すれ違いの結末   作:ビールは至高の飲料

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結果

 少しだけ時間を遡る。

 それは、ルルーシュがゼロだと明かされ、C.C.とジュレミア。そして何故かナイトオブラウンズの1人であるアーニャに連れ去られてZEXISから脱出した時の事。

 

 

 

 

「すまない。ナナリーのことは話していた通りに────」

 

 ルルーシュは専用回線でユーフェミアへと連絡を入れる。

 もしも、ルルーシュに何か遭った場合、ユーフェミアに即妹のナナリーを保護して欲しいと前々から頼んでいた。

 ZEXISにゼロである事がバレた以上、頼れるのはユーフェミアしか居なかった。

 連絡を終えると、ルルーシュを連れ出したアーニャが話しかけてくる。

 

「話は終わったかしら?」

 

「……」

 

 ルルーシュは答えず、不快そうに眉間のシワを寄せる。

 ナイトオブシックスである彼女が、ルルーシュやジュレミア。そしてC.C.を連れ出した。

 彼らは今、アーニャの案内でエリア11の神根島に降り立っていた。

 ルルーシュの態度に肩をすくめるアーニャ。

 それにC.C.が割って入る。

 

「納得出来ないのは分かるが、この娘の精神は間違いなくお前の母。マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアだよ、ルルーシュ」

 

 ギアスによって死んだと思っていた母の精神がアーニャの中に存在したなどと、そう簡単に信じられる事ではない。

 しかし、ナイトオブラウンズの1人である彼女がルルーシュを助ける理由もない。

 ルルーシュはC.C.に問いかける。

 

「……何故、ずっと黙っていた」

 

「話していれば信じていたか?」

 

 暖簾の腕押しのように返答を避けるC.C.に対しても不信感が募る。

 アーニャが手を軽く叩く。

 

「それより、早く行きましょう。シャルルが待ってるわ」

 

「……」

 

 この後、彼は自分の両親の願いと本質を知り、その全てと決別する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロことルルーシュ・ヴィ・ブリタニアがブリタニア皇帝へとギアスを使って即位したのを知ったZEXISは大急ぎで地球に戻っていた。

 目指すはエリア11の特区・日本。

 ブリタニア・ユニオンとあまり縁が強くない彼らが正確な情報を得られるただひとつの場所。

 

「ユーフェミア・リ・ブリタニアが皇族の地位を返上していたのが幸いだったな」

 

 誰かがそう呟く。

 もしも彼女が皇族のままならあの式典に居合わせて、ゼロのギアスにかかっていたかもしれない。

 こちらには枢木スザクが居る事もあり、話も通しやすい筈だ。

 ゼロがトレーズやゼクスも仲間に引き込んでいる事もあり、これから何をするのかまるで予想がつかない。

 

「くっそ〜。ゼロの奴なにがしてぇんだよ!」

 

 状況が分からずもやもやした気持ちで誰もが地球に早く着く事を願っている。

 そこで、皆が集まっている場所に熱が下がり、体調が戻ったアナ姫が入ってくる。

 

「アナ姫、熱はもういいの?」

 

「はい。ご心配をおかけしました」

 

 周囲を見渡すと目的の人物は居なかった。

 

「あの……フィアラが何処に居るか知りませんか?」

 

 フィアラの名前が出て空気が少し固まる。

 ゲイナーが言葉を選んで説明する。

 ゼロがギアスを使って皇帝となり、その映像を見たフィアラがこちらが止めるのを聞かず、先に地球へと転移して行った事を。

 聞き終えたアナ姫は目を閉じて深呼吸をする。

 

「今回の戦闘が終わったら、お話をすると約束していたのですが……」

 

 反故された事に落ち込んでいる。

 それだけフィアラはゼロの行動に怒り心頭だったのだろうが。

 

「そうだよ! あのフィアラって子もだ! アイツ、本気でゼロを殺す気じゃねぇだろうな……っ!」

 

