零余子日記   作:須達龍也

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妖艶な美少女の零余子ちゃんを目指していたと言ったら、君たちは信じるかね?


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「…ごちそう様でした」

 その少年の首筋にできた痕を、ペロリと舐めて言った。

 

 あー、焦ったー、ビビったー。今頃ガクブルですよ。

 

 とにもかくにも、上手くいった。

 それにこれから鬼殺隊の内部情報も手に入るし、万々歳ですよ。…いやいや、計算通りですよ? むしろ、これを狙ってたんですよ。

 

「さて…」

 

 ぼんやりとこちらを見ている少年に、私はとびっきりの笑顔を見せる。

 

 

「いろいろと教えてくださいね」

 

 

 少年は、私が聞けばなんでも教えてくれた。

 

 鬼殺隊には十の階級があること。

 少年は辛(かのと)、下から三番目だということ。

 そして柱…最も位の高い剣士のこと。

 今は五人の柱がいること。

 柱になるには、鬼を五十体倒すか、十二鬼月を倒すとなれるということ。

 年に五体鬼を倒しても十年かかるから、実力のある剣士は十二鬼月の下弦を狙うらしいとのこと。

 上弦の鬼は柱でも厳しいが、下弦の鬼は強い剣士には狙い目らしいとのこと。

 

「うわー、この間の鬼の認識だと、十二鬼月はすごい名誉でみんななりたいって話だったけど、下弦ないわー、強い鬼殺隊士に狙われまくるなんて、絶対にないわー」

 

 あとは日輪刀のこととか、呼吸がどうのとか聞いたけど、よくわからなかった。

 

 …なんか、説明がふわっとしてたから、少年もよくわかってないんだろうな。

 

 少年自体は水の呼吸の使い手とのこと。

 鬼出現の報告が出ると、鎹鴉(かすがいがらす)から連絡が来るとのこと。

 鎹鴉というのは、鬼殺隊一人一人につけられて…

 

「…えっ、それって…」

 

 私が振り返ると同時に、一羽の鴉が飛び立った。

 

「しまった!」

 

 闇夜の鴉の言葉通り、もう空の闇に溶けて見えなくなった。

 あれが鎹鴉だったのはまず間違いない。

 

「ばれた…ばれたばれたばれた…」

 

 逃げるしかない。それも、早急にだ。もはや一刻の猶予もないと見ていいだろう。

 

「持っていくものは何がいる?

 上中下巻の道中記! あれには確か簡単な地図が付いてたはず。あとは日記! 見られたらすっごく恥ずかしい!!」

 

 

 すたこらさっさー…

 

 

 

 

 

 

 

 ある少年の証言。

 

 彼の任務は、とある村の裏山に鬼が出た為、その調査と…可能であれば、その討伐をせよとの指令だった。

 村の猟師四人が食い殺され、一人が命からがら逃げ帰った。

 その身の丈は七尺を超える巨体だったとの話だった。

 そして、村では鬼を鎮めるため、祭壇を作り、村一番の美しい少女を生贄に捧げたとのこと。

 

 …この辺りは、古い因習か残る村ならではだろう。その為にあたら若い少女が命を落としたのであれば、不幸でしかない。

 

 木製の粗末な祭壇には争った跡が見受けられた。

 また、少女の体の一部や衣類、血液などは残っていなかったが、紐の切れた口枷と、引きちぎられた縄だけが残っていたとのこと。

 鬼のねぐらに連れ去らわれたと考えられ、その後のことは想像に難くない。

 

 

 そして、その夜にも事件があったのだが、少年自体は何も覚えていなかった。

 

 

 ただ彼の鎹鴉の証言から、精神操作系の能力を持つ鬼がいたとわかった。

 その鬼は生贄の少女そっくりな容姿であったことより、肉体変化系の能力も持っていると推測される。

 少なくとも二つの異なる血鬼術を使えることから考えるに、かなり強力な鬼である可能性が高い。

 

 

 

 最後に、敵ではないと判断された結果かはわからないが、少年隊士が無事であったことだけは喜ばしいことだった。




鬼殺の剣士との初戦のはずなのに、戦闘シーンさんの出番がまるでなかった件について。
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