…炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天(のぼりえんてん)…
煉獄の一撃を、玉壺が壺に逃げ込んでかわし、別の壺から現れる。
「ぐっ、この…」
手に持った壺から、二匹のでかい金魚が飛び出る。
…千本針 魚殺(せんぼんばり ぎょさつ)…
無数の針が金魚の口から放たれる。
「へっ、ぬりぃぜ!」
…音の呼吸 肆ノ型 響斬無間(きょうざんむけん)…
縦横無尽に振るわれる二刀が、全ての針を打ち落とす。
「二対一とは、卑怯だぞ!!」
むっきーっと、怒りの声を玉壺があげるが、もちろん誰も聞き止めたりはしない。
…炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)…
「ぅひぃっ!」
煉獄の一気に距離を詰めての袈裟斬りを、かろうじて壺に逃げ込む。
「ふはっ、当たらなければどうという…」
…雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)…
完全に意識外の一撃を、背後から受ける。
「ギャッ!」
「浅いっ!」
戦闘エリア外から、鳴が玉壺の首に一撃を入れたのだが、切断には至らなかった。
「貴様らぁっ! 三対一とかっ!!」
再び別の壺から現れた玉壺が、すかさず文句を言うのだが…
…炎の呼吸 伍ノ型 炎虎(えんこ)…
…そこは、既に煉獄の間合いのうちだった。
「しまっ…ぶべっ!!」
真横からの一撃を受け、結果的に…かろうじて、煉獄の致命の一撃をかわしたことになった。
「上弦の参!」
「はっ、いい一撃だ!」
突如登場した猗窩座が、左拳で玉壺を殴り飛ばし、右拳の半ばまでで煉獄の一撃を受け止める。
「ちっ、まずいな」
流れが変わる前兆を感じ取って、宇随が舌打ちをする。
実際、玉壺との戦いは押していた。
攻め手に煉獄、受け手に宇随と、役割を決めることで、うまく機能してトリッキーな玉壺を相手にしても、押せ押せの状態だった。
さらには、足手まといと思われていた新人隊士の中、八神鳴の新人離れした剣腕は、十分に戦いの天秤を動かしていた。
だがそれも、新たな上弦の鬼が現れるまでの、話だ。
…雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃…
煉獄の剣を右拳に受けている猗窩座を、鳴は体勢が整っていないと見て、再度神速の一撃を繰り出したのだが…
「…えっ!?」
自信をもって繰り出した一撃は、猗窩座の左手の親指と人差し指で、つまみ取られていた。
「相手にならん」
そう言うと、猗窩座が左手をひねり、鳴を宇随へと投げ飛ばす。
それに合わせて、煉獄が刀を引き抜くと、すかさず技に移行する。
「はぁああぁぁ!!!」
「おぉおぉぉぉ!!!」
…炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり(せいえんのうねり)…
…破壊殺・乱式…
互いの剣と拳が届く、至近距離にて激しい攻防が繰り広げられる。
そこに、割って入るかのように…
…蛸壺地獄(たこつぼじごく)…
巨大な蛸の足が押し寄せる。
「ちっ…」
「むっ…」
うざったいとばかりに払いのける猗窩座と、大きく距離を取る煉獄、蛸の足を消して猗窩座の隣にやってくる玉壺。
「邪魔をするな」
「ご命令ゆえ、私に文句を言われても困りますね」
いいところを邪魔された猗窩座が、そばに来た玉壺に文句を言うが、それを馬耳東風と聞き流す。
べべん!
地面にふすまが現れ、即座に開き、猗窩座と玉壺を飲み込んだ。
東北の漁村で起こった、鬼殺隊の柱と上弦の鬼との戦いは、こうしてあっけなく幕を下ろしたのだった。
玉壺さんって、戦闘力としては堕姫以上、妓夫太郎以下って気がします。
堕姫&妓夫太郎コンビの上弦の陸が、一人だけでは倒せないのを考えると、ここの順位はいずれ入れ替わってた感じがします。