このまま死んでしまうのん?
「へっへーーん、どうよ?」
「…ああ、うむ」
次の夜、下弦の肆になった報告と、お世話になった感謝を示すために、山坊主のところに来ていた。
「ふひひ、もっと近くで見てもいいんだよ? どう、どう?」
「…十分、見えとるわい」
…ちょっと浮かれているのは否定しないけど、一応感謝はしているんだよ。
「…それよりも、だ」
山坊主が私の後ろを見る。
「…なんで、こいつがいるんだ?」
パリッとしたスーツを着こなしているそいつは、二本腕になっている阿修羅だったりする。
「…いろいろね、あったんだよ」
べべんっ!
ベッドの上でごろごろしていた時に、呼び出しを受けた。
パンッ!
右手一本で手をつくと、上空へと飛び上がり、前回転をしつつ、土下座にて着地をした。
「…おまえ…」
声につられてチラリと横を見ると、正座状態でこちらを驚愕というか、呆れがずいぶんと混じった顔でこちらを見ている、阿修羅がいた。
なんで、こいつもいるんだ?
べべんっ!
次の琵琶の音とともに、無惨様の気配が現れる。
「面を上げよ」
「「ははっ!」」
私と阿修羅が、揃って顔を上げる。
「十二鬼月となった零余子に、一つやってもらいたいことがある」
「はっ!」
内容を聞く前に承服する。ここで学んだ処世術だ。
「青い彼岸花を探せ」
「…青い、彼岸花…ですか?」
言われたお言葉を吟味する。
「…それは、お言葉通りの、青い色をした彼岸花なのでしょうか? …それとも、何かの暗号でしょうか?」
「わからない。花なのかもしれないし、別の何かなのかもしれない」
「それは、何に使うものなのでしょうか?」
「それは言えない」
会話の中で、思考を巡らせる。
わかっていることは名称だけ。その名称も、何を指し示しているかは不明。かなりの難問なのは、間違いない。
最後に、聞いておかなければならないことは…
「それは、物珍しいから探しているのでしょうか? …それとも、必要だからなのでしょうか?」
「…必要だから、探している。
…そう、お前が生まれるずっと前…ずーっと、ずぅーっと前からだ」
「委細、承知いたしました」
平伏をして、質問を終わる。
「…これは、お前の試験も兼ねている。一か月後に進捗を聞こう。…励めよ」
「はっ!」
「そうそう、その一か月間、そちらの阿修羅はお前の護衛としてつけてやる」
「はっ?」
べべんっ!
…それで、今に至る。
裸で、腕が六本もある奴、目立つわ! …と、阿修羅に怒鳴ったら、二本腕になりやがった。…ああ、自在に出し入れできるのね。
というわけで、青い彼岸花探しです。
青い彼岸花、このまま無惨様がお亡くなりになるなら、謎のままに残りますね。