バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

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バカテスト 化学

以下の文章の( )内に入る正しい単語を答えなさい。 
『分子で構成された固体や液体の状態にある物質において、分子を結集させている力のことを(         )力という』


姫路瑞希の答え
『(ファンデルワールス)力』

教師のコメント
正解です。別名、分子間力ともいいます。ファンデルワールス力は、イオン結合の間に発生するクーロン力と間違え易いので注意してください。


土屋康太の答え
『(ワンダーフォーゲル)力』

教師のコメント
なんとなく語感で憶えていたのだということは伝わってきました。 
惜しむらくは、その答えが分子の間ではなく登山家の間ではたらく力だったということです。


吉井明久の答え
『(    努    )力』

教師のコメント
先生この解答は嫌いではありません。


岡崎大悟の答え
『(    握    )力←炭素をダイヤモンドに変えますよ!』

教師のコメント
貴方は範馬勇○郎ですか。




第五十九問 エロゲと取引と殺人ゼリー

――――――side大悟

 

 

「どうしよう。完全に怒らせちゃったよ……」

「そのようじゃな」

 

 トボトボと肩を落として戻ってきた明久。

 雄二から詳しい内容を聞くと、またもやコイツらは演技に失敗したらしい。

 今度は島田も姫路もちゃんと決まった役を演じていたらしいのだが、肝心の明久が最後の最後で島田をほっぽって逃げ出してしまうという恋人同士では絶対にあり得ない行動をしたのが原因なんだと。コイツホント後でシバき回してやろうかな。

 

「明久。こうなるともうテメェは最早演技が上手い下手以前の問題だぜ。まさか自分に与えられた役目すら満足にこなせねぇ……いや、それどころか途中で投げ出すとはな。それがどれだけ無責任なことか分かってんのかこの野郎、あァ?」

「うっ……」

 

 俺が辛辣な言葉を浴びせると、明久は俯いて黙ってしまう。

 少々言い過ぎだとは思ったが、島田の今の心情を考えればこれくらいは妥当だ。

 

「あの、岡崎君。あまり明久君を責めないであげて下さい。失敗してしまったのは明久君だけのせいじゃなく、私にも非があって……」

「ちげぇんだよ姫路。俺が言いたいのはな、演技の成功失敗どうこうじゃねえんだ。どうして自分がやらなきゃいけないことを最後までちゃんとやろうとしねぇんだってことなんだよ。さっきの島田みてぇに一生懸命やってミスるならまだいい。だがな、今の明久はそれよりも更に下の下だ。俺達の期待や自分が持たなきゃならない責任感ってのをコイツは一気にドブに捨てやがった。そんなクソみてぇな真似されてイラつかねぇ訳ねぇだろ」

「それは……でも」

「姫路よ。何を言っても無駄じゃ。今回ばかりはさすがに大悟が正しいからの」

「……………正論」

「……………そう、ですよね」

 

 俺の意見に秀吉と同志が賛同する。

 それにより姫路もぐうの音も出なくなったのか、口を閉じて反論を止めた。

 

「やれやれ……。明久、ほどぼりが冷めたら、後できっちりフォローしておけよ?」

「うん。そうするよ」

 

 今の島田に声をかけてあれなのだ。ここでまた明久が余計な事を言うのは火に油を注ぐようなものだ、とでも思ったんだろう。

 

「んで、こっからどうするよ? このままじゃDクラスの前にBクラスが宣戦布告をしてきちまうぞ?」

「勿論このまま終わらせるつもりはない。ムッツリーニ。Bクラスの様子はどうだ?」

 

 雄二が隣に座るムッツリーニに話しかける。

 

「……………現在七割程度の補充を完了。一部では開戦の用意を進めている」

「そうか。予定よりも早いな。向こうも本気ってことか」

「……………休み時間もずっと補充をしていた」

 

 そこまで時間を費やして補充試験を行っているのか。どうやらBクラスは俺達を倒すことにかなり躍起になっているようだ。いや、正しくは根本とBクラスの女子か。

 だが、そうなると俺達に宣戦布告が来るのも時間の問題だな。

 

「まずはDクラスに仕掛ける前に時間稼ぎをする必要があるな。ムッツリーニ、悪いが須川達と組んでBクラスに偽情報を流してくれ」

「……………内容は?」

「Dクラスが試召戦争の準備を始めているって感じで頼む。その狙いがBクラスだということも」

「……………了解」

「雄二、それって何か狙いがあるの?」

「ただの時間稼ぎだ。Dクラス狙われていると知れば、Bクラスは連戦を避けたいと考えるだろうからな。俺達への宣戦布告を躊躇うはずだ」

 

