バカとオタクとリーゼント   作:あんどぅーサンシャイン

76 / 90
バカテスト 世界史

問 次の文章を読み、当てはまる人物名を答えなさい。
『ドイツの元国家元首であり、国家と一体であるとされた国家社会主義ドイツ労働者党の指導者。「自分たちが最も優秀な民族」だと主張し、1933年に首相になると1年程度で指導者原理に基づく党と指導者による一極集中独裁指導体制を築き、独裁者の典型とされる』


岡崎大悟の答え
『アドルフ・ヒトラー』

教師のコメント
正解です。


吉井明久の答え
『ブリトー』

教師のコメント
そもそも人間じゃありません。


土屋康太の答え
『アド』

教師のコメント
うっせぇうっせぇうっせえわ。



第六十七問  アイニードエンジェェェェエエエエルーーッ!!

 ―――side明久

 

 翌々日の昼休み。僕らは皆で卓袱台をくっつけてお弁当を食べていた。

 

「姫路さん、美波。昨日は大丈夫だった?」

「それが……凄く怒られてしまいました……」

「ウチも……お酒の事はなんとかバレずに済んだけど……」

「おかげで週末までの間学校以外は外出禁止にされてしまいました……」

 

 姫路さんと美波がしゅんと俯く。まぁ、そりゃあそうだよね。大事な娘が無断外泊をしたうえに飲酒までしちゃったんだから。

 本来ならあの後は皆で勉強会をする予定だったのだが、どういうワケか気づいた時にはお酒片手にドンチャン騒ぎをしていた。しかも自分が思ってたよりも相当な量飲んだようで次の日には全員揃って頭痛と吐き気と倦怠感に襲われ、学校を休む羽目になったのだ。

 

「あの時凜花さんがお風呂を貸してくれて助かったわ」

「じゃないと臭いが大変でしたもんね」

「本当にすまなかったな二人共。あのバカ親を止められなくて」

 

 そんな二人の様子を見て大悟が申し訳なさそうに深々と頭を下げた。息子という立場上、凜花さんの暴走を止められなかった事に責任を感じているのだろう。

 

「い、いえ! 岡崎君は悪くないですよっ! それどころか私と一緒に両親に謝ってくれたじゃないですかっ」

「え、そうなの?」

「しかも瑞希のところだけじゃなくてウチの両親にもね。その上ご両親に心配とご迷惑をかけさせるような真似をしてすみませんでしたって土下座までしたんだから」

「へえ、やるじゃないか大悟」

「別に褒められるような事じゃねえよ。こっちに非があったんだからそれを認めて謝罪する―――んなモン子供でも理解出来るような至極当然な事だ。俺はただ通すべき筋を通したに過ぎない。それにあの人のやらかしで頭下げるのはもう慣れっこでね」

 

 大悟の言葉に僕は流石だな、と心の中で感心する。

 普段はどうしようもないキモオタのロリコンだがそういう面はちゃんと人間が出来ている。誤魔化しや言い訳をせず、キチンと謝罪と反省の意思を見せられる。口で言うのは簡単だけど、実際にそれを行動で示せる人間というのは中々いない。

 僕もコイツのそういった面はちゃんと見習わないといけないな。

 

 

「でもなぁ……一つだけ残念な事があったんだよな……」

「残念な事? なにそれ」

「島田の家で土下座した時にな……葉月ちゃんが俺の頭を踏んでくれなかったんだよ。俺ァてっきり『そんないけない大悟お兄様には葉月が生足でお仕置きしてあげます。ほーら? ふーみっ、ふーみっ』っていう展開が来ると思って内心ワクワクしてたんだぜ。ちなみに予想では靴下を脱いだばかりのムワっとした幼女の足の臭いが俺の鼻孔に良い感じな塩梅を与えて」

「うん、僕から聞いといてなんだけどもう黙ろうか」

「岡崎。お願いだから人の妹で変な妄想しないで」

 

 

 僕と美波が的確にツッコミを入れる。折角の良い話が台無しだよバカヤロウ。

 

