やっぱり一人で家で飲むよりも、全然楽しいですね!
「…幸先は、よくなかったですねえ」
鬼殺隊最強の男の勧誘は、失敗してしまった。
「さーて、次はって…うわぁ…」
なんというか、これはひどい。
「ほっといたら死にそうなので、次に行きます…って、あー、黒死牟様も同行お願いします」
今合流したばかりの黒死牟様にもついてきてもらいます。
「ふむ… 心得た…」
私と蟲柱だけだったら、下手したら喰われかねないですからねっ!
「おー、とっとっと…」
懐かしい高揚感。
「とっとっと…と、こりゃ」
平衡感覚があやふやになる感覚。
「あっはっは、これはまずいな、まずいまずい」
思わず知らず、千鳥足になる。
「ちょっと…舞でもひとさし、いい気分だあ」
百年ぶりの、この感覚。実にいいね。素敵だ。
「ちょっとずつ、ちょっとずつ、味わわないとね」
「…く、くそがァ!!」
「いやあ、前後不覚、平衡感覚の欠如、曖昧模糊な意識、やばいね、大ピンチだ!」
まあ、五体の結晶の御子を抜けれれば…だけどね。
…風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)…
「んー、いいねいいね、風に乗って、またかぐわしい香りが届いてくるよ」
パチン!
「でも、それじゃあ、一体を抜くのも無理だなあ」
「だらァ!!」
「いいねいいね、血気盛んだ。どれだけ血を流せるのかな? 少しずつ、少しずつ、薄皮一枚ずつ、刻んでいこうか? あー、酔うのなんて久しぶり過ぎて、加減ができるかなあ? 殺さないようにしないと、長く長く、ちょっとずつ、ちょっとずつね。…ははは、いい気分だよ!」
「はーい! ストップストップ! そこまでですー!」
「ははは、気が利くなあ、酒の肴も用意してくれたんだ」
「ひぃぃ! 怖いこと言うなぁ!!」
現れたのは、零余子ちゃんに、蝶の髪飾りの女の子に、黒死牟殿か…
「いいからストップだって! 死んじゃうよ!」
「不死川さん!」
「…胡蝶か!?」
「……」
黒死牟殿に睨まれたし、ここまでかなあ。御子を霧へと帰す。
「…うわぁ、前から全身傷だらけだったけど、今は血だらけ…んー、くんくん、ふひっ…ふへへ…」
血だらけの稀血の傍に近寄ると、零余子ちゃんがあっというまに酔っぱらったようだ。お酒は初めてだったのかな?
「これは… 懐かしい感覚… だな…」
黒死牟殿も、少しうれしそうだね。
「大丈夫ですか、不死川さん」
「…ああ、傷はそんなに深くはねェ。…ていうか、生きてたのか、胡蝶!」
んー、あの髪飾りの子は、鬼殺隊の子だったんだね。さてさて、零余子ちゃんは何をしようというのか? 実に興味深いねえ。
「ええ、いろいろと事情がありまして…ちょっと、酔っぱらってないで、しゃんとして!」
「んにぃ? ふひひひ…」
「いや、何が何だかなんだが…」
どんな関係なのか、酔っぱらった零余子ちゃんの肩を、鬼殺隊の女がぐるんぐるんと揺さぶる。
「ちょっと、勧誘はどうするのよ!」
「…うぶぶぶ、あんま…ゆ、ゆすら…」
「…いやいや、なんだこれ!?」
「勧誘…ねえ?」
「さすがに私から切り出すのは、ちょっと…」
「うぶっ! やめっ…はきそ…」
「いやいやいや、なんなんだよ、これは!」
「あっはっは! これはひどい構図だね。わけがわからないよ」
パチン!
「でも、個人的には、その稀血の鬼への勧誘は反対だな。体質が変わる可能性が高いだろうし、それはひどくもったいない」
「ふむ… それには… 同意だな…」
珍しくも、黒死牟殿からの同意も得られたよ。
「…ごっくん、りょーかぁーい!」
「へっ?」
「何が!?」
「けってぇーい! 風柱は、うちの研究所行きでぇーす! いえぇーい!!」
「ちょっ!」
「ォイっ! せつめ…」
「成果… 楽しみにしてる…」
「ういうい」
しれっと、黒死牟殿がお願いをしている。それはずるいよね。
「もちろん、こっちも、よろしくね」
「あっかんべぇーっだっっ!!」
これはひどい…
何がひどいって、前話との落差がひどいですw
それにしても、結晶の御子って、強すぎですわ。