問 以下の問いに答えなさい。
『少年探偵団』や『怪人二重面相』を世に送り出した、日本の小説家の名前を答えなさい。
姫路瑞希の答え
『江戸川乱歩』
教師のコメント
正解です。流石ですね、姫路さん。
江戸川乱歩は大正から昭和にかけて活躍した、推理小説を得意とした小説家で、アメリカの文豪エドガー・アラン・ポーの名にちなんだペンネームです。日本推理作家協会初代理事長であることも有名です。
吉井明久の答え
『犯人はこの中にいる!』
教師のコメント
先生ではありません。
岡崎大悟の答え
『とっつぁんの名にかけて!』
教師のコメント
じっちゃんです。
―――side大悟
玲さん達女性勢をリビングに残し、俺達男子勢(秀吉は性別が秀吉なのでノーカン)は晩飯の準備に取りかかり始めた。
ちなみに本日の夕飯のメニューはパエリア。一般家庭で作るにしては少々珍しい代物だが、どうやら明久曰く、玲さんの買ってきた食材が全てパエリアを作る為のものだったらしい。
だとしても結構な量だ。まさか俺らが来ることを知ってたのか―――と疑問には思ったが、
「姉さん料理音痴だから、間違えて買ってきたんだよ」
と、若干の呆れ顔を浮かべた明久に言われた。
食材を間違えて買ったとかならまだしも、量をミスるなんてことがあるか? と新たな疑問は浮かぶものの、これ以上他人のミスを詮索するのは野暮だなと思い、俺は形だけ納得した様子を見せた。
「しかしまぁ、スペイン料理とはな。お前の姉貴はてっきり日本食をご所望かと思ったが」
「一応、姉さんはなんでもいいって言ってたんだけどね」
「玲さんはパエリアが好きだったりするのか?」
「うーん、そんな事は聞いたことないけどなぁ……あまり食には興味のない人だし」
慣れた手つきでテキパキと下ごしらえを進めていく明久。
その手腕は俺から見ても見事なものだ。パプリカやタマネギは一寸の狂いもなく綺麗にカットされているし、エビ、アサリなどの魚介類はキチンとした臭み抜きや砂抜きをしてから使用するといったことも心得ている。オマケに調理器具やキッチン回りなんかもちゃんと消毒やメンテナンスがされていて衛生面もバッチリ。調理器具に至っては新品同様の仕上がりだ。
俺は料理には二次元同様一切の妥協を許さない。
それは食材の扱い方から始まり調理手順の正確さやスピードはもちろん、その時の行動のスムーズさや料理をするための環境がしっかりと整っているかも厳しくチェックする。それらが一つでも欠けているだけで、料理の完成度を大きく変えてしまうといっても過言ではない。なのでその内の一つでも俺の中の及第点を下回るようなレベルだと嫌な気持ちが生まれてしまい、モチベーションも大きく下がってしまうのだが―――ここは完璧だ。何のストレスもなく料理に取り組める。
ちなみに明久と雄二はメインのパエリア。同志は付け合わせのサラダ。俺は食後のデザートを担当することになった。
「ところで明久。さっきふと思ったんだが」
「ん?」
「お前、姉貴に本当の生活態度を隠してるだろ」
「……よくわかったね」
「丸分かりだバカ」
むしろ隠してますと言わんばかりの違いだったからな。
「……………バレると、説教?」
「それだけだったらまだいいんだけど、」
「それ以外に何かあるのか?」
「うん。あまりにも生活態度が悪かったり、今度の期末試験である程度の点数をとれなったりすると、姉さんがこっちに居座ることになっちゃうんだよ……」
マジか。思春期男子にとってそれはキツいな。
「そうか。だからあんなに勉強にやる気になっていたのか。ようやく合点がいった」
「……………納得」
「だから、余計なことは言わないでほしいんだ。学校の成績とか、僕の本当の生活とか、……こ、この前の美波とのアレとか……」
「アレって、島田とのキスのこ―――むぐっ」
明久が慌てて雄二の口を塞ぎ、小言で注意する。
(だからそういうのもマズいんだよっ! 姉さんは不純異性交遊は完全アウトっていうお堅い人なんだから!)
(不純異性交遊ねぇ……それってどのくらいの基準で決まるんだ?)
(異性と手を繋ぐのもダメなんだよ)
(それもう束縛に近くね?)
