零余子日記   作:須達龍也

129 / 149

まさかの唐突なおまけ話が挿入されました!w



ある女鬼の話1

 女の鬼は、男の鬼よりも弱い。

 

 それは、間違いないことだと、私は思う。

 そのことは、最強の鬼である十二鬼月に、女の鬼は上弦の陸…お一方しかいないことでも、証明されている。

 

 女の鬼の方が数が少ないからではないのか?

 

 そんなことはないだろう。

 この世には男女同数の人間がいる。あの方が、わざわざ男だけを選んで鬼にしているとは、思えない。

 つまり、女の鬼も、男の鬼と同じ数だけ生まれていると考えて、間違いないだろう。

 

 それでは、なんで女の鬼の方が、男の鬼よりも弱いのか?

 

 私は単純に、人間だった頃から、女の方が男よりも弱いからだと考える。

 要は素体の問題だ。女は男よりも弱いから、鬼になっても、男の鬼よりも弱いのだろう。

 仮に、鬼になって力が倍になったとする。それから十人の人間を喰べれば、更に倍になるとしよう。

 だとしたら、同じ数だけの人間を喰べていては、一向に男女の力の差は縮まらないどころか、どんどんと広がって行くことになる。

 

 それともう一つ、女の鬼は異形の姿になるのを忌避しているからだと思う。

 そう思うのは、単純に私が忌避しているからというのが、理由だ。

 鬼は異形になるだけでも、強くなる。

 ただ大きくなるだけでも、力は相応に上がるし、腕を増やしたりすることでも、手数が増えて強くなるだろうことは間違いない。

 それでも、異形になることに忌避感がある。

 人間だったころへの未練なのだろうか、人の姿のままでいることを望む女の鬼は、多い。…まあ、あくまでも私の経験上での統計に過ぎないのだが。

 

 それゆえに、女の鬼は、男の鬼よりも人間を喰べなければ、男の鬼よりも強くなれないことになる。

 

 だが、それは難しい。

 女の鬼は男の鬼よりも弱いから、女の鬼は男の鬼よりも人間にありつけないのだ。

 そのため、女の鬼はますます、男の鬼よりも弱くなることになる。

 

 これが人間を含む動物だったならば、強いオスの庇護下に入るという選択肢も取れるだろう。

 だけど、鬼ではそういうことはできない。群れることは許されていないからだ。

 だから、細々と縄張りを作っても、後から来た男の鬼にその縄張りを取られてしまう。戦っても勝てない以上、それは仕方がないことだった。

 

 更に、人を喰う鬼になったことで、新たな敵が生まれた。

 

 鬼殺隊だ。

 強くなるためには人を喰べなければならない。だけど、人を喰べるから鬼殺隊に狙われる。鬼殺隊に勝つためには強くならなければならない。強くなるためには…

 どこまでもぐるぐると回る。

 それが、どうしようもない現実だった。

 

 

 そんな折に、ある噂を聞いた。

 

 

 ある山で、強い鬼の庇護下に入ることができるという、うさんくさい噂だった。

 

 それでも、その噂を頼ったのは、藁にもすがる思いからだった。

 

 

 

 

 

 その山の名前は那田蜘蛛山。下弦の伍…累の縄張りだった。

 

 

 

 

 

 結論として、その噂は半分真実だった。

 

 噂を聞きつけてやって来た鬼は、たくさん居た。そのほとんどが女の鬼だった。

 そして噂通り、強い鬼…累の庇護下に入ることができた。それだけでなく、累の力を分けてさえもらえた。

 

 だけど、そんなうまいだけの話では、なかった。…まあ、当たり前の話なんだけどね。

 

 累の庇護下、力を分け与えられた女の鬼は、累の母、あるいは姉という役割も与えられた。

 それは、ままごとのようなものなんだけど、それでも、うまくこなさなければ、ひどい罰が待っていた。

 切られたり、刻まれたりするのは、まだマシなほうで、ひどい場合には日光に炙られて…殺されたりまであった。

 

 恐怖から逃げこんだ先には、また別の恐怖が待っていたというわけだ。…結局、それが、どうしようもない現実というわけだ。

 

 

 

 そんな日々を数年、我ながらうまくやっていたと思う。

 

 母親役の女の鬼を反面教師に、失敗をしないように、累の機嫌を損ねないように、ビクビクしながらも、累の力をうまく使って、人間を捕らえ、効率よく喰べて、力をつけていった。

 

 

 そこに、あの方が、やって来た。

 

 

 

「…なんか、白い繭みたいなのがぶら下がってるのが見えるんだけど、あれって何?」

 

 

 

 その当時は、下弦の肆…そして、現在は上弦の零にまで至っている、零余子様だった。




テレビでやってた那田蜘蛛山編を見て、書きたくなったので書きました!
そんなに長くはならないと思いますので…お付き合い下さい。

このお話では、元下弦の壱は止水さんです。
姑獲鳥さん? 知らない鬼ですねw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。