以下の状況を想像して質問に答えてください。
『あなたは大好きな彼と二人きりで旅行に行くことになりました。
ところが、飛行機に乗っていざ出発、というところで忘れ物に気がつきます。
さて、あなたは一体何を忘れてきたのでしょう?』
姫路瑞希の答え
『頭痛薬や医薬などの医療品』
教師のコメント
これは『あなたが好きな人に何を求めているか』についてわかる心理テストです。忘れ物はあなたに欠けているものを表し、忘れても気が付かずに出発してしまったということは、一緒にいる彼がそれを補ってくれるとあなたが考えているからなのです。
どうやら姫路さんは好きな人に安らぎを求めているようですね。
霧島翔子の答え
『手錠』
木下優子の答え
『首輪、媚薬、猿轡』
教師のコメント
忘れ物の前に、持っていこうとする時点で間違っています。
工藤愛子の答え
『下着を穿いていくこと』
教師のコメント
あなたは好きな人に何を求めているのですか。
小暮葵の答え
『勝負下着』
教師のコメント
何故二年生の問題に三年生の貴女が答えているのですか。
―――大悟視点
「このクソ野郎!! 君のせいで酷い目にあったじゃないか!」
「うっせぇこのリア充が!! もとはと言えばてめェが公衆の面前でキスなんてしたからだろうがこのカスゥ!!」
「なんだとこの性犯罪者予備軍め!! もう今度という今度は許さない!! 今から屋上で決着つけんぞコラァ!!」
「上等だ!! もう一度実力の差を思い知らせてやるよクソ雑魚ナメクジが!!」
「やめんかお主ら! 喧嘩しとる場合ではなかろう!」
明久と胸ぐらを掴み合いながら口喧嘩をしているところを相棒に止められた。それにより俺ら二人は渋々と引き下がる。
クソゥ。今は相棒に免じて大人しくしておいてやるが……後で覚えておけよ。お前のせいで俺と同志はかけがえの無いお宝達を失う羽目になったんだ。この怨み晴らさずおくべきか。この問題が解決したらあの殺人兵器をたっぷりと味あわせてやるぜ!
そう思い、俺は再び話し合いに参加した。
―――明久視点。
「ああ、うん。ごめん秀吉。それでどこまで話したっけ?」
「お前らのせいで清水が俺達Fクラスに戦争を仕掛けてくるってところまでだ」
「そうだった! でも、僕は別にそんなつもりじゃ……」
「じゃが、清水はそうは思っておらん」
「それに言っていただろ? 卓袱台だからなんとかって。おそらく清水はお前と島田の席を離す為にまた設備をミカン箱にするつもりのようだな」
しかも僕達男子は覗き騒動で停学をくらっていた為に点数が補充できていない。このクラスの大半は男子によって占められているため、今攻め込まれれば確実な敗北は免れないのだ。
「さすがに姫路だけじゃあ、この状況を好転はさせられねぇよな。言い方は悪いが、島田も数学以外じゃあまり戦力にならんし」
「そうだ。ってなワケで、今回の試召戦争は回避することにする。こっちが勝ったとしてもDクラス程度じゃあまりメリットがないし、折角貸しがあるクラスをわざわざ敵に回すこともないだろう」
「ま、それが妥当だよな」
「え? 回避できるの?」
「ああ。方法は二つある」
すると、雄二はポケットから一枚の紙切れを取り出し僕に手渡してきた。
「見てみろ。これは凄いぞ」
「凄い? 一体何を―――」
ペラッ(ダイゴブックス限定:船越先生の《自主規制》カラーイラスト)
サッ(一斉に視線を逸らす四人)
ゲボゲボゲボ(口から吐瀉物を出す僕)
地獄を見た。
「おぇぇぇえええええっ!!! な、なんて汚ならしいものを見せやがるんだこの野郎っ!!」
