問 以下の英文を正しい日本語に訳しなさい。
『Die Musik gefallt Leuten und bereichert auch den Verstand』
島田美波の答え
『音楽は人々を楽しませる上に心を豊かにします
※これは英語ではなくてドイツ語だと思います』
坂本雄二の答え
『出題が英語ではなくドイツ語になっている為に解答不可』
教師のコメント
申し訳ありません。先生のミスで違う問題が混入してしまいました。日本語訳は島田さんの解答で正解です。ただ、今回はこちらの手落ちなので無記入の人も含めて全員正解にしたいと―――
土屋康太の答え
『 ←あぶりだし』
吉井明久の答え
『 ←バカには見えない答え』
岡崎大悟の答え
『 ←見るな。感じろ』
教師のコメント
―――思っていたのですが、君たち三人だけは例外として無得点にしておきます。
―――side明久
「『雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと……帰りたくないんだ』っと。よし。送信送信」
学校に向かいながら雄二にメールを打つ。本当なら今日は僕の家でゲームの再戦をする予定だったけど、昨日から姉さんが僕の家に帰ってきているという非常に厄介な事態になってしまっているのでそうもいかない。
「はぁ……まさか姉さんが帰ってくるなんて思わなかったよ……」
思わずそんな独り言が出る。
あんなおかしな姉がいることは極力隠しておきたいし、何より僕自身が今日はあの家に帰りたくない。だからここは是が非でも雄二に頼み込んで家に泊めてもらいたいところだ。
「結局大悟は音沙汰無しか……」
実は雄二よりも先に大悟の方に今と同じメールを送っている。しかしこっちからは一向に返信が来ないまま今に至っている。いつもなら遅くても一時間以内には返してくれるというのにだ。
「何かあったのかな?」
そう思いながら学校に続く坂を登っていると、
「んむ? 明久」
「あ。おはよう秀吉」
「おはようじゃ」
背中の方から聞き慣れた声が聞こえてきた。
見ると秀吉が小走りでこちらにやってくるのが見えた。
「あれ? 今日は一人なんだね。大悟と一緒じゃないの?」
「それが迎えに行ったら家にいなかったのじゃ。何やら昨夜から病院に行ってるらしくての」
「病院? あの頑丈な大悟が? そりゃまた珍しいこともあるね」
ひょっとしたらまた木下さんにボコられたりしたのかな(笑)
「うむ。そうじゃな……………それよりも明久よ」
「? どうしたの秀吉? 僕の顔をじっと見て」
秀吉が僕を観察するように見つめている。なんだろう?
「……心なしか、いつものお主と何か違う感じがするのじゃが……?」
「ぅえ!? き、気のせいじゃないかな? 何も変わったことなんてないよ?
「普段と違って血色が良いように見えるのう」
す、鋭い……流石は演劇部に所属しているだけあって、なんて洞察力の高さなんだ。
確かに秀吉の言う通り、今朝の僕は体に力が漲っていたりする。理由は今朝にちゃんと朝食を摂ってきたからだ。
姉さんの監視がある以上、今までから一変し、僕は規則正しい生活というものを演じる必要がある。なので僕は持っていた大量のゲームや本を売りさばいてまで生活費を捻出した。それも全て気ままな一人暮らしを継続させる為である。
「何か臨時収入でもあって朝食が摂れたのか?」
「ま、まぁちょっと……たまには僕だって、ね」
「シャツもズボンもアイロンがかかっておるようじゃし」
「そ、それはホラ。今日は週の初めなんだから、それくらいは」
「……怪しいのう」
秀吉の隠し事を見抜かれてしまいそうなその目に耐え切れず、僕は思わず秀吉から逃れるように体ごと向きを変えた。
「ホントに何もないんだよっ」
「ならば何故ワシから目を逸らすのじゃ?」
「だから別に何も」
「ならばこちらを向いてもよかろうに」
「ご、ごめん秀吉! 僕ちょっと用事を思い出したから先行くねっ!」
秀吉を置いて校舎に向かって走り出した。
どうしよう。多分後で追及されるだろうし、それまでに何か言い訳を考えておかないとなぁ……。
「……………」
―――side大悟
