…あのあと、袖がスッパリと斬られた服と、なんだかんだで汚れた下着を替えた。
…それから、まあ、いろいろあって、山本君一家には帰ってもらった。
…とりあえす、山本君の実家の両親には京都に住んでもらうように、魅了した。
…ええ、何事も問題はありませんよ?
「ぐすっ…ぐすっ…」
(…ああ、よしよし、怖かったよねえ)
…あいつきらい…
(そうだねえ、よしよし)
…泣いてなんか、ないんだもんねっ!
(うんうん、そうだね。…でも…)
…でも?
(…狛治さんも、ご友人は選んだ方がいいと思う)
…いや、それはあいつの嘘だから! それだけは間違いないから!!
山本君たちと別れて、とりあえず東京方面へと駆ける。
東京に着いたら、早速不動産屋に行こう。…多分、営業時間外だろうけど、魅了でどうとでもなる。
(あんまり無理を言うのは、どうかと思うんだけど)
私は日中動けないんだ。しょうがない。
…ふと、感じた。
私の認識範囲内に、誰かが飛び込んで来た…まあ、誰かというか、猗窩座様だ!
私の血、よくぞあの濃い血の中で、心臓に留まれた、すばらしい!
当然のように、そっちに方向転換する。
(えっ、急にどうして…ぴーん!)
…ほほう、気付いたかね?
(ええ、隠せてませんからね、ニマニマしてます!)
仕方ない! 今の私には癒しが必要なんだ!!
進行方向に、猗窩座様の姿をとらえる。
「あっ…」
怪訝そうだったお顔が、ちょっとびっくりした表情になって…
「かっ…」
なんというか、しょうがないなあって顔…
「ざっ…」
すんごい優しい顔になる…好きっ!
「さまーー!!!」
そのままの勢いで跳びついた私を、ふんわりと抱きとめてくれる。
(あー! ずるいですー!)
悪霊の言うことは聞こえませーん!
(悪霊じゃないです! …たぶん?)
…いや、そこは自信をもって否定して欲しい。
「ふにゃー、ゴロゴロゴロ」
久しぶりに会った猗窩座様に抱き着いて、甘えまくる。
「なんだなんだ、どうしたー?」
猗窩座様も、とりあえず、わしゃわしゃとしてくれる。
(ああ、ずるいです! …あっ、でも、ちょっと感触が…)
あー、やっぱり猗窩座様は優しい! 同じ上弦でも大違いだ!!
「聞いてください、猗窩座様!」
「おお、どうしたどうしたー?」
かくかくしがじかと、猗窩座様に事情を説明する。…途中、ふがーってなったけど、よしよしされたので、まあよし!!
「…あいつは、なあ」
「…あと、猗窩座様が一番の友人だって、言ってましたよ」
これ以上ないくらいに、イヤそうな顔をされた。
(ああ、やっぱり嘘でした)
「…そうそう、猗窩座様、これからお時間ありますか?」
「んー、まあ大丈夫だが、何するんだ?」
にぱーっと笑って、答える。
「二人の新居を決めましょう!」
(違いますー!!!)
零余子ちゃん、猫みたいです。
零余子猫、きっとかわいい。