「とまぁ、これが一つ目の方法だ。この通り人間に対しての破壊力は絶大。必ず結果が出ること間違いなしだ」
「なるほど。これを清水に見せつけて戦意を削ぐということじゃな」
「……………一撃必殺」
「そうだろう? 今までで一番の出来だからな」
「だからって僕を実験台にしないでよ! しばらく夢に出てきそうじゃないか! 勿論悪夢で!」
そう四人……特に実行犯の雄二と作成者の大悟に文句を言う。おのれ、あんな核兵器にも匹敵する代物を容赦なく友達に使うなんて、コイツらには人としての倫理観が存在しないのか。
「だが、これはあくまでも最終手段だ。まだ使わない」
「? どうしてさ?」
「分からないのか? これはむやみやたらに乱用するととんでもないことになる。下手したら一生ものの精神的負担を与え、最悪命まで奪いかねない」
「ある意味姫路の手料理よりも殺傷能力が高いと言えるだろう」
遠回しに姫路さんの料理の腕を貶す二人。ここで『それは失礼だよ!』と言い切れないところがなんとも歯痒いところだ。
「ちなみに、合宿の時に俺が清水を連れていなくなったのを覚えているか?」
「ああ、確か最終日のことだったよね。何をしたの?」
「仕置きとして、清水を拘束した上でこのイラストの拡大版を眼前で見せつけた。勿論気を失わせないように色々配慮もしてな」
「悪魔だ! ここに悪魔がいるぞ!!」
なんて身の毛もよだつ恐ろしい所業をするのだろうか。一瞬だけしか見てない僕でさえ思わず吐いたのに、あれを長時間視界に入れさせるなんて仕置きを超えて最早処刑に等しい。精神的に死んでもおかしくはないだろう。
なるほど、だからあの時清水さんは泣き叫んでいたのか。そう僕は納得した。
「そういった理由から、こっちではなくもう一つの案を実行しようと思うんだが……それに当たって明久に聞いておきたいことがある」
「ん? なに?」
「島田とお前は付き合っているのか?」
雄二の一言が僕に突き刺さった。
そんな質問をするってことは、もう一つの案には美波が関わっているってことなのかな?
ちなみに美波は今この場にはいない。姫路さんを連れてどこかへ行ったようだ。
「僕の記憶だと、付き合ってはいない、と思う……」
「じゃが、島田の態度は明らかに付き合っている者のそれじゃったぞ?」
「うん。それは多分、僕の送った間違いメールが原因で―――」
四人に強化合宿で起こった出来事を説明する。
「なるほど。つまり明久の間違いメールから全ては始まったんだな。理解したよ」
「うん。そういうことになっちゃうね……」
うんうんと頷く大悟。
「はっはっは。全く明久はドジだなぁ―――よし死ねゴミクズ」
グシャァ………
ヤツの鉄拳が僕の顔面にめり込んだ。
「……うぶぉぉおっ!? 僕の顔の骨が砕かれたような音と鈍い痛みがぁっ……!」
「てめぇふざけんな! つまりお前がそんな馬鹿な間違いしなきゃ、俺と秀吉はあの夜優子にボコられずに済んだってことじゃねぇか!」
のたうち回る僕を大悟がゴミを見るような目で見ている。くそぉっ! これ以上ブサイクになったらどうしてくれるんだ!
「落ち着け大悟。明久を始末するなら全てが終わってからにしろ」
「おいコラ雄二! なにしれっと罪から逃げようとしてるんだ! そもそもあのメールを木下さんに送ったのは僕じゃなくて雄二じゃないか!」
「よし、どうやら誤解ってことで良さそうだな」
「無視するなコラ!」
僕には目もくれず話を進める雄二。あの腐れ外道め。いつか必ず痛い目に遭わせてやるからな!
