――――――
今回の逃走中の舞台である如月ハイランドパーク。
そのメインエリアにあるコンサート会場では、とあるアニメイベントが行われていた……。
「会場にお集まりの皆さん! お待たせ致しました! ただいまより『魔法少女の弟子☆めるたん』『溶解! 魔法少女ららこ』の声優陣による合同ライブイベント『Let's Magic Show TIME!!』を開催致します!!」
『『『おおおおおーーーっ!!』』』
「私、今回の司会進行を務めさせて頂きます『魔法少女の弟子めるたん』のナレーション役、樋山理奈です! よろしくお願いしまーす!!」
『よろしくー!』
『ひなりー!』
『今日も可愛いよー!』
「ありがとうございます! それでは早速、両方の豪華声優陣に登場して頂きましょう!! まずは『魔法少女の弟子めるたん』の方々です!! どうぞーっ!!」
シュウウウウ……ガタンッ
「待たせたな! 如月ハイランドパークに集まりし人間界の者達よ! さぁ、今こそ共に我が名を叫ぶのだ! いっくぞー!」
『『『イェェェエエイ!!』』』
「炎上爆発! 殲滅破壊! 魔法のステッキで大変身☆ 我こそはゴッドウィザードの正当なる後継者! その名も―――魔法少女の弟子っ☆」
『『『「めるたぁぁぁぁああああああんっ!!!!」』』』
「はーい、皆さんこんにちは! 『魔法少女の弟子めるたん』のめるたん役の村中ゆりかです! よろしくお願いしまーす!!」
『『『うぉぉぉおおおおおおーーーっ!!!』』』
アニメの有名台詞と共に現れた主役声優、村中ゆりかの登場により、一気にボルテージが沸き立つ会場のファン達。
そしてその後も次々と豪華な声優達が派手な演出を引っ提げ、ステージに立っていく。
「どうもー! めるたんのお姉ちゃんのあるたんを演じました桜アヤネでーす!」
『『『あやねるーんっ!!』』』
「フッ……我が炎上魔法で貴様らも溶かし尽くしてやろうか!? はい! ということでめるたんの師匠の初代めるたん役でお馴染み、水瀬えりなです! よろしくお願いします!」
『『『えりりーんっ!!』』』
盛り上がるコンサート会場。
一方、そのステージの裏方では、彼女らのマネージャーや運営のスタッフが、何やら大慌てしていた。
「おい! もうイベントは始まったぞ! あの二人はまだ着いていないのか!?」
「すみません! それが、二人とも突然携帯が繋がらなくなって! こちらには間もなく到着する筈なのですが!」
「クッ……今回は如月ハイランドパーク開園以来の大型イベントだぞ! しかもアニメのスポンサー様や芸能界の関係者も方々も多くお見えになってるんだ! 絶対に失敗は許されない! なんとしてでも間に合わせろ!」
「わ、わかりました!」
どうやら、今回のイベントの主役級の二人の声優が遅刻してしまっている様だ。
しかし、その二人は―――
『あ、あれ? メインエリアってどっちだっけ?』←水樹カヤ(演:水樹カヤ)
『まずいよ……携帯の充電も切れちゃってるし……早くしないと私達の出番が始まっちゃう!』←LiNA(演:LiNA)
コンサート会場の場所が分からず、パーク内で迷子になっていたのだった。
また、その一方で―――
「……ああ、俺だ。予定通りに会場に到着した」
『そうか……! それで、目的のヤツらは……!?』
「いや、まだコンサート会場には来ていない。どうやら入りが遅れているようだ」
『何だと!? ケッ! 人気声優様は随分と身勝手だなぁ。こんな大事なイベントに堂々と遅刻するなんてよぉ!』
「落ち着け。だからと言って作戦に支障はない。むしろこちらもそれ相応の“準備”があるから助かるくらいだ」
『す、済まねぇ。つい感情的になった……つい昔の事を思い出して』
「いいってことよ。それじゃ、また何か進展があったらかける」
『わかった、頼んだぞ』
「ああ」
ピッ
「さて、それじゃ依頼の仕事を始めるか―――“水樹カヤ&LiNA暗殺作戦”をよぉ……」
何者かの依頼により、二人の命を狙う暗殺者がいた。
この後、彼らの存在はゲームに大きな波乱を巻き起こす事となる。
『……さて、それじゃ早速、第一の試練を与えるとするかね。精々頑張ってクリアしてみるこったい』
この様子を見ていたゲームマスターの藤堂カヲルは、目の前のパソコンの画面を操作し、第二ステージ初のミッションを発動。
コンサート会場に、ハンターが入った檻と二つの指紋認証装置が設置された。
――――――
プルルルルル……プルルルル……
「……あれ? なんか急に周りが静かになったな―――ってうわっ!? ビックリした!」
「……優子。携帯が鳴ってるんだけど……どういうこと?」
「落ち着いて代表。これは恐らく―――ミッションの通達ね。早速見てみましょう。えーと何々……?」
『MISSION①
メインエリアのコンサート会場に10体のハンターが入った檻が設置された。残り75分になると檻が開きハンターが放出される。
阻止するにはコンサート会場にある指紋認証装置を使い、檻の鍵を閉めなくてはならない。急ぎたまえ』
「……なにぃっ!? ハンター10体だと!?」
「いやいやいや! そんなの絶対に逃げ切れないよ!」
「……………鬼畜……っ!?」
MISSION
ハンター放出を阻止せよ!
