零余子日記   作:須達龍也

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ワクチン二回目の接種で、見事に発熱しました。
受ける前は、熱出たら会社を休んでSS書いてやろうとか計画してましたが、とてもとても。
倦怠感がすごくて、何もやる気になりませんでしたよ。


鬼殺隊壊滅作戦7

 それは、まるで映画のようだった。

 血鬼術とは、こんなことまでできるの!? …これが直接戦闘に用いられるような能力ではないことが、逆に怖ろしかった。

 

「さて、続けて二つ目です」

 

 

 べべんっ!

 

 

 上弦の零の言葉に、鳴女と呼ばれた鬼が琵琶を鳴らす。

 

「うわっ!」

 

 二つ目の池の水面に大きく映し出されたのは、男の顔のアップだった。

 そのアップに驚いた後、上弦の零が無惨へと視線をやる。

 

「…やれやれ」

 

 無惨からなんらかの指令が行ったのか、男の顔が遠ざかり、全身が見えてくる。

 にこにこと笑うその鬼と、忌々し気な上弦の零の顔が、対照的で…

 

 

 ドクン…

 

 

 …頭から、血をかぶったような鬼だった…

 

 

 ドクン…

 

 

 …にこにこと屈託なく笑う…

 

 

 ハァ…ハァ…

 

 

 …その鬼の使う武器は、鋭い、対の扇…

 

 

「…おやぁ? 大丈夫ですかぁ?」

 

 ひらひらと目の前で手を振られ、冷静に…

 

 

 

 …など、なれるはずがない!

 

 

 

「姉さんの仇!」

 

 

 

「ぅわっと!」

 

 池に飛び込もうとしたところを、後ろから抱き止められる。

「はなして! あいつは絶対に!」

 体格はそう変わらないと言うのに、どうやっても抜けられそうになかった。

「…冷静そうに見えて、実はすごい激情家なんですねえ」

 やれやれと言わんばかりに、耳元でため息を吐かれた。

「あの水面に映しだしてはいますけど、あそこに飛び込んだところで、ただ濡れるだけですよ」

 聞き分けのない子供に言うように、そう諭される。

「それに、もし行けたとしても、あなたでは勝てませんよ」

 

 そんなことはわかっている。それでも、それでも!

 

 

「…いまは、ね」

 

 

 耳元でささやかれた言葉に、ハッとする。

 

 振り返って見えたのは、ニンマリと笑った顔。

 

「あなたが自身を毒へと変じようとしているのは知ってます。…でも、それでも足りませんよ。それに、今では太陽さえも通じない。困りましたねえ」

 

 再び後ろから抱き締められる。

 

「今はどうしようもありませんが、今後は…そう、新生鬼殺隊で、いろいろ実験したら、なんとかなるかもしれませんよ?」

 

 耳元でささやかれるのは、話に聞いた悪魔の誘惑に他ならない。

 

 

「…珠世さんも探してみましょう? …なんだったら、私も手伝ってあげてもいいですよ?」

 

 

 ああ、わかっている。これは、悪魔の取引だ。人を堕落させる甘美な誘惑だ。

 

「ふふっ、私も嫌いなんです、あいつ」

 

 最後に笑ってそう言って、上弦の零が離れる。

 

 

「さて、次なる対戦は、上弦の弐…童磨と、私が独断と偏見で二番目に強いと判断した柱です!」

 

 

 水面に映し出されたのは、見知った柱…

 

 

 

「二つ目の池にてお見せするのは、上弦の弐…童磨対、風柱…不死川実弥となります!」

 

 

 

 

 

 

 

 まずは、先手必勝だ!

 

 

 

 …風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)…

 

 

 

 ひらりと、躱される。

 

「あー、ノらないなあ。女の柱は二人居たって聞いてたのに、どっちも零余子ちゃんに取られちゃったか」

 

 そいつは、やる気なさげにそうつぶやく。

 

「はっ! テメェがノろうがノるまいが、関係ねェ!」

 

 

 

 …風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ(じんせんぷう・そぎ)…

 

 

 

「いやあ、なかなか速いね! 今まで会った柱の中で一番かも」

 

 すんなりと躱しておいて、下らねェことをほざきやがる。

 

「あー、でも、あの子も結構速かったなあ、花の呼吸を使ってた女の子…」

 

 

 あァ!?

 

 

「優しくて可愛い子だったなあ。朝日が昇って喰べ損ねたんだよねえ。ちゃんと喰べてあげたかっ…」

 

 

 

 ザンッ!!

 

 

 

 …風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐(こくふうえんらん)…

 

 

 

「…た、っと。今のは一番速かったね。首を斬るには至らなかったけど」

 

 

 へらへらと笑うこいつが…こいつがァ!!!

 

 

 

「許さねェ! 許さねェ! 許さねェェ!! ぶち殺してやらァァ!!!」




前話とは逆に、零余子ちゃんへの十二鬼月(+α)の評価

無惨   … 千年の集大成。相変わらずな部分はあるが、まあ個性か。
黒死牟  … 縁壱とはまた別の天才。考えがよくわかるところはとっつきやすいな。
童磨   … なかなかに興味深い。いろんな意味で気に入っている。
猗窩座  … 手のかかる妹のような感じ。側にいると懐かしくも優しい気持ちになれる。
半天狗  … ほぼほぼ絡んだことがないので、あまり気にしていない。
玉壺   … 捜索系の鬼ナンバーワンを自負してたし、上弦の順位も抜かれて気に入らない。
堕姫   … 小娘に無惨様のお気に入りナンバーワンをかすめ盗られて、気に入らない。
妓夫太郎 … 功績を考えたら当たり前だなと、妹は相変わらずバカだなあと思っている。
魘夢   … 鬼のくせに能天気に笑っている顔が、気に入らない。
轆轤   … 強さもやったこともすごいと思うのに、なぜか感じるシンパシー。
病葉   … 同上。
累    … すごいとは思うんだけど、会うと絡んできて、ウザい。
釜鵺   … シンパシーは感じるんだけど、たまに養豚場の豚を見るような目で見られて怖い。
鳴女   … 十二鬼月になったと思ったら、状況をどんどんと激変させて、少し怖い。
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