「そしたら後は簡単だ。島田の誤解を解いてお前らをいつもの調子に戻す。そうなれば清水も無理に戦争を起こすなんて気はしなくなるだろ」
「ま、もしそれでも懲りずに因縁をつけてこようもんなら……コイツを使わざるを得ないがな(ピラッ)」
流石にそれはやめてあげて欲しい。そう思っていると、突然前の扉がガラガラと開かれた。
「失礼致します」
そんな丁寧な言葉と共に、見慣れない人が教室に入ってきた。どうやら女子生徒のようだ。
「休み時間中に申し訳ありません。二ーFクラスはこちらで合ってますでしょうか?」
その人は制服の上からでも凹凸がハッキリと分かるほど艶っぽい身体のラインに、扇情的な仕種。美人ではあるもののどこか艶かしい雰囲気を醸し出しており、今までに出会ったことのないジャンルの人だ。
「ああそうだ。だがアンタは?」
雄二がそう尋ねる。
「初めまして、二ーFクラスの皆さん。私、三年A組の小暮葵と申します」
そう言って、小暮先輩はスカートの端を摘んでちょこんと礼をした。
いやいや、そういうのって普通は長いスカートでやるもので、そんなに短いスカートでやったら……
『ようこそ小暮様。私Fクラスのナイスガイこと須川亮と申します』
『どうぞこの私、福村幸平を貴女様の犬としてお使い下さい。小暮様』
『いやいや、貴女様のようなお美しいお方にはあんな汚ならしいクズ共より、この私横溝浩二が相応しいかと思います』
ほら、皆が錯乱しちゃったじゃないか。
「おいお前ら、とりあえず一旦下がれ。センパイが困惑してるだろうが」
『『『黙れ坂本!! 俺達ゃ小暮先輩と話をしてんじゃボケェ!!』』』
ホント、ここまでくると清々しい程のクズっぷりだ。
「ごめんなさい皆さん。私はとある方に用事があってここに来ましたので」
そんなクラスの皆の様子など意にも介せず、小暮先輩は僕たちのいるところまでやってくると、
「ご無沙汰ですね、岡崎君。こうして対面するのは清涼祭以来でしょうか」
そう大悟に話しかけた。え? この人大悟の知り合いなの?
「小暮先輩か。わざわざこんな辺境の地まで来るとは、どういった風の吹き回しっすか?」
「はい。少し岡崎君にお話がありまして……お時間は宜しいですか?」
「話? 別に構いませんが……ここじゃダメなんすか?」
「そうですわね。出来ることなら―――二人きりで♪」
「卓袱台返しっ!」
シュタタタタンッ!!
『『『チッ………!!』』』
四方八方から飛んできたカッターやハサミを、大悟はあっさりと卓袱台でガードした。そして聞こえる憎悪の込められた舌打ちの数々。
「分かった。だが今は見ての通り立て込んでいましてね。あんまり長話は勘弁して貰いてぇんですが」
「それは心配要りませんわ。それにこの後は私も授業がありますので」
「ならいいんすけど……ていうか―――」
大悟が小暮先輩の下半身に目を向ける。そこには当然小暮先輩のスラリとした美脚があるだけなのだが……?
「―――アンタ、前みたいに下着が見えないんだが、ちゃんと穿いてるよな?」
「ブふっ!」
思わず口から何かが出てしまった。
「だ、大悟! 君は一体何とんでもないことを訊いているんだ!? 女性に対して失礼じゃないか!」
「それが、今日は朝が忙しくてうっかり下着を穿くのを忘れてしまいましたの」
「いやそっちもなんで普通に答えているんですか!? しかもホントに穿いてないの!?」
「大変じゃ!! ムッツリーニが出血多量でショック状態に陥っておる!」
ば、バカな!? 下着を穿いてないなんていくら女性でも法律的にアウトだ! いや、まさか三年生ともなればそれくらいは普通のことなのか!? もしそうだとしたらなんてけしから―――羨ましいんだ!!
