次の熟語の正しい読みを答え、これを用いた例文を作りなさいり
【相殺】
姫路瑞希の答え
『読み……そうさい
例文……取引の利益で相殺する』
教師のコメント
そうですね。差し引いて帳消しにする、という意味なので貸し借りなどに使われる言葉です。
吉井明久の答え
『読み……そうさつ
例文……パンチにパンチをぶつけて威力を相殺した』
教師のコメント
惜しいですが間違いです。『そうさつ』という読みも一応ありますが、その場合の意味は『互いに殺し合うこと』というものです。この場合の吉井君の例文では互いに打ち消し合うという意味なので、読みとしては『そうさい』が正解となります。
島田美波の答え
『読み……あいさつ
例文……のどかな朝。私は友達と相殺した』
教師のコメント
その朝は決してのどかではないでしょう。
岡崎大悟の答え
『読み……アイサツ
例文……ドーモ、キョウシ=サン。オカザキダイゴです』
教師のコメント
今度はニンジャ○レイヤーですか。
―――side明久
(わ、本当に出てきたね)
(そのようだな)
階段の隅に隠れつつ、僕と雄二はBクラスの様子を伺っている。すると教室から一人の男子生徒が出てくるのが見えた。
(暗殺はうまくいくかな?)
(ムッツリーニなら間違いない。それに万が一の事があった時に備えてアイツには例のイラストを渡してあるからな。それをバラ撒いて逃げるよう指示してある)
(そしたら暗殺どころかパンデミックレベルまでいくだろうね)
(そうだな。まぁ見ていろ)
目をやると、使者と思われし男子がDクラスに向かって歩き始めている。
周囲にはちらほら人影が見える。どうやって目立たないように暗殺を実行するんだろう。
使者がDクラスにつくまで残り五メートル。だがまだ肝心のムッツリーニは動いていない。
(雄二。本当に大丈夫なの?)
(大丈夫だ。ムッツリーニを信じろ)
残り四メートル。
(……………)
残り三メートル。
(雄二、もう間に合わ―――)
残り一メートル、というところで何かが視界を遮った。
カッ
(え?)
目を凝らすと、壁にカッターが突き刺さったのが見えた。
しかもカッターの先にはなにやらイラストらしき物が貫かれている。大悟が用意したやつかな?
『なんだ、アレ……?』
『先に何か貼ってあるな』
『写真……いや、イラスト?』
周りにいた人達がそのカッターと写真に注目し始める。
そしてその最後尾には例の使者もいた。
『……………(ススッ)』
音もなくその背後に迫るムッツリーニ。誰もその様子には気づかない。
そして―――
『……………(ガッ)』
『―――っっっ!?!?』
暢気に写真を見ようとしていた使者をムッツリーニが羽交い締めにして口を押さえた。使者は突然の事態に驚いている。
『……………(グッ)』
『―――っ! ―――っ!』
指の隙間から姫路さん特製のゼリーを押し込む。
どんな敵でも一撃で仕留める殺傷能力を持つ代物だ。当然そんな激物を使者が耐えられる訳もなく、
ゴクリッ
『……………(ググッ)』
『か……は……っ!! き……貴様、ムッツリー……』
そのまま―――男はグッタリと泡を吹いて気を失った。
敵には一切の情も加減もしない。それが暗殺者の心得であり生き様。
(……………任務完了)
(流石だ、ムッツリーニ。惚れ惚れするような手際だった)
(……………この程度、何の自慢にもならない)
そう言ってムッツリーニは使者の死体をBクラスに見えてDクラスには見えない所に押し込んで隠した。これなら別のクラスに見つけられて騒ぎになるなんてことはまずないだろう。
(よし。ならもうここに用はない。教室に戻るぞ)
(そうだね)
三人で何事も無かったかのようにFクラスに続く渡り廊下を歩き出す。
『このイラストに描かれてるセーラー服の子、メッチャ可愛いな』
『ああ。それにこのクオリティーの高さは間違いなく兄貴の作品だな』
『でもなんかFクラスにいるバカに似ている気がしないか?』
『まぁ、私はそれならそれでいいと思うわ。可愛いし』
『流石岡崎先生……なんて素晴らしいのかしら』
背中から聞こえてくるそんな会話がやけに気になった。
――――――Fクラス。
「ただいまー。秀吉、大悟。今戻った―――」
『―――!! ―――!!? ―――っっっ!!!(ビクビクビク)』
