零余子日記   作:須達龍也

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遊郭編のテレビアニメが始まりましたね。
新作なんですけど、なんか懐かしく感じましたw

ちょっとだけオヤッと思ったのが、アオイちゃんの立ち位置です。
鬼殺隊員にはなったけど、任務は全て断っていたのでしょうか?
働いていないわけではないけれど、隊士としては働いていない…でも、隠しになるわけでもないと。

最初に読んだ時は、宇随さんに反感を覚えたのですが、アオイちゃんにも問題あるなと思ったアニメ視聴時の感想でしたw


新しい鬼殺隊1

 とある屋敷の一室で、その話し合いは行われていた。

 その部屋にいるのは、二人の女だった。

 

「…とにかくはっきり言って、鬼殺隊の一番の問題点は、隊員の人数の少なさよ。

 万とは言わなくても、二千は欲しいね。最低でも千人は必要でしょ」

「…はぁ」

 

 と言っても、基本的に話しているのは赤い着物の女だけで、もう一人の女は相槌を打つばかりだった。

 

「最終選別試験は絶対いらないね。

 そもそもあの試験って、肉体的な技量でなく、精神的な覚悟みたいなのを試験してるわけじゃない? 新しい鬼殺隊には、百害あって一利なしよ」

「…言いたいことはわかりますが、人数を増やすのにも問題がありまして…主に金銭的なところで」

「あー、お給料か。結構払ってるんだ?」

「まあ、そうですね。命を懸けて頂いている分に、報いるくらいには」

 

 ハイリスクには、ハイリターン。当たり前な話ではある。

 

「お給料は大事だね。

 …まあ、そんないきなり人数が増えることはないんだし、そこは今まで通りでいいでしょう。それに、国からも援助金をせしめるつもりだし」

「…国から、援助金ですか?」

「政府非公認の組織って言うのも問題よ。

 警察組織の一部にするつもりはないけど、公権力の後ろ盾はさすがに必要よ。…まあ、そっちはこっちでなんとかするから」

「…はぁ」

「人数を増やすのは簡単じゃないから、とりあえず、減らす方をなんとかしましょう。

 大体、隊員の殉職率が三割超えるって、ありえないわよ」

「……」

 

 それをなんとか減らそうと努力をしていた女は、その指摘に苦笑するしかない。

 

「ひとつの任務に当たる人数を、増やしましょう。

 最低でも三人以上、その中にある程度位が高い隊員を監督役に入れることで、死亡率はぐんと下がるわ。

 

 大体が、入ったばかりの新人隊士を、たった一人で任務に放り出すとか、もうね、アホかと。馬鹿かと!」

 

 思い当たることがあるのか、むっきーっと、ヒートアップする。

 そして、その熱を冷ますかのように、もう一人が指摘を入れる。

 

「鬼の事件が少なければ、問題ないですけど。…多くなれば、それでは手が回らなくなります。

 最近は少なかったですが、鬼殺隊の当主が亡くなったとなれば、鬼の騒動が増えるのはどうしようもないのでは?」

「そこはほら、騒動を起こさないように、雑魚鬼達にはちゃんと言い含めておくし、言うことを聞かないようなら、…こう、コキャっとね」

「…それはありがたいですね」

 

 赤い着物の女が簡単そうに言う。…実際、その女には簡単なのだろう。

 

 

 

「…では、最終選別試験についてと、三人以上での任務…そうですね、丁(ひのと)以上としましょうか…その監督役を含むことについても、そうすることにしましょう」

 

 

 

 決定事項だと言うように、蝶の髪飾りを付けた女がそう宣言した。

 

「うん、それがいいよ」

 

 嬉しいというよりは、ホッとしたように笑うその女性が、憎き鬼の中でも、ほぼ最上位の存在であることが、対面する女…胡蝶しのぶにとっては、なんだか不思議で、おかしかった。

「…あとは、成宮未来さんについてですが…」

「…殉職でいいんじゃない?

 こちらとしては、彼女の役目は終わったしさ。それに、正直、私、すっごく…すーーーっっっっごく、忙しいのよ!!」

「……はぁ」

「京都のこととかは、もうほとんど長子ちゃん達に任せられるようになってるんだけど、あいも変わらず、無惨様がさ、あれが欲しい、これが欲しいって、無茶ぶりばっかり!

 私とか、黒死牟様とか、猗窩座様とかさ、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり…働き通しよ! おかしくない!? 偉いはずなのに、…偉い鬼ほど、働いてるのよ!!

 

 私はのんびり本を読んで、甘いもの食べて、ゴロゴロしたいんだよっ!!!」

 

 だいぶ不満がたまっているのか、ここぞとばかりに、がーっと文句を言う。

 

「まあ、うちの研究員もおかしいのが多いからさ、嬉々として研究してるけど、私を巻き込むなよぅ! 伊号計画とか、どうでもいいんだよぅっ!!」

 

 なんだか意味深な謎の単語が混ざっていたが、しのぶは気にしないことにする。

 

 

「…試験搭乗員を鬼にしたらさ、水中試験…いや、水中実験が驚くほど進んだんだよ? 軍は怖いねえ。怖い怖い」

 

 

「話を戻しましょう!」

 

 これ以上は聞きたくなかったので、しのぶが話を変えた。

「未来さんと同じように、上弦の零に囚われていたことになっていた私や、霞柱と恋柱が脱出できている以上、彼女も無事なのが自然だと思います」

「えー? そこはほら、柱と新人隊士の差ってことでさ」

 

「新人隊士(笑)」

 

「…何よ?」

「いえ、別に」

 しのぶがコホンと咳払いをする。

「確かに、普通の新人隊士でしたら、それで何も不思議はないのですが、成宮未来さんはその、普通ではない新人隊士(笑)でしたから、仮に四人中一人が脱出できていたとして、その一人が未来さんだったとしても、不思議ではないくらいで」

「…バカにしてる?」

「いえいえ、まさかまさか」

 しのぶのニコニコ顔に、不信感しかないが、言いたいことはわからなくもない。

「…んー、でも、忙しいのは本当なんだけどなあ」

 鬼の中でほぼほぼ最上位というのは、伊達ではない。いろんな意味で、上弦の零の代わりはいないのだった。

「…三年、いえ、せめて二年だけでも、鬼殺隊に戻っていただきたいのです」

 しのぶが笑みを消して、真剣な表情でそうお願いをした。

 

「代替わりの時期は、どうしても不安定になります。それに、今回は悲鳴嶼さんまで喪っており、隊士たちの心の平穏の為にも、支えとなるような強い隊士はどうしても必要なんです」

 

「……んーーーーーー…」

 

 …悩む。…まあ、うん、そうだね、二年くらいなら…

 

「…二年だけだよ?」

 

 しょうがないなあと、零余子が折れた。

 

 

「ありがとうございます! そうですね、すぐに鳴柱就任もしましょうね!」

 

 

 

「…はい?」




伊号計画は、日本の潜水艦計画でち。
安全性度外視以上の、安全性無視で実験ができるようになると、計画の進みはすごく速いでち。
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