「……あら、貴女は確か観察処分者の」
「あ、どうも。吉井明久です」
突然小暮先輩が僕の方に視線を向けた。そしてニコッと微笑む。
「ふふっ。やはりそうでしたか。岡崎君から貴方のことはかねがね訊いておりましたの」
「え? そうなんですか?」
「はい。彼曰く『猿と互角に渡り合える程のバカ』だと」
あのロリコン後で絶対シバいてやる。それはさておき、
「小暮先輩。まさか本当に下着を穿いていないんですか?」
「あら。お疑いになられるのですね。でしたら自分で見て確かめて見ますか?(ピラッ)」
「まずいのじゃ! 血圧と脈拍数がどんどん低下してきておる!」
そんな魅惑的な台詞を発してスカートを少し捲り上げる小暮先輩。
やれやれ、こんな美人な女性にそんなことを言われたら、男としてすごすごと引き下がる訳にはいかないじゃないか。
「ふっ。でしたら小暮先輩。喜んでその内側を拝借させてもらいあれ? なんだか両手の手首が物凄い力でねじ切られるような鋭い痛みがぁぁぁああっ!!」
「クラスが騒がしいのが見えて何事かと思えば……覚悟は出来てるわね? アキ」
「明久君? もう一度オシオキが必要なようですね?」
寒気がするほど低い二つの声。
振り向くと、般若のような形相をした美波と恐ろしい笑みを浮かべた姫路さんがいた。どうやら帰ってきていたようだ。
僕の両手首が酷いことになっているのは見なかったことにしよう。
「ふふっ。冗談ですわ。少しからかってしまっただけですの」
「な、なんだ冗談ですか~。危うく本気にするところで」
「多分。紐みたいな下着だから見えなかったんだと思いますの」
「誰か! 一刻も早く救急車を呼ぶのじゃ!! このままではムッツリーニが死んでしまう!」
「………なぁ小暮先輩。俺から振っといてなんだがそろそろいいか?」
これ以上は収拾がつかなくなると判断したのか、大悟が小暮先輩を止める。
「あら。ごめんなさい岡崎君。少しお遊びがすぎてしまったようですわね」
「話があるんだろ? さっさとしてくれると助かるんだが」
「わかりました。それでは行きましょうか」
今度は軽いお辞儀だけで済ませる先輩。
「それでは二年生の皆様。ごきげんよう」
そのまま大悟を連れて教室から去っていった。
ううむ、なんとも妖艶的な人だった。もしかすると、三年生にはあんな先輩がいっぱいいるのだろうか? だとしたら男としてはなんとも喜ばしい限りだ。
―――でも、なんであの先輩と大悟が知り合いなんだろうか?
―――大悟視点
「んで先輩。俺に話ってなんすか?」
「はい。内容としては二つほど、岡崎君に伝えたいことがありますの」
小暮先輩は俺を空き教室へと連れて行き、誰もいないのを確認してからそう話を始める。
ううむ。誰もいない空き教室にてエロい先輩と二人きりか……中々男心をそそるシチュエーションじゃないか。けど俺としては、相手が更に二次元の女の子であったのなら完璧だったんだがなぁ。
「なんすか?」
「はい。まずは強化合宿の件でお話を」
「強化合宿ですか? てことはもしや―――」
「もちろん、覗き騒動のことですわ」
俺にそうピシャリと言い切る小暮先輩。ああ、やっぱり知ってたんすねぇ……。
ま、一学年の全男子が停学をくらう事態にまで及んだんだ。そんな衝撃的なニュースなら他学年の人に知られていてもなんらおかしくはないか。
「最初この情報を聞いた時は思わず耳を疑ってしまいましたが……なんでもこれを先導したのは岡崎君達Fクラスの生徒なのでしょう?」
「いやぁ、自分でもバカなことしたなぁって思いますよ。けど、これもダチの名誉と俺の未来を守るためっすからねー。後悔はしても間違ったことをしたつもりはないっすよ」
「ふふっ。さすがは奇想天外クラスといわれるだけありますわね。ちなみに結果はどうでしたの?」
「聞かないでください」
苦労して勝ち取った栄光が、クソババァの汚ねぇ全裸姿なんて言える訳がないだろう。
おえ……思い出したらまた吐きそうだ。
「……んで、それがどうしたんですか」
「はい。そのことなんですが……小山優香さんという生徒をご存知ですよね?」
「小山? あぁ……あのヒステリック女ですか。でもなんで先輩がアイツのことを?」
「あら、ご存知なかったのですか? あの子は私の部活の後輩……つまり茶道部に所属しておりますのよ?」
「え!? マジですか!?」
嘘だろ! あの人を見下すしか脳のないプライドの塊みたいな短気女が、その真逆ともいえる紳士淑女が集まることで有名なあの茶道部だとぉ!?
