零余子日記   作:須達龍也

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ワクチンを打ちました。次の日は打ったところが痛かったんですが、二日目にはもうあまり痛くなかったです。
二回目のが後遺症は重いと聞きますが、個人差が大きいとも言いますしね。



鬼殺隊壊滅作戦3

 言いたいことを言ったので、部屋を後にする。

 整理する時間もいるだろうし、打ち合わせなり相談なり、すり合わせる時間も必要だろう。

「…零余子様」

「ん、何?」

 どこかおずおずと、長子ちゃんが口を開いた。

「お互いに妥協をしようとのことですが、どこまで妥協するおつもりなのですか?」

「んー?」

 何が言いたいのか、よくわからない。

 

「私と零余子様、それに阿修羅殿と山坊主殿も、方相氏ゆえに食事は必要ないですが、他の鬼達は違います。

 人間の犠牲を減らすためという理由で、食事を制限するのはいかがなものかと…」

 

 長子ちゃんがそう言って、懸念事項を忠言してきた。

 

 

「…何をズレたことを言っているの?」

 

 

 だけど、まるでお話にならない。

 あえてぼかしたとは言え、そんな受け取り方をされていたとはねえ。

 

「こちらが妥協するのは、新生鬼殺隊の存続を認めることだけに決まっているじゃない。それも、ある程度こちらのコントロール下にあることが前提で、よ」

 

「…そうなのですか?」

 

「そもそも、こちらとあちらは対等じゃないの。同じだけ妥協…譲歩するわけないじゃない」

 まあ、そういう風にも聞こえるように言ったんだけど、そう素直に受け取られるとなあ。

「黒死牟様の話にもあったように、鬼殺隊を壊滅させるのって、めんどくさいの。

 当主を殺して、柱の何人かを排除しても、また時間が経てば、どっか知らない場所で鬼殺隊は復活するのよ。

 まあ、仕方ないから、また探すでしょ。そして、同じように当主を殺して、それを支える柱も殺すことになるじゃない。でもまた、時間が経てば、またまたどっか知らない場所で鬼殺隊は復活することになるわけ。

 うわー、めんどくさー」

 考えただけでゲンナリする。

「そんなことになるくらいなら、新しい鬼殺隊は私達の知っている場所で、ある程度こっちの言うことを聞く状態で、存在してる方がましでしょう?」

「…それは、確かに」

「だから、私達は妥協して、こっちの言うことを聞いてくれる状態だったら、鬼殺隊が存続することを認めましょうということ」

「…では、向こうに求める妥協と言うのは?」

 

「んー、まずはこっちに逆らわないこと。あと、こちらの重要な鬼には手出ししないこと。んーー、そんなものかな?」

 

 あらら、思ったほど、あちらも妥協する部分は少ないね。まあ、いいことだ。

 

 

 

「…それは、ある程度の鬼の犠牲者には目をつぶれ、と、そう言うことですよね」

 

 

 

「んーーー?」

 

 長子ちゃんが変なことを言う。

 

「今更でしょ? 今だって鬼殺隊は鬼の犠牲者をゼロにはできていない。今後もそうなるだけで、何もマイナスにはなってないじゃない。

 それに、ちょっとやんちゃが過ぎる雑魚鬼については、こちらから情報を流してあげるつもりだから、今よりも鬼の犠牲者は減ることになる。断然プラスじゃないの」

 そこまで言いながら、ふと、うまい表現を思いつく。

 

「そうね。言ってみれば、理想を追わずに、現実に妥協しろってことになるわね」

 

 鬼は人を喰う。そんな鬼が存在する以上、人間の犠牲者をゼロにすることなんてできない。不可能だ。それが、どうしようもない現実だ。

 鬼の犠牲者をゼロにする。それは鬼殺隊の理想なんだろうけど、それをするためには鬼を全滅させなければできっこない。そして、そんなことはできない。不可能だ。

 

「…あの娘達は、そのことに気付いているんでしょうか?」

 

「んー、恋柱はまず気付いてない。霞柱も多分、気付いていないね。…でも、蟲柱は気付いていると思うよ」

 あの話をした時の様子から、そう推測した。

 

「…では、この提案を受けるでしょうか?」

 

「ははっ」

 かなり彼女達に肩入れしているように見受けられる長子ちゃんに、思わず笑ってしまう。

 

「受けるなら任せるし、受けないなら受けるまで強く魅了するだけだよ。

 受けないという選択肢は、そもそも存在していない」

 

「ふ… なるほど…」

 私のその回答に、黒死牟様が笑った。

「どうしました?」

「いや… 甘くは… ないなと… そう思っただけだ…」

「そうですか?」

 ずいぶんと、甘い提案だと思うんですけどねえ。

 

 そもそもが、鳴ちゃんとか、雪ちゃん薫ちゃん、ついでに獪岳とかが、死なないように、あとは無職にならないようにって、それが一番の理由なんだから、びっくりするくらいに甘々だ。

 

「…魅了を深くかけると、壱から十まで、私が指示しないといけなくなるから、それはそれで面倒なんですけどね」

 

 面倒を避けるために、また別の面倒を背負うことになるなんて、なんて面倒な話だ。

 

 

「でも、ま、多分だけど、蟲柱は提案を受けるよ」

 

 

「…どうして、そう思うんですか?」

 

 

「彼女は…ううん、彼女だけは、現実を知っているからだよ」

 

 

 

 そう、無惨様を討つことは、絶対にできないという、現実を…ね。




お互いに妥協しましょうというのは、実際にはただの降伏勧告でした。
それも、拒否できないという類の(爆)

しかし、鬼と鬼殺隊の戦況の有利不利の状況からすれば、それも致し方ないか。
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