「…ごちそう様でした」
血を飲んで、全身を襲っていた飢餓感が引いていくのを感じる。
それと同時に、どこかフワフワとした夢見心地だった気分も冷めてくる。
…なんださっきの…恥ずかしすぎる!
ついでに羞恥心も襲い掛かってくる。
なんとなく、目の前の鬼を見る。私が噛みついた痕も、綺麗に再生していく。さすがは鬼である。
無我夢中であったが、さっきまでの魅了が私の能力なのだろう。性欲が残っていない鬼にすら効くのだ、人間にはもっと効果が期待できる。
「…ねぇ」
ぼんやりとこっちを見ている同族の男に声をかける。
わからないことは多い。…むしろ、わからないことだらけだ。せっかく尋も…質問ができる相手がいるのだから、この際に全部聞いておこう。
「…び、びっくりした」
目の前には、口と腹から手を出し、その手に頭を握りつぶされた、鬼だったものがある。
「これが…」
…鬼舞辻無惨の呪いか。
聞いた相手が鬼でもこうなる。そこに情状酌量の余地はまるでない。
人を鬼に出来るのは、あの方だけという話だった。つまりはあの私の口に指を突っ込んだ男こそが、鬼舞辻無惨ということになる。
…どこか優し気にすら聞こえたあの声と、情け容赦なく呪いを振りかける目の前の光景に、少し違和感を感じてしまう…
「あー…うー…」
鬼の生命力はすさまじく、ぼろぼろの肉片にしか見えないのにも関わらず、まだ言葉を発することができるようだった。
むしろ、ここまでされても、死ねない上に、再生もできないというのは、自分がやったことではあるが、ただただ不憫だった。
聞けることは全て聞いた後の実験だったので、もったいなくはないが、申し訳なくはある。
鬼、十二鬼月、あの方、…そして、鬼殺隊、柱…ね。
「…目立たないようにしないとね」
それが私の結論だった。
真夜中、こっそりと家に帰る。
なるべく人に会わないようにしたが、会ったものには魅了をかけた。そして、もちろん血も吸った。…でも、殺しはしない。
そんなことをすると、目立つからだ。
こんな小さな村だ。人が死ねば目立つ。目立てば鬼殺隊が来る。成り立ての私では荷が重いだろう。
肉を喰いたくはなるが、我慢する。肉を喰いちぎられては、治りが遅くなるし、治らないこともあるだろう。
たとえ魅了で記憶を消しても、そんな大怪我では違和感を覚えて魅了が解ける可能性もある。
危険性はできるだけ排除しておかないと。
「…ふぅ」
いろいろ考えなければならないことは、山ほどある。
それでも、いつもの自分の部屋に戻ってくるとホッとする。
考えを整理するためにも、寝てしまおう。
いやいや、夜はこれから、夜は私の時間。疲れたから横になるだけで、寝たりはしませんよ。
目を閉じたほうが、視覚からの情報がなくなって、考えに没頭できるだけで、寝てるわけじゃないですよ。
そもそも、鬼はたぶん寝ませんし、私も鬼ですし。
「…くぅ」
鬼って性欲とかあるのだろうか?
原作ではそういうシーンはないが、エロ同人誌にはあるw
原作が少年誌だから描いてないだけなのか…そもそも子供なんてできないだろうから、やはりない…いや、薄くなっているということで行きます。
追記
うちの零余子ちゃんは引きこもりだったので、イメージからネットスラングを使ったりしたのですが、時代考証的に修正しました。