なにかの間違いだろう!? イメージが全く湧かんぞ!
「ふふふ。信じられないといったお顔をしてますね。ですが彼女はかなりデキル子ですよ? 作法や礼儀もしっかりとしておりますし」
「小暮先輩。すぐ精神病院か脳外科へ行きましょう。今ならまだ間に合います」
「別に気がおかしくなってはいませんわよ?」
ヤツを褒めるなんておかしい!
きっと彼女はあのヒステリー女によって洗脳されてしまったに違いない。おのれ小山め! そうやって無実の人間を巻き込むなんて、お前は本物の外道だ!
「まぁそれはさておき、小山がなにを?」
「実は、彼女から今回の騒動のことを聞かせて頂きました。そしたら―――岡崎君と……坂本君でしたか。その二人を嵌めようとしていたと」
「!」
小暮先輩からの衝撃的のカミングアウトに俺はピクリと眉を吊り上げる。
……が、俺は驚く態度は見せずに平静を保ち、言葉を返した。
「ふむ。やっぱりそうでしたか」
「おや、ご存知だったのですか?」
「ええ。つっても俺が気づいたわけじゃなく、他人からの証言ですがね」
勿論その他人というのは覗き騒動の真犯人である清水だ。俺は最終日にヤツをお仕置きを兼ねて尋問し、事の顛末を全て吐かせたからな。そしたら明久の盗撮は時分がやったことだが俺と雄二の台詞を録音したのは違う。そしてその音源は小山から渡されたものであり、それを最も欲しがるであろう霧島と優子に売り付けて欲しいと頼まれたと白状した。清水は俺と雄二の件にはただブローカーとして動いていただけ、そして計画犯の小山は殆ど見ているのみで、霧島と優子には接触しない。そうすれば仮に自分達の動向を調べられたとしてもなんら問題はない。つまり同志が『明久と俺達の件は同一人物の犯行』ということを勘違いしてたことになる。なんとも用意周到なヤツだ。
「ま、なんで小山がわざわざそんな真似をしたのかは知らねぇが……あの執念深い野郎のことだ。大方俺に対する個人的な仕返しのつもりだったんだろうな。雄二のヤツは……そのついでかFクラス全体への同じく仕返しかな」
「確かにそんなことを言っていました。ですがなぜ小山さんは岡崎君にそこまで……」
「まあ、一年の頃にちょっとした揉め事がありまして……それ以来敵視されてます」
「そうでしたか………」
そう呟き、少し顔を俯かせる小暮先輩。
俺もその後は特に何も言わず、互いに沈黙する時間が出来た。
「……………申し訳ございませんでした!」
「は?」
すると、突然小暮先輩が深々と俺に頭を下げた。
「ちょ、いきなりなにしてんすか、小暮先輩」
「今回の覗き騒動の件。小山さんが全ての引き金を引いたことは理解しました。そしてそれによって岡崎君を初めとする二学年男子全員に迷惑をかけてしまいました。後輩の不祥事は先輩である私にも責任があるのです」
「……………」
そう申し訳なさそうに謝罪する小暮先輩。おそらく自分が面倒を見ている後輩がそのような真似をしたことに対して、強い罪悪感を感じているのだろうか。なにせ年下の俺に対してここまでしているのだ。いくら自分達側に非があるのを理解してるにしても、こんな年下の後輩にわざわざ頭を下げるなどという威厳もクソもかなぐり捨てた行為が出来るだろうか。
全く……そんなもんを見せられちまったら、俺が取るべき対応なんて一つしかないだろう。
「………頭あげましょうや。小暮先輩」
「ですが………」
「アンタがちゃんと筋を通す人間だってのは分かった。だからいつまでもそうしてなくていいっすから」
そう言うと、渋々と小暮先輩は頭を上げた。
「怒ってはいないのですか?」