「……ここは」
「あ、気がついた?」
目を覚ますとそこは家ではなく、病院の一室だった。どうやら俺は昨夜優子にボコボコに痛め付けられたあと、そのまま意識を失ってしまったようだ。
隣には椅子に座った天が俺の顔を覗きこむように見つめていた。
「病院かぁ。これで何度目だろうなこのパターン」
「ホント良かったよ。大悟兄に適合する血液型がすぐ見つかって」
「そうだな……え?」
俺輸血が必要なくらいやられたん? それもう殺人未遂やん。
「もう身体は平気?」
「ああ。頭蓋骨にヒビを入れられたが大丈夫だ」
「それは世間一般的に大丈夫じゃないと思うけど……」
確かにな。
「ごめんね大悟兄。アタシもムッツリーニさんもアッサリ逃げちゃって」
「別に構わん。お前らがいてもいなくても俺の結末は変わらんかっただろうからな。にしても優子の野郎……俺を殺す気かってんだ」
全身がズキズキと痛む。目も霞む。まだ完全に回復はしていないようだ。
俺は二次元一筋だとあれだけ言い聞かせているのに聞く耳すら持たねぇ……ホントにあのヤンデレには困ったものだ。
「……ねえ大悟兄」
「あん?」
「今更なんだけどさ、どうして大悟兄は優子姉と仲良く出来るの?」
制服に着替えていると、天が俺にそんな質問をしてきた。
「急にどうした?」
「だってさ、普通に考えたらおかしいもん。いくら優子姉がヤンデレだからってここまで酷い事されたら嫌いになってもおかしくないのに、ちっともそんな素振り見せないじゃんか」
「……………」
「ねえ、どうして?」
天が俺に心配そうな表情を浮かべる。。
どうして俺が優子にここまでの仕打ちを受けているのにも関わらず、アイツと変わらず友好関係を築いているのか……誰よりも俺を近くで見てきた妹だからこそ、それが気になってしまうのだろう。
俺は少しの間を置き、言葉を返した。
「……償い、かな」
「償い?」
そう呟くと、唐突に脳内にかつての……二年前の記憶がフラッシュバックした。
その記憶は俺が最も忌み嫌うものであり……しかし同時に、
「償いってことは、やっぱりあの日の事? でもアレは……」
「ああ。でもアレは俺が悪いんだ。もっと俺が上手く立ち回れてたならよ……優子をあんなにも歪めちまうことも無かった。本当ならアイツはもっと普通の男に恋をして、普通の恋愛が出来ていた筈なんだよ。けどその未来を……俺が奪った。なのに当の俺が何もしないってのは、あまりにも無責任過ぎるだろう」
「だから……繋がりを切らないっていうの?」
「それが俺なりのケジメの取り方なんだよ」
優子を変えたのは他の誰でもない。俺自身だ。
だからこそ俺には、彼女がこれ以上自らの呪縛に苛まれ、ボロボロに壊れてしまわないように見守っていく義務がある。
それだけが……俺がアイツにしてやれる唯一の罪滅ぼしだと思うから。
「あ、だからって優子の事が嫌いなワケじゃねぇぞ。アイツもアイツで良いところはあるしな」
「だったらもう優子姉と付き合えば?」
「え」
「優子姉の好きって気持ちを大悟兄が受け入れちゃえばそれで丸く収まると思うけど。そしたらヤンデレ行為も少しはマシになると思うし、デメリットなんて無いじゃん」
「う……」
けどマジでそこが難儀なんだよなぁ……。
優子が他の誰かに恋心でも持ってくれりゃあいいんだが、あの様子じゃ期待が持てそうにない……けど俺も三次元の恋愛なんてこれっぽっちもするつもり無いし……けど優子には普通の女の子に戻ってもらいたいってのもある……。
彼女とのケジメをつけるといっておきながら自分の考えも曲げたくない……なんとも自分勝手で矛盾した考え方だろうか、と自分でも思う。
「それは……無理だ」
「どうして?」
「えーと……ほら、俺が優子と付き合ったなどと周りに広まってみろ? 次の日には愛すべきお兄ちゃんが挽き肉になっているかも知れないんだ」
「ふーん」
「そ、それに俺は二次元一筋の男! 三次元との恋などもっての他よぉ!」
「……………ま、今はそういうことにしといてあげる」
やけに奥歯にものが挟まったような言い方をされた。
「……でも安心した。やっぱり大悟兄は変わらないね」
クスクスと小さな笑みを溢し、天は言った。