「まぁロリコンの戯言はさておき、今後は夕方以降にコイツの家には行かない方がいいな。理性が完全にブッ飛ぶレベルで飲まされるのはもうゴメンだ」

「人の切なる願いを戯言扱いするとは……まあいい。俺としてもその方がいいな。確かにあの時は俺含め皆イカれまくってた。特に姫路がな」

「え? わ、私ですか?」

「ああ。まさかあそこまで人が変わるとは思わなかった。なんせ俺達が野球拳してる時に無理矢理乱入してきて、着てた制服を何の躊躇いもなく脱ぎ捨ててあんな冒険下着を―――」

「いやぁぁああーーっ!! やめてください岡崎くんーーっ!!」

「へぶっ!?」

「ああ、そういえばそんなこともあったわね……。ウチもあの時の瑞希にはビックリしたわ」

 

 姫路さんが恥ずかしさからかいきなり大悟にヘッドロックをかけ、教室の隅まで連れていく。もうすっかり彼女もFクラス色に染まってきたようだ。

 ていうか姫路さんの下着だと!? なんて魅力的かつ男心を刺激するワードなんだっ! 後でその話の続きを詳しく聞かせてもらうとしよう。 

 

「アキ。まさか岡崎にその時の話を聞こうなんて思ってないわよね」

「ううん全く微塵も思ってないよ(汗)」

 

 美波の目が攻撃色になったので、全力で否定の意思を見せる。

 どうして僕の周りにいる女の子は皆妙に勘が鋭いんだろう。

 

「でもさ、雄二はあの後大丈夫だったの?」

「俺か? 俺はそこまで二日酔いは平気だったぞ」

「いや、そうじゃなくてさ」

「なんだよ」

 

 僕は雄二に言う。

 

 

「酔いが回ってたとはいえ、姫路さんと美波の前で堂々と全裸になった上に、最終的には女子二人と朝まで泊まり掛けで過ごしたことになるんだよ? 霧島さんは怒らないの?」

 

「……………」

 

 

 おお。ここまで『やってもうた』って表現は見たことがない。

 

「ま、まぁ、大丈夫だろ。バレなければなんの問題も」

「……雄二。今の話、向こうで詳しく聞かせて」

 

 あ、霧島さんだ。

 

「まぁ待て翔子。お前は勘違いをしている。お前の考えているようなことはなにも起きていないし、そもそもお前に俺が責められる謂れは無いと」

 

 ガスッ

 

「……うん。言い訳は向こうでじっくりと聞かせてもらう」

 

 ズルズルズル……ピシャッ。

 

 雄二&霧島さん退場。

 

「やれやれ、ヤンデレが近くにいる男は大変だな。油断も隙もあったモンじゃねえ」

「あれ? 坂本君はどこに行ったんですか?」

 

 いつの間にか戻ってきていた大悟と姫路さんがそう口を溢す。

 

「そういう大悟こそ平気なの? 昨日の事がバレたら」

「なにがだ」

「大悟だって形式上は女子とお泊まりしたんだからさ、君の彼女の木下さんだって霧島さんと同じくらい怒ってると思うけど」

「ハハハ、誰が彼女だブッ殺すぞこの野郎。それに心配ご無用。霧島と違って優子は母さんの性格と言動の悪さを知ってるからな。話せば分かってくれるさ」

「ああうん。それもあるんだけどね」

「?」

 

 

「結果はどうあれさ、大悟が姫路さんと野球拳をしたっていう事実はあるワケじゃない。それって木下さんからしたら大悟が他の女性の裸を見たがってた、っていう捉え方にならない?」

 

「……………」

 

 

 おお、雄二と全く同じ表情をしている。

 

「……ハ、ハハハ。悪い冗談はよしてくれよ明久。二次元ならまだしもこの俺が三次元の裸を見たがる? そんなの天地がひっくり返ってもあり得」

「へぇ、昨日全く電話に出ないと思ったら、アタシに黙ってそんなことしてたのね」

 

 あ、木下さんだ。

 

