元号が大正になりました。
そして、研究所ができました。
他の棟はまだまだ建築中ですけど、最優先で作らせました。
名称は”自然研究所”、自然と書いて、じねんと読みます。
零余子が大きくなると長芋とか自然薯になるので、そこから取りましたよ。名前くらい、私の好きなのを付けてもいいですよね。
会社の方も、”自然製薬株式会社”となります。
人材もばっちりです。
研究所には、現在の青い彼岸花研究をしている人員を全て回します。加えて、そっちとは関係のない優秀な人材も確保してます。軍が文句を言ってきたから、言ってきたやつ全員を吸血魅了しちゃったので、軍のお偉いさんも予定外に多数魅了してしまいましたよ。文句を言ってきた、そっちが悪い。
優秀な社員に加え、この近辺の政界、財界はあらかた根回しが済んでいるので、どう考えても成功間違いなしです。
社長には三条卿の長男さんを据えました。…まあ、お飾りです。
私は研究所の所長…付き秘書みたいなものになりました。…まあ、実質所長ですけどね。
とりあえず、ただでこき使っていた皆さんに、お給料が払えるようになって、ホッとしてます。やっぱりなんか、申し訳なかったですからね。
この研究所での研究課題は大きく三つ…いや、四つです。
一つ目はもちろん、青い彼岸花の研究開発です。そのために作ったんだから、当たり前ですね。
二つ目は胃腸薬です。自然製薬の目玉商品にする予定ではありますが、実際は私の為です。毎週の無惨様との面談が、私の胃腸を殺しに来てます。必須です。
三つ目は甘味です。甘味を作るほうじゃないです、感じる方の研究です。甘味を断ってからほぼ二年、もう限界です。女の子が血だけで生きていけるわけはありません。甘味は必須なんですよ! ついでにお茶も飲めるようにしたいですね。場合によっては一つ目よりも優先し…もちろん、青い彼岸花が一番ですよ、わかってますよ、ええ、もちろん。わかってますったら!
四つ目は売れる商品開発です。一応会社所属の研究所なんですから、そこも大事です。忘れてなどいませんよ、ええ。
「…鬼を数体貸して欲しい、だと?」
「はい。できれば弱い鬼がいいですね」
無惨様との面談で要求します。必要なものは要求します。無惨様の為だけの面談じゃあないんですから。
「…何に使うんだ?」
「臨床実験に使います。実験もせずに無惨様にお出しできませんし、私で実験するのも勘弁してほしいですので」
「…青い彼岸花が、できたのか?」
「なんちゃってでいいなら、チラホラと」
「…なん、だと…」
無惨様があからさまな位、衝撃を受けてます。
「ただ色をつけるだけでしたら、それこそ、どうとでもなりますので。問題は、それの効能ですから」
「…確かに、その通りだな。どれくらい必要だ?」
「五…いえ、六体でお願いします。そうですね、女三、男三でお願いします」
右手で三本、左手で三本指を立てます。
「わかった、用意しよう。…それで、どうやって試験をするつもりだ?」
「…えっと、太陽であぶる、とか?」
「…なるほど、よくわかった。来週の面談には用意しておこう」
べべんっ!
「…まずかった…かな?」
でも、さすがにここまで来て、気付いてないフリをするのは不自然だろう。
…無惨様が、不完全な不老不死の霊薬で鬼になり…
…青い彼岸花の成分効能で、太陽を克服しようとしていると…
「…うう、あいたたたた」
いつものように、おなかが痛くなる。ザラララと、瓶で胃腸薬を飲む。
これ? これは自然研究所で作成した第一号の胃腸薬です。効能では、忠勇征露丸にだって負けてませんよ。
とにかく、胃腸薬は手放せません。
胃腸の調子が悪いので、最近は流動食しか食べれてませんよ。…まあ、鬼になってから、流動食しか口にしてないんですけどね。
…でも、更に胃が痛くなる展開が待ち受けていた。
下弦の弐…鵺さんが、鬼殺の剣士に殺された。
大正コソコソ噂話
「大正になったということで、ここも大正コソコソ噂話になりましたよ。
今回は忠勇征露丸。ラッパのマークの大幸薬品の正露丸のことです。
日露戦争時の軍の常備薬として使用されていました。
だから、露西亜を征服する丸薬で、征露丸という名称です。
帰還兵の宣伝と、戦勝ムードもあって、日本での忠勇征露丸の人気は不動です。
自然製薬の胃腸薬も効能では負けてないんですが、売り上げでは勝てません。
ちくしょー!」