 ほう、なるほど。確かにそれなら多少の時間稼ぎにはなる筈だ。いくらBクラスとて連戦になるのは避けたいだろうからな。様子見に徹する筈だ。

 本当はCクラスが狙っているという話にしたかったらしいが、ヤツらは前の試召戦争でAクラスに負けており、宣戦布告の権利がないから無理なんだってさ。まぁ仕方ないわな。

 

「んでムッツリーニ。そしたらお前には更に他のこともやってもらいたい。だからある程度の情報流布が終わったらそっちは須川に一任してくれ」

「……………わかった」

 

 そのまま須川の所に向かった同志。先の試召戦争にて実績のあるあの二人のコンビなら特に心配はいらないだろう。

 

「さて、次はお前らだ。秀吉、大悟」

「あん?」

「む。なんじゃ?」

 

 雄二が今度は俺と秀吉の方を向いた。

 

「お前らにはDクラスの清水を交渉のテーブルに引っ張り出して貰いたいんだが、頼めるか?」

「交渉か……分かった。秀吉、お前はどうだ?」

「ワシも構わぬが……交渉と言ってもどうするつもりじゃ?」

「簡単なことだ。清水を挑発して、敵意を煽る。向こうが乗ってきたら成功、そうでなければ失敗。それだけだ」

 

 雄二は淡々とそう言っているが、これは結構な難関だ。ただでさえ演技に失敗して俺達に対し戦争の意思も薄くなりかつ不信感を抱いているのに、そんなヤツらからわざわざ交渉がしたいと来られるのだ。当然そこに必ず裏があると考える筈だ。よほど清水がバカじゃない限り、俺達の要求に簡単に応じてはくれないだろう。

 ま、そこら辺はなんとか言葉巧みに誘導してなんとかするしかないか。

 

「ふむ。清水を引っ張り出しての交渉ともなると……島田も連れて行く必要があるのじゃろう?」

「ああ。その方がより確実に挑発できるからな」

「大丈夫か? 今の激おこ状態の島田が同席したら更に溝が深くなりそうなんだが」

「その辺は俺がうまくやろう」

 

 確かに雄二の口の回り様は友人の俺から見ても目を見張るものがある。絶対にとは断言しかねるが、少なくとも俺や秀吉達よりかはスムーズに話を進めてくれるだろう。

 

「うむ。ならばこちらは二手に別れるとしよう。ワシは島田をなんとかするゆえ、大悟は清水の方を頼めるかの?」

「おう、任せておけ」

「すまないな二人とも。それで交渉の場所と時刻だが、Dクラス近くの空き教室に放課後という感じで頼む。そのくらいの時間までならBクラスの動きを止めていられるからな」

「「分かった(のじゃ)」」

 

 雄二の言葉を二つ返事で了承した。

 よし、なら善は急げだ。さっさと向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――Dクラス

 

 

「どうもーこんちわー。お馴染みダイゴブックスでーす」

 

 ガラガラと扉を開けて中に入る。

 Dクラスは一般的な公立学校と同じような造りだ。前には壁一杯の黒板にちゃんと揃えられたチョーク。そしてまたごく普通の学生机に椅子。

 なんだろう。Fクラスの設備が酷すぎるせいか、設備がとても充実してる風に見えてしまう。あのボロ小屋に長くいたせいで俺の思考が狂っているのか?

 

 

「あれ? 兄貴じゃないか。どうしたんだ?」

「よう平賀。済まんがちょっと用があってな、清水はいるか?」

「清水さん? 彼女ならそこにいるぞ」

 

 平賀が指差した先には、友達らしきヤツと一緒に楽しげに話している清水の姿があった。オレンジ色のドリルツインテールが特徴的の、同性である島田の事が好きなレズビアン系女子だ。

 

「……って、岡崎先生? どうしたのです? まだ依頼はしていない筈ですが……」

「いや、ちょっとお前に話があってな。時間はあるか?」

「話……ですか……」

 

 すると、清水は拳を口元に当てて何かを考えだした。やはり警戒されているようだ。

 

「……わかりました。いいですよ」

「すまんな」

 

 俺は丁度近くにあった椅子に腰掛ける。

 

「―――んで、さっきから隣で俺をじっと見つめてるアンタはなんだ?」

「あっ、えっと……」

 

 見ると、先程まで清水と親しげに喋っていた女子が俺にやけにキラキラした眼差しを送っている。初めて見る顔だが誰だ?