現在、アニメイベントが開催されているコンサート会場の裏に、10体のハンターが入った檻が設置された。残り75分になると檻が解放され、ハンターがエリアに解き放たれ、その数は合計13体となってしまう。
阻止するには、檻の両隣にある二つの指紋認証装置からそれぞれ指定された指紋を認証させ、檻を封印しなければならない。
「ハンターが三体という今の状況でさえ厳しいのに……更に追加なんてされれば最早絶望的だね」
「……おのれババァ長! 初っ端からやってくれるじゃないか……っ!!」
「えっと、今の時間は……ってミッションの制限時間10分位しか無いじゃない!? そんなの無理よ!」
いきなりの難易度に戸惑いを隠せない逃走者達。
しかし、ミッションをやらなければハンターの数は大幅に増員されてしまい、ゲームクリアへの道が一気に狭まってしまう。
果たして、ミッションに動く逃走者は現れるのか!?
――――――
「えっと……私はどうすればいいんでしょうか……?」
ゲーム開始から殆どその場から動いておらず、物陰に身を潜めている姫路瑞希。
ムッツリーニ同様、ハンターに見つかるリスクを最大限少なくしているようだ。
「……あ! それなら、他の人に電話してどうするか聞いてみましょう。そうと決まれば……」
逃走者は持っているモバイルを使って、他の逃走者にいつでも連絡を取り合う事が出来る。
「……出てくれるかな?」
そして、姫路瑞希が電話をかけた相手は―――
プルルルルル……プルルルルル……
「あれ? 携帯が鳴ってる……姫路さんから?」
―――吉井明久だ。
『もしもし?』
「あ、明久君ですか? 私ですけど、今電話は大丈夫ですか?」
『うん。近くにハンターもいないし、大丈夫だよ』
「そうですか、それは良かったです。それで明久君。突然なんですけど明久君はミッションはどうしますか?」
『ミッション? 勿論やるに決まってるさ。さすがにハンターが10体も増えたら面倒だし、内容も指紋を認証するだけだから簡単そうだしね。ちなみに秀吉とムッツリーニも連絡したらやるって言ってたよ』
「そうなんですか。ちなみに明久君は今どこに?」
『えーっと……ここは多分ストリートエリアかな? もう少しでメインエリアにつくと思うよ。姫路さんは?』
「私はシティエリアにいます。観覧車の下の建物の後ろに隠れてるんです」
電話越しに、自分の居場所を吉井伝える姫路。
観覧車の場所からコンサート会場まではかなりの距離がある為、姫路がミッションに参加するのはリスクが伴う。
『そっか。なら姫路さんはそのまま隠れていた方がいいね。失礼な言い方になっちゃうけど、ハンターに見つかったら多分捕まっちゃうだろうし』
「そうですね。申し訳ないですがそうさせて貰います」
『うん。ミッションは僕らに任せてくれていいよ。それじゃ、また後でね』
「わかりました。それじゃあ」
ピッ
「やっぱり、明久君はとても頼りになりますね」
そう言い再び物陰に身を隠す姫路。
しかし―――
『……………』
その背後から、ハンター……。
「でも、本当に賑やかですね。前に坂本君と岡崎君の件で行った時よりも全然人もいっぱいいますし……」
『……………(テクテク)』
「それとも、皆さん今回の逃走中に合わせたエキストラなんでしょうか?」
『……………(テクテク)』
