零余子日記   作:須達龍也

59 / 149
本誌の方はどうなるのでしょうか?

このまま大団円で終わるのか、第二部があるのか。



59

 万世極楽教…それが山本君のご両親が入信した新興宗教の名前だ。

 

 まあ、名前なんてどうでもいい。

 山本君のご両親の血を吸って魅了し、やめてもらえばそれでいい。説得なんて無駄に時間がかかるだけだ。

 宗教団体の方も、文句を言ってくる奴を順番に血を吸って、魅了すればそれでおしまい。まあ手切れ金で少々お金がかかっても、それは別に問題ない。山本君が恩に感じてくれるなら、それはそれで、ありだろう。

 

 

 

 …なんて、思ってた時期もありました…

 

 

 

 

 

「…やあやあ、確か零余子ちゃんだったっけ? 久しぶりだね」

 

「…はい、お久しぶりです。童磨様」

 

 

 なぜか、万世極楽教の教祖の部屋で、童磨様と一対一で会っていた。

 

 

「…それで、何の用だっけかな?」

「…えっとですね。…青い彼岸花探しは、もちろんご存じですよね?」

 しょうがないので、最初から説明をする。…人間の教祖だったら、こんな手間は必要なかったのだが、致し方ない。

「ふん? …まあね。こちらも八方手を尽くしてはいるんだけど、なかなかうまくいってないね」

「…それでですね。こちらは青い彼岸花にまつわる文献をいくつか見つけまして、それの研究をするチームを作りまして…」

「へぇ、そりゃすごい。そういうのも得意なんだねぇ」

「ありがとうございます」

 童磨様はニコニコと笑いながら話を聞いてくれるので、雰囲気としては和やかなものだった。

「…それで、そのチームの一人…山本君のご両親が、こちらの…万世極楽教に入信しているようでして…」

「ほぅ、そりゃあ奇遇だね」

 ここからは言葉の選び方に注意が必要だ。

 間違っても、山本君がここをうさんくさいと思っているので、やめてもらいに来たとは、さすがに言えない。

 なんとか、うまいこと…

 

「極楽とかうさんくさいもんねぇ。やめさせに来たんだよね?」

 

「…えぇっと…まあ、はい」

 向こうからズバッと言ってくれた。その通りだったので、否定はしない。

 

「うん、わかった。連れて行ってくれていいよ」

 

「…ありがとうございます。助かります」

 何の問題もなく終わった。

 最悪の場合は、無惨様の名前…は出すに出せないので、匂わせて何とかしようと思っていたのだが、虎の威を借るなんとやらだ。

「…それで、さ」

「…はい」

 おっと、このまま終わるわけでも、なさそうだぞ。

「こっちも一つ、頼みを聞いてもらいたいんだけど」

「…聞ける類のものでしたら」

 一応、保険はかけておく。

 

 

「君、ちょっとおいしそうだよね。右腕だけでいいから、ちょうだい」

 

 

「…は?」

 

「鬼だからすぐ生えるよね。簡単簡単」

 ニッコリと笑って、とんでもないことを言ってきた。

「いやいやいやいや、イヤですよ、そんなの!」

「えー? …じゃあ、俺の腕もあげるよ。それで交換になるよね」

「いやいやいやいやいや、なりませんよ、いりませんよ!」

 

 

「…じゃあ、さ」

 

 

 その声は真横から聞こえた。

「…え?」

 右肩もポンと叩かれる。

 

 さっきまで目の前にいたのに、いつの間にか隣に移動していた!

 

「アレをやってよ。入れ替わりの血戦で見せてくれたやつ。それでどうだい?」

 

「…アレはその…なかなか、難しいと申しますか…」

「…んー?」

 さっきまでとは圧力が変わった。ぶわっと冷や汗が出るのを感じる。

 

「…猗窩座殿には使ったって聞いたよ。…あの方から、ね」

 

 耳元でささやくように言ってくる。

 ドキドキではなく、ゾワゾワっとくる。

「…えぇっと、ですね…」

 

「…それで猗窩座殿はずいぶん強くなったみたいだね。…それって、ずるくない?」

 

 右肩をもみもみしながら言ってくる。

 

「…猗窩座殿は一番の友人なんだ。俺にも使って欲しいなぁ」

 

 …いやいや、それは絶対に嘘だ。ありえない。

 

(ええ! この方が狛治さんのご友人なんですか?)

 

 …あんたも、簡単に信じない。

 

 

「…戦うべき相手がいります。今は無理です」

 

 

 私はきっぱりとそう答えた。

「…ふーん。まあ、しょうがないか」

 童磨様がそう答えると、隣からの圧力が消えた。

 

 内心ホッとした瞬間だった…

 

 

「…コレで勘弁してあげるよ」

 

 

「…うああああぁぁぁーーーー!!!!」

 慌てて右肩を押さえる。

 痛みは感じなかった。…それでも、それでも!

 

「…うん、やっぱりなかなか美味しいね」

 

 …私の右手の人差し指を咀嚼しながら、なんでもないように言いやがった。

 いつから手に持っていたのか、扇子で口元を押さえながら、ポリポリと私の右腕を…

 

「…君、やっぱり変わった鬼だよね。もっと食べたいなぁ」

 

「…ひっ、…ひひっ…」

 

「…頭さえ無事なら、なんとかなるよねぇ」

 

「…ひぃっ、…ひっひっひっ…」

 

 ズリズリと距離を取る。…怖い。…怖い怖い怖い!

 

 

「…ははは、冗談。もちろん、冗談だよ、あははは…」

 

 

 パチンと扇子を閉じて、こちらに背中を向ける。

 

「…山本だっけ? その夫婦は玄関に行くようにしておくよ。じゃあ、またね」

 

 

 そう言って、教祖の部屋を出て行った。

 

 

 

 うぇえええーーーん! もう二度と来ねえよぉーー!!!




ドキドキ! 十二きづきっ☆ミ
童磨様ルートは難易度…というか、異常度が高過ぎなので、上級者向けですな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。