まさかの唐突なおまけ話が挿入されました!w
女の鬼は、男の鬼よりも弱い。
それは、間違いないことだと、私は思う。
そのことは、最強の鬼である十二鬼月に、女の鬼は上弦の陸…お一方しかいないことでも、証明されている。
女の鬼の方が数が少ないからではないのか?
そんなことはないだろう。
この世には男女同数の人間がいる。あの方が、わざわざ男だけを選んで鬼にしているとは、思えない。
つまり、女の鬼も、男の鬼と同じ数だけ生まれていると考えて、間違いないだろう。
それでは、なんで女の鬼の方が、男の鬼よりも弱いのか?
私は単純に、人間だった頃から、女の方が男よりも弱いからだと考える。
要は素体の問題だ。女は男よりも弱いから、鬼になっても、男の鬼よりも弱いのだろう。
仮に、鬼になって力が倍になったとする。それから十人の人間を喰べれば、更に倍になるとしよう。
だとしたら、同じ数だけの人間を喰べていては、一向に男女の力の差は縮まらないどころか、どんどんと広がって行くことになる。
それともう一つ、女の鬼は異形の姿になるのを忌避しているからだと思う。
そう思うのは、単純に私が忌避しているからというのが、理由だ。
鬼は異形になるだけでも、強くなる。
ただ大きくなるだけでも、力は相応に上がるし、腕を増やしたりすることでも、手数が増えて強くなるだろうことは間違いない。
それでも、異形になることに忌避感がある。
人間だったころへの未練なのだろうか、人の姿のままでいることを望む女の鬼は、多い。…まあ、あくまでも私の経験上での統計に過ぎないのだが。
それゆえに、女の鬼は、男の鬼よりも人間を喰べなければ、男の鬼よりも強くなれないことになる。
だが、それは難しい。
女の鬼は男の鬼よりも弱いから、女の鬼は男の鬼よりも人間にありつけないのだ。
そのため、女の鬼はますます、男の鬼よりも弱くなることになる。
これが人間を含む動物だったならば、強いオスの庇護下に入るという選択肢も取れるだろう。
だけど、鬼ではそういうことはできない。群れることは許されていないからだ。
だから、細々と縄張りを作っても、後から来た男の鬼にその縄張りを取られてしまう。戦っても勝てない以上、それは仕方がないことだった。
更に、人を喰う鬼になったことで、新たな敵が生まれた。
鬼殺隊だ。
強くなるためには人を喰べなければならない。だけど、人を喰べるから鬼殺隊に狙われる。鬼殺隊に勝つためには強くならなければならない。強くなるためには…
どこまでもぐるぐると回る。
それが、どうしようもない現実だった。
そんな折に、ある噂を聞いた。
ある山で、強い鬼の庇護下に入ることができるという、うさんくさい噂だった。
それでも、その噂を頼ったのは、藁にもすがる思いからだった。
その山の名前は那田蜘蛛山。下弦の伍…累の縄張りだった。
結論として、その噂は半分真実だった。
噂を聞きつけてやって来た鬼は、たくさん居た。そのほとんどが女の鬼だった。
そして噂通り、強い鬼…累の庇護下に入ることができた。それだけでなく、累の力を分けてさえもらえた。
だけど、そんなうまいだけの話では、なかった。…まあ、当たり前の話なんだけどね。
累の庇護下、力を分け与えられた女の鬼は、累の母、あるいは姉という役割も与えられた。
それは、ままごとのようなものなんだけど、それでも、うまくこなさなければ、ひどい罰が待っていた。
切られたり、刻まれたりするのは、まだマシなほうで、ひどい場合には日光に炙られて…殺されたりまであった。
恐怖から逃げこんだ先には、また別の恐怖が待っていたというわけだ。…結局、それが、どうしようもない現実というわけだ。
そんな日々を数年、我ながらうまくやっていたと思う。
母親役の女の鬼を反面教師に、失敗をしないように、累の機嫌を損ねないように、ビクビクしながらも、累の力をうまく使って、人間を捕らえ、効率よく喰べて、力をつけていった。
そこに、あの方が、やって来た。
「…なんか、白い繭みたいなのがぶら下がってるのが見えるんだけど、あれって何?」
その当時は、下弦の肆…そして、現在は上弦の零にまで至っている、零余子様だった。
テレビでやってた那田蜘蛛山編を見て、書きたくなったので書きました!
そんなに長くはならないと思いますので…お付き合い下さい。
このお話では、元下弦の壱は止水さんです。
姑獲鳥さん? 知らない鬼ですねw