 

「あの……貴方があの有名なダイゴブックスの岡崎君……ですよね」

「有名かどうかは知らんがそうだ」

「や、やっぱり……! 私、このDクラスの玉野美紀って言います! 美春ちゃんから貴方のお話はかねがね聞いていました。実は……私、ずっとダイゴブックスのファンでいつかは岡崎君に会いたいと思っていたんです! 握手してください!」

「お? おう……」

 

 やけに興奮気味で俺の手を握る玉野と名乗った三つ編みの女子。なるほど、ファンか……これは中々に嬉しい。自分の手掛けた作品を好きになってくれた人がいるって事ほど、同人作家としてありがたいことはないからな。

 

「あの、もし良かったら私にも同人誌を書いて頂けないですか!?」

「ほう、それはつまり依頼という訳だな。いいだろう。ダイゴブックスは君を心から歓迎しよう」

「ありがとうございます!」

 

 新たな顧客ゲット。やったぜ(歓喜)

 

「……それで、話というのはなんでしょうか。岡崎先生」

「おっと、すまねぇな。んじゃ玉野とやら。いきなりで悪いんだがちょっとだけ席を外しといてくれないか? すぐ終わっからよ」

「え? あ、はい! わかりました!」

 

 玉野はスクッと立ち上がり、そのまま俺達から離れていった。

 アイツには悪いがこれで部外者はいなくなった。ゆっくり話が出来る。

 

「待たせたな。話というのは他でもない。実はな、明久がお前に話があるそうなんだ」

「……ブタ野郎が? 美春にですか?」

「おう。何を話すかは知らねぇが、かなり真面目な顔をしてたから結構大事なことなんだろ」

「そうですか……」

 

 再び考え込む清水。てっきり『お断りします』とバッサリ切り捨てられるもんだと思っていたが案外そうでもないようだ。

 清水は先程までの俺達によるぐだぐだ演技を盗聴している。そしてその時に明久が島田から逃げたことも当然知ってる筈だ。だからおそらくそのことについて何か思う所があるのだろう。もし俺がその立場だったら真っ先に張本人である明久の所へ出向き、なんであんなふざけた真似をしたんだと問い詰めるくらいのことはやるな。

 そんなことを考えながら待っていると、清水がバッと顔を上げて言った。

 

「……わかりました。そのお誘いを受けましょう」

「お、いいのか?」

「ええ。それに美春としても先程のフザけた演技の事も含め、あのブタ野郎には言いたい事がありましたから。そちらがその機会を作ってくれるというのならありがたい限りです」

 

 すんなり話し合い成功。よかったよかった。これで最初の難関は無事突破だ。  

 

「すまねぇな清水。わざわざ足労をかけるようで」

「いいえ、気にしないでください。それで、その話し合いというのはいつなんですか?」

「そうだな……なら場所は旧校舎の空き教室。時間は放課後でいいか?」

「わかりました。必ず向かいましょう」

「おう、なら俺はこれで戻るぜ。もうすぐ休み時間も終わりそうだしな。また依頼があればいつでも来いよ。玉野にもそう言っておいてくれな。そんじゃ」

 

 俺はそう言って、Dクラスを出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――Fクラス

 

 

「うーす。戻ったぞ」

「む、お帰りなのじゃ大悟」

「……………お帰り」

 

 教室に戻ると、同志と秀吉の二人だけになっていた。既に二人は雄二から課せられた役目を終えていたようで、演劇の本を読んだりカメラの手入れをしたりと、それぞれ好きなことをして時間を潰しているようだ。

 

「その様子じゃと、清水との話し合いは成功したんじゃな」

「まぁな。ところで明久と雄二がいねぇな。どこに行ったんだ?」

「ああ、あやつらなら一緒にどこかへ出ていったぞい。なにやら姫路を追いかけるとか言っておったが」

 

 姫路を追いかける? 一体何をやっているんだあの二人は?

 まるでアイツがこれからヤバい事をしようとしてるみたいな言い方だな。何があるってんだ?

 

 

 

 

――――――調理室

 

 

『あとは、隠し味にタバ―――』

 

 

「これ以上は聞くな明久。食えなくなるぞ」

「待って! せめて最後に入れられたのがタバコなのかタバスコなのかだけでも確認させてぇ~~~っ!」

 

 

 

――――――

 

 

 気のせいか、嫌な寒気と刺激臭を感じた。

 

「……まぁいい。なら俺ものんびりさせてもらうとするか」

 

 自分の席に戻り、鞄からノートパソコンを取り出す。

 何をするか、勿論エロゲーに決まってる。

 遂にきた……このゲームをプレイして実に三十時間以上。寝る間も惜しみ、課題もすっぽかし、更には優子の鬼伝すら全て無視した(後にボコられた)ほどの努力と度重なるバッドエンドやデッドエンドを乗り越え、もう少しで全ての女の子とのいちゃラブハッピーエンドルートを攻略できそうなところまで到達した! 全ヒロイン達の心からの笑顔を見る……それだけを支えに、俺は全身全霊をかけてこのゲームと向き合ってきた! なんとしてでもトゥルーエンディングまでたどり着いてやろうじゃねぇか! 力が漲る……心が滾る……!

