零余子日記   作:須達龍也

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中国から、わっと世界中に広まってしまって…
世界が狭くなって便利になった反面を見せられてますね。



54

「…今、恐怖したな…」

 

 その言葉を聞いた瞬間…

 

「あああぁぁぁぁーーーー!!!!!!」

 

 …悲鳴があがる。恐怖からじゃなく…いや、それもあったが、むしろそれは生存本能とでもいうべきものからだ。

「…どうしたっ!?」

 山坊主が肩をつかんで揺らしてくる。…違う、体がガクガクといつの間にか震えていた。

 

 …今、何かが体から抜けそうになっていた…

 

 それが何かはわからない。そんな経験はない。…だけど、それは取り返しのつかないものだと思われた。

 

 …恐怖したら、魂が抜ける…

 

 話に聞いたら、馬鹿らしいと思うだろう。

 ばかばかしい。そんなことがあるわけがない。そもそも魂ってなんだって…

 

「…ひぃぃ、ダメダメ、考えるな」

 

 考えると、また恐怖がぶり返しそうになる。

 やばい、まずい、ビビりの私には最悪だ。

 

 

 

「猗窩座様っ!」

 

 

 

「おうっ!」

 

 思わず叫んだ私に、猗窩座様が力強く応じてくれる。

「阿修羅、どいてろ」

 

 その言葉と同時に…

 

 

 

 …破壊殺・脚式・流閃群光(りゅうせんぐんこう)…

 

 

 

 猗窩座様の怒涛の蹴り技が、方相氏をずるずると二メートルほど後ろに下がらせる。

 

 そして、後を追うように、その懐奥深くにまで踏み込んで…

 

 

 

 …終式・青銀乱残光(あおぎんらんざんこう)…

 

 

 

 超至近距離で爆弾を爆発させたかのように…いや、私は見たことがないけど、夜空を彩る特大の花火の爆発を、地上に顕現させたかのようだった。

 

「やったか?」

 

 山坊主が誰にともなく、そうつぶやく。

 

 猗窩座様の向こう…頭一つ分は高かった方相氏の仮面が…ない。

 仮面どころか、頭自体が…

 

 

 …方相氏の上半身が吹っ飛んでいる!

 

 

「…やった…」

 

 思わずあがりそうになった歓声は、不自然に浮いているものを目にして、止まる。

 

 …右手? …そして、それが持っているのは…

 

 

 

 チーン…

 

 

 

 浮かんでいた右手が、五鈷鈴を鳴らした。

 

 音もなく、黒い服を着た上半身が生えてきて、宙に浮かんだ右手とつながり…仮面をつけた頭まで復活した。

 

 

「猗窩座様、鈴をっ!」

 

 

「おぉっ!!」

 

 

 

 …破壊殺・滅式…

 

 

 

 猗窩座様の拳が、ただ一点、奴の持っている五鈷鈴だけを、何度も叩き…

 

 

 

 …壊した…

 

 

 

「…ふむ」

 

 奴は鈴をなくし、砕かれた右手を持ち上げ…

 

 

 …どこか、虚空へと突っ込んだ。

 

 

「…そんな…」

「…ばかな…」

 

 

 …虚空から引っ張り出したのは、五鈷鈴を持つ右手だった。

 

 

 

 …破壊殺・滅式…

 

 

 

 再度繰り出された猗窩座様の拳は、周囲に赤いものをばら撒く。

 

「…ぐっ…」

 

 …猗窩座様の両の拳は、その破壊力ゆえに砕け、血で真っ赤に染まっていた。

 

 

「…形代を、より堅くした…」

 

 

 

 なんでもないことのように、奴はそう言った。




勢いが欲しい…
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