ハンターの接近に全く気づく様子のない姫路。
そのまま段々と互いの距離が狭まっていき、そして―――
『……………!!(ダッ)』
―――見つかった。
「……? 何か足音が後ろから―――きゃぁぁあああ!!?」
ようやくハンターの接近に気づき、慌ててその場から逃げ出す姫路。
しかし、相手はスプリンター並の体力と持久力を併せ持つ。そんな彼らから逃げ切るのは容易ではなかった。
『……………!(ダダダダダ)』
「はあっ……はあっ……! ま、待って……! は、速い……!?」
『……………!(ダダダダダ)』
「も、もう……駄目で、す……っ!」
PON
《姫路瑞希 確保 残り10人》
「……ご、ごめんなさい皆さん……! つ、捕まって……しまいました……」
ハンターは神出鬼没。
いつ、どこから表れるか分からない。
プルルルルル……プルルルルル……
「ん? メールか……うおっ!? 観覧車付近にて姫路瑞希確保だと!?」
「残り10人……嘘でしょ……!? 瑞希が捕まっちゃった……」
「そっか……。やっぱり姫路さんにはハンターは厳しいわよね……」
「くっ……! 姫路さんにも容赦が無いとはさすがハンター……」
ハンターはエリア内をくまなく捜索する。
安全な場所など―――一つもない。そして、例え相手が女性だろうと手加減もしない。
――――――
「……よし、ここだね」
いち早くコンサート会場についた久保利光。急いで中へ入ろうとする。
「これで後は指紋認証装置を探すだけ―――」
『お待ち下さい。ここから先は関係者以外立ち入り禁止です』
すると、会場の入り口の前に立っていた警備員がスッと彼の道を塞いだ。
その先には二人の声優を待つマネージャーとハンターの入った檻。そして指紋認証装置が見える。
「すみません。僕はあの装置にだけ用があるんです! 少しの時間で構いませんので通して頂けないでしょうか!?」
『申し訳ありませんが、それは出来ません』
「そんな……! な、ならここに入るにはどうすればいいんでしょうか!?」
『ありません。ですのでどうかお引き取り下さい』
結局通ることが出来ず、追い返されてしまった。
このままでは、指紋認証装置に辿り着くことが出来ない。
「そんな……ならどうやってミッションをクリアしろというんだ……?」
――――――
「むぅ……。一刻も早くコンサート会場に向かいたいのじゃが……あそこにハンターがおるのう」
一方、ミッション達成の為コンサート会場へ移動する木下秀吉。
しかし、彼の視線の先にはハンターがおり思うように前に進めない。更にエリア内は多くの客で賑わっており、それがハンターの存在をより気づきにくくしている。
『……………(キョロキョロ)』
「しかし、分かってはおったがハンターというものは末恐ろしいのう。あの無表情な顔で追いかけてくるのじゃから、人によってはトラウマものじゃな」
『……………』
「……仕方あるまい。なら別の道から向かうとしよう。多少遠回りにはなってしまうが、ここで捕まるよりはマシじゃ」
ハンターを避ける為、そのまま真っ直ぐ進むのではなく、敢えて遠回りすることに決めた様だ。
しかしエリアには4体のハンター。無理に行動範囲を広げれば、彼らに見つかるリスクが高まる。果たしてその選択は吉と出るか、はたまた凶と出るか……?
