零余子日記   作:須達龍也

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自粛ムードな上、お天気も悪いと、出かける気に本当になりませんね。

気付いたら、もう一度アニメ版を見てる。
パワハラ会議…零余子ちゃん、アッー!



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「…京都帝国大学?」

 

 阿修羅がよくわからないという風に、聞いてきた。

「第三高等学校があった場所に、京都帝国大学ができたんだよ」

「…それも、よくわからない」

「…まあ、簡単に言うと、日本で二番目に出来た最高学府になるかな。今後の日本を担う、知識、家柄なんかを兼ね備えた若人が学ぶ場所ってことだよ」

「…なるほど」

 

「うん、そういうこと。…ここを起点に魅了していけば、かなり効率的に京都の人材を網羅できるってこと」

 

 

 手あたり次第だけど、効率も重視するよー。

 

 

 

 三条邸に到着すると、紹介状を見せて、そのあとは、どんどん魅了をしていく。

 あんまり考えずに、会う人会う人の血を吸っていく。いろんな便宜を図るためにも、必須だろう。

 三条邸の家人全てに魅了を施すと、次は京都帝国大学だ。せっかくの雨天、どんどん行くよー。

 三条邸から馬車を出して頂くと、正門で出迎えてくれた守衛さんの血を吸って、魅了する。

 そのまま、悠々と大学内を闊歩する。

 

 ガララ…

 

 講義中らしき教室の扉を、躊躇なく開ける。

「…な、なんだね、君達は!?」

 教壇にいた教師らしき人物に、誰何の声をあげられるが、気にしない。

 

「はーい! みんな、ちゅーもーく!」

 

 五十人ほどの学生が居たが、全員の視線を集め、視線を交わす。声はさっき出したし、この程度の広さの部屋なら、既に私の匂いで満たしている。

 

 …一応言っておくけど、私の体臭がきついわけじゃあないからね。そこは勘違いしないように!

 

 たちまちみんな、トロンとした表情になる。うんうん、私の魅了、すっごく強くなっているね。

 最初に教壇にいる先生の血を吸って、魅了完了。

 

「はーい。これから零余子先生が血を吸っていくので、みんな首元をあけて待っているように!」

 

 流れ作業のように、全員の血を吸っていく。

 

「じゃあ、みんな、大学の知り合いを見つけては、この教室に連れてきてください。私達は申の刻…十六時くらいまではこの教室で待ってます。

 …あー、大学に友達がいない人は、帰ってもいいですよ。それはしょうがない。しょうがないです。はい」

 

 

 友達がいないからなんだっていうんです。そんなことで人間の価値は変わりませんよ! …孤独じゃないです、孤高なんですよ!

 

 

「あとは、青い彼岸花、この言葉に聞き覚えがある人を探してます。友人知人との会話にも混ぜて下さいね。ちょっとでも聞き覚えがある人が居たら、必ず三条邸まで連れてきて下さい。

 零余子さんに用があると言ってくれれば、すぐに会えるようにしておきますので」

 

 教師を含め、みんなが教室から出ていく。残ったのは私と阿修羅の二人だけだ。

 

「…なんというか、すごいな」

 阿修羅は普通に面食らっているようだ。

「私はどっちかっていうと、こういう戦闘じゃない方が得意かな。…自慢じゃないけど、情報収集っていう能力では、ずば抜けていると思うよ」

 まず間違いなく、私の能力はそっちの方が向いている。全ての鬼の中でも、一番ではないだろうか?

 

「まあ、何かあれば三条邸に来てもらうようにすれば、もう出歩く必要もないしね」

 

 

 私は基本的に引きこもりたいのですよ。

 

 

 

「できれば今日中に、この大学の人間のほとんどを、魅了してしまう予定ですよー」




明治コソコソ噂話
「旧帝大七校は、今でも偏差値の高い大学として有名だよね。
 一番最初にできた帝国大学は1886年にできて、1897年に京都帝国大学ができたときに
 東京帝国大学と名前を変えました。その後1907年に東北帝国大学、1911年に九州帝国大学、
 1918年に北海道帝国大学ができたんだ。
 そこから、1924年に京城帝国大学、1928年に台北帝国大学と日本国外に二校できて、
 1931年に大阪帝国大学、1939年に名古屋帝国大学が最後にできた。
 同じ帝国大学でも、50年以上も差があったりするんだねぇ」

明治コソコソと言いつつ、明治までにできたのは九州帝国大学までの四校だったりする。

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