零余子日記   作:須達龍也

42 / 149
じわじわと本編の開始が近づいてます。



42

 元号が大正になりました。

 

 そして、研究所ができました。

 

 他の棟はまだまだ建築中ですけど、最優先で作らせました。

 名称は”自然研究所”、自然と書いて、じねんと読みます。

 零余子が大きくなると長芋とか自然薯になるので、そこから取りましたよ。名前くらい、私の好きなのを付けてもいいですよね。

 会社の方も、”自然製薬株式会社”となります。

 

 人材もばっちりです。

 研究所には、現在の青い彼岸花研究をしている人員を全て回します。加えて、そっちとは関係のない優秀な人材も確保してます。軍が文句を言ってきたから、言ってきたやつ全員を吸血魅了しちゃったので、軍のお偉いさんも予定外に多数魅了してしまいましたよ。文句を言ってきた、そっちが悪い。

 

 優秀な社員に加え、この近辺の政界、財界はあらかた根回しが済んでいるので、どう考えても成功間違いなしです。

 社長には三条卿の長男さんを据えました。…まあ、お飾りです。

 私は研究所の所長…付き秘書みたいなものになりました。…まあ、実質所長ですけどね。

 

 とりあえず、ただでこき使っていた皆さんに、お給料が払えるようになって、ホッとしてます。やっぱりなんか、申し訳なかったですからね。

 

 

 この研究所での研究課題は大きく三つ…いや、四つです。

 

 一つ目はもちろん、青い彼岸花の研究開発です。そのために作ったんだから、当たり前ですね。

 

 二つ目は胃腸薬です。自然製薬の目玉商品にする予定ではありますが、実際は私の為です。毎週の無惨様との面談が、私の胃腸を殺しに来てます。必須です。

 

 三つ目は甘味です。甘味を作るほうじゃないです、感じる方の研究です。甘味を断ってからほぼ二年、もう限界です。女の子が血だけで生きていけるわけはありません。甘味は必須なんですよ! ついでにお茶も飲めるようにしたいですね。場合によっては一つ目よりも優先し…もちろん、青い彼岸花が一番ですよ、わかってますよ、ええ、もちろん。わかってますったら!

 

 四つ目は売れる商品開発です。一応会社所属の研究所なんですから、そこも大事です。忘れてなどいませんよ、ええ。

 

 

 

 

 

「…鬼を数体貸して欲しい、だと?」

「はい。できれば弱い鬼がいいですね」

 無惨様との面談で要求します。必要なものは要求します。無惨様の為だけの面談じゃあないんですから。

「…何に使うんだ?」

「臨床実験に使います。実験もせずに無惨様にお出しできませんし、私で実験するのも勘弁してほしいですので」

「…青い彼岸花が、できたのか?」

 

「なんちゃってでいいなら、チラホラと」

 

「…なん、だと…」

 無惨様があからさまな位、衝撃を受けてます。

「ただ色をつけるだけでしたら、それこそ、どうとでもなりますので。問題は、それの効能ですから」

「…確かに、その通りだな。どれくらい必要だ?」

「五…いえ、六体でお願いします。そうですね、女三、男三でお願いします」

 右手で三本、左手で三本指を立てます。

「わかった、用意しよう。…それで、どうやって試験をするつもりだ?」

 

「…えっと、太陽であぶる、とか?」

 

「…なるほど、よくわかった。来週の面談には用意しておこう」

 

 

 べべんっ!

 

 

「…まずかった…かな?」

 でも、さすがにここまで来て、気付いてないフリをするのは不自然だろう。

 

 …無惨様が、不完全な不老不死の霊薬で鬼になり…

 …青い彼岸花の成分効能で、太陽を克服しようとしていると…

 

「…うう、あいたたたた」

 いつものように、おなかが痛くなる。ザラララと、瓶で胃腸薬を飲む。

 

 これ? これは自然研究所で作成した第一号の胃腸薬です。効能では、忠勇征露丸にだって負けてませんよ。

 とにかく、胃腸薬は手放せません。

 胃腸の調子が悪いので、最近は流動食しか食べれてませんよ。…まあ、鬼になってから、流動食しか口にしてないんですけどね。

 

 

 …でも、更に胃が痛くなる展開が待ち受けていた。

 

 

 

 下弦の弐…鵺さんが、鬼殺の剣士に殺された。




大正コソコソ噂話
「大正になったということで、ここも大正コソコソ噂話になりましたよ。
 今回は忠勇征露丸。ラッパのマークの大幸薬品の正露丸のことです。
 日露戦争時の軍の常備薬として使用されていました。
 だから、露西亜を征服する丸薬で、征露丸という名称です。
 帰還兵の宣伝と、戦勝ムードもあって、日本での忠勇征露丸の人気は不動です。
 自然製薬の胃腸薬も効能では負けてないんですが、売り上げでは勝てません。
 ちくしょー!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。