『あ、すみません! そこの貴女!』
「む?」
突然二人組の女性客に話しかけられた。
「なんじゃ? ワシに何か用かの?」
『はい。お願いがあるんですけど、あそこで写真を撮って貰えませんか?』
彼女が指差した方向には、連れらしき女性と如月ハイランドパークのメインキャラクター、フィーがいる。
どうやら、友達同士で記念写真を撮りたいようだ。
「うむ。それくらいなら別に構わんぞ」
『いいですか!? ありがとうございます!』
そう言ってカメラを受け取ると、その女性はフィーの下へ向かった。
『『お願いしまーす!』』
「それでは撮らせて貰うのじゃ。はい、三、二、一……」
カシャッ
「こんな感じでよろしいかの?」
『ありがとうございます! 助かります!』
「どういたしましてなのじゃ。それではワシはこれで―――」
『あ、ちょっと待って下さい! お礼といってはなんですが、これをどうぞ』
そう言って女性が取り出したのは―――文月バスの乗車ペアチケットだ。
『さっきアトラクションのくじ引きで当たったんですけど、私達今日は自分の車で来ているので正直必要が無くて……よかったら使ってください』
「む、よいのか? ならありがたく頂戴するのじゃ」
そして女性達は手を振って去っていった。
「(……まぁ、後々何かの役に立つじゃろうし、大切に持っておくとするかの)」
――――――
「ええっと……コンサート会場ってこっちで合ってるよね?」
同じくミッションに向かう、工藤愛子。
「正直ハンターに見つかるかも知れないっている怖さはあるけど、それ以上にハンター10体の方がマズいでしょ」
どうやら彼女も、ハンターが増えることは避けたい様だ。
すると―――
「あ、ねぇねぇ! そこの貴女っ!」
「えっ?」
誰かに呼び止められた。
振り向くと、そこには赤い髪に黒メッシュをした一人の女性が困った顔をして工藤の方を見ていた。
「ボクに何か用ですか?」
「はい。いきなりで申し訳無いんだけど、コンサート会場ってどこにあるか知らないかな? 私初めてで迷っちゃって……携帯も充電が切れちゃったし……」
「あ、そうなんですか? 実はボクも丁度そこに行こうとしてるんですよ」
「本当!? なら私も一緒に着いてっていい?」
「一緒にですか? うーん……まぁ今はハンターも見かけないし場所もさほど遠くないから……ダイジョブだよね。わかりました。いいですよ」
「あ、ホント!? ありがと~♪」
今なら問題ないと判断したのか、彼女の提案を呑むようだ。
「それじゃ早速行きましょうか。えーっと……」
「あ、まだ名前を言ってなかったっけ―――私LiNAって言うんだ。一応歌手をやってるんだけど……知らない?」
「あ、そうなんですね。うーん……ボクはあまりアニメは見ないから分からないけど……岡崎君に聞けばわかるかな」
「岡崎君?」
「はい。とってもアニメ……というより二次元が大好きなトモダチがいるんですよ。でも今どこにいるんだろ?」
――――――
「……………(ズーン)」
「ほら大悟。時間が無いんだから早くミッション行くよ」
「…………………………知らん。もうミッションも逃走中も全部どうでもいいわボケ……(シクシク)」
「ハァ……」
地べたに体育座りで塞ぎ込んでいる岡崎大悟。
それを見て額に手を当てながらため息をつく吉井明久。二人は先ほど合流したのだが、岡崎の方がそれ以降ずっとこの調子なのだ。その理由は、
「……………こんな苦行を俺に課すなんて、神は俺に死ねとでもいうのか……」
そう。今日は超人気声優達によるアニメイベントが開催されている。
しかし彼らは現在逃走中を行っているという都合上、この特別イベントに参加はおろか観覧さえすることが出来ない。
そしてこの岡崎大悟。そのヤンキーな見た目に反して超がつくほどのアニメオタクである。三度の飯よりもアニメを愛し『二次元に生き二次元に死ぬ』を座右の銘とする彼にとって、自分の好きなキャラクターに命を与え、心から応援している声優達のライブに参加出来ないことがどれだけ悲しく、屈辱的なことであるかは想像に難くないだろう。
「確かに大悟の気持ちは分からなくも無いけどさ、だからって既に決まったことに対していつまでも落ち込んでいたってしょうがないじゃないか。君だってそれくらいわかるでしょ?」
「……………こんな仕打ちを受けるなら、いっそ道端に咲く一輪の花になりたい……」
「駄目だ。完全に打ちのめされてる……」
こうなってしまっては、彼を元の状態に戻すのは容易ではない。
