零余子日記   作:須達龍也

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下弦の鬼の紹介が続きます。



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 下弦の弐…鵺(ぬえ)殿。…ちなみに、敬称は山坊主が言った通りにしている。ここからは同僚の扱いなんだなあと思った。

 体は虎、顔が鬼、体高が七尺を超え、体長は十尺を超える巨大で異形な鬼。

 …戦う姿を見たことがあるらしく、口から強力な溶解液を吐き出すそうだ。

 

「いや、そこは雷だろ!」

 

 思わずそう言ってしまい、慌ててほっぺたを押さえたが…

 儂もそう思った…と、静かに同意された。

 

 

 

 下弦の参…大太(だいだ)殿。

 とにかく大きい鬼で、その身長は五間(大体九メートル)を超えるとのこと。…ただ知能の方が残念らしい。それでも、その大きさは強さだ。

 特に相手が鬼殺の剣士であれば、その高さは非常に優位だ。だって、鬼の弱点は頸だ。何の足場もなく、人間が何十尺も飛べるわけがないのは間違いない。

 

 

 

 下弦の肆…阿修羅(あしゅら)。…うん、敬称はつかなかった。仕方ないよね。

 入れ替わりの血戦で山坊主に勝った鬼。その説明に怒りと恨みの感情が乗るのは、うん、しょうがない。

 名前から推測されるように、六本の腕を持ち、それぞれに刀を持って戦うらしい。

 

「なんか大変そう。六本も腕があったら、腕が邪魔で自分で切っちゃいそう」

 

 本で読んだけど、普通は二刀流でも両方同じ長さの刀を使わないらしい。

 そしてそれぞれの刀の役割を…一方が攻撃、もう一方が防御…と言うように、決めておくのが普通だそうだ。そうしないと、自分で自分を斬りつけることになるから。

 

「…その通りじゃ」

 

 私の感想に、山坊主が静かに同意した。

「…だが、奴は見事に六本の刀を操った。それも攻撃と防御、流れるように役割を入れ替えながらじゃ」

 ちょっと想像ができないけど、それはすごいと思った。

「…最後は、三本の刀で儂の金棒を押さえ、二本の刀で儂の牽制を行い、そして、最後の一刀で…」

 

 

「…儂の首を刎ねた。…自分の腕も二本程同時に斬っとったがな」

 

 

 それが、入れ替わりの血戦の結末なのだろう。

 

 

 

 下弦の伍…累(るい)殿。

 見た目は小さな男の子だそうだ。

 そして、この子は入れ替わりの血戦で下弦の伍になったのではなく、前任の下弦の伍が鬼殺隊に殺された補充で、あの方から任じられたとのことだった。

 

「それって、下弦の陸は文句…って、言えるわけないか」

 

 それでも、文句は言えないだろうけど、不満には思うんじゃないかな。

「いや、下弦の陸も、下弦の伍の少し前に鬼殺隊に殺されておった。累殿と同時にそっちにも別の鬼があてがわれた」

 それならまあ、不満に思う奴もいないわけだ。

 

「累殿の戦いは何度か見せてもらった。…というのも、あの見た目じゃったからな、最初の頃は何度も入れ替わりの血戦を申し込まれていたな」

 

 うーん、見た目が弱そうだとそうなるのか、うわぁ、めんどくさー。

 

「そして、その全てに勝った。圧勝じゃった。…全ての相手をあっという間にバラバラにした」

 

「…ふぇ?」

 

 変な声が出た。

「相手がどんな鬼とか関係なかった。全員が同じようにバラバラにされた。

 …儂が思うに、儂はもちろん阿修羅の奴も、大太も、鵺も、累殿には勝てんだろうな。バラバラになるまでの時間が変わるくらいじゃろう」

「…なんでそんな子が、下弦の伍のままなの?」

 そんなに強いなら、とっとと下弦の弐まで上がればいいのに。

 

「まあ、あんまり興味がないんじゃろうなあ」

 

 

 

 下弦の陸…は?

 

「儂も今の下弦の陸が誰かは知らん」

 

「いや、山坊主さんが下弦の肆だった頃のでいいんだけど。…累くん…いや、累殿と一緒に上がって来た鬼は?」

 私がそう聞くと、山坊主さんはうーんとうなった後に言った。

「…忘れた…な。

 そのすぐ後に入れ替わりの血戦で代わった…それとも鬼殺隊に殺されたか…どっちかは忘れたが、すぐに変わったのは間違いない」

「じゃあ、その後の…」

「うーん、儂が下弦の肆だった十年で、五人は変わったからな」

 

 変わりすぎ…やられすぎじゃない、下弦の陸!

 

「あれから更に十年経っておる。間違いなく儂の知らない鬼じゃと断言できるぞ」

 

 下弦の陸の、弱さへの信頼感がすごい!

 

「十二という数字にこだわらなかったら、もう少し十二鬼月も安定しておる気がするなあ」

 

 

「ま、まあ、一番下ってのは、そういうもんじゃないかな。ほら、多分十五鬼月にしてたら、やっぱり入れ替わるのは十五番目ばっかりになると思うし」

 

 

 

 なんか、下弦の陸の擁護をしてしまった。…擁護になっている…よね?




オリジナル十二鬼月の設定について

下弦の弐、鵺さん。
命名の由来は、平家物語などで語られる妖怪の鵺から。
見世物小屋にいた虎とその係の人間を見て、無惨様がちょっと思いついた。
頭を入れ替えて鬼にしたら、どうなるんだろう? …で、やってみた。
頭が人間だった鵺は生き残り、頭が虎だった方は死んだ。
戦闘力もそれなりにあり、実験の成果でもあるので、無惨様はそれなりに気に入っている。

リアルタイガーマスクも生きていれば、伊之助との戦いの絵が熱かったな。


下弦の参、大太さん。
命名の由来は、各地の伝承に残る巨人、ダイダラボッチから。
無惨様が最初に鬼にした時は、普通の大きさだったが、人を喰うとどんどん大きくなった。
馬鹿だけど、どこまで大きくなるのか、無惨様は密かに楽しみにしている。


下弦の肆、阿修羅さん。
命名の由来は、三面六臂の阿修羅像から。
朱紗丸さんは六腕で、毬を使ったが、やっぱり剣でしょってことで。
漫画で描くと大変だろうけど、文章だったら楽だしねw
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