしい。思わずお兄さん興奮してきちゃったよ。

 

「やけに静かじゃの?」

「どうしたんだい? もう怖いヤツらはいないんだよ? さぁ、俺の胸に飛び込んでおい―――」

 

 二人でロリ達の顔を覗き込む。すると、

 

「……………ふぇ」

「「?」」

「うぇぇぇええええん!!!」

「「えぇぇええっ!!?」」

 

 ちっちゃい方のロリが突然大声で泣き始めてしまった。え、なになになに!?

 

「どっ、どどどどうしたのじゃ!? なぜ泣くのじゃ!?」

「お、おおおお落ち着くんだお嬢さん! 俺達は別に怪しいヤツらじゃなくて」

「うぇぇぇええええん!!! うぇぇぇええええん!!!」

「………………」

 

 弁明を遮って泣き続けるちっちゃい方のロリ。俺………嫌われてんのかな?

 

「ごっ、ごめんなさい!! 妹は多分、さっきのが怖くて泣いてるんだと思うんですっ! その……さっきのびどだ……ぢが………うぅっ、うわぁぁぁぁあああん!!! ごわがっだよぉぉおおおお!!!」

 

 そしたら恐怖を思い出したのか、姉のロリまで泣き出してしまった。

 なんだろう。俺達が泣かせた訳じゃないのにも関わらず罪悪感が出てきた。ここまでやられるとさすがの俺も傷つく。けどこの子達は被害者だ。何も悪くない。

 

「ああっ! 落ち着くのじゃ二人とも! 大悟! こういう場合はどうすれば良いのじゃ!?」

「任せろ!! こういう時はまず優しく抱き締めてあげるんだ!! そしたら次に愛の言葉を囁いてからその勢いでベッドへ行き一緒に大人の保健体育を………!」

「この状況でお主は何を言っておるのじゃ!? しっかりせい!」

 

「「うぇぇぇええええん!!! うわぁぁぁぁあああん!!!」」

 

 はっ!? ついロリ達とのいちゃラブ妄想へと浸ってしまいそうになっていた! 反省反省!

 取り敢えず、まずはこのロリ達を宥めて安心させないと―――

 

 

 PON

 

 

「ん?」

 

 誰だ? 俺の肩を掴むのは。

 

「キミ。何をしてるのかな?」

 

 声がしたので後ろを振り向くと、そこには青い制服を着たお巡りさんが、笑顔で俺の肩に手を置いていたのだった。

 

「………………」

「………………」

「………………(ニコッ)」

「………………(コクリ)」

 

 

 

 

 カチャリ

 

 

 

 

 

「オラ!! キリキリ歩け!!」

「誤解です! 俺は何もやっていません!」

「嘘をつくな! 近隣住民から『高校生らしき男が女の子に暴力をふるおうとしてる』という通報があったんだ! さっきの状況的にもその見た目的にもお前だろう!」

「違います! 俺はただあの愛しき幼女達をあの悪党から守ろうとしただけなんです! ていうか見た目は関係ないでしょう!?」

「うるさい! 言い訳なら後で聞いてやる! だから無駄な抵抗はするなこのロリコン野郎め!!」

「やめろぉぉおおーーっ!! もう捕まりたくなぁぁああーい!!」

 

「あぁーっ! おっきなお兄ちゃんがお巡りさんに連れていかれちゃうよー!」

「待ってー! リーゼントのお兄ちゃーん!!」

「どうしてこうなるのじゃ………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

「あぁクソ………ひでぇ目にあったぜ」

 

 俺はあの後、騒ぎに駆けつけた警察官に近くの交番まで連行された。

 誤解を解くために秀吉と先ほどのロリ達、そして連絡を受けて来たロリ達の母親とおぼしき女性が必死に説得してくれたおかげで、多少時間はかかったもののなんとか解放された。その際に何故か持ち物検査をされてしまい、顧客に渡す予定の同人誌(幼女×オッサン×触手)が出てきて更に怪しまれたが、それもなんとか弁明して終わった。

 

『次からはあまり誤解を招くようなことをしないようにな』

 

 そう去り際に警察官のオッサンに言われた。いや、アンタの早とちりじゃないのか………? と思ったがとっととこの状況を切り上げたかったから敢えて何も言わなかった。

 

「お主も停学明け早々災難じゃったのう………」

「ああ。でも一番はあの同人誌が見つかったときの母親の『うちの娘達に近づくなこの鬼畜趣味の変態』っていわんばかりの視線を向けられたのがキツかったな………」

「いや、そもそも何故あんな物を持ってきておるのじゃお主は………」

「仕方ないだろう。今日が客との受け渡しの日なんだから。没収されんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ」

 

