このまま大団円で終わるのか、第二部があるのか。
万世極楽教…それが山本君のご両親が入信した新興宗教の名前だ。
まあ、名前なんてどうでもいい。
山本君のご両親の血を吸って魅了し、やめてもらえばそれでいい。説得なんて無駄に時間がかかるだけだ。
宗教団体の方も、文句を言ってくる奴を順番に血を吸って、魅了すればそれでおしまい。まあ手切れ金で少々お金がかかっても、それは別に問題ない。山本君が恩に感じてくれるなら、それはそれで、ありだろう。
…なんて、思ってた時期もありました…
「…やあやあ、確か零余子ちゃんだったっけ? 久しぶりだね」
「…はい、お久しぶりです。童磨様」
なぜか、万世極楽教の教祖の部屋で、童磨様と一対一で会っていた。
「…それで、何の用だっけかな?」
「…えっとですね。…青い彼岸花探しは、もちろんご存じですよね?」
しょうがないので、最初から説明をする。…人間の教祖だったら、こんな手間は必要なかったのだが、致し方ない。
「ふん? …まあね。こちらも八方手を尽くしてはいるんだけど、なかなかうまくいってないね」
「…それでですね。こちらは青い彼岸花にまつわる文献をいくつか見つけまして、それの研究をするチームを作りまして…」
「へぇ、そりゃすごい。そういうのも得意なんだねぇ」
「ありがとうございます」
童磨様はニコニコと笑いながら話を聞いてくれるので、雰囲気としては和やかなものだった。
「…それで、そのチームの一人…山本君のご両親が、こちらの…万世極楽教に入信しているようでして…」
「ほぅ、そりゃあ奇遇だね」
ここからは言葉の選び方に注意が必要だ。
間違っても、山本君がここをうさんくさいと思っているので、やめてもらいに来たとは、さすがに言えない。
なんとか、うまいこと…
「極楽とかうさんくさいもんねぇ。やめさせに来たんだよね?」
「…えぇっと…まあ、はい」
向こうからズバッと言ってくれた。その通りだったので、否定はしない。
「うん、わかった。連れて行ってくれていいよ」
「…ありがとうございます。助かります」
何の問題もなく終わった。
最悪の場合は、無惨様の名前…は出すに出せないので、匂わせて何とかしようと思っていたのだが、虎の威を借るなんとやらだ。
「…それで、さ」
「…はい」
おっと、このまま終わるわけでも、なさそうだぞ。
「こっちも一つ、頼みを聞いてもらいたいんだけど」
「…聞ける類のものでしたら」
一応、保険はかけておく。
「君、ちょっとおいしそうだよね。右腕だけでいいから、ちょうだい」
「…は?」
「鬼だからすぐ生えるよね。簡単簡単」
ニッコリと笑って、とんでもないことを言ってきた。
「いやいやいやいや、イヤですよ、そんなの!」
「えー? …じゃあ、俺の腕もあげるよ。それで交換になるよね」
「いやいやいやいやいや、なりませんよ、いりませんよ!」
「…じゃあ、さ」
その声は真横から聞こえた。
「…え?」
右肩もポンと叩かれる。
さっきまで目の前にいたのに、いつの間にか隣に移動していた!
「アレをやってよ。入れ替わりの血戦で見せてくれたやつ。それでどうだい?」
「…アレはその…なかなか、難しいと申しますか…」
「…んー?」
さっきまでとは圧力が変わった。ぶわっと冷や汗が出るのを感じる。
「…猗窩座殿には使ったって聞いたよ。…あの方から、ね」
耳元でささやくように言ってくる。
ドキドキではなく、ゾワゾワっとくる。
「…えぇっと、ですね…」
「…それで猗窩座殿はずいぶん強くなったみたいだね。…それって、ずるくない?」
右肩をもみもみしながら言ってくる。
「…猗窩座殿は一番の友人なんだ。俺にも使って欲しいなぁ」
…いやいや、それは絶対に嘘だ。ありえない。
(ええ! この方が狛治さんのご友人なんですか?)
…あんたも、簡単に信じない。
「…戦うべき相手がいります。今は無理です」
私はきっぱりとそう答えた。
「…ふーん。まあ、しょうがないか」
童磨様がそう答えると、隣からの圧力が消えた。
内心ホッとした瞬間だった…
「…コレで勘弁してあげるよ」
「…うああああぁぁぁーーーー!!!!」
慌てて右肩を押さえる。
痛みは感じなかった。…それでも、それでも!
「…うん、やっぱりなかなか美味しいね」
…私の右手の人差し指を咀嚼しながら、なんでもないように言いやがった。
いつから手に持っていたのか、扇子で口元を押さえながら、ポリポリと私の右腕を…
「…君、やっぱり変わった鬼だよね。もっと食べたいなぁ」
「…ひっ、…ひひっ…」
「…頭さえ無事なら、なんとかなるよねぇ」
「…ひぃっ、…ひっひっひっ…」
ズリズリと距離を取る。…怖い。…怖い怖い怖い!
「…ははは、冗談。もちろん、冗談だよ、あははは…」
パチンと扇子を閉じて、こちらに背中を向ける。
「…山本だっけ? その夫婦は玄関に行くようにしておくよ。じゃあ、またね」
そう言って、教祖の部屋を出て行った。
うぇえええーーーん! もう二度と来ねえよぉーー!!!
ドキドキ! 十二きづきっ☆ミ
童磨様ルートは難易度…というか、異常度が高過ぎなので、上級者向けですな。