「優子。まずは落ち着いて話をしよう。昨日のアレは全てスピリタスという悪の酒がもたらした一種のマインドコントロール的なものであって俺自身の意思では確実に無いということをまず理解してほし」

 

 ゴスッ

 

「そうね。話ならお仕置きをした後にたっぷりとしようかしらね」

 

 ズルズルズル……ピシャッ。

 

 大悟&エ○カリボルグを持った木下さん退場。

 まさか全く同じ光景を立て続けに見せられるとは思わなかった。

 

「ふむ。こうなると放課後の勉強は厳しそうじゃな」

「そうね。瑞希も坂本も岡崎もいないとなると、教えてくれる人がいないもんね」

「……………(コクリ)」

 

 雄二と大悟は僕の心に生きているけど、残念ながら心の中の二人は勉強を教えてはくれない。

 

「それじゃ、勉強会は中止か……。弱ったな……」

「ごめんなさい。せめて私だけでもお酒を飲まないでちゃんとしていれば……」

「ああいや、姫路さんは全然悪くないよ」

 

 むしろあの状況で素面でいろという方が無茶な話だ。

 

 

「……吉井」

「吉井君」

「ぅわっ!」

 

 

 不意に背中から声をかけられる。誰だ!?

 

「き、霧島さんに木下さんか。びっくりした……。どうかしたの?」

「……勉強に困ってる?」

「あ、うん。そうなんだよ」

 

 霧島さんのシャツについている赤い液体と木下さんの両手の指についている赤い液体と白いちっちゃな何かには目を向けないようにする。

 

「……それなら、私達も協力する」

「え? 協力って?」

「……週末に、皆で私の家に泊まりに来るといい。その時に出来る限り私と優子も勉強を教える」

「さっき代表とそういう話になったのよ。アタシは良い案だと思うけどね」

 

 皆で―――泊まり!? つまり遅くまで勉強できるってことか! しかも学年トップクラスの頭脳を誇る二人に教わって! それって凄いありがたいことじゃない!?

 

「いいの、二人ともっ?」

「……吉井にはいつかお礼をしたいと思っていた」

「吉井君には色々借りがあるもの。それくらいお安いご用よ」

 

 これは助かる! テスト直前のスパートには、願ってもない最高の環境だ!

 

「皆で、ということはワシらも良いのかの?」

「……勿論」

「週末ってことならウチも行けそうだし、お邪魔しちゃおっかな。瑞希はどう?」

「た、多分大丈夫です。ダメでも、なんとか両親を説得しますっ!」

「……………参加する」

 

 この場にいる全員が参加決定。これは良い週末になりそうだ。

 

「あ、あと雄二と大悟は参加できるのかな?」

「……大丈夫」

「多分問題無いと思うわ」

「あ、そうなの?」

「……その頃には、きっと二人とも退院してる」

「そっか。それは良かった―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………………退院?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――そんなこんなで週末。

 

 雄二と大悟が不慮の事故で入院してから三日後、あっという間に土曜日がやって来た。今日は霧島さんの家で泊まり掛けの勉強会だ。

 出掛ける前に姉さんと諸々の事で軽い言い合いになってしまって、あまり気分の良いスタートではないけど、そんな事は今の僕には大した問題じゃない。

 早く忘れて今日は時間の許す限りまで勉強に専念するとしよう。

 

 ピンポーン

 

「……吉井。いらっしゃい」

 

 霧島さんの家に到着し、呼び鈴を鳴らすと私服姿の霧島さんが出迎えてくれた。

 

「お、お邪魔します」

 

 あまりに立派な造りの家なので、無駄に緊張してしまう。

 

「……もう皆、大体揃ってる」

「あ、僕が最後なんだ」

 

 先導してくれる霧島さんについていく。

 凄いなぁ……。こんなに長い廊下は見たことがない。

 

「ふぇ~。部屋がいっぱいあるね~」

「……用途別」

 

 目的に応じてそれぞれ部屋があるのか。

 

「それじゃ、あの本が並べられている部屋は」

「……書斎」

「あっちのスクリーンがある部屋は」

「……シアタールーム」

「あのパソコンとか机が置いてある部屋は」

「……岡崎の仕事部屋」

 

