零余子ちゃん修行中です。
通販で零余子を買ったからか、バナーが零余子であふれているw
日中だからと言って、寝てたりする余裕は私にはない。
「稀血…ですか?」
上星邸住み込みの医者をつかまえて、いろいろと質問をする。
「…外国の論文で、人の血液には四つの型があるとのことで、その型を合わせれば輸血の成功確率が上がる…というのは読んだのですが」
どうも、人間側の研究はまだまだ遅れているようだ。稀血を集めて簡単に強くなろうという私の計画は、最初の段階で頓挫してしまった。
まあ、既に知っている稀血の二人を、理由をこじつけて呼んでもらい、血を美味しく頂きました。代わりに豪華な夕食を提供しましたよ。…上星卿がですけど。
日が暮れて夜になったら、山坊主の山で修行です。
「ほう、十手か」
「そう、どうよ」
今日は長さが二尺ほどある十手を、二本用意していた。
十手と言っても馬鹿にしたものじゃあない。かの剣豪宮本武蔵の父、新免無二斎は十手術の達人だったと本に書いてあった。
「刀が相手でも、これならちょうどいいと思って」
「六本でも相手にできる…か?」
山坊主がニヤリと笑う。
「あー、まあ…」
「別に気にすることはない。零余子が奴を倒すというなら、それもまた一興じゃ」
昨日の別れ際に名前を教えておいた。
そのうえで、二度とあの呼び方をしないように、強く…つよーく、言っておいた。
「では、始めるか」
「ま、こんなもんかの」
今日も勝てなかった。
「最後の方は、十手の扱いにも慣れてきたようじゃし、明日も使ってみることをおすすめしておく」
どうしても、不動金縛りの術がどうにもならない。
「…お前さんは、おもしろいの」
「ん?」
急に変なことを言ってきたので、山坊主を見つめる。
「…人間はエサ、鬼殺隊は敵、鬼は同族…とは言っても、味方というわけでもない」
「そういうもんみたいだね」
最初の鬼の認識もそうだったし、鬼殺隊の少年もそう、藤の家紋の家の主も、そんな認識を裏付けるものだった。
「別にお前さんが十二鬼月になれんでも、あの方に殺されても、儂にとってはどうでもいい話じゃ」
「えっ、ひどっ!」
「本来はそういうもんじゃ。…儂も最初はそう思っておった」
言ってることはひどいのに、そのまなざしは優しかった。
「…お前さんには、妙な魅力がある。ずうずうしく懐に入り込んでくるし、鬼のくせに、…鬼だからなのか、屈託なくよく笑うしの。それがなんとも心地が良い」
「やー、そうかなー、それほどのことはあるかもー」
まっすぐに褒められるのは、慣れてない。…すごく照れ臭い。
「お前さんの能力は魅了じゃったかの。儂も知らんうちにやられておったのかもしれんのう」
山坊主が、軽口のようにそう言った。
「やー、それは、どうかなー」
多分、冗談だ。それはわかる。
「…だったら、それは、うん。……寂しい、なあ」
いろいろあったけど、山坊主は好きだ。
お姉ちゃんと慕ってくれる、譲三君も好きだ。
すごくお世話になっている、上星卿も好きだ。
笑顔を向けてくれる、この町で会った人みんな、みんな好きだ。
…でも、そのどれもこれもが、全てが魅了の能力のせいだと言うなら…
「…それは、すごく…寂しいなあ」
パタ…パタパタ…
下を向いた私の頭に、手を乗せられた。
「お前さんは、人の心がずいぶん残っているみたいじゃのう。
儂にはそれが心地よかったが、これから鬼として生きてくには、しんどいかもしれんなあ」
明治コソコソ噂話
「A型、B型、AB型、O型の血液型は1900年くらいからの研究で見つかったらしいよ。
Rhプラスだとかマイナスだとかは、もっと後の1940年くらいからになる。
Rhマイナスは日本人だと0.5%くらいしかいないから、これが稀血なのかな?
あるいは、もっと霊的なものなのかは、よくわからないね」