女子とプールに行ったり女子風呂覗いて停学になったりしてることがバレたらコイツはどうなっちまうんだろうか。最悪死ぬんじゃないだろうか。
「なるほどな。まぁ、お前の一人暮らしは俺や大悟にも都合がいいし、黙っててやるか」
「……………協力する」
「困ってる時はお互い様よ。だから安心しな」
「ありがとう、三人とも」
そう俺達に礼を言って安堵の息を吐く明久。
まぁコイツにだってプライベートの時間があるし、それを他人に邪魔されたくない気持ちは痛いほど分かるからな。汲み取ってやるのがダチってモンだ。
「明久。冷蔵庫にあるモン適当に使うぜ」
「うん、いいよ。好きに使っちゃって」
「サンキュー」
冷蔵庫を開けると中にはそれほど多くはないがちゃんと食品が入っている。
こんな事は普通なら明久の家の冷蔵庫ではまずあり得ない。何故なら明久は親からの仕送りの殆どを娯楽に消費しており、生活費なんて雀の涙ほどしかない。なので普段の食事はパン粉をおかずにパン粉を食べたり塩水をおかずに水を飲むといった、異世界系の作品にいがちなクズ貴族に買われたり奴隷商に売り飛ばされた奴隷の女の子よりも下手したらひもじいんじゃねえかっていうレベルなのだ。
なんでその食生活で今生まで生存してれるのか甚だ疑問でしょうがねえが、まあ明久が死んだらこの物語終わっちまうからな←メタ発言。主人公補正がヒシヒシと働いてんだろう。あ、奴隷といえばラフタリアちゃんめちゃすこ。
「……………同志は何を作る予定?」
隣でサラダ用の野菜を切っている同志が俺にそう尋ねてきた。
「材料は大方揃ってっから選択肢は様々なんだが……どうせなら俺が一番得意とするものを作ろうと思ってるぜ」
「……………なるほど」
「まあ出来上がるのを楽しみに待っとけや」
早速調理に取り掛かるか。
使う調理器具を準備し、ボウルに人数分の材料を入れてから泡立て器で均一になるよう混ぜ合わせる。
デザートは他よりも繊細さがより一層求められるジャンルだからな。分量の的確さや火の入れ加減などが見た目や味の完成度に差が顕著に現れる。
そう、分かりやすく例えるなら幼女に接する時のような紳士的かつ慈愛に溢れた振る舞いがデザート作りでも求められるのだ。優しさ。丁寧さ。そして機敏に状態の変化を感じ取れるセンシビリティさ。つまり!
・デザート作りが上手い=幼女からの好感度が上がる=幼女にモテる!!←(ここ最重要)
こういった式が成り立つ。
全国の幼女好きの諸君。これは我々の界隈では基礎中の基礎の知識だから必ず覚えておくように。後で抜き打ちテストするからな!
「あとは肝心の幼女が俺の目の前に現れてくれさえすれば……そうなりゃやっぱり葉月ちゃんが第一候補だよな、あの純真無垢な姿と可愛さは正に幼女・オブ・幼女。もう人間国宝よろしく幼女国宝と呼ばれてもおかしくないだろう。ああ人よ、民よ、生きとし生ける全ての生命よ。さあ共に手を取り合い島田葉月ちゃんという幼女神を崇め讃えようじゃないか―――」
「さっきからなに一人でブツブツ言ってるんだお前は」
「雄二。幼女はいいぞ」
「頭でも打ったかロリコン」
とまあそんな事を考えながら調理を進めていると、
『こちらが、アキくんが二歳の頃のお風呂の写真です』
『す、すっごく可愛いですっ!』
『うむ。愛くるしい顔をしているのう』
『素直そうで可愛いわね~』
そんな声がリビングから聞こえてきた。そういえばさっき明久のアルバムがどうとか言ってたから、それを皆で見ているのか。
『それでこっちが、アキくんが四歳の時のお風呂の写真です』
『あははっ。アキってば、お風呂の中で寝てるわ』
『温かくて気持ちよかったんですね』
『無邪気な笑顔じゃな』
ショタの明久か……新しい層の顧客を獲得出来るかもしれんし、後で玲さんに写真を焼き増しして貰えないか頼んでみるか。
『そしてこっちが、アキくんが七歳の時のお風呂の写真です』
『小学生の頃ですね。懐かしいです』
『かなり背丈も伸びておるのう』
『だいぶ大きくなってるわね』
『更にこちらが、アキくんが十歳の時のお風呂の写真です』
「待った姉さん! どうしてお風呂の写真ばっかりなの!? そのアルバムは何の写真を集めてるのさ!」
『そして、これが昨晩のアキくんのお風呂の写真です』
「このバカ姉がぁーっ!! いつの間にそんな写真を!? さては着替えか! 脱衣所に着替えを持ってきた時かっ!」
「明久。鍋から目を離すな。吹きこぼれるぞ」
「もうそんなことはどうでもいい! それよりもあのバカの頭をフライパンでかち割ってやることの方が重要なんだ!」