『大変だ!! 兄貴の体温と心拍数が大幅に低下している!』
『それに身体の硬直と痙攣もやべぇ! このままじゃホントに手遅れになっちまう!』
『し、しっかりしてください岡崎君っ! ああっ! 顔がみるみるうちに青くなっていってしまいますっ! 更に口から大量の泡まで!?』
『くっ……誰か急いで暖かい毛布と追加のAED、酸素投与の準備! そして大悟のパソコンに入っているありとあらゆる二次元キャラクターの告白ボイスを耳元で大音量で流すのじゃ! これは一刻を争うぞっ!!』
『『『了解!!』』』
「「「……………」」」
さっきの使者がホントに死んでいないか不安になってきた。
――――――閑話休題。
全員で協力し、大悟をなんとか蘇生させてからしばらく。
Bクラスはどうやら僕らの思惑通り疑心暗鬼に陥ってるという情報が入ってきた。
「これで時間稼ぎは成功したのかな?」
「そう長い時間は無理だが、明日までならなんとかなるだろ」
僕らは雄二の席に集まって再びブリーフィングを行っていた。
例の暗殺の犯人が僕らFクラスだということは使者が通告しない限りはバレない。けどやがてあの使者が復活すれば何があったのかを包み隠さず話すだろう。そうなればムッツリーニが流した偽情報の件も含め僕らの思惑が見破られることは確実だ。
つまり僕らに残された時間は明日の朝まで。朝にDクラスが宣戦布告をしてきてくれれば作戦は完了だ。
「大悟。さっきは聞きそびれたけど、清水さんとの交渉の件は?」
「あ? ああ……それか。雄二に言われた通り放課後の空き教室で待ち合わせと言ってある……おえぇ」
「大丈夫か大悟よ。まだ顔が青いぞい?」
「まだ吐き気と頭痛が止まんねぇんだよコンチクショウ……」
頭を押さえ、気分の優れない表情を見せる大悟。
人間離れした身体をしてるコイツでさえも全く敵わないとは……恐るべき姫路さんの料理の腕前。
「ところで雄二よ。清水を焚き付ける為の策はあるのか?」
「勿論だ。とっておきの策がある」
そう自信ありげに雄二は言う。
確かに罵倒や挑発はコイツの十八番だ。きっと清水さんをその気にさせてくれるだろう。
その後雄二は僕に、お前は余計な口を挟まないようにしろ、と言ってきた。なんでも僕と美波がいないと挑発が出来ないから同席させるが、下手なことを言われれば取り返しがつかないことになる可能性があるとのこと。
確かにその通りで、僕はさっきも自分の失言で美波も怒らせてしまったし、清水さんは僕に敵意を抱いている。そんな状況で僕がでしゃばるのは禁忌に近い行動だろう。
だから僕はその場に同席して相槌でも打っておくことにしよう。後のことは雄二がやってくれるっぽいし。
「一応大悟も構えていてくれ。清水が相手となればお前の存在が有利に働くからな」
「俺か……分かった」
清水さんは覗き騒動の際に大悟からキツいお仕置きを受けている。
一度そんな痛い目を見た清水さんは、自分に恐怖を受け付けた張本人である大悟の前ではあまり強くは出れない事が予想できる。つまり雄二は大悟をいざってときのストッパーとして使うつもりなのだろう。
これなら話し合いの方はスムーズにいきそうだ。と思っていると、
「……………ただ一つ、気になることが」
突然ムッツリーニが口を開いた。
「……………根本がAクラスに何かの情報を流していた」
「根本君が?」
どうしてこの状況でAクラスを使うんだろうか。まぁ、なにか変なことを企んでいるのは間違いないと思うけど……。
「あの陰湿野郎。一体何を考えてやがる。多くのクラスを巻き込んだ所でBクラスにメリットなんてないだろうに―――」
バンッ!
「………雄二………っ!」
「大悟っ!!」
突然大きな音を上げて教室の扉が開かれる。
その向こうから現れたのはAクラスの霧島さんと木下さんだ。けど二人とも何か相当慌てているように見える。
「翔子? そんなに慌ててどうした?」
「げっ、優子!? まさかまた俺を仕置きに来たのか!? けど俺は何もしてな」
「違うわよ! アンタら、こんな大変な状況なのに何してんのよ!!」
「は?」
「……雄二も、どうしてまだ学校にいるの……!」
「? お前は何を言っているんだ?」
大変な状況? まだ学校にいるの? 雄二の言葉通りこの二人は一体何を言っているのだろうか?