「なに?」
「責任感があって優しい。友達を見捨てない。自分が本当に守るべきものの為なら自分を犠牲にしてでも守る……まさに男の中の男だもん。妹であるアタシが言うのだから間違いないよ。優子姉が惚れるのもすっごい分かるな。にひひ」
「そんな事ねえよ」
「そんな事あるよ。だって少年院に入ることになったのだって、秀吉兄と優子姉を―――」
「天」
俺は最後まで言葉を紡ごうとした天を手で制した。
「もう終わった事だ。これ以上掘り返さないでくれ」
「あ。う、うん……ごめん」
「分かればいい。んじゃ俺学校行くわ」
「行ってらっしゃい」
着替えを終えてベッドから起き上がり、荷物を持って病室を出た。
その去り際に天が後ろから声をかけてきた。
「大悟兄。なんでもかんでも一人で抱え込むのは駄目だよ? もう大悟兄にはあの時と違って信頼出来る人が周りにいっぱいいるんだから」
一人で抱え込むな、か。
「ああ、わかってるよ」
俺はそう言い残し、病院を後にした。
やれやれ、妹には全部お見通しだなと心の中で思いながら。
「……………私も、そろそろ行かなきゃ」
――――――Fクラス
「おざーす(ガラガラ)」
「あら岡崎君。こんな時間に登校なんて遅刻かな?」
「ま、そんなところです。すんませ―――ん?」
「……………(カキカキ)」←真剣にノートを取っている明久
「……………な。な……」
「明久がちゃんと勉強してやがるだとぉぉぉおおおーーっ!!? 世界の終焉の前触れかぁぁあああーーっ!!?」
「なんだと大悟コラァァアアーーっ!!」
―――side明久
まさか教師からだけじゃなく、大悟からも言われるなんて。そんなに僕が真剣に勉強してるのがおかしいんだろうか。
そんな態度に遺憾を思いつつ四時間目の授業道具をしまい、昼休みの用意をしていると、そこに美波がやって来た。
「アキ、何があったの? 朝から様子が変みたいだけど」
「別になんでもないよ。ちょっと真面目に勉強に取り組んでみようと思っただけで」
「アキ。おでこ出しなさい。今熱を測るから」
だからどうして皆似たリアクションを取るんだろう……?
すると美波が僕に手を伸ばしてくる。おでこに手を当てて熱を測る気なん―――
「って、これはダメだっ!」
「きゃっ」
僕が突然飛び退いたせいで、美波が小さく悲鳴をあげていた。
「こらっ! 何よそのリアクションは! 折角人が心配して熱を測ってあげようとしたのに!」
「ご、ごめん! 色々と事情があるんだ!」
「事情? 何よそれ?」
美波はこちらに疑わしげな視線を送っていた。
弱った。全部を説明するとなると姉さんの存在もバレちゃうし、ここは話題を逸らした方がいいかもしれない。
「う……。えっと……。そ、それよりまずはお昼にしようよ! 昼休みなんて短いんだからさ!」
用意しておいた昼食を鞄から取り出して卓袱台の上に広げる。多少強引だけど、こうすれば美波もお昼にするだろう。
「え!? アキ、お弁当を持っているなんて一体どうしたの!?」
「えぇっ!? 明久君がお弁当を!?」
美波に加えいつの間にやってきたのか、姫路さんの二人が驚いた顔をしていた。
「いや、そこまで驚かなくても……。僕だって人間なんだから、たまには栄養を摂らないと死んじゃうし」
とはいっても、仕送り直後の本当にごく短い期間だけど。
「それはそうでしょうけど……。でも、今日はいつもと違いませんか?」
「そうね。アキが食べるとしたら大抵は買ってきたお弁当なのに、今日は手作りみたいですね」
二人がジロジロと僕のお弁当を見ている。
参った。そんなところまでチェックされているとは思わなかった。
「明久君。どうして今日は手作りのお弁当なんですか?」
「えっと、それは……」
「まさか、誰かに作ってもらったのかしら?」
美波の目がスッと細くなる。いけない。攻撃態勢だ。
身を守る為にもここは正直に答えよう。それにこれに関しては特に隠すべきことでもないし。
「一応、自分で作ったんだけど」
「嘘ね」
「嘘ですね」
だというのに、全く信用してもらえなかった。
「だって、アキに料理なんて出来るわけないもの」
「随分と上手なお弁当ですよね……。明久君の周りでこんなに上手にお弁当を作れる人っていうと」
