それでも、無惨様なら…
無惨様ならきっと何とかしてくれる…!!
フッと、意識がはっきりとする。
記憶は飛び飛びで、まるで夢のようだった。
そう、新たな力を得た。一段上の強さになった。…まるで夢のようだ。
周りには散乱した私の腕、腕、腕…数えるのも億劫になるほど、切り落とされている。
少し先に、右足首。奴の…鳴柱のものだ。
その少し先には、しゃがみ込み、空を見上げて呆けている零余子がいる。
「…奴は?」
腕を拾いながら、手のひらから吸収する。完全ではないが、それでもある程度は回復できる。
「…逃げた」
「…そうか」
やり取りは短かった。
飛び飛びの記憶の中で、奴が零余子に向かうところ、奴の足を斬り飛ばしたところ、そういった場面場面が断片的に残っている。
奴の…鳴柱の強さの根幹は、その圧倒的なまでの速さだった。
その根幹である足を失った以上、逃げるのは当然だろう。
そして、殺すことこそできなかったが、もう柱としては死んだも同然だろう。
ブルッ…
再び、胸に歓喜が訪れる。
柱に勝った。
…無論、一人では勝てなかった。…それでも、これまで上弦の鬼しか勝てなかった、柱に勝ったのだ。
「…零余子」
「…なに?」
「それを、もらってもいいか?」
転がっている鳴柱の足首を指差して、そう聞いた。
私だけでは勝てなかった。…無論、零余子だけでも勝てなかった。
どちらの貢献度が高いかは、それぞれの解釈によるだろう。…だが、私は零余子の力の方が大きかったと思ったので、そう聞いた。
「…好きにしたら」
「…ありがとう」
奴の足首を拾うと、喰らいつく。
体の奥から力があふれるような気になる。更に強くなれた気になった。
「…ねぇ」
「…ん?」
シャツを着、スーツを羽織った私に、零余子が声をかけてきた。
「…おんぶ」
両手を広げて、ただそれだけを言ってきた。
私自身も疲れてはいたが、疲労感よりも高揚感の方が強かった。
だが、零余子のほうは見るからにしんどそうだった。普段から白い顔色が、死人のように青白かった。
…そういえば、血戦の後も、そのまま倒れそうだったらしいな…
あの術は、かなりしんどいのかもしれない。…それならば、おぶってホテルまで帰るのは護衛として当然か。
「…ほら」
「…ん」
零余子の前にしゃがみ、背中を見せると体を預けてきた。
「…濡れてるな」
「……雨のせい」
尻のあたりが、じっとりと濡れているのを指摘すると、そう返してきた。
…だが、雨以外にも…
「…少し、におうのだが」
「…雨のせいっ!」
どうも、これ以上は、言わない方が良さそうだった。
今回は全編、阿修羅視点でした。
あとは、零余子ちゃんに失禁属性を付与しようと画策中…ふひひ。