「怒る? 小暮先輩に? バカなこと言わねぇでくださいよ。どうして俺が小暮先輩に怒らにゃならんのですか。そんな理由がねぇでしょうに」
「え? しかし私は―――」
「小暮先輩」
俺は小暮先輩の言葉をこっちの言葉で遮った。そしてそのまま俺は続ける。
「確かに俺達は散々な目にあったが、今更それを騒ぎ立てても仕方がねぇでしょう。んなのは往生際が悪すぎるからな。それにいくら小山の直接の先輩だからって、無関係のアンタを攻めるのはお門違いだ。それにもうこっちは小山本人に罰を与えてあるから謝罪は必要ない」
「岡崎君………」
「ま、つまりもう全部丸く収まったってことですよ。それをまたわざわざ掘り返すことは止めて欲しいんですがね……Aクラスのアンタなら分かるだろう」
「……………」
俺がそう諭すように告げる。
ま、これで小暮先輩が納得してくれるかは分からんが、少なくともこっちにはもう怒りの感情も復讐心もない。だからこれ以上謝られても逆に困るだけなんだよな……。
すると、小暮先輩は唇に手を当てクスクスと笑い始めた。
「? なぜ笑う?」
「……ふふっ。なんと器の大きなお方でしょうか。停学沙汰にまでなった程の大事なのに、それを終わったことと割りきれるなんて……流石は文月学園の“兄貴”と呼ばれているだけはありますね」
「え? その異名って全学年共通なんすか」
「ええ。特に半年前の男女コスプレコンテストの開催者としてかなり有名ですわ」
「ああ、あの時の」
そういやそんなことあったなぁ。確か優勝は男女秀吉部門共に秀吉が優勝だったか。その後は鉄人に完膚なきまで指導を受けたっけ。懐かしい思い出だ。
「ま、そんな訳で小暮先輩が気にする必要はねぇってことで」
「分かりました。それならそのお言葉に甘えさせて頂きましょうか」
話が纏まったようで何よりだ。
さて、それじゃ次にいこう次。
「はい。そんじゃ一つめの話は終わりってことで。んで二つ目はなんですか?」
「そうですね。もう時間も少なくなってきてしまったことですし、簡潔に言いますわ―――」
「???」
すると、小暮先輩は俺にグイッと身体を密着させ、言った。
「岡崎君……私は、貴方に興味がありますの」
―――閑話休題
「たでーまー」
『『『来たな異端者め。今度こそ貴様の命を―――』』』
「そんなお前らに報告だ。ダイゴブックスの三次元ラインナップに新しく小暮先輩を追加することにした」
『『『一生ついていきます兄貴!!!』』』
教室に戻ってくるなりクラスの連中に囲まれたため、俺はさっき彼女と交わした契約内容を告げて大人しくさせた。
「ん? 明久達はどこへ行ったんだ?」
「ああ、あいつらなら屋上に行ったぞ。確か姫路さんと島田も一緒だったはずだ」
屋上か。それなら多分島田の誤解を解くために場所を変えたんだろうな。ここじゃうるさい連中がいるから。
うーむ。今行ってもしょうがないし、俺はここで待ってるか。そう決めて自分の席に戻ろうとすると、
『どうしてくれんのよー!? ウチのファーストキスーっ!?』
『ごごごごめんなさいっ! 僕も悪気はなかったんですーっ!』
上からそんなやり取りが聞こえた。明久、ガンバ(笑)。
小暮先輩登場。え? なんでって、好きだからに決まってるじゃないか。勿論異論は認めない。
今回の登場人物
大悟←新しいモデル、ゲットだぜ!!
FFF団←新しいオカズ、ゲットだぜ!!
小暮←エロい。とにかくエロい。でも頭はいい。なんなん?
明久達←誤解を解きに行った。その後は原作通り。
感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