「離せーっ! 雄二のバカーっ!」
「なぁ同志。後で玲さんのところに交渉に行かないか?」
「……………了解(コクッ)。手札は?」
「明久のセーラー服(パンチラver)イラストだ」
「……………ならこの生着替え写真もセットで(スッ)」
「流石だぜ同志」
「……………知ってる(ニヤッ)」
「おいそこのエロコンビ! 勝手に人の写真とイラストを取引材料に使うんじゃない!」
ふふ、これでまたラインナップが増えるぞ増えるぞ~。
そうこうしている内に夕飯完成。
「皆、待たせたな。夕飯が出来たぞ」
出来立てホヤホヤのパエリアやサラダがテーブルに並べられる。
「あ、ありがとうございます……………(ポッ)」
「お、美味しそうね……………(ポッ)」
頬を赤らめて明久の方をチラチラ見る姫路と島田。写真とはいえ好きな人の全裸姿を見てしまったのだから致し方ない反応だ。
「見たんだ! やっぱり見たんだ! 僕の恥ずかしい姿を皆で見たんだぁぁああっ!」
と言って
「全く……アキくんは落ち着きがないですね」
「姉さんのせいでしょ! 嫌がらせばっかりして! 姉さんは僕のことが嫌いなんだろ!?」
「いいえ。姉さんはアキくんのことが好きですよ」
「えっ……?」
「―――一人の異性として(ポッ)」
「最悪だぁぁああっ!」
やっぱりブラコンじゃないか(呆れ)。
あと玲さんその照れ顔可愛いんで自分、スケッチいいすか?
「日本の諺にこうあります……バカな子ほど可愛い、と」
「諦めろ明久。この人はお前を世界で一番愛しているぞ」
「それって、僕が世界一バカだと思われてるってこと!?」
「う、ウチだってアキのことを世界で一番バカだと思ってるから!」
「わ、私だって! この世界で明久君以上にバカな子はいないと確信しています!」
「やめて! 皆で僕のガラスのハートを傷つけないで!」
散々な言われように明久が目尻に涙を溜めて悲痛の叫びを上げる。もうやめて! もう明久のライフは0よ!(笑)
全く豆腐メンタルなヤツめ。仕方ない、フォローしてやるとしますか。
俺は明久の肩に手を置く。
「大悟?」
「お前が世界一のバカだと? フッ、馬鹿馬鹿しい。そんなワケがないだろう。だからそう悲しむこたぁねえぜ」
「大悟……」
少しだけ顔を緩ませた明久に、俺は優しく微笑んだ。
「お前は―――この世のありとあらゆるものを超越せし宇宙一のバカだ。だから自分に自信を持て」
「うん。ありがとう大―――ってうぉぉおいっ! 宇宙一って益々悪化してるじゃないか! 大悟貴様! 慰めると見せかけて更に傷を抉ってくるなんて君はなんて最低なクズ野郎なんだ!」
「チッ、バレたか」
励まされるどころかより一層罵倒された事に気づいた明久が声を荒げる。
「そうか……明久のバカさはもうそこまでの境地に達していたのか」
「……………正に天上天下唯我独尊なバカ」
「そ、そうよねっ! 確かに岡崎の言う通りアキは世界一じゃなくて宇宙一のバカだもんねっ!」
「そ、そうですよねっ! 明久君ほどのおバカさんは宇宙のどこを探してもいないですもんねっ! 私もそう思ってますっ!」
「アキくん。姉さんは宇宙一馬鹿な貴方のことを誰よりも愛していますよ」
「クソ! もう皆なんて大嫌いだっ!」
うんうん。皆明久の事をちゃんと分かってくれたようで何よりだ。
「まぁ、そんなどうでもいいことは置いておくとして」
「ど、どうでもいいんだ……。結構僕の名誉に関わる内容だったんだけど……」
「迷誉の間違いだろ」
「なんだと大悟コラァ!」
「とにかく、冷めないうちに頂きましょう」
「「「頂きまーす」」」
不服そうな顔をする明久をよそに、俺達は目の前の料理に取り掛かった。
ちなみに食後の俺手製のデザートはありがたいことに大絶賛の嵐なのでした、まる。
―――そんなこんなで晩飯タイム終了。
「そろそろお勉強を始めましょうか」
さっさと後片付けを終えてリビングに再び集まる。そのタイミングで姫路が今日の集まりの本題を切り出した。
「そうね。あまり帰りが遅くなっても困るし」
「ならばワシも一緒に教えてもらうとするかの」
「……………同じく」
「そうだね。テスト前だからってわけじゃなくて、
Fクラスの面子とは思えない真面目な姿だ。
あと明久、お前は普段勉強なんてしねぇだろ。見栄張るな。
「皆さんでお勉強ですか。それなら良い物がありますよ?」
「良い物?」
「はい。今日部屋を片付けていて見つけました。今持ってきますね」
そう言って玲さんがリビングを出ていく。
も、もしかして……とうとう2000本のエロゲーとご対面かっ!