 

「よし、やるぞ……!」

 

 気合いを入れ、パソコンの電源を入れる。

 そして外部の雑音をシャットアウトするためのイヤホンとゲームパッドを繋ぎ準備完了だ。ここから先は俺と画面の向こう側の彼女達との真剣勝負。何人たりともこの領域に踏み込むことは許さない。

 

「待っていろ俺の可愛いレディー達……全員必ず快楽堕ちさせてやるからなっ!」

 

 俺はそう心に誓いながらゲームを起動させ、二次元の世界へと意識を集中させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

――――――side明久

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……。危ないところだった」

「まさか、鉄人が、あんなところにいた、なんて……」

 

 色々あって新校舎の三階で死闘を演じていた僕と雄二は、途中で現れた鉄人から逃げ切ってFクラスの教室まで戻ってきていた。

 大変だった。最初は雄二が何故か姫路さんに手製のゼリーを僕に作ってくれなんていう狂言から始まり、その後彼女の前代未聞の調理風景を見て絶望し、更には途中で会った霧島さんから『寝ている雄二にキスをして一緒に寝た』という証言を聞き嫉妬と怒りを込めて雄二を始末しようとしたりと様々なアクシデントに見舞われたのだから。

 

「ふぅ……まぁ、目的は達成したから、よしとしよう……」

「そ、そう……だね……」

 

 ここでいう雄二の目的とは、わざと新校舎の辺りを暇そうにうろついて、BクラスとDクラスに僕らが点数補充をしていないのことをアピールし、Bクラスにはギリギリまで点数補充をしてもらい宣戦布告を送らせ、Dクラスには逆に点数補充をしていないことで簡単に潰せると思わせることだ。しかしその他にも雄二は何か考えがあるらしい。それはまだ教えてもらってないけど。

 ちなみに結果はさっき雄二が言った通り、僕らが最終的に騒いだことにより他クラスの皆がその様子を見に来ていた為、無事成功だ。

 

「なら次だ。ムッツリーニは戻ってきているか?」

「…………呼んだか」

 

 雄二の呼び掛けにムッツリーニがすぐ答えた。更にその近くには秀吉と大悟もいる。既に先に教室に戻ってきていたようだ。

 

「偽情報はどうだ?」

「……………首尾は上々」

 

 淡々と答えるムッツリーニ。なんていうか、誇らないところがプロって感じだ。

 

「秀吉、大悟。お前らはどうだ?」

「うむ。少し手間取りはしたが、どうにか島田には応じてもらえたぞい」

「そうか。んで、大悟は?」

「……………」

「ん? 聞こえないのか、大悟?」

「……………」

 

 一向に返事が来ない。

 何をしてるんだと大悟の方を見ると、ヤツは自分の席でノートパソコンとにらめっこしていた。耳にはイヤホンをつけ、手にはゲームパッドを持っている。ああ、なるほど……、

 

「アレはエロゲーに集中してる時の顔だね。あ、よく見たら泣いてる」

「うむ。先程からずっとあの調子じゃ。じゃが終わったらすぐ戻ると言っておったぞ」

「…………同志にとってエロゲーをプレイすることは人間が食事をするのと同義。むやみやたらに邪魔はしない方がいい」

「なに? ったくあのキモオタが……まだ作戦の途中だろうが」

 

 やれやれと溜息をつく雄二。

 けどその後秀吉から、大悟も清水さんとの交渉には無事成功したということを聞いた。なるほど、だからああやって作戦中にエロゲーをやってる余裕があるのか。やっぱりやることはしっかりやるヤツなんだなぁ。

 

「……まぁいい。肝心の清水をなんとか動かせたってんなら文句はねぇ。大目に見てやるか」

「そうだね」

 

 それに今邪魔したら殴られそうだし。

 

「……………それで、次の仕事は?」

「ああ。今姫路が戻ってくる。そうしたら次の行動に移ろう」

「ねぇ雄二。わざわざ姫路さんに手料理なんて作ってもらってどうするのさ」

 

 現在姫路さんは調理室にて例のゼリー作りに精を出している。この状況でそんなことをさせるなんて僕への嫌がらせだけとは思えない。

 