 ゼロもだが、フィアラの行動も問題だ。

 たとえ戦う事になってもZEXISとしては彼の捕縛と説得を優先するつもりだが、あの少女が横から殺しに来ないとも限らない。

 というか、絶対にゼロを殺しに現れるだろう。

 問題はそれがどのタイミングで介入してくるのかまったく読めない事だ。

 張り詰めた空気でいると、ゲイナーが思い出したように携帯端末を取り出す。

 

「アナ姫。これ、たまたまネットで拾ったんだけど……」

 

「?」

 

 ゲイナーが動画を再生すると、そこには何処かの戦災の地でピアノを前に座っているフィアラが映っていた。

 復興作業中の場所でフィアラはピアノを弾き始め、歌い始める。

 弾き手としてはそれなり。

 だが、その歌には確かに人を惹きつける何かがあった。

 戦闘によって被害を被った地でのコンサートだからか、歌われる歌詞は未来への希望や隣人愛などがメインになっている。

 5曲歌い、戦災地でのコンサートが終了する。

 軽く礼をして引っ込んで行った。

 

「色んなところの戦場後の復興地で慰撫目的のボランティアで歌ってるみたい。ただ場所も日時もデタラメで、ネットでは戦災地に現れる妖精みたいな扱いだったけど」

 

 ロボットに乗って世界中の何処かにランダムに現れるのだ。

 ただ、そのおかげで戦争に巻き込まれた町の人達が少しだけ活気を取り戻したのは事実。

 フィアラの映像を見て、そちらの問題にも頭を悩ませる。

 

「あのガキ、本当にゼロを殺す気じゃねぇだろうな」

 

 先に地球へ戻っただろうフィアラ・フィレス。

 彼女は本当にゼロを殺す気なのか。

 

「やると、思います……」

 

 会話が聞こえていたのか、アナ姫がゲイナーの携帯端末を返して答える。

 

「少なくとも、彼女は本気です」

 

 以前、アナ姫が言っていた。

 フィアラは隠し事はしても嘘はつかないと。

 だから言った以上、成功失敗はともかく必ず実行に移すとアナ姫は言う。

 絶対にそんな事はさせないとその場に居たZEXISの面々は決意を新たにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ZEXISが地球に戻った頃に、エリア11のアッシュフォード学園で新しく皇帝となったルルーシュと黒の騎士団との会談が終了していた。

 まるでZEXISを介入させない為の電撃的な行動。

 ルルーシュは話し合いに関わった全ての代表を人質に取っている状況らしい。

 これには現在、特区・日本とエリア11を統括しているユーフェミア・リ・ブリタニアも含まれる。

 地球に戻った後に手にした幾つか情報にスザクが驚きを見せる。

 

「ナナリーがシュナイゼル殿下と!?」

 

『あぁ。ゼロ……ルルーシュがZEXISを離れた後にユーフェミア様が保護していたらしいが、それを知ったシュナイゼル殿下がナナリー様を保護という名目で連れて行ったらしい』

 

 ジノからもたらされた情報にスザクはこれからナナリーがどう扱われるのか考える。

 ルルーシュに対する人質として扱われるのが目に見える。

 

『スザク、お前も一旦こっちに戻って来い。ユーフェミア様の騎士として、シュナイゼル殿下の下で戦うのが筋だろう』

 

 ジノの言う通りだった。

 ブリタニア・ユニオンの軍人は今、シュナイゼルにつくか、ルルーシュにつくか迫られている。

 しかし。

 

「いや、僕はこのまま、ZEXISと行動を共にしようと思う。ユーフェミア様の救出には、それが1番良いと思うから。あの方にもその許可は貰っている」

 

 もしもユーフェミアに何か遭った際に、どう動くかはスザク自身が決めて良いとユーフェミア自身から言われていた。

 ユーフェミアの安全と今世界に必要なのはZEXISだとスザクは思っている。

 

『分かった。皇帝ルルーシュと戦う事には変わりないしな。それと、アーニャの奴もこっちに合流したぞ。ゼロを逃がした件については記憶がないそうだ。今は検査を受けているがおそらくはルルーシュにギアスをかけられた影響だと思う』

 

「そうか……」

 

 アーニャが無事だった事に安堵しつつも何処か腑に落ちないスザク。

 そこからは当たり障りの無い会話をして通信を切った。

 

「ルルーシュ……」

 

 スザクにはもう、ルルーシュが何を考えているのかが理解出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、シュナイゼル率いる軍とトレーズやミリアルドを取り込んだ皇帝ルルーシュ率いる軍。

 そして、ZEXISの三つ巴の戦闘が開始された。

 レーダーや目視にすら映らないステルス機能を最大活用してフィアラはその戦闘を眺めていた。

 

「さて……チャンスが来るのか来ないのか……」

 

 トントンと操縦桿を指で叩きながら、その時が来るのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦場では次々と兵士が散っていく。

 ルルーシュに忠誠を誓えずにシュナイゼルの下に集ったナイトオブラウンズの大半。

 旗艦を失った事で皇帝ルルーシュも蜃気楼で参戦し、トレーズやミリアルドと共にダモクレスの制圧に成功する。

 皇帝ルルーシュとZEXISの戦闘に切り替わった。

 ZEXISの面々はルルーシュを仲間として説得を続けるが、彼はのらりくらりとその言葉を躱し続ける。

 この戦闘の中で、トレーズ・クシュリナーダとミリアルド・ピースクラフトもZEXISによって討たれる事となった。

 まるで初めからそうするつもりだったかのように。

 二つの陣営は既に壊滅的な打撃を受けており、もはやZEXISの勝利は揺るがない物となっていた。

 蜃気楼も既に飛行しているのが奇跡の状態となっている。

 コクピットを外して攻撃により、今度こそ地上に墜ちた。

 

『終わりだ。投降しろルルーシュ……!』

 

 もう動けない蜃気楼にランスロットが剣を向けて投降を促す。

 彼が地球と人類の為に行動していたZEXISが1番理解している。

 こんな理由も解らない戦いで殺す気はなかった。

 

『クク……いいのかスザク。私が捕えたユーフェミアを含む各国の首脳陣は、未だこの手の中にある。私が一言命じるだけで彼らは人質を殺すだろう』

 

『君は……!』

 

『ゼロ! そんなことをして何の意味があるの!』

 

 その問いにルルーシュは答えない。

 既に映像は映らず、繋がっているのは音声のみだった。

 

『人質を助けたくば、ここで私を殺すほかない。さぁ、どうする?』

 

『ルルーシュッ!』

 

 ランスロットが動く。

 それを見てルルーシュは安堵した。

 

(そうだ。それでいい……ここでZEXISに討たれれば、彼らは本物の英雄になる)

 

 長い間アロウズによる情報統制を受けていた世間にとってZEXISは半テロリストのような印象のままだ。

 この世界を守るのに、それではいけない。

 これは、ZEXISを名実共に世界の守護者として世界に知らしめる為の茶番劇。

 

 

 ランスロットの刃が蜃気楼のコクピットを貫こうとした瞬間、背後にそれが現れた。

 

『S4Uッ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 機体のコクピットの中でフィアラ・フィレスは大破した蜃気楼を見下ろす。

 ここまでボロボロになった機体だ。ZEXISなら簡単に皇帝ルルーシュを殺せるだろう。

 だからこそ、彼らがルルーシュを殺さない可能性が高い。

 なんやかんやで身内に甘い連中だ。殺せる状況だからこそ殺さない選択をするとフィアラは睨んでいた。

 

「結果は全てにおいて優先される。貴方の口癖だったわね」

 

 機体の腕を大きく振り上げる。

 戦闘中にZEXISでもシュナイゼル達でも、ルルーシュを殺してくれるのなら、それでも良かったが、この状況なら自分が手を下す方が確実だと判断した。

 

「これが、貴方のやってきたことへの“結果”だよ」

 

『フィアラ、止せ!』

 

 もう動けない蜃気楼のコクピットをS4Uの平手がパイロットごと押し潰した。

 

 

 

 




ユーフェミアが生存してるからフレイヤが完成してないので状況がしっちゃかめっちゃかに……。
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