しかしこのまま道の真ん中にいれば、やがてハンターに見つかり確保されてしまう。
「こうなったら、あそこの店員さんにハンマーか何かを借りてきて頭をブン殴って正気を取り戻させるか……?」
そしたら放送出来なくなるのでやめてほしい。
「あ、アキ! ここにいたのね!」
そこに、島田美波も合流した。
「美波! 良かった、無事だったんだね」
「ええ、何とかね。それよりもアキ、ミッションのことなんだけど―――岡崎は何があったの?」
「ああ、やっぱり気になる? それが―――」
事の顛末を島田に話す吉井。
「……なんていうか、岡崎らしいわね」
「でしょ? それでさっきからずっとあの調子なんだ」
「うっひぇひぇ……どうせ俺は道端に落ちてる犬のウンコ以下の存在なんじゃい……(シクシク)」
自分を卑下し始める岡崎。彼らが思っていたよりもショックが大きい様だ。
「……仕方ないな。僕らだけで行こうか美波」
「え? いいの? 岡崎をあのままにして」
「しょうがないよ。あの状態になった大悟は僕らじゃどうにもならないし、このまま時間ばかり食っていたらミッションに間に合わなくなっちゃうしね。それに―――」
「それに?」
「大悟がああしていればハンターを惹き付けてくれる。その間に僕らは安全にミッションに向かえるじゃないか(グッ)」
「やっぱりアンタらって実は友達じゃないわよね」
「そんなことは無いさ美波。さっきも言ったけど僕らの友情は特別なんだ。この程度で崩れるような代物じゃないよ」
「アンタ、第一ステージで岡崎と坂本をハンターに突き出そうとしたじゃない」
「あれは正当防衛だよ」
「どれだけ自分勝手な脳味噌してんのよ……」
色々な意味で彼らの友情は特別な様だ。ああ素晴らしきかな男の友情。
「そう言うわけで、さっさとコンサート会場に向かうよ!」
「……分かったわよ。ごめんね岡崎。でもハンターが来たらちゃんと逃げるのよ」
二人はしょんぼりする岡崎を置いて、コンサート会場のあるメインエリアへと走り出していった。
一人残された……哀れな男。
「もう嫌だ……俺の人生はいっつもこんなんだ……畜生……チクショウッッッ!!!」
悔しさと愛しさと切なさのあまり、とうとう泣き出してしまった岡崎。
しかし、ガタイの良いリーゼント頭の男が道の真ん中で体育座りをしながら声をあげて泣くという光景はなんともシュールなものである。
「KAYA様……LiNA様……申し訳ございません……ですがもし叶うことなら、この末代までの屈辱的失態をどうか、貴女方の御前で謝罪させて下さ―――」
トントン
「そこの君。ちょっといい?」
「ん?」
突然何者かに肩を叩かれた。
「なんですか……? こんなゴミカスウンコナメクジ童貞クソ野郎である俺に何か用で―――」
そう言って顔を上げる岡崎。するとそこには―――
「さっきから泣いてるみたいだけど……大丈夫?」
―――水樹カヤが、岡崎の顔を覗き込んでいたのだった。
――――――
「……優子。あそこ」
「うん、あれがコンサート会場みたいね!」
続いて、木下優子と霧島翔子がコンサート会場に到着した。
「とっとと指紋認証装置とやらに行きましょう!」
「……わかった」
「待つんだ。木下さん、霧島さん!」
先にコンサート会場に着いていた久保が、向かおうとする二人を止めた。
「え? 久保君? どうしたの?」
「……なにか問題?」
「ああ。どうやら僕らではコンサート会場には入れないらしい」
「はぁ!? 中に入れない!? なんでよ!?」
「僕もあそこの警備員の方に理由を聞いてみたんだが、全く教えてくれなかったんだ」
「そんな……じゃあどうすればいいのよ!?」
ハンターの放出を阻止するには、コンサート会場へ入り中にある指紋認証装置を起動させて、檻の鍵をロックしなければならない。しかし、コンサート会場の前では警備員が邪魔をして進むことが出来ない。
果たして、逃走者達はミッションクリアに間に合うのか!?
ゲーム終了まで、残り80分 現在の賞金額 12万円
確保された逃走者
・清水美春
・姫路瑞希
残り逃走者
・吉井明久 ・島田美波
・坂本雄二 ・霧島翔子
・岡崎大悟 ・木下優子
・木下秀吉 ・工藤愛子
・土屋康太
・久保利光
次回からちょっとずつ牢獄deトークもやろうと思います。
感想、意見などありましたらよろしくお願いいたします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