零余子日記   作:須達龍也

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いつもいつも、短くて申し訳ないです。



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「よいしょっと」

 

 意識を失った上星卿を横抱きに抱え上げると、文字通り馬車から飛び出る。

 山を抜けた先は、田舎者の私では入るのを躊躇するような都会だった。

 そこの一等地に住居を構える、豪華な馬車の持ち主…どう考えてもお金持ちです。ありがとうございます。

 

 ニヤリ…

 

 悪い笑みが浮かんでしまうのもしょうがない。もう野宿はいやなんじゃー。

 

 私の完璧で完全で鬼懸っている計画は、こうだ!

 

 壱、上星卿をお宅まで連れ帰る。

 どっか途中で目覚めさせ、肩を貸していたということにする。

 …えっちらおっちらでそんな早く着くのか? …そこはほら、火事場のなんちゃらだと誤魔化すべし。

 それでもぐだぐだ言ってきたら、魅了でなんとかする。

 

 弐、恩人という地位でもって、客人待遇で家に転がり込む。

 なんかめんどくさいこととかになったら、魅了でなんとかする。

 

 参、そのままぐだぐだと好きなだけ、居候する。

 とにかく、魅了でなんとかする。

 

 

「かんっぺき!」

 

 

 

 

 

 

 

「………ょう」

 柔らかな声と共に、意識が浮上する。

「…上星卿」

 杖をつき、少女に肩を借りている状況に、今更ながらに気付く。

「町が見えてまいりましたよ」

 少女の声に誘われて前を見ると、山から獣やら山賊やらが入らないようにしている大きな門が見える。今朝出る時にも通った、懐かしさまで感じる門だった。

「今の時間は?」

「あれから三刻ほど経ったでしょうか」

 ほとんど意識が飛んでいるような私に肩を貸しながら、三刻もと思うとありがたいやら、申し訳ないやら、なんとも言葉にしようがない…感謝の念しか沸いてこない。

 そんなことを思い、胸がいっぱいになっていた私の目に、カンテラを持った人間が近づいてくるのが見えた。

「ややや、上星卿ではございませんか!? お怪我をされているのですか? 医者を呼んでまいります!」

 そう言ってくれる門番に、必要ないと首を振ってこたえる。

「大丈夫だ。家に戻れば住み込みの医師がいる。すまないが、代わりの車を出してもらえないだろうか」

「わかりました。すぐに準備致します。

 …それで、そちらの…」

 私を思ってのことかもしれないが、その少し胡散臭げに少女を見る眼差しにカチンと来た。

 

「彼女は私の命の恩人だ。もういいから、早くしろ!」

 

「はい、只今!」

 大慌てで準備に走った男を見送りながら、いいんでしょうかとこちらを見上げてくる紅の瞳に対して、できる限りの笑顔を浮かべる。

 

 

 

「もちろんだとも、なんとしてでも私の感謝を伝えさせてくれ」




「ごめんね」
「もっと長く書いたことも、あったんだけれど」
「すぐに息が上がって、エタりそうになったんだ」

森川智之さんの声で読んで、許してください。
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