零余子日記   作:須達龍也

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無惨様、さすがにこれは…

それでも、無惨様なら…
無惨様ならきっと何とかしてくれる…!!



32

 フッと、意識がはっきりとする。

 

 記憶は飛び飛びで、まるで夢のようだった。

 

 そう、新たな力を得た。一段上の強さになった。…まるで夢のようだ。

 

 周りには散乱した私の腕、腕、腕…数えるのも億劫になるほど、切り落とされている。

 少し先に、右足首。奴の…鳴柱のものだ。

 その少し先には、しゃがみ込み、空を見上げて呆けている零余子がいる。

 

「…奴は?」

 

 腕を拾いながら、手のひらから吸収する。完全ではないが、それでもある程度は回復できる。

 

「…逃げた」

「…そうか」

 

 やり取りは短かった。

 飛び飛びの記憶の中で、奴が零余子に向かうところ、奴の足を斬り飛ばしたところ、そういった場面場面が断片的に残っている。

 

 奴の…鳴柱の強さの根幹は、その圧倒的なまでの速さだった。

 

 その根幹である足を失った以上、逃げるのは当然だろう。

 そして、殺すことこそできなかったが、もう柱としては死んだも同然だろう。

 

 ブルッ…

 

 再び、胸に歓喜が訪れる。

 

 

 柱に勝った。

 

 

 …無論、一人では勝てなかった。…それでも、これまで上弦の鬼しか勝てなかった、柱に勝ったのだ。

 

「…零余子」

「…なに?」

「それを、もらってもいいか?」

 

 転がっている鳴柱の足首を指差して、そう聞いた。

 私だけでは勝てなかった。…無論、零余子だけでも勝てなかった。

 どちらの貢献度が高いかは、それぞれの解釈によるだろう。…だが、私は零余子の力の方が大きかったと思ったので、そう聞いた。

 

「…好きにしたら」

「…ありがとう」

 

 奴の足首を拾うと、喰らいつく。

 体の奥から力があふれるような気になる。更に強くなれた気になった。

 

「…ねぇ」

「…ん?」

 

 シャツを着、スーツを羽織った私に、零余子が声をかけてきた。

 

「…おんぶ」

 

 両手を広げて、ただそれだけを言ってきた。

 私自身も疲れてはいたが、疲労感よりも高揚感の方が強かった。

 だが、零余子のほうは見るからにしんどそうだった。普段から白い顔色が、死人のように青白かった。

 

 …そういえば、血戦の後も、そのまま倒れそうだったらしいな…

 

 あの術は、かなりしんどいのかもしれない。…それならば、おぶってホテルまで帰るのは護衛として当然か。

 

「…ほら」

「…ん」

 

 零余子の前にしゃがみ、背中を見せると体を預けてきた。

 

「…濡れてるな」

「……雨のせい」

 

 尻のあたりが、じっとりと濡れているのを指摘すると、そう返してきた。

 …だが、雨以外にも…

 

「…少し、におうのだが」

 

 

「…雨のせいっ!」

 

 

 

 どうも、これ以上は、言わない方が良さそうだった。




今回は全編、阿修羅視点でした。

あとは、零余子ちゃんに失禁属性を付与しようと画策中…ふひひ。
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