終盤になったら、また盛り上がってくるかな?
べべんっ!
無惨様にくっついて、無限城へとやってくる。
「鳴女さん、こんにちはー!」
私があいさつすると、ペコリと会釈を返してくれる。
そして、そのそばには…
「ようこそ、無限城へ」
長子ちゃん、山坊主阿修羅に加え、蟲柱も居た。…というか、呼んでいた。
「…どうも」
どう返すべきかわからないので、とりあえずそう返したという感じの返事だった。
まあ、なんで呼ばれたのかわからない上、言ってみれば敵の本拠地に連れて来られたわけで、そう考えると、その落ち着きぶりは大したものだ。
「…で、何が始まるんだ?」
少し不満そうに、無惨様が尋ねられる。
「少々お待ちを。鳴女さん、お願いします」
私の言葉に、鳴女さんが一つ頷いてくれる。
べん…べべんっ!
その音と共に、いつもの無惨様の居室、その一段下に私達の居場所、そこから見下ろす場所に、六つの池のある箱庭が現れた。
べべんっ!
鳴女さんの長い前髪の間から、ギョロリと大きな瞳が見開かれ、一つの池の水面が大きく波打つ。
「…ほう」
波が治まった後に、その水面に映し出されたのは、静かに立つ黒死牟様の姿だった。
「…これはっ!?」
「鳴女さんの新しい能力は、彼女の目が映すものを、更にこのように水面に映すことです」
無惨様に…というよりは、蟲柱に状況を説明してあげる。
最初の鳴女さんの新能力は、たくさんの目をいろんな場所に放てるようになり、その目が映すものを鳴女さんが見ることができる…というものだったんだけど、それじゃあ鳴女さんにしか見えないからね。もうちょっと頑張ってもらった。
…それにしても、鳴女さんの能力って、便利すぎる!
「無惨様!」
「なんだ?」
「鳴女さんを私に下さい! 大事に…幸せにしますからっ!」
「駄目だ」
駄目だったよ。
大きく黒死牟様を捉えていた水面では、場面が引かれ、その周りの状況が見えてくる。
「…あれはっ!」
黒死牟様に相対するように、そこへ現れたのは、南無阿弥陀仏の念仏が描かれた羽織を羽織った、巨大な男だった。
「せっかくなので、上弦の鬼と鬼殺隊の柱による、一対一の決闘をご覧頂こうかと…」
数メートルの距離をあけて立つ、黒死牟様と岩柱。
「一つ目の池にてお見せするのは、最強の上弦の鬼…黒死牟様対、鬼殺隊最強の男…岩柱の悲鳴嶼行冥となります!」
「ふむ… 私の相手は… 鬼殺隊で最強の相手だと… 聞いたが…」
六つの目で、見定める。
「なるほど… 相違は… なさそうだな…」
刀の柄に手を当てて、静かに笑う。
「我ら鬼殺隊は百世不磨。鬼をこの世から、葬り去るまで…」
ブン…ブン…
その巨体に相応しい、大きな斧を持ち、更にはそれに鎖でつながる巨大な鉄球を、振り回す。
素晴らしい… 極限まで練り上げられた肉体の完成形…
これ程の剣士を拝むのは… それこそ三百年振りか…
ゴウ…ゴウゴウン…ゴウゴウゴウン…
鉄球を振り回す音が変わり、肌にビリビリと来る。
空気が… 引き寄せられる…
そこに流れる音は、男が鉄球を振り回すゴウゴウという音のみ。
そんな中、緊張感だけが高まっていく。
瞬間、襲ってきた鉄球をかわす。
…月の呼吸…
…そこで、放とうとしていた奥義は、引っ込めざるを得なかった。
手斧まで、投擲するのか…
両手共、武器を離すとは…
上体をそらし、襲い来る手斧を躱し…
…月の…
ドンッ!!
…岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き(てんめんくだき)…
鎖を踏みつけ、体勢が不十分のこちらの顔面を、既に放っていた鉄球にて攻撃をしてくる。
ドゴンッ!!
躱したところを、見事に操られた鉄鎖が、首に巻きつこうとする。
瞬時に、愛刀にて斬り落とそうとするが…
この鎖は斬れぬ!!
ギャリンッ!
鎖、斧、鉄球、全ての鉄の純度が、極めて高い武器…
私の肉から造られたこの刀では、斬る前に灼け落ちてしまうだろう………いや、大丈夫なのか?
ただ、これ程太陽光を吸い込んだ鉄は、刀匠の技術が最盛期たる戦国の世にも、発見されていなかった…
しかしそれも… 間合いの内側に入れば良いだけ…
暴風雨の如き、鉄球と手斧をかい潜り、間合いの内側に入り込み、その首を一閃せんとし…
…何事もないかのように、ひらりと躱した空中にて、更に手斧と鉄球を投げつけてくる。
この武器を手足の如く扱える筋力、あの重量の図体で、これ程の身軽さ俊敏さ、俄かには信じ難し…
絡みついた鎖が、刀を半ばで折り飛ばしてきたが…
…月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月(しゅかのろうげつ)…
…岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征(りゅうもんがん・そくせい)…
「いいぞ… 久方ぶりの… 戦いだ…」
ここで唐突な、零余子ちゃんの十二鬼月(+α)への評価
無惨様 … やっぱりちょっと怖いけど、でも、だいぶ優しくなったよね?
黒死牟様 … 強いし、立ててくれるし、すごい大人だなあと、尊敬してる。
童磨 … 何考えているかわからないし、隙を見せたら喰われそうで怖い。嫌い!
猗窩座様 … 優しいしカッコイイ。大好き!
半天狗 … あんまり絡んだことないので、よくわからない。
玉壺 … 同上なんだけど、見た目が生理的に無理。
堕姫 … 綺麗でカッコイイ女性なんだけど、弱いよね?
妓夫太郎 … 会ったこともなければ、その存在すら知らない。
魘夢 … あんまり絡んだことないけど、こいつとは合わないと思う。
轆轤 … ほぼほぼ知らないんだけど、なぜか感じるシンパシー。
病葉 … 同上。
累 … そろそろデレてもいいと思う。
釜鵺 … シンパシーは感じるんだけど、多分次に死ぬのはこいつだよね?
鳴女さん … すごい能力! いいなあいいなあ!