しかし、無惨様の悪あがきっぷりの凄まじさよ。そこにシビれる!あこがれるゥ!
「止まれぇーーー!!!」
首元から離れた後、阿修羅に向かって命令する。
私の命令に従い、こちらに向かっていた…鳴柱を殺そうとしていた阿修羅が止まる。
べしゃり…
重力に従って、私の頭が地面に落ちる。
「はぁはぁ…」
両腕を再生する。
「はぁはぁ…」
転がっている頭を拾って、乗せる。
「はぁはぁ…」
辺りには、そこかしこに阿修羅の腕が転がり、止まれと言った時の姿のまま静止している阿修羅がいる。
近くには、私の腕が転がっている。少し向こうに、男の右足首から下が転がっており、目の前には、鳴柱が膝をついている。
「…勝った」
パシャンとしりもちをつく。
「…生き、残った…」
空を見上げると、既に雨は上がっており、満月が見えていた。
「…助かったー…」
…では、恒例の尋問開始です。
鳴柱、成宮透さん。鬼殺隊戦闘部隊の頂点の一人です。
なんで大阪まで来ていたかと言うと、神戸の山に現れた僧兵の鬼の確認とのこと。…山坊主、あいつのせいだったか…
任務前の息抜きで街を散策してたら、強い鬼の気配…阿修羅に気付いて、つけたとのこと。…阿修羅、お前のせいか…
「…まあ、終わりよければ…ってことで、許してやるか…」
鬼殺隊の本拠地はどこか? …それは、柱でもわからないとのこと。
おそらく関東のどこかではないかとは、思っているとのこと。
「…ふむ、柱にも秘匿していると。…慎重ですね…」
…あの方と同じくらい…と、続く言葉を飲み込んだ。
だが、これは考えようによっては悪くない。むしろ良かったと言える。
だって、ここで連中の本拠地がわかったらどうなるか?
総力を挙げて、本拠地を襲うことになるだろう。…少なくとも、十二鬼月は全員参加で間違いないだろう。
はっきり言って、無理。死ぬ。
…はい。気を取り直して、次の質問に行きます!
…鬼殺隊は、あの方のことをどこまで知っているのか?
…かなりやばい質問かもしれない。
でも、あの方は鬼にもあまり情報を教えてくれない。ひょっとしなくても、敵対組織である鬼殺隊の方が、いろいろ知っている可能性は高い。
…鬼舞辻無惨…千年前から存在すると言われている、鬼の開祖。
現在存在している鬼は、すべてが彼の手によるものらしい。
そして、鳴柱自身は、会ったことがないとのこと。
「…それだけ?」
私の質問に、首を縦に振る。
「…青い彼岸花は知っている?」
「…知らない。聞いたことはない…」
「…ふむ、なるほどね…」
正直、あんまり知らなかったな…というのが感想だった。
「…さて、どうするか…」
聞きたいことは聞いた。
彼は柱だ。殺すべきだろう。そうしないと…
「…また相対するとか、今度こそ死ぬし…いや、魅了の効果は残る…か…」
…あれ? …それって…
「…このまま帰したら、こいつは本拠地にいずれ戻る…よね?」
…そうなったら、こいつの印から…
…本拠地がわかってしまう!
「…殺そう」
うん、こいつは柱だ。殺すべきなんだ。
その辺に落ちている阿修羅の刀を拾う。刀の使い方はうまくないが、首を刎ねるなり、胸を刺すなりすれば、死ぬはずだ。…何も難しくない。
「…おぇぇ…」
気持ち悪い。気分が悪い。頭がガンガンする。
…駄目だ。殺すのに抵抗感がある。しんどい。
ふと見ると、静止したままの阿修羅が目に入った。
「…そうだ…」
何も私がしなくてもいい。阿修羅にやらせればいい。
ふらふらと阿修羅のところに歩く。足取りが重い。気持ち悪いのが止まらない。
「…あ、あしゅ…」
「…あぁぁぁあああぁぁーーーーーーーーーーーーー!!」
ビクッ!
鳴柱が急に雄たけびを上げた。…えっ? …魅了がとけたの?
…ギロッ!
「ひっ、ひぃぃ…」
睨み付けられた。やばい。まずい。死ぬ。
ヒュッ…
一歩で大きく距離を取ると…そのまま刀を杖のように使い、ものすごい速さでいなくなった。
「…助かった…逃げた…よね?」
そして、気づく…
「…あぁぁーーーーー!!! 逃げられたぁぁぁーーーーーー!!!!!!」
刀鍛冶の里ですら、柱は場所を知らないので、本拠地も知らないと思います。
みんな、本拠地に帰るときは、隠リレーなんですかね。