場所は横浜…
…旧外国人居留地…
明治32年に廃止こそされているが、外国人の割合は高いままであった。
そこに出入り…あるいは居住する日本人のほとんどは、貿易関係などの外国人向けを生業とする者であり、普通に生活する日本人にはあまり縁がないと言えた。
…ゆえに、その報告があがるのが遅れた。
…横浜の旧外国人居留地に、鬼が出た……らしい…
そこには藤の花の家紋の家がなく、鬼殺隊にその報告があがるのは、随分経ってからだった。
…また、そこを縄張りとする、鬼もいなかった為、鬼側にもあがってこなかった…
『不味い。口に合わん』
黒いコートを羽織った男が勝手な事を言う。
(やはりここでは女の血だ。薄味だが、とても香りがいい)
金髪に碧眼、欧米の人間を思わせる容貌に、伸びた犬歯からは血がしたたり落ちていた。
「…さて、これは…あの方はご存じのことなのか…」
二本の刀を腰に差した男が立ちふさがる。
『…だいぶ感じは違うが…この島の同族か? 居たには居たのだな。
随分コソコソと惨めったらしい生き方をしているじゃないか』
「…理解出来ない言葉だ」
そう返して、刀…日輪刀をすらりと抜く。
『は…はは! ハハハ!! なんとまあ、ふはは。
そんな華奢な剣で戦うのか? 女の首より容易く折れるぞ!
なあ、オイ!! ええ!?』
交差は一瞬…
…ひらりと舞うのは、右腕…
(…ま、まぐれ…ただの、まぐれだ!!)
再びの交差…
…次に舞うのは、左腕だった…
「…弱いな。…いやそれよりも、互いの力量差もわからないのか?」
日輪刀についた血を払うように振って、男…阿修羅が疑問を口にする。
阿修羅が方相氏でなく、ただの鬼…下弦の壱であったころならば、相手の男にも力量差を感じ取れただろう。
人ではないことはわかる。ならば、同族だろう。…感じは違うが、この島国特有の特異な同族なんだろう。
あまり血の匂いがしない…つまりは、大して血を吸っていない弱者だからだ。…そう安易に考えたのも、やむを得ないと言える。
(なぜ俺の力が届かない)
じりりと、阿修羅から距離を取る。
(俺の腕はどこにいった)
ただの刀だったら、とっくに再生していただろう。
もっと強い……鬼だったなら、日輪刀に斬られたとしても、既に再生していただろう。
「…阿修羅、頸は斬るなよ。儂らにはわからん言葉じゃが、零余子の研究員にはペラペラなのがいるからの」
逃亡を阻止するかのように、金棒を肩にかついだ男…山坊主が立ちふさがる。
…更に背後から、もう一人…
「…三体…か…」
顔に大きな傷を持ち、隻腕で、更には両足が義足の剣士が現れた。
ワニ先生の短編集「過狩り狩り」から、異国の吸血鬼さんの登場です。
最後に登場は、「過狩り狩り」からというよりは、「鬼殺の流」の主人公の流さんです。
マンガと違い、小説だとしゃべれないキャラはしんどいので(爆)