 どうして霧島さんの家に大悟の部屋があるのか。

 

「……雄二の同人誌とかグッズを格安で売ってもらう代わりに、製作の為の部屋を一個貸してる」

「あ、そうなんだ」

 

 雄二の同人誌なんて世界中探しても霧島さん以外に需要がなさそうだ。

 

「あの鉄格子のはまっている部屋は」

「……雄二の部屋」

 

 今のはスルーしよう。

 

「……そしてここが、勉強部屋」

 

 しばらく歩いたところで、霧島さんが立ち止まってドアを開ける。

 

 ガチャ

 

 

『ムッツリーニ君は頭でものを考えすぎだよ! 百聞は一見にしかずって諺を知らないのっ?』

『……………充分なシミュレーションもなく実践に挑むのは愚の骨頂』

『そうやって考えてばかりだから、すぐに血を噴いて倒れちゃうんだよ!』

『……………何を言われても信念を曲げる気はない』

『またそんなことばかり言って……! このわからずやっ!』

『……………卑怯な………っ!!(ブシャァァ)』

 

 

 ……あの二人、何やってんだろ……。

 

「明久。やっと来おったな」

「あ。秀吉。あの二人、何があったの?」

「うむ。それが、『第二次性徴を実感した出来事は何か』という議論が高じてああなったようなのじゃが……」

「あのさ。その原因になった議題がもう既におかしいと思うんだ」

 

 どんな会話の流れからそんな議論が持たれるんだろう。

 

「明久君。こんにちは」

「ん。ああ、こんにちは姫路さ―――」

「? どうかしましたか?」

 

 いつもと違うポニーテール姫路さんの方を向いて、一瞬言葉を失った。

 す、凄く可愛い……! どうしよう!? なんて言ったらこの気持ちを伝えられるんだ!? 考えろ僕!

 簡潔に分かりやすく、短くまとめて―――よしっ。

 

「明久君?」

「今日の姫路さんは死ぬ!」

「えぇぇっ!?」

 

 ってバカぁっ! 僕のバカぁ! お前は一体どこの不吉な占い師だよ!

 

「あの、明久君……。私、何か悪い相でも出ているんですか……?」

「……ごめん。気にしないで……。ちょっと不測の事態に対応しきれなかっただけなんだ……」

「は、はぁ……」

 

 褒めるつもりだったのに、どうしてこんなワケのわからない発言になったんだろう。

 

「アキ。朝から何を見てそんなにトチ狂っているのかしら?」

「あ、美波。やだなぁ。僕は狂ってなんかいないよ」

「ふぅん……。ウチには全然そうは見えなかったけど?」

「き、気のせいだよ」

 

 美波の視線が妙に鋭い。凄く機嫌が悪そうだ。

 

「全く……。瑞希も瑞希よ。急に髪型を変えてくるなんてずるいじゃない。……ウチの方はどうしようもないっていうのに……」

 

 美波が親の敵を見るような視線で姫路さんの髪を見ている。

 二人ともお揃いの髪型で可愛くて、見ているだけで僕はどうしたらいいか……ってまずい! こんなことを考えているとまた頭がおかしくなる!

 

「それはそうと姫路さん。今日の泊まりの許可が下りて良かったね!」

 

 これ以上墓穴を掘らない為に話題を変える。

 

「はい。良かったです」

 

 姫路さんが嬉しそうに微笑む。

 

「ウチの方も今日はすんなりと出てこれて助かったわ」

「え? 美波も何かありそうだったの?」

「ううん。ウチじゃなくて、葉月が、ね」

「葉月ちゃんが何か?」

「泊まりで勉強会なんて知られたら、絶対に『連れて行け』って駄々をこねるに決まってるわ」

「あはは。そうなんだ」

 

 姉妹二人でお世話になるのが心苦しかったのかな? 霧島さんはそんなこと全然気にしないような気もするけど。

 

「でも、葉月ちゃんが来ないなんて大悟あたりが知ったらショック受けるんじゃないかな」

「ああ……、確かに。岡崎なら充分あり得そうね」

 