 

「姫路の料理は暗殺用の武器だ」

「本人が聞いたらショック不可避な発言じゃな」

 

 全くだ。

 

「ちなみにその対象はBクラスの奴だ」

「Bクラス? ということは代表の根本あたりかの?」

「いや、ターゲットは根本じゃない。今更アイツを暗殺したところでBクラスが止まるとは思えないからな。狙いはBクラスからDクラスに出されるであろう使者だ」

「「「使者?」」」

 

 使者とはどういうことだろうか。

 

「ムッツリーニの偽情報でBクラスはDクラスに狙われているんじゃないかと思っている。なら次にヤツらが起こす行動で最初に考えられるのはDクラスとの休戦協定だ。Bクラスもわざわざ手間のかかる無駄な争いをおこしたくはないだろうからな。そうなればBクラスからはその話し合いの為に使者が遣わされる。そいつを狙うんだ」

「なるほど。同盟に向かった使者が暗殺されたと知れば、BクラスはDクラスにより疑いの目を向けることになるじゃろうからの。そうすることで結果的に同盟の件を白紙にしてしまおうという魂胆じゃな」

「そういうことだ」

 

 なんて卑劣なことを考える男なんだろう。今後は敵に回さないよう気をつけよう。

 

「けど、暗殺なら別に姫路さんの手料理じゃなくてもいいんじゃないの? 暗殺が目的なら例の殺人兵器があるじゃないか」

「アレは確かに致死率100%だが悲鳴があがるからな。周りに気づかれる危険性が高い」

「口を手で押さえればいいじゃないか」

「アホか。アレは対象者が確実に吐いてしまう代物だぞ? 口を押さえるというなら、お前はそいつの口から滝のように溢れ出るであろう吐瀉物を直に触れるのか?」

「ごめん」

 

 それだけは流石に勘弁だ。

 でも姫路さんの料理じゃなくても他に方法はあった気がする。

 

「気にするな。姫路の料理を選んだのは俺の趣味だ」

 

 なんて心遣いの無い発言をするんだコイツは、と思っていると、

 

 

「え? 坂本君、私の料理が好きなんですか?」

「ひ、ひめ、じ……?」

 

 

 口は災いのもととはよく言ったもの。

 雄二の発言は丁度教室に戻ってきた姫路さんに一言一句バッチリ聞かれていた。

 

「良かった。そう言ってもらえると嬉しいです。けど、霧島さんに聞かれたら怒られちゃいますよ?」

「は、はは、は……」

「ウェルカム(グッ)」

「テメェ明久、そのムカつくほど爽やかな笑顔はなんだ……!」

 

 切なそうに笑う雄二の肩に手を置いてキラリと笑う僕。やっぱり僕と雄二は一蓮托生。地獄の旅も二人仲良く道連れだね。

 そしていっぱいあるからどうぞとパック入りのゼリーを渡してきた姫路さん。僕と雄二はひきつった笑顔を浮かべながらも感謝の言葉を述べてそれを受け取った。

 

「んじゃ、行くぞ明久、ムッツリーニ」

「了解」

「……………わかった」

 

 

 

 僕らはそれぞれの武器を手に、再び新校舎の三階へと向かった。

 

 

 

 

 

『うぐっえぐっ……なんだこの感動的なラストはぁ……!! まさか最後の最後であんな大どんでん返ししやがって、ひぐっ、涙が溢れて止まらねぇよぉ……!!』

『あの、岡崎君。集中しているところごめんなさい。私さっきゼリーを作ったんですけど余ってしまいまして、良かったら岡崎君もどうですか?』

『ああ……ずまねぇ姫路。丁度泣きすぎて喉が乾いてたんだ。ありがたくいただぐ。うぅ、やっぱりエロゲはさいこ―――ンゴバァッ!!』

『えっ!? お、岡崎君!? どうしたんですかっ!? 岡崎君!?』

『大変じゃ! 心臓が止まっておる! 誰か急いでAEDを持ってくるのじゃーー!!』

 

 

 

 




今回はここまでで。何気に玉野さん初登場しました。

今回の登場人物
明久達←ほぼ原作通りの展開。
大悟←清水との取引成功。エロゲー全ルート攻略。だが注意散漫により死んだ。
姫路←必殺料理人のレベルが一つ上がった。え? タバコかタバスコどっちを入れたのかですか? それは勿論《検閲削除》です♪
島田←相変わらずプンプン。
清水←取引に応じた。
玉野←初登場。大悟をメッチャ尊敬してる数少ない女子。

感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
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