「何って……知ってるでしょ! 坂本君のお母さんと天ちゃんが倒れて病院に運ばれたって!!」
「……優子の言う通り。それなのに、どうして二人とも様子を見に行かないの……!?」
「「はぁ?」」
雄二と大悟が揃って間抜けた声を出す。
「おいおい……いきなり来たと思えば天が倒れた? 馬鹿言ってんじゃねぇよ。アイツは産まれてこの方病気になんて一度もかかった事がねぇヤツだぞ? 優子だって知ってんだろ」
「落ち着け翔子。こっちだって大悟妹同様風邪すら引かない全身健康体だぞ?」
そう大悟と雄二が二人を宥めようとする。
だが、突然その二人は業を煮やしたようにそれぞれの手を取って強引に歩き出した。余程雄二のお母さんと天ちゃんが心配なのだろう。
「ほら、早く行かなきゃ!」
「……私達も、早く病院に……」
「お、おい優子! ちょっと止まれ! 一旦冷静になれってんだよ!」
「やめろ翔子! 木下姉も落ち着け! 俺達は今から大事な作戦が―――」
「「今はそんなこと言ってる場合じゃない!」」
「あだだだだ! だから大人しくなれ! そもそもその情報どっからきたんだよオイ!」
「そうだ! 大体俺達よりどうしてお前らが先に」
「「いいからっ!!」」
「「だから俺達の話を聞―――」」
バンッ!
扉が強く閉められる。
抵抗も虚しく、雄二と大悟は二人にあっという間に連れ去られてしまった。
「「「……………」」」
呆然となる僕ら三人。
そんな中、ムッツリーニがポツリと呟いた。
「……………今の話はおかしい」
「え? おかしいって、どういうこと?」
「……………普通、そういう話は最初に本人にくるはず」
そう言われてみればそうだ。
家族が倒れたなんていう非常事態が、先に身内であるはずの雄二や大悟を差し置いて第三者の霧島さんや木下さんに先にいくなんて普通に考えておかしい。
そしたら秀吉が連絡がつかなかったのではないか、と言ったがそれも変だ。二人ともずっと校内にいたのだから、先生達は校内放送などで呼べばいいのに、そんな放送は一度もなかった。
「それに……雄二のお母さんや天ちゃんが突然倒れたっていうのもおかしな気がする」
「同感じゃ。雄二の母親は分からぬが、天ちゃんに関しては持病があるなんて話は一度も大悟や本人から聞いたことがないからの」
秀吉の言う通りだ。
交通事故とかならともかく、家や学校で突然倒れるなんて、なんだか嘘臭い―――
「……待って! まさかさっきムッツリーニが言ってた根本君の流した情報って!」
「……………多分、雄二の母親と天ちゃんが倒れたっていう偽情報」
「なんじゃと!?」
や、やられた! 根本君の狙いは他のクラスを巻き込んで戦争を泥沼化させることじゃなく、霧島さんと木下さんを使っての二人の無力化だったのか!
これはかなりまずいことになった。清水さんを挑発する為の作戦は全部雄二任せだったってのに、それに加えていざってときの後ろ楯だった大悟まで………! このままだと僕らは無策で交渉に挑むことになってしまう。
「ムッツリーニ、お主は雄二から何か聞かされておるか?」
「……………(フルフル)」
「そうか……なら明久よ。雄二か大悟に携帯電話で連絡は取れぬのか?」
「ごめん……僕ら三人とも携帯電話は修理中なんだ」
今さらながらに雄二の携帯をお茶に突っ込んだことと大悟の携帯を踏みまくったことが悔やまれる。まさかこんなことになるなんて……!
それにあの剣幕じゃ霧島さん達に連絡がついたとしても取り合ってもらえなさそうだし、そもそもそんな余裕があれば雄二や大悟が説得出来ているはずだ。
「確か……ここから天ちゃんの通ってる学校は遠かったよね?」
「うむ。見積もってもざっと数十分はかかるじゃろうな」
「……………劉玄も確かそのくらい」
「そうだよね……雄二の家もそれくらいかかるだろうし……」
どう頑張っても二人が戻る前に交渉の時間になってしまうだろう。
「秀吉、交渉の時間って遅らせることはできる?」
「無理じゃな。明日の放課後にするならば可能かもしれんが、放課後に何時間も待たせるなど取り合ってくれんじゃろう」
「やっぱり、そうだよね……」
クソ……! やってくれたな、根本君……!
「秀吉、ムッツリーニ。何かいいアイデアはない? こう、清水さんをうまく挑発できるような」
「なんとも難しいのう……。今日のワシらは色々と動きすぎて警戒されておるじゃろうからな。それこそこんな状態では雄二くらいしか挑発なぞ成功させられんじゃろう」
「……………大悟もいないし、お手上げ」
弱った。二人と同じで、僕だってなんの策もない。一体どうすれば……。
「……………そろそろ、時間」
時計はもう授業終了時刻を示していた。交渉がもうすぐ始まる。
「……………どうする?」
ムッツリーニが訊いてくる。けど、
「どうするもなにも、雄二や大悟がいない以上僕らでなんとかするしかないよ」
「そうじゃな。ここまで来た以上は後には退けん」
残り時間は僅かだ。急いで用意をしないと。
こうして、僕らはクラスの命運を懸けた大事な交渉に、雄二と大悟抜きの無策で臨むことになってしまった。
―――side大悟
「いででで! だから止まれっつってんだろうがコラ!!」
「ダメだ! コイツら全く話を聞きやしねぇ!」
俺と雄二はそれぞれ優子と霧島に手を掴まれ、殆ど引き摺られるように走らされていた。
先程から落ち着けやらよく考えろやらと色んな言葉を使って二人を諌めようとするが効果なし。それどころかシカトして耳を貸そうとすらしやがらねぇ。このままじゃ交渉の時間に間に合わねぇぞ……!