 唯一の救いは、このことがあの場で丸く終わってくれたことだろう。もし学校に報告なんてされたら、また鉄人かババァから説教やら反省文やらを食らうことになっていたからな。

 

「でもまぁ、ロリ達を助けられたからよしとしよう! 可愛かったなぁ~」

「全くお主は………」

 

 そんなこんなあり、ようやく目的地である文月学園へと到着する。

 時間は食ってしまったが、元々早めに家を出ていた為か、遅刻にはなっていないようだ。

 

「そういや、明久達はもう来てるんか?」

「あの時間で見かけなかったということは、そうじゃろうな」

 

 

 そうか。それなら久しぶりにあのバカの顔でも拝んでやるとするか。

 そう思いながら、俺達は自分のクラスへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

――――――Fクラス

 

 

「うぃーす」

「おはようなのじゃ」

 

 相変わらずのボロい扉を開けると、

 

 

『吉井! 抵抗するな! 往生際が悪いぞ!』

「くそっ! 誰か、助け―――そうだっ! 優しい姫路さんなら僕を助けてくれるはず! お願い姫路さん! 僕を助けて!」

「美波ちゃん………やっぱり、明久君のことが………」

「えぇっ!? まだそれやってるの!?」

 

 

 暗幕で光を遮る室内。ロープでグルグル巻きにされている明久&雄二(バカコンビ)。覆面姿のクラスメイト達。そこらかしこに置かれる鞭や蝋燭などの拷問アイテム。

 やれやれ、朝っぱらから元気だな。

 

「こ、これは一体何事じゃ!?」

 

 が、相棒は冷静な俺とは真逆に驚愕の表情を浮かべてそう言った。

 

「秀吉! 大悟! 良かった………! ずっと来ないからてっきり今日は休みなのかと」

 

 明久が希望を見出だしたかのごとき視線を俺達に向ける。

 

「今朝は色々な諸事情があって遅くなってしまったのじゃが………。明久、お主は何をしておるのじゃ?」

「助けて秀吉! このままじゃ僕はクラスメイトの手でこんがりと焼かれた挙げ句紐無しバンジーをさせられてしまいそうなんだ!」

「? どういう事じゃ?」

 

「雄二。おめぇ緊縛プレイをするにしても全身をくまなく縛っちゃ意味ねぇだろう。俺が亀甲縛りに直してやろうか?」

「好きでこんなことしてる訳ねぇだろ!? 俺はコイツの巻き添えだ!」

「ふーん」

 

 なんだ? また何かやらかしたか? と思いながら自分の席につこうとすると、

 

「お待ちしておりました。二次元の貴公子こと我らが大いなる兄貴よ」

「あん?」

 

 俺の前に一人の覆面が立ち塞がる。声から多分須川だろう。

 

「おい須川。この状況はなんだ?」

「はい。我ら異端審問会は、あそこにいる吉井明久と坂本雄二の二名を異端者として裁判にかけている最中でございます。そして今しがた、然るべき判決を下しました」

「やっぱりか。それで結果は?」

「満場一致で極刑です」

「なるほど。内容は?」

「人間丸焼きバーベキューか丸腰スカイダイビングを考えております」

「うむ。悪くないだろう」

 

 納得する俺。後ろで『違う! 誤解なんだ!』とギャーギャー騒ぐ声は無視していいだろう。

 

「んで、ヤツらの罪状は?」

「よく聞いてくださいました兄貴。異端者・吉井明久は我ら異端審問会の血の盟約に背き、よりによって我らが聖域である文月学園敷地内において、群衆の面前にも関わらず島田美波と接吻などという不埒な―――」

 

 

 ガラッ

 

 

 突然扉が開いた。

 

「……………」

 

 それは、何故か顔を耳まで赤くしながら俯く島田だった。

 なにも言わずに、俺達のこの状況そっちのけで足早に自分の席につく。

 

 

「「「……………」」」

 

 

 静まり返る教室。

 それは一時限目の担当である布施が来るまで続いた。

 

 

「美波ちゃん……やっぱり、明久君のことが………」

 

 

 あと姫路はまだそんなことを呟き続けていた。

 

 

 




今回短めになってしまった。すまん!  


今回の登場人物
明久←異端者その一。内容は原作まんま。
雄二←異端者その二。こっちもそのまんま。
大悟←あやうく学園生活が終わるとこだった。良いことをしたのに酷い仕打ちである。かなしきかなロリコン。
秀吉←特にこれといった特別な描写はなし。
姫路←美波ちゃん……やっぱり、明久君のことが………。
島田←めっちゃ照れてる。意外と女の子らしくて可愛い。
須川 and FFF団←死刑だ死刑!!


感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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