「坂本か岡崎。もしくは土屋の内の誰かね」
なんだか会話がどんどんおかしな方向に向かっている気がする。
「やれやれ……。二人の想像に任せるよ」
「「……」」
『今日は……帰りたくないんだろ?』
『全く。困った仔猫ちゃんだぜ。お前は……』
「アキはもうそんなに汚れちゃってるの!?」
「信じたくないですーっ!」
「不潔だよ吉井君!」
「二人とも一体何を想像したの!? ていうかなんで久保君までいるの!?」
内容が気になるけれど、おそらく真実を聞いたら立ち直れないほどのショックを受けてしまいそうな気がする。
「そう言えば、今朝も坂本に『今夜は帰りたくない』なんてメールを送っていたわよね」
「それにさっき岡崎君も『明久からこんなメールが来てた』って携帯を見せてくれました……」
「やっぱり、坂本と岡崎とアキって……」
やっぱり、何だと言いたいんだろう。
――――――放課後。
「雄二に大悟、ちょっといい?」
帰り支度をしている悪友達に声をかける。
「ん? どうした明久」
「何か用か?」
「今日なんだけどさ、雄二か大悟の家に泊めてくれない? それで、次の期末テストの出題範囲の勉強を教えて欲しいんだ」
―――ザワッ
言った瞬間、教室にどよめきが広がった。
『おい……聞いたか、今の……?』
『確かに聞いたぜ。俄には信じがたいことだが……』
『まさか、アイツらがな……』
『ああ。まさかあの吉井に坂本。そして兄貴が……』
『『期末テストの存在を知っているなんて……』』
色々と言ってやりたいことはあるけど、今日は見逃しておこう。命拾いしたね、皆。
「勉強を教えてほしいだと?」
「うん」
雄二は科目問わず全体的に出来るし、大悟は社会科目のみにおいてなら教師以上の知識を持っている。姉さんの件も踏まえた上で、今僕が勉強を教えてもらうにはうってつけの二人だろう。
「やれやれ……。お前はまだ七の段が覚えられないのか」
「待って! 僕は一度も九九の暗唱に不安があるなんて言った覚えはないよ!? 分数の掛け算だってきちんと出来るからね!? 大悟じゃあるまいし!」
「ちょ待てやコラァ! 俺だって九九くらい言えるわバカ野郎!」
「9×9は?」
「88!!」
「お前マジか」
僕以上のバカがそこにいた。
「ほらみろ! 大悟なんかより僕の方がまだマシでしょ!」
「ああそうか。明久は三角形の面積の求め方に躓いているところだったよな」
「(底辺)×(高さ)=(三角形の面積)! これでしょ!」
「ガハハ! やっぱりバカだなぁ明久! それは最後に2をかけるんだっつの!」
「よしよし、二人にしては良くできたな。あとは最後に2をかけるんじゃなく2で割ることを覚えたら三角形の面積が出せるようになるぞ?」
「……………」
……………。
「ふぅ、やれやれ……。雄二は人の揚げ足を取ることに関しては天才的だね」
「全くだ。そこは評価に値する」
「凄ぇ! その返しは流石の俺でも予想外だ!」
ち、違う! 今のは大悟のあまりのバカさ加減に当てられちゃっただけで、本当はきちんと解けるんだから!
「あの、明久君。岡崎君」
すると姫路さんが鞄を手に抱えてやってきた。
「なに、姫路さん?」
「あのですね、九九の覚え方にはコツがあるんですけど」
「言えるからね!? 大悟はともかく僕はちゃんと九九は言えるからね!?」
「俺だってさっきは勢いで言っちまっただけで本来ならちゃんと言えるわ!」
「岡崎君。8×8はなんですか?」
「66!!」
「あの……64ですよ?」
「……………姫路。いきなり引っかけ問題はずるいぜ」
「私何も騙そうとしてませんよ!?」
どうやら大悟の脳ミソは小学校低学年あたりで成長がストップしているらしい。
「しかし、急にどうしたのじゃ? 明久が勉強なぞ、特別な理由でもない限り考え難いのじゃが」
「……………明久らしくない」
「そうね。二人の言う通りだわ」
秀吉とムッツリーニ。美波までやってきた。僕が勉強をするって言っただけでどうしてこんなに人が集まるんだろう。
「それだけお前がバカだから」
「心を読むな! バカ大悟!」
九九もろくに出来ないヤツに言われたくないね!
「あの、明久君。私で良かったら……一緒にお勉強、しませんか?」
おずおずといった感じで姫路さんが手を挙げてくれた。
いつもならとてもありがたい話なんだけど、今日はちょっと事情が違う。だって、雄二や大悟の家ならともかく、
「姫路さんの家に泊めてもらうわけにはいかないしなぁ……」
「え? 明久君、私の家に来たいんですか?」
「あ、いやそうじゃなくて」
「そ、それなら、家に電話してお父さんにお酒を飲まないように言っておかないと……。その……、もし、ですけど、明久君がお父さんに
「大事なお話? それって―――はっ、まさか転校の話!? だとしたら今からでも説得に行くけど!」
畳と卓袱台程度じゃダメだったのか! せめてちゃんとした椅子と机を用意できていれば……!
「転向、ですか? 明久君のお家って、仏教じゃないんですか?」
「ほぇ? 仏教? 何の話?」
「いえ、ですから、お家の宗教が違うことのお話を……」
「「???」」
なんだか、会話が噛み合っていない気がする。
「たまに姫路の思考回路って明久と同レベルになる時があるよな」
「アホの子キャラ……確かにラブコメにおいては主人公、ヒロイン共に備わっていてもおかしくない要素だな」
「朱に交われば赤くなる、といったところじゃろうか」
「……………似た者同士」
悪友四人がこっちを見てボソボソ何かを言い合い、美波は知らない単語でも入っていたのか頭にクエスチョンマークを浮かべていた。
「それはそうと明久。なんで俺や大悟の家に泊まりたがってるんだ?」
「自分の家になにか問題でもあんのか?」
「あー、えっと、実は」
「「嘘をつくな」」
「急に勉強に目覚めて―――って、早いよ! まだ何も言ってないのに!」
確かに嘘だけど。
「まぁ、次の試召戦争と夏期講習回避の事もあるし、勉強くらい教えてやらんこともないが」
「え? ホント?」
「ただし、明久の家でだ」
「えぇっ!? だっ、だだだダメだよ僕の家は! 今日はちょっと、その、都合が悪くて!」
そしたら確実に姉さんの事がバレてしまう! それだけはなんとしてでも避けないと!
「都合が悪いだと? 何かあるのか?」
「う、うん。実は今日、家に改装工事の業者が」
「嘘つけ。本当なら今日は俺と大悟とお前の三人でお前の家でスマ○ラをやる予定だったろうが。改装業者なんて来るわけないだろ」
「じゃなくて、家の鍵を落としちゃって」
「んなモン管理人にでも事情話して開けてもらえばいいだろ。お前ん家マンションなんだから」
「でもなくて、家が家事になっちゃって」
「火事にあったくせに弁当を用意してYシャツにアイロンをかけてきたのか? お前はどこまで大物なんだよ」
「あー、えーっと、他には他には……!」
「いい加減にしろ。お前の嘘は底が浅いんだよ」
ぐ……色々考えてみたけど、もう理由が思い付かない。
「明久よ。お主、何をそこまで隠しておるのじゃ?」
「うぇっ!? いや、別に何も!」
「何があるのか分からんが、このバカがそこまで隠そうとすることか……。面白そうだな。確認に行ってみるか」
「必死になってるところが益々興味をそそられるしな」
ニヤニヤといやらしい目で笑う雄二と大悟。
「……………家宅捜査」
「テスト期間で部活もないし、ワシも行ってみようかの」
「ウチも。何かアキの新しい一面が見られるかも知れないし」
ヤバい! どんどん事態が悪い方向に進んでいる!
「ダメだよ! 本当に僕の家はダメなんだって! その、凄く散らかっているから!」
「お片付け、お手伝いします!」
さ、流石は姫路さん……! 天使のような優しさだ……! けど今はその優しさが返って僕を窮地に追い込んでいる……!
どうすれば―――そうだ! 女の子が触りにくいものが散らかっていることにすればっ! となるとえーとえーと……アレだっ!
「散らかってるのは、2000本のエロゲーだから!!」
一時の静寂。こ、これはイケ―――
「―――片付けますっ!!」
「全部処分するから!!」
「……………任せておけ!(グッ)」
「明久……。お前ってヤツぁそこまで……これは是が非でも見に行かなくっちゃあな!(ウルウル)」
しまった! 更に姫路さん達に火を点け、ムッツリーニと大悟の興味を煽る最悪の結果に!? 物凄い逆効果だ!
「よし、それじゃあ意見もまとまったことだし、明久の家に行くか」
「「「「おーっ」」」」
「やめてーっ!」
ど、どうしよう……。
まさかの半年以上あけての投稿とは……不定期更新とはいえここまで間隔を空けてしまったのは本当に申し訳なく思います。この調子だと完結するのに何年かかるのだろうか……。
感想、意見などありましたらお待ちしています。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