「クソ、こうなったら力ずくで逃げ出すか……?」
「それが出来りゃあとっくにやってるだろうが……!」
あっ、それもそうか。
そうこうしている内に俺と雄二の家から一番近い病院が見える場所まで来ていた。おいおい、このままじゃ病院に恥かきに行くようなものじゃんかよ……と思っていると、
「あれ? 大悟兄?」
不意に前から聞こえた俺の名前を呼ぶ声。見るとそこには―――倒れて病院に運ばれたはずの天がこちらを見てキョトンとしていた。
それに思わず優子と霧島も足を止める。
「あれ、どうしたの天ちゃん? この人達知り合い?」
「うん、私のお兄ちゃんとその同級生の人達だよ」
隣には友達らしきボブカットの同じ制服を着た女子中学生がいる。
おっほ! あの子何気に俺のドストライクゾーンじゃねえか―――ってそんなことを気にしている場合ではないか。
「え……!? 天ちゃん! どうしてここにいるの!?」
「へっ? ちょ、いきなりなに優子姉!?」
バッと天の両肩を掴み、鬼気迫る表情で詰め寄った優子。
「だ、だって、天ちゃんが倒れて病院に運ばれたって……!」
「お、落ち着いてよ優子姉! え? 倒れた? 病院? なんのこと?」
「なんのことって……? それはこっちの台詞よ……」
互いに訳が分からず、頭に疑問符を浮かべている。その隣では霧島も自分が聞かされていたことと違った為か、ポカンとしていた。
ったく、こんなことだろうと思ったよ……。
「優子、そして霧島。いい加減そろそろ気づけ。お前らは騙されてたんだよ」
「だ、騙されてた……?」
「……どういうこと?」
俺と雄二はその事をこと細やかに説明した。
そしたら二人はようやく分かってくれたようで、俺達の事情に納得した表情を見せた。やれやれ……。
そもそもそんな不明瞭かつ具体性のない情報を鵜呑みにするんじゃねぇよと思う。しかもそれを吹聴してきた相手はあの卑怯・陰湿・高飛車と人間の嫌な性格が三拍子揃った根本だ。内容が内容とはいえそんな野郎の発言をすぐ信じないで欲しいものだ。
「ま、何にしろこれで助かったな。雄二」
「おう。けど、今から戻っても遅いか……」
ふぅ、と一息つく俺と雄二。
ここから学校まではそこそこ距離がある。恐らく走って戻ったとしても二十分はかかってしまう。それでは交渉の時間には確定で間に合わないだろう。
「取り敢えず根本の野郎には後日お礼参りをするとして、これからどうすっか……」
「どうもこうもねぇよ。こうなっちまったら後は明久達に任せるしかねぇさ」
雄二の言葉に俺はそうだな、と返す。
正直不安要素しかない。秀吉と同志はあまり口八丁が上手くないし、明久に至っては清水と完全に敵対している。更にその場には島田も同席してることもあり、挑発どころかまともな話し合いになるのかどうかすら怪しいレベルだ。また昼間の演技同様グダグダになる可能性が高い。
ま……でもそれしか方法がないからそれにすがるしかないんだがな。こうなったらもう腹を括って待つしかない。
「んじゃ、俺らは結果をのんびり待ちつつ飯でも食うとするか。折角だ、三人ともウチ来いよ。ご馳走してやるからさ」
「お、いいのか? なら丁度腹も減ったことだし、お言葉に甘えようじゃねぇか」
「……雄二が行くなら、私も行く」
「なら私も御相伴に預かろうかしら。大悟の手料理が食べられるなら楽しみね♪」
「あ、なら私も一緒に帰る! どうせ友達を連れていくつもりだったし!」
てことで俺達はそのまま帰宅した。明久、頑張れよー。
今回の登場人物
明久&秀吉&ムッツリーニ←交渉開始。ちなみに結果は原作通り。
雄二&大悟←死にかけたりとばっちりくらったりと散々
霧島&優子←騙されちゃうのもまた可愛い。
天←殆どオマケ的登場の仕方。
友達←はい。もうネタバレします。この子は土屋陽向ちゃんです。
感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