「お待たせしました」
ワクワクして待っていると玲さんが戻ってきた。
「参考書というものなんですが、役に立つかもしれませんので」
【女子高生 魅惑の大胆写真集】
…………………………ああ、そっちか(悲)。
「アキくんの部屋で見つけました」
「僕のトップシークレットがぁーーっ!!」
玲さんが持ってきたのは一冊のエロ本(三次元)。
てっきりエロゲーを持ってきてくれると思っていたのが、一気にテンションがダダ下がった。
「保健体育の参考書としてどうぞ」
「どうぞ、じゃないっ! こんなもんが参考になるかーっ! あと僕の部屋に勝手に入ったね!? あんなに入らないでって言ったのに!」
「いいえ。昨日、確かにアキくんは部屋に入って良いと言いました」
「それってもしかして着替えを取りに行くときのこと!? あの時の会話はこれが目的だったのか! なんて陰湿卑劣迂遠なやり方なんだ!」
勝手に自分のプライベートルームに踏み入られたことに対して玲さんに猛抗議する明久。何があってそうなったのかは知らんが、思春期の弟の部屋に自らの意思で突貫するとは容赦ないぜ玲さん。
「……どれどれ、一応見てみっか」
「……………確認(コクリ)」
「ちょっと大悟! ムッツリーニ! なに勝手に見てるのさ!」
俺と同志はそのエロ本を取ってペラペラと中身を拝見する。
中身はAV女優が際どい格好で際どいポーズをしてるというごくごくありふれた内容だった。
……なんだこりゃあ。
「ひでぇなこりゃ。ポーズも表情もコスチュームの着こなしもまるでダメ。タイトルの女子高生らしさってモンがまるで伝わってこない。ただただ取り敢えず露出度高めの服着さして胸と陰部晒しとけば男は食いつくだろうという制作者側の浅はかで傲慢で読者を舐め腐った考えが顕著に見て取れるぜ」
「……………カメラアングルも微妙」
「ふん。これじゃあ記載通りの金を払うに値しねえな。20点」
「……………15点」
「やめて! 二人ともそんな真面目な顔で友達のエロ本を批評して点数をつけないで!」
「明久……お前こんな低レベルなオカズでヤってんのか?」
「……………少し見損なった」
「いいだろ別に! あと大悟は女子のいる前でそういう卑猥な事を言うな!」
俺に言ってくれればこんなモンよりももっと良質なオカズを用意してやれるんだがな。しかも全ページ高解像フルカラーに台詞付きだぞ。
「もういいわ。姫路、島田。お前らは見るかコレ?」
俺はエロ本を二人に差し出す。
「そ、それじゃあ、あくまでお勉強の参考書として……」
「そ、そうね。ウチもちょっと勉強しておこうかな……」
二人は少し恥ずかしそうな様子で受け取った。
「姫路さんに美波!? 無理に受け取らなくていいんだよ!? というかお願いだから見ないで!」
「ちなみに他の参考書も確認したところ、アキくんはバストサイズが大きく、かつヘアスタイルはポニーテールの女子という範囲を重点的に学習する傾向がありますね」
「姉さんも冷静に僕の性的嗜好に関する考察を述べないで!」
知ってる。なぜなら明久の要望は殆どそういう系の女の子のエロ漫画だから。パ○ズリとか授○プレイとかメッチャ描いたわ。
てか玲さんの見つけた参考書ってワンチャン俺の作品だったりして。
「でもアキくん。どうしてその内の半分は二次元の女の子の本だったのでしょうか?」
俺のやったわ。
「……………(ジーッ)」
「アキくん? なぜ大悟君を睨んでいるですか?」
明久の無言の視線が俺に刺さる。
なんだよそのお前のせいだとでも言いたそうな目は。こっちはただお前から希望されたものを提供しただけだろうが。
それで悪者扱いとかお門違いも甚だしいぜ。
「お主ら、勉強は良いのか?」
秀吉が話を本題に戻す。
「そ、そうだよ! 秀吉の言う通りだよ! さぁ勉強を始めるよ皆!」
「そ、そうですね。お勉強を始めましょうか。んしょ……っと」