 あの根っからの葉月ちゃん大好きなロリコン野郎の事だ。

 悲しみとショックのあまりその場に深く泣き崩れる姿が容易に想像出来る。まぁ葉月ちゃんの考えると来させなかった美波の判断は妥当なんだけど。

 

「あれ? まだ雄二と大悟がいないね。あと木下さんも」

「んむ? そういえば姉上共々朝から姿を見ておらんな」

 

 こんな昼過ぎの集合なのに寝坊なんて、弛んでるんじゃないのか―――

 

「……雄二を連れてきた」

 

 ドサッ

 

 絨毯の上に簀巻きにされた雄二が転がされる。

 

「ん? 明久。どうしてお前たちがここにいるんだ?」

「……ああ、うん。霧島さんの厚意でね……」

「雄二よ。お主は今日の勉強会の話は霧島から聞かされておらんかったのか?」

「いや、何も聞いてない。いつものように気を失って、目が覚めたらここにいただけだ」

 

 なるほど。たまに週末に雄二に連絡がつかない時があるのはそのせいだったのか。

 

「あれ霧島さん。大悟と木下さんは?」

「……多分。もうすぐ来る」

 

 もうすぐ? どういうことだろう?

 

 ガチャ

 

 

「お待たせ代表、皆。ほら大悟。キリキリ歩きなさい」

「……………」

 

 

 続いて私服姿の木下さんに首輪、手錠、足枷を繋がれた大悟の登場。

 目は虚ろで脱け殻みたいな顔だ。

 

「……えっと、何があったのかな?」

「まるで『ぬ』と『ね』の区別がつかないような顔をしておるのう」

 

 FXで全財産溶かしたとかじゃないよね?

 

「ね、ねえ大悟?」

「はい。私は木下優子を愛してます」

「いやそうじゃなくて―――」

「はい。私は木下優子を愛してます」

「いや―――」

「はい。私は木下優子を愛してます」

「………あ」

「はい。私は木下優子を愛してます」

「も、もう、大悟ったら……大胆っ(ポッ)」

 

 生気が一切灯らない声色で壊れた時計みたいに同じ言葉を延々と繰り返す大悟。

 それを聞いて恥ずかしそうに顔を赤らめる木下さん。なんだろう、よくわからないけど背筋がとっても寒くて怖い。

 

「姉上……今度は一体大悟に何をしたのじゃ?」

「何よ秀吉。別に変な事はしてないわ。代表に地下牢の部屋を借りて大悟を逃げられないように縛り付けて耳元でずっと愛の言葉を囁いていただけよ。『好き』『愛してる』ってずっとね」

「いや、それは最早監禁―――」

「ん? 何かお姉ちゃんのやることに文句があるのかしら? 秀吉(スッ)」

「な、なんでもない……じゃからそのエスカリボル◯はしまってほしいのじゃ」

「それでいいのよ。だってこれは純粋な愛情表情なんだから。ね、大悟♪」

「はい。私は木下優子を愛してます」

 

 こんなに狂気と欲望にまみれた愛情は他に無いだろう。

 まさにヤンデレここに極まれり、といった感じだ。

 

「でも木下さん。いくらなんでも、この状態じゃさすがに勉強にならないと思うんだ」

「……優子。あまり岡崎を苛めちゃ駄目」

「なによ二人して。別に苛めてなんかないのに」

 

 しょうがない。ここは僕が一肌脱いであげよう。

 

「工藤さん、ちょっといい?」 

「ん? なにかな吉井君っ」

 

 近くにいた工藤さんを呼ぶ。

 

「ちょっと大悟がこんな調子だからさ、工藤さんが声をかけて元気をつけさせてあげてほしいんだ」

「ボクが? それは全然いいんだケド、ボクにそんなこと出来るかな?」

「いいや、これは工藤さんにしか出来ないんだよ」

 

 確か工藤さんは見た目とか声色が大悟の好きなエロゲーのキャラクターと瓜二つだって言ってたからね。

 精神が壊れかけてる大悟には充分過ぎるぐらいの回復力があるだろう。

 

