塩をかけて食べました。
(もちろん、食材のことですよー)
べべんっ!
いつか聞いた琵琶の音と共に、いつか見た変なところに飛ばされた。
広さも高さもまるでわからない空間。いくつもの部屋と、いくつもの廊下が、不規則に並んでいる。
空間の真ん中と思しき部屋に、いつぞやも見かけた長い黒髪の琵琶を持った女性が佇んでいた。
「…それで、どうすれば」
作法がまるでわからないので、とりあえず琵琶の君に尋ねる。
スッ…
琵琶のバチで、ある部屋を指されたので、とりあえずそこへ向かう。…それでいいんだよね? もっと説明して欲しい。
べべんっ!
琵琶の音と共に、空間に人…鬼が増えた。
上下左右、前方後方、天地すら無用で、六体の鬼の気配がする。
まず目に入るのは、ひたすら巨大な鬼…下弦の参、大太殿。
獣のような後ろ姿は、おそらく…下弦の弐、鵺殿。
六本腕全てで腕組みをして、欄干のようなところに座っている鬼…下弦の肆、阿修羅…殿。
畳のある部屋で、綺麗な正座姿で佇んでいる侍風の鬼…下弦の壱、止水様…殿。
お上りさんのごとく、空間をきょろきょろ見ている、あまり特徴のない鬼…多分、下弦の陸だろう。
あとは…
「…君、誰?」
「うわっ!」
前からいきなり声をかけられて、驚きの声をあげてしまった。
「見ない顔だね。下弦の陸…じゃないのか、目に数字が入ってないな」
私より身長の低い子供の鬼…下弦の伍、累君…殿。
「私は…」
「まあいいや、多分後で説明があるんでしょ。二回も聞くのはかったるいから」
だったら、最初から声をかけるなよっ! …と思ったが、ぐっと我慢した。
べべんっ!
琵琶の音と共に、私は最初に指し示された部屋の中に居た。
その部屋の前の空間が、大きく空いており、その中空のわずかに高い場所に、板の間が浮いていた。
その板の間に、先ほど見かけた止水殿、鵺殿、阿修羅殿、累殿、下弦の陸が立っていた。下弦の陸は、やっぱり驚いてきょろきょろしている。…なんだろう、彼を見ているとホッとする。
その板の間の隣、何間か下がったところにも板の間があり、そこに大太殿がぬぼーっと立っていた。
べべんっ!
琵琶の音と共に、雰囲気が重くなった。
下弦の鬼達がいる板の間の隣、そこから何段か高い場所に畳の間が現れた。
そこに居たのは…
綺麗な正座の後ろ姿も凛々しい侍…上弦の壱、黒死牟様。
胡坐をかき、何故かこちらを見ていた青年の鬼、うわわっ、笑顔で手を振って来たけど、どうすればいいのよ? …多分おそらく、なんとなくだけど、上弦の弐、童磨様。
正座はしているが、興味なさげに上を見ている青年の鬼、じゃあこっちが上弦の参、猗窩座様かな?
既に土下座をしており、こちらからはその小さな背中しか見えないけど、おそらく老人の鬼、上弦の肆、半天狗様。
大輪の華が咲き誇るように、後ろ姿からもその美貌がうかがい知れる女性の鬼、上弦の陸、堕姫様。
あと一人を探して、畳の間を見渡すが、あとは壺があるくらい…と思ったら、その壺から蛇のようににゅるっとしたのが出てきた。おそらくは上弦の伍、玉壺様。
べべんっ!
次の琵琶の音で、全員が一斉に平伏する。…嘘です、私と下弦の陸だけ戸惑ってます。一拍遅れて、私も平伏する。見てないけど、下弦の陸も平伏する気配がうかがえた。
べべんっ!
その琵琶の音と共に、空気が更に重くなったのを感じた。
「…十二鬼月ともう一人、そろっております」
静かな女性の声がそう告げた。おそらく、あの琵琶の君だろう。
「全員、そのまま聞け」
無惨様の声が聞こえた。面は上げさせないんですね、知ってました。
「本日、入れ替わりの血戦を行う」
その無惨様の言葉に、誰かがビクッとした雰囲気を感じる。場所的に、それとそういった様子的に、下弦の陸だろう。
「零余子」
「はっ!」
呼ばれたので、短く答える。
「誰を指名する?」
「下弦の陸を、お願いいたします」
ぽりぽり…
あー、これどっかで食べたことある味だわ。
素朴だけど、うん、なかなか美味しいけど…
…主役になる味じゃないな!(爆)