零余子日記   作:須達龍也

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連休なので、頑張ります!



浅草の鬼1

 東京府浅草…まあ、銀座とは目と鼻の先なんだけどさ。

 

 お仕事も終わったし、ゴロゴロしようと思ってたのに、れんちゃんで働かせようとするとは、鬼の所業だよ。鬼はこっちなんだよ!

 

「…ああ、君が成宮さんだね。噂は聞いているよ」

 

 浅草にある藤の花の家紋の家につくと、昨日も聞いたような言葉で、先輩隊士に声をかけられた。

 私の噂、どんなんだろう? …獪岳に聞いておくんだったな。

「ども、成宮です」

「うん、俺の名前は村田と言う、よろしく」

 

 なんというか、正直に言おう、弱そう。すっげえ弱そう。

 

「ええと、今回の任務は、村田さんと二人で鬼を探すんですか?」

 弱そうだからって、喧嘩なんか売りませんよ、私は理性的な良い子ですからね。

「ああっと、うん、お茶を入れてもらうから、中で話そうか」

 村田さんは弱そうだけど、獪岳みたいに喧嘩っぱやくはないようだ。

 

 

 えっ? 喧嘩を売ったのはお前のほうだろって? …さーて、どうだったかなあ。

 

 

「ふー。…それじゃあ、任務の説明をするね」

 

 村田さんがお茶を飲んだ後、早速任務の説明をしてくれた。

 要は、夜間の見回りということで、それも、村田さんと二人でっていうのではなく、一人での見回りらしい。実際、村田さんは説明が終わったら帰ったし。

 夜間の見回りも毎日ではなく、二日に一日くらいの頻度でいいとのことで、任務の期間は大体一、二週間になると思うって話だ。

 

 …と言うのも、この浅草での任務、数年前からずっとあるらしい。

 

 数年前から、かわるがわる何十人もの隊士が、鬼の捜索をしているらしいのだが、目的の鬼はまだ見つかっていないそうだ。

 目的の鬼はって言うのは、実は何体かの鬼は見つかったらしいんだけど、それを討伐しても、この浅草の任務はなくならなかったとのことで、お館様がここでの目的としている鬼は他にいるんだろうって言うのが、村田さんの意見だった。

 

 故に、任務の期間は一週間から、長くても二週間で、次の隊士が来るまでというのが慣例になっているそうだ。

 

 

 …うん、産屋敷の勘が、すごすぎるね。もはや超能力の世界だよ。

 

 

 この浅草は、確か無惨様の拠点の一つだったはずだ。

 産屋敷の目的の鬼も、無惨様で決まりだろう。なんでわかるんだろう。怖ろしいほどの精度の勘だ。

 まあ、無惨様の擬態の精度もすさまじいし、今では昼日中に出歩くこともできるから、見つかることなどありえないだろうけど。

 

 ここは、休暇任務と割り切って、ダラダラするのも手か?

 

 いやいや、点数稼ぎに雑魚鬼を狩るのも、悪くないか?

 

 

 …そうと決まれば、長子ちゃんに連絡だな。

 

 

 あの子の能力は、こういうことに、特に役に立つからね。

 

 

 

 

 

 

 

「…まずいことになってますね」

 

 到着早々、駅の売店で新聞を買った薫が、その一面を読んでそう言った。

「奇怪なオブジェ! 遺体を使った悪質なメッセージ、連続殺人犯は精神異常者か!? …と書かれてますね」

 鬼の起こした事件だと、死体が出ることは少ない…というか、ほぼない。だって、それを喰うために鬼は人を殺すのだから。

「かなりの警察沙汰になってるようですね」

 被害者の遺体が出ない行方不明事件でなく、殺人事件になったのだ、地元の警察のメンツにかかわってくる。

「関東から離れているとは言え、ここまでの大事件を起こすとは…今まででは考えられないね」

 むしろ鬼ではなく、人間の殺人鬼の可能性の方が高い気がしてくる。

「…遺体の一部、あるいは大部分が欠損しているみたいです。…喰っている、つまり鬼の可能性は高いです」

 私の考えを、薫が即座に否定してきた。

 

「…何考えてんだ? 事件を大きくして、得になることなんて何もないだろう」

 

 関東から離れているから、鬼狩りがやって来るまでに逃げおおせると思っているんだろうか?

 

「…少々の鬼狩りがやって来ても、返り討ちにできる自信があるのでしょうか?」

 

「…ただただ、顕示欲が強いだけなのかも?」

 

 

 ここで想像を言い合っても、もちろん答えは出ない。

 

 

 

「…とにかく、ばらけるのは危険だね。何をするにも固まって動こう」




村田、お前生きとったんかワレ!?
あの地獄の那田蜘蛛山からも、生還しておりました。
実力はともかく、その生存能力の高さは作中随一かもしれませんねw
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