「えーと……確かそのエロゲーの名前は」

「……………青色スプラッシュサマーの柿崎みるく」

「そうそう! そんな感じの名前だ! でもなんでムッツリーニが知ってるの?」

「……………同志にゲームを貸してもらった。今のところ5作品中4作品目までクリア済み(グッ)」

 

 僕としては5部作まであることに驚きだ。

 とりあえずその名前をネットで検索してゲーム内でのキャラクターの特徴的な台詞を探す。えーと、どれにしようかな……あっ、これなんて中々刺激的で効果がありそうだな。

 

「じゃあこの台詞をお願いできるかな」

 

 携帯の画面を工藤さんに見せる。

 

「どれどれ―――えっ、ええ!? こ、これを言うのっ!? ちょ、ちょっとボクには恥ずかしいかな~なーんて」

「でもこのままだと大悟の精神は永遠に戻らないんだ。だから工藤さん、お願い」

「そ、それはそうかもだけど……」

「……愛子。お願い」

「だ、代表まで……も、もうっ! わかったよっ! でも一回! 一回だけだからねっ!」

 

 渋々ながらも承諾してくれた工藤さんが大悟に近づく。

 そして耳元に顔を近づけて小さく囁いた。

 

「……ね、ねえ岡崎君?」

「はい。私は木下優子を―――」

 

 

 

「巨乳もいいケドぉ……ちっぱいの方がヘルシーで美味しいですよっ、センパイ♪」

「!!?」

 

 

 

 あ、目に生気が戻った。

 

「お、おお……!?」

「あはっ、足◯◯されただけでもうこんなに先っぽビッショビショにするなんてっ、センパイはとんだ変態さんですね。もうすぐにでもイっちゃいそうなんですねっ、センパイ♪」

「お、おお……おおおおお……………!」

 

 あ、筋肉の血行が良くなった。

 

「あっ! あぁんっ! もっと! もっと激しく突いてっ、私の◯◯◯◯っ! センパイのロケット◯◯◯でっ、月の向こうまでっ、ブッ飛ばしてぇぇっ、くださいっ!」

「おおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 あ、顔色が綺麗になった。

 

 

「もぅっ、こんなに◯◯したら妊娠しちゃいましゅぅぅう……っ。……でも……センパイと私の赤ちゃんなら……いいですっ♪」

「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 大悟、今ここに完全復活を成し遂げた。

 

「う、うぅ……。恥ずかしい……」

「な、なんだっ!? 今何か俺の耳元から全身にかけて天国に昇ったような快感が走ったぞ!? それにさっきの声は間違いない! 我が推し後輩No.1であるみるくたそが青色スプラッシュサマー3の深夜の学校のプールで一緒に青姦した時の声だった!! まさか彼女が俺を救ってくれたとでもいうのかっ! だとしたらどこだ!? どこにいるというんだい俺の愛しの後輩ちゃんはーーっ!!」

「あ、戻ったみたいだね、岡崎く―――」

「いたぁぁぁあああーーー!! みるくたそぉぉおおおおおおーーっ!!」

「って違う違う!! 落ち着いて岡崎君! だからボクはみるくたそっていうキャラクターじゃないってばーーっ!!」

「アイニードエンジェェェェエエエエルーーッ!! しゅきぃぃぃいいいいい!!」

 

 そのまま工藤さんをみるくたそと勘違いして追いかけ回す大悟。

 なんていうか……工藤さん、ごめん。

 

 

「……ま、まぁ一応復活したみたいだし、良かったね」

「いや、あれはワシにはむしろ悪化してるように思えるのじゃが……」

 

 

 その後は木下さんが大悟をエス◯リボルグでぶん殴って終了。

 そのまま僕達は夕方まで勉強に取り掛かった。

 

 




中々思ったようにストーリーが進みませんね……。


感想、意見などありましたらよろしくお願いします。

原作七巻の野球大会編、入れるかどうか迷ってるんですけどどうしましょう?

  • 入れろ、絶対に
  • 別に入れなくてもいいよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。