零余子日記   作:須達龍也

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え、エタってはないですよ!(爆)



浅草の鬼8

「申し訳ございません」

 

 

 戻ってくるなり、三人に土下座されましたよ。

 

「…逃がしちゃったか」

「路地裏に逃げ込まれた後、血鬼術の気配を追いかけたのですが…捕まえたみたら、猫でした」

 

 ポリポリ…

 

 ほっぺたをかく。

 うまいこと裏をかかれたようだ。長子ちゃんは血鬼術を見抜けるって、ペラペラと私が喋ったのが、原因と言えば原因かもね。

「ま、そういうこともあるでしょ。みんな立って立って」

 長子ちゃんの手をとって、立ち上がらせる。

「それに、珠世さんたちが鬼殺隊に逃げ込んだところで、うまくはいかないでしょ」

 倒れている蟲柱を見ながら、そう言った。

「…蟲柱が、いないからですね」

「その通り。彼女が鬼殺隊で一番、薬学の知識がある。彼女以外には珠世さんと連携はできないでしょう。

 あっと、山坊主と阿修羅はロープを探してみて、多分、この家にあると思うから」

 

 せっかく捕まえたのに、逃がしては癪だ。

 

「それに、珠世さんを逃がすために、柱が一人犠牲になってるんだ。はたして、心情的に受け入れられるかな?」

「無理でしょうね」

 長子ちゃんが即答する。

「そもそも、鬼殺隊のところに逃げ込むとも限らないけどね。まあ、珠世さんは後回しでもいいでしょう」

 

 うーんと、伸びをする。

 

「私はこれから成宮未来になって、街の見回りに出るから、彼女は研究所の地下にでもご案内しておいてね」

「わかりました」

 

 

 

 

 後のことは長子ちゃんに任せて、夜の街をぶらぶらした後、のほほんと藤の花の家紋の家へと戻りました。

 

 

 

 

 おーおーおー、すっげえバタバタしているね。

 

「何かありましたか?」

 おろおろとしている家人をつかまえて、しれっと聞いてみる。

「それが、何が何やらで…」

 

 朝一に鎹鴉から突然の連絡が来たらしく、内容は複数の柱をこちらに派遣するとのことで、何故そうなったのか、何が起こったのか、何人の柱が来るのか、どの柱なのかとかはまるでわからないみたい。ただわかったのは、夕方前には到着するということだけらしい。

 

 はてさて、情報が錯綜しているのか、秘匿されているのか、まあとりあえず、例の後始末に複数の柱が来ると言うことだね。

「まあ、来るのは夕方前なんですよね。私は部屋で昼過ぎまで寝てますので」

 

 寝る前に、連絡だけでもしておきますかね。

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、共同任務は初めてだな!」

「ああ、そうだっけか? まあ、俺は単独が多いからな」

 二人の男が連れ立って歩く。どちらの男も特徴がありすぎて、目立たずにはいられなかった。

「しかし、いきなり柱二人投入とは!」

「お館様は、上弦との戦闘になると踏んでいるんだろうな」

 燃えるような赤い髪が特徴の男の言葉に、長身の男が答える。

「やはり、上弦の鬼…なのか! すでに事件は地方紙にはとどまらず、全国紙でも一面だった!」

「さすがに、ここまで派手な騒ぎを起こせる奴が、下弦以下だとは思えないな」

 

 東北の鬼の事件への応援に、即座に二人の柱の派遣が決まった。

 炎柱の煉獄杏寿郎と、音柱の宇随天元の二人である。

 

「今回の任務に、そちらは立候補したと聞いたが、確か別の任務も遂行中ではなかったか!?」

「ああ、なんでもこいつの前段階の調査任務に、新人が三人行っているみたいで、そいつらが全員女だと聞いてな」

 その宇随の返答に、煉獄がじっと目を見る。

 

「…確か、既婚だったのでは!?」

 

「ちっげーよ! しょんべん臭いガキ相手に、それはないわ!」

 

 煉獄の邪推に、即座にツッコミを入れる。

「お前も言ってた別任務で、女の隊員が複数必要になるかもしれなくてな。ちょっと確認したいだけだ」

「ああ、これはすまない! 少々勘違いをしたようだ!」

 勘違いをしたことを、煉獄がすぐに謝った。

「…だが、その別任務も、確か十二鬼月の関与が疑われていたのでは!?

 新人の隊員には、いささか厳しいんじゃないのか!?」

「…そこも含めて、確認をしたかったんだ。…あとは噂に聞く、成宮さんの秘蔵っ子も見てみたかったんだけどな」

 当たり前かもしれないが、鬼殺隊には女性隊員が少ない。その割に、女性隊員にしかできない任務もあったりする。

「今回の新人に無理そうなら、女装でもさせるしかないか」

「なるほど!」

「そういや、お前さんはいい相手とかはいないのか?

 今回の新人ども、俺とは年齢が離れるが、お前さんなら年も近いんじゃないのか?」

 まさかの反撃であった。

「いや、特にそういった気持ちはまだないな!」

 年齢が離れるって、たった三つしか変わらないじゃないかと思いつつ、煉獄が答える。

「甘露寺は継子だったんだよな、どうなんだ、その辺は?

 他に、胡蝶とかも、見た目はいいんじゃないか?

 お前は、どんな女がいいんだ?」

 ぐいぐいと来る宇随に、煉獄も苦笑するしかない。

「甘露寺や胡蝶がどうこうというよりも、隊員とそういう仲になるつもりはない!」

 冗談めかしての問いかけであったが、真面目に答える。

「隊員とそういう仲になってしまうと、多分平等に見ることができなくなる!

 それに、任務に冷静に当たれなくなったりしては困る!」

「真面目だねえ。いいと思うのが隊員にいたら、鬼殺隊を辞めてもらえばいいんじゃねえの?

 そいつの分もお前が働けば、何も問題はないと思うがね」

「…ずいぶん勧めてくるな!?」

「まあね、柱で嫁さんがいるのが俺だけってのもな。

 いつ死ぬかもわからないってのが、みんなを躊躇わせているんだろうが、逆にどんどんと押すべきだと思うがね」

 冗談めかしているが、その気持ちはだいぶ本気だった。

 

 

「…その想いが、最後の最後で、命を繋ぎ止めるものに、なるかもしれないじゃないか」

 

 

 

 任務地に到着後、胡蝶しのぶ敗北の知らせを聞き、二人が言葉を失うのは、しばらく先のことだった。




皆さん想像の通り、ここから鬼殺隊はどんどんと、厳しい展開になりそうです。
つらたん。

追記
皆さんの添削もあって、煉獄さんの会話の違和感はだいぶ消えたんじゃないでしょうか?
みんなで作り上げる、零余子日記なのですよー!w
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