すると、姫路は長い髪を後ろでまとめ始めた。そりゃ好きな人の好きな髪型がポニーテールだって知ったんだから、彼女の行為はなんらおかしな事じゃない。
しかし、そんな姫路の行為を恋のライバルは見逃さなかった。
「み、瑞希っ! どうして急に髪をまとめあげてるのよっ!?」
「べ、別に深い意味はありませんよ? ただ、お勉強の邪魔になるかと思って」
「それならウチがやってあげるわ! お団子でいいわよねっ!」
「い、いえ。ポニーテールにしたいと」
「ダメっ! お団子なの!」
「美波ちゃん、意地悪です……」
島田が思い通りにはさせるかとばかりに、姫路の髪を団子状にくくる。その表情は心なしか楽しそうだ。
―――と、俺はふと大切な事を思い出した。
「そうだそうだ! 明久!」
「? どうしたの大悟?」
「2000本のエロゲーはまだか?」
「えぇっ!? 2000本のエロゲーの話を本気にしてたの!?」
当たり前だ。その為に今日は来たようなモンだからな。
「さぁ早く出してくれよ! もう話を聞いた時からワクワクとドキドキが抑えきれなかったんだよ! さぁさぁさぁ!」
「いや、興奮してるとこ悪いんだけど……2000本のエロゲーなんてあるわけないでしょ!」
……………ゑ?
「無い?」
「無い」
「一つも?」
「一つも」
「つまり全部真っ赤な嘘?」
「うん」
「……………」
俺は天井をゆっくりと見上げる。
そっかそっか……エロゲーは、無いのか。つまり明久は俺のことを騙していたんだな。なんだよ……2000本のエロゲーが、全部コイツの作り話だったなんてさ……そんなの、そんなのって―――
「―――明久」
「ならば死ね」
俺はスタンガンを明久に高速で突きつけた。
「危なっ!? いきなりなにすん―――ってなんでスタンガンなんて持ってるの!?」
「黙れよこのクソ外道……! 明久てめェ……! よくもそんな下らない嘘でこの俺の純情を弄び、貶めやがったなぁ……! ふざけんなよ……そしたら俺は……俺は……、お前は俺がなんの為に今日ここに来たと思ってるんだァ!!?」
「勉強じゃないの!?」
「んなワケあるかぁ!! 100パーエロゲーの為に来たんじゃボケェ!!」
目から溢れる悲しみと怒りの涙を手の甲で拭い、目の前の愚者を睨む。
もう絶対に許さん。例えお天道様が許してもこの俺が許さん。コイツは今ここで殺す。俺はスタンガンと拳を構えて戦闘態勢に入った。
「ちょ! 待ってよ大悟! 確かに嘘をついたのは悪かったけど、たかがエロゲーが無かったからってそんなに怒らなくてもいいじゃないか!」
「
「み、皆助けて! 大悟を止めて!」
「それでは皆さん。まずは英語あたりから始めましょうか」
「「「宜しくお願いします」」」
「ちょっと皆! なに悠長に勉強を始めてるのさ! 見て! お願いだからこっちで繰り広げられてる状況に目を向けて!」
「明久。人間の腎臓と肝臓は結構高値で売れるらしいぜ」
「売る気!? 僕を始末した後に内臓を取り出して売る気なの!?」
「安心しろ。その金で俺は2000本のエロゲーを買う」
「そんな最低最悪な方法で自分の欲を満たそうとするな! 待って! お願いだから落ち着いて!」
さて、話は終わりだ。
「それじゃあ―――くたばりゃああぁぁぁーーっ!!」
「待ってええええええええーーっ!!」
その日の勉強会は、血みどろに染まった(主に明久の血で)。
2000本のエロゲーって実際に存在するのだろうか?
感想、意見などありましたらよろしくお願いします。
原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?
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入れろ、絶